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日本たばこ産業株式会社

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掲載日: 2014 年 7 月 8 日

次期標準デスクトップ環境を Windows Server 2012 R2 の VDI で検証。

写真:日本たばこ産業株式会社

日本たばこ産業株式会社

たばこメーカーとして、世界 No.1 企業を視野に入れた積極的なビジネスを展開し、加えて医薬事業、飲料事業、加工食品事業などの多彩な分野にフィールドを拡げている日本たばこ産業株式会社 (以下、JT)。同社は 2013 年中ごろから、次期標準デスクトップ環境の検証のために Windows Server 2012 R2 での VDI (仮想デスクトップ インフラストラクチャ) の活用に着手し始めました。検証環境の構築にあたっては、マイクロソフトの製品とテクノロジだけで実装することを重視し、シングル コンタクト ポイントによるサポートや問題解決を実現しています。

<導入の背景とねらい>
新しい標準デスクトップへの移行に伴うさまざまな課題を VDI で解決

写真:日本たばこ産業株式会社 IT 部 次長 加藤 雄一 氏

日本たばこ産業
株式会社
IT 部 次長
加藤 雄一 氏

JT では、豊富なグローバルでの導入実績やサポート体制を評価し、これまで積極的にマイクロソフト製品を採用してきました。現在、クライアント PC の標準は、Windows 7、Microsoft Office Professional Plus 2010、Internet Explorer 8 に統一されていますが、ビジネスの要求に迅速に応えられるよう、次期標準仕様 PC の検討も始めています。次期標準デスクトップを検討するにあたり、VDI の活用を検討している理由について JT の IT 部 次長 加藤 雄一 氏は次のように語ります。

「新しい OS やアプリケーションに移行するには、事前にさまざまな検証を行う必要があります。以前は実機として物理マシンを複数台購入し、検証を行っていました。この検証作業を仮想環境で行うことでコストと工数を大きく削減できるのではないかと考えました」。

実は、Windows XP から Windows 7 へ切り替えた前回の標準デスクトップ移行プロジェクトにおいても、仮想環境を活用できないかと考えたそうです。しかし、Windows Server 2008 R2 で初めて登場したマイクロソフトの VDI には、管理面での不安があったようです。

「当時のマイクロソフトの VDI は管理機能について、まだ課題が残されている印象がありました。それが、Windows Server 2012 で改善されたので、デスクトップ移行の次の橋渡しにも仮想環境が十分に活用できると思い、マイクロソフトの VDI の利用を検討することにしたのです」。

<導入の経緯>
Windows Server 2012 R2 と Microsoft System Center 2012 R2 の登場で周辺環境の準備が整う

JT は当初、Windows Server 2012 の Hyper-V とリモート デスクトップ サービスを用いて VDI の検証環境を構築する考えでしたが、Windows Server 2012 R2 のリリースが近づいてきたこともあり、Windows Server 2012 R2 ベースで構築することにしました。VDI の競合他社製品を選択しなかった理由について、加藤氏はこう説明します。

「第 1 の理由は、シングル コンタクト ポイントによるサポートを重視したことにあります。ライセンス管理をできるだけ簡素化したいという考えもありますが、他社製品を利用する場合、問題が発生したときには、こちらで切り分けを行わなければなりません。また、他社の VDI を利用している場合、管理サーバーを別途立てなければいけなかったり、その管理サーバーの制約で重要なパッチが当てられないというような、さまざまな制限を可能な限り排除したいという考えがありました。第 2 の理由は Windows Server 2012 R2 で RDP (リモート デスクトップ プロトコル) のパフォーマンスが大きく改善されたということです。RDP は Citrix の ICA と比較されることが多いのですが、最近のパフォーマンス検証レポートで RDP 8 と ICA のパフォーマンスに遜色がないことを知りました」。

また、第 1 の理由にあげたシングル コンタクト ポイントについては、マイクロソフトのサポートの充実をあげています。

「マイクロソフト製品は世界中で使われていますので、技術者も多く、情報も豊富にあります。また、マイクロソフト コンサルティング サービスなどのサポートが充実している点も大きなポイントの 1 つです。オープン ソースは確かに初期投資を抑えられるという利点がありますが、一方で日本国内での技術者の数や企業ユーザー向けサポートの充実度などの問題もあり、長期的に考えた場合のトータル コストを考えると必ずしもオープン ソースが有利ではないと思っています」 (加藤 氏)。

Windows Server 2012 R2 および Windows 8 から導入された RDP 8 は、TCP と UDP の両方を使用するマルチ トランスポートをはじめ、ネットワーク帯域の削減と動画再生を含むスムーズな表示を実現する RemoteFX テクノロジが搭載され、LAN 内での接続だけでなく、WAN 経由の接続やモバイル環境においても快適に利用できます。さらに、今回の VDI 検証環境では、仮想デスクトップの提供に加えて、パッチ配信などの仮想デスクトップの管理用に System Center 2012 R2 Configuration Manager を検証しています。

<システムの概要>
80 台の仮想デスクトップと管理環境のすべてを Hyper-V サーバー 3 台で実行

JT は今回、将来の本格的な展開を見据えて、80 台の仮想デスクトップを同時実行できる規模の環境で検証を行いました。物理サーバーは 3 台用意し、Hyper-V の役割をクラスター構成にしました。この仮想環境で、Windows 7 の仮想デスクトップを 40 台、Windows 8.1 を 20 台、Windows 8 を 10 台展開し、さらに 10 台分のリソースを予備として確保。System Center 2012 R2 の管理サーバーについても、仮想マシン上に展開しました。VDI のストレージとしては今回、ファイバ チャネル (FC) 接続の外部ストレージ装置を利用しました。加藤氏はこのストレージの部分についても、Windows Server 2012 R2 の標準機能を用いて構築し、コストを削減したいと考えています。

「VDI を本格的に大規模展開する場合、ネットワークやディスクがボトルネックになることは容易に予想できます。特にディスク I/O のボトルネックは、高性能な外部ストレージ装置を使えば解消できると思います。しかし、物理 PC を使ってのデスクトップ環境ならば 1 台 10 万円程度で構成できます。そういった環境に、ミッション クリティカルなサーバー向けのハイエンド ストレージを用いるのは不釣合いだと思います。VDI には NAS や iSCSI 等のコスト パフォーマンスに優れたストレージ製品を採用すべきと考えていますので、Windows Server 2012 R2 のファイル サービスの仮想環境へのストレージ対応が強化されていることは評価のポイントでした」(加藤 氏)。

Windows Server 2012 R2 のファイル サービスは、仮想マシンの仮想ハード ディスクを共有フォルダーに配置する Hyper-V over SMB に対応。ストレージの仮想化機能も OS に取り込まれているため、標準的なディスクをリソース プール化して、パフォーマンスや可用性を付加した仮想ディスクを作成することもできます。また、SSD (ソリッド ステート ドライブ) を利用した記憶域階層やライト バック キャッシュ機能を備えており、高価な SSD をうまく活用しながら、少ないコストでストレージ全体のパフォーマンス向上も可能です。さらに、ボリュームのデータ重複除去を用いれば、VDI で課題となる仮想デスクトップのディスク使用の効率を劇的に上げることもできます。

「データ重複除去は実際に検証したところ、圧縮率が高いにもかかわらず、仮想デスクトップも問題なく稼働していました」(加藤 氏)。

<導入効果>
エンド ユーザーにはローカルと遜色のないエクスペリエンス、IT 側にはバリエーションを提供

今回の検証の結果、加藤氏は RDP 8 のパフォーマンスの良さと展開の容易さを高く評価しています。

「高精細な動画の再生を社内の無線 LAN 環境で試したところ、ローカルのデスクトップで再生しているのと遜色がないことを確認しました。VPN を経由した外部接続の環境下でも小さな動画や業務アプリケーションの利用にはほぼストレスのないレベルで利用できると感じています。実は、VDI、VDI と騒いでいるのは IT 側だけで、エンド ユーザーにとってはそれがどこにあろうが、どうやって動いていようが、昨日までと同じ環境で仕事ができることが大切なのです。マイクロソフトの VDI であれば、ユーザーにとってはローカル PC と変わらないエクスペリエンスで利用できるのが利点です。IT 側としては、標準の管理ツールだけで比較的簡単に大量の仮想デスクトップを展開できるのは大きなメリットだと思います」(加藤 氏)。

加藤氏はまた、VDI の導入により、現在のガバナンスとセキュリティを維持しながら、IT のバリエーションを増やせる点に注目しました。JT では現在、標準デスクトップである Windows 7 の 1 つのマスターから、クライアント PC をキッティングする体制を整えています。管理者権限の利用を制限しているため、セキュリティ ガバナンスは強化できていますが、一方で、管理者権限を制限した標準デスクトップの環境では対応が難しいケースもありました。

「特定の業務で使用するアプリケーションの実行に際して管理者権限が必要だったり、以前の Office バージョンに依存するアドインのためにダウングレードしたいという要望など、例外はあります。この例外のために標準デスクトップ環境に手を加えると、ガバナンスやセキュリティ レベルが低下してしまいます。今回の VDI 環境は、そういった要望に対しても、より早く、より柔軟に、かつコストを抑制しながら応えることができると思います。また、特定の業務に対しては標準のデスクトップ PC ではなく、シン クライアントに VDI で展開するという選択肢も増えるのです」
(加藤 氏)。

さらに加藤氏は、アプリケーションの互換性問題の解決やそのほかの用途に、VDI が非常に有効である可能性を強調します。

「アプリケーションの互換性を検証するために、多大なコストと工数がかかります。しかも、動くことが命題であり、動かない場合は改修にさらなるコストがかかります。それなら、仮想環境に置いたほうが手っ取り早い。VDI はしばしば導入コストが問題になりますが、アプリケーションの検証や改修にコストと工数をかけるよりも VDI に投資するほうが、より生きた予算の使い方になるのではないでしょうか。マイクロソフトには VDI 以外にも、セッション ベースの仮想デスクトップや Microsoft Application Virtualization (App-V) などほかの仮想化テクノロジもあります。これらをうまく組み合わせることでいろいろなバリエーションが増えます。利用方法のアイデア次第では今回検証した以外の分野にも VDI を活用できそうです」(加藤 氏)。

また、導入コスト以上に、VDI を活用することで得られる、エンド ユーザーからの要望にフレキシブルに対応できる付加価値や、社員の生産性向上などの効果を期待しています。

「導入コストだけを考えれば、VDI を導入するよりも物理 PC を社員に配布したほうが安上がりかもしれませんが、目に見えるコストよりも、物理ではできなかったことができるようになるという付加価値のほうが大きい。また、エンド ユーザーが必要とする、さまざまなデスクトップ環境やアプリケーションのバリエーション、たとえば、新しい Office を必要とする人がすぐに使えるようになるといったことも含めて、すばやくエンド ユーザーに提供できるので、社員の生産性とユーザー エクスペリエンスが向上すると思っています」(加藤 氏)。

システム構成図

システム構成図[拡大図]新しいウィンドウ



<今後の展望>
ストレージの課題は Windows Server 2012 R2 の強化されたファイル サービスやクラウドに期待

JT では今後、ストレージに関する課題も解決していくべきだと考えています。

「現在、エンド ユーザーは大半のデータをローカルの PC に置いて仕事をしています。これではいざという時に必要なデータや文書を使えない事態が生じてしまいます。日常的にデータセンターのストレージや、集約された場所に置くように仕事の仕方を変えなければ十分な対策とならないでしょう。IT 側としてコスト効率がよく、かつエンド ユーザーにとって使い勝手のよいストレージをいかに準備するかは今後のチャレンジですね」(加藤 氏)。

加藤氏はストレージの課題解決に、Windows Server 2012 R2 のファイル サービスだけでなく、Microsoft Azure のクラウドにも期待しています。

「増え続けるデータをすべて社内で抱えるとなると、ストレージにかかるコストが増大する一方です。今後は規模の経済が働くクラウド サービスをうまく活用していかないと、コスト ダウンや俊敏性などのビジネス要求に応えられなくなっていくことが予想されます。クラウドの利用で最も問題になるのは、セキュリティに加えて、ネットワークの遅延とデータの保管場所です。このため、Microsoft Azure のデータセンターが日本国内に開設されたのは朗報でした。レスポンスが速くなるというメリットだけでなく、国内事業のデータを国内だけで管理できるということは、心理的なものかもしれませんが、すごく安心感があります」(加藤 氏)。

また、System Center についても、仮想化環境の管理や異なるシステムにおけるサーバー管理や自動化を実現するために、System Center Virtual Machine Manager や System Center Orchestrator についても検証を開始し、全社的なシステム管理の効率化をさらに進めていく予定です。

VDI という手段を手に入れた今、JT はビジネスや IT のさまざまな要望、課題に対して、これまで以上に迅速な対応が可能になります。それは、IT を利用する社員の生産性や満足度を高め、 JT のビジネス全体をさらに力強く支えていくことでしょう。

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ソリューション概要

プロファイル

日本たばこ産業株式会社leave-msを中心に、約 240 社で構成される JT グループは、「お客様を中心として、株主 、従業員、社会の 4 者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4 者の満足度を高めていく」ことを経営理念としています。また 2013 年 2 月には、主力製品「マイルドセブン」を「メビウス」に名称変更し、グローバル No.1 プレミアム ブランドを目指すなど、世界 No.1 たばこメーカーに向けた積極的なアプローチを展開しています。

導入ソフトウェアとサービス

導入メリット

  • VDI を新しいデスクトップ環境の検討基盤として活用するとともに、アプリケーション互換性対策を実現
  • VDI の管理を標準の管理ツールと System Center に統合
  • マイクロソフト製品でシングル コンタクト ポイントによる質の高いサポートを実現

ユーザーコメント

「導入コストだけを考えれば、VDI を導入するよりも物理 PC を社員に配布したほうが安上がりかもしれませんが、目に見えるコストよりも、物理ではできなかったことができるようになるという付加価値のほうが大きい。また、エンド ユーザーが必要とする、さまざまなデスクトップ環境やアプリケーションのバリエーションを、たとえば、新しい Office をすぐに使えるようになるといったことも含めて、すばやくエンド ユーザーに提供できるので、社員の生産性とユーザー エクスペリエンスが向上します」

日本たばこ産業株式会社
IT 部 次長
加藤 雄一 氏

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