工事進行基準に対応するプロジェクト管理を Microsoft Office Project を活用して実現。 QCD を大幅に向上させ、財務報告の透明性を高める
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工事進行基準による会計報告を以前から実施してきたアクセンチュア株式会社 (以下、アクセンチュア)では、Microsoft Office Project を活用した、達成価値管理 (EVM) による先進的なプロジェクト管理手法を構築しています。さまざまな企業や団体に経営コンサルティング、テクノロジー サービス、アウトソーシング サービスを提供しているアクセンチュアでは、システム インテグレーション サービスの業務遂行の方法論に Accenture Delivery Suite (ADS) を導入しています。ADS に規定されているプロジェクト管理は、EVM の技法に基づく工事進行基準対応のもの。そのための管理ツールとして、Microsoft Office Project が指定されています。ADS の導入によって、システム インテグレーション サービスの品質、費用、納期 (QCD) は大幅に向上。経営層の立場では、「サプライズ」がなくなり、自信を持って経営状況を外部に公開できるようになったというメリットが得られています。
<導入背景と狙い>
全社共通の方法論「ADS」で仕事の方法を統一
プロジェクト管理は EVM に基づく進行基準対応   アクセンチュア株式会社 COO システムインテグレーション&テクノロジー本部 兼 アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長 安間 裕 氏
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175,000 人のコンサルタントと技術者を擁するアクセンチュア グローバル グループは、経営コンサルティング、テクノロジー サービス、アウトソーシング サービスの領域で世界をリードする企業として知られています。その日本法人として 1995 年に設立されたのが、アクセンチュア株式会社。アクセンチュアではシステム インテグレーション サービスを経営コンサルティングの一分野に位置付け、専任の子会社となるアクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ株式会社 (以下、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ) と共に SE サービスをさまざまな企業および団体に提供しています。
「良質のシステム インテグレーション サービスをお客様にお届けできるようにと、アクセンチュアでは業務の遂行に 3 本の柱を設定しています」と語るのは、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ代表取締役社長の安間裕氏。安間氏は、アクセンチュアのシステムインテグレーション&テクノロジー本部最高執行責任者 (COO) として、同本部を統轄する役割も兼任しています。
3 本柱の第 1 となるのは、ワークフォース ミックスと呼ばれる考え方です。「的確な経営コンサルティングをお客様に提供するには、コンサルタントだけでは不十分。さまざまな専門能力を持つ人から成る集団としての多様性があってこそ、お客様を幸せに導くことができます」と、安間氏は言います。
第 2 に、世界的規模のアウトソーシング戦略を意味する「グローバル ソーシング」があります。高速大容量のネットワークが潤沢に利用できるようになった現在、システム インテグレーションについても世界各地の拠点で分散実施するべきというのが、アクセンチュア グローバル グループの基本的な考え方です。日本を含むアジア、アメリカ、ヨーロッパの各極に置かれた開発拠点を適宜使い分けることにより、品質の高いソフトウェアを効率よく開発できるようにすることがそのねらいです。
第 3 の柱としては、徹底した標準化があります。「さまざまな専門能力を持つ人を集め、世界各地を結んでシステム インテグレーションの作業を進めるには、プロジェクトでの仕事のやり方を揃えることが欠かせません」と、安間氏。アクセンチュア グローバル グループでは、システム インテグレーションの方法論を Accenture Delivery Suite (ADS) と呼ばれる体系にまとめており、日本でも 5 年ほど前からその日本語版を使用しているのです。この ADS の最重要要素の 1 つとなるのが、達成価値管理 (EVM) の技法に基づく工事進行基準対応のプロジェクト管理。管理ツールとして、アクセンチュア グローバル グループでは、Office Project Server と Office Project Professional を利用して、全世界で同じ指標でプロジェクトを管理しています。
<導入の経緯>
Office Excel と Project Professional を使用した
見積もり精度の向上および開発総工数を顧客とシェア工事進行基準においては精度の高い見積もりを作成し、顧客と見積もりの詳細を共有できる体制が必要とされています。Accenture Delivery Suite は、「Suite」という名称が示すように、4 種類のコンポーネントとして、Accenture Delivery Methods という「方法論」、Accenture Delivery Tools という「ツール」、Accenture Delivery Architecture という「アーキテクチャー」、Accenture Delivery Metrics という「管理指標」が含まれています。引き合いから受注までの工程で行われるのは、この中の Accenture Delivery Methods を参照して具体的な開発方法論を選び、Accenture Delivery Tools 内の見積ツールを使って総工数を見積もる作業です。算出された総工数は、工事進行基準対応のプロジェクト管理において、EVM のための重要な基礎数字として使われることになります。
  アクセンチュア株式会社 システムインテグレーション&テクノロジー本部 プロジェクトマネジメント グループ プリンシパル 岡本 美保 氏
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見積ツールとして使われているのは、あらかじめ数 100 のパラメーターを登録してあるアクセンチュア独自の Excel のワークシートです。Excel を使って見積もりをしているのは、開発総工数を顧客と共有できるようにすることがねらいです。「工事進行基準に対応したプロジェクト管理は、直接には財務報告の透明性を高めることを目的としていますが、一方では、お客様に対して出来高の推移を報告するためのしくみともなります。進捗報告の内容をお客様に理解していただくには、そのベースとなる開発総工数を弊社とお客様でシェアすることが不可欠。そこで、表計算ソフトウェアのスタンダードとして広く普及している Excel を見積ツールとして全世界で使用しています」と、安間氏は語ります。
 |   アクセンチュア株式会社 経営コンサルティング 本部 財務・経営管理 グループ統括 エグゼクティブ・ パートナー 公認会計士 野村 直秀 氏
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同社が見積もり作業に Excel を使っているもう1つの理由は、Project Professional との親和性の高さです。システムインテグレーション&テクノロジー本部 プロジェクトマネジメントグループ プリンシパルを務める岡本美保氏は、「見積もり用の Excel のワークシートには標準的な作業構成明細 (WBS) があらかじめ定義されていますから、それを Project Professional にインポートするだけで、すぐにプロジェクト管理を始められるようになります。WBS を正確に登録するためにも、管理工数を抑制するためにも、各プロジェクトにこの使い方を勧めています」と言います。
ソフトウェア開発などの作業がスタートした後は、Accenture Delivery Tools 内のプロジェクト管理ツールを使って進捗管理が継続的に実施されます。この工程における Project Server の最大の利点は作業時間やタスクの達成率をリアルタイムに現場から収集して、EVM での主要管理指標となるスケジュール効率指標 (SPI) やコスト効率指標 (CPI) を自動的に計算してくれることです。これらの管理指標は Excel のグラフやアクセンチュア独自のダッシュ ボードへとエクスポートされ、経営会議のための資料として活用されるようになっています。「経営層がファクト ベースのデシジョン メイキングをするうえで、これらの指標は重要業績指標 (KPI) として役立っています」と語るのは、アクセンチュアのファイナンシャル パフォーマンス マネジメント (FPM) のリードを務める経営コンサルティング本部 財務・経営管理グループ統括 エグゼクティブ・パートナー 公認会計士 野村直秀氏。Project Server と Project Professional は、単にプロジェクトの進捗管理をするためだけでなく、経営層のためのプロジェクト進捗の可視化をサポートするツールとしても使われているのです。
<システムの概要>
プロジェクト管理を推進する専任チームを設立リアルタイムな作業時間収集を実施
EVM と工事進行基準へのメンバーの意識を高めるEVM による進捗管理を実施するには、プロジェクトごとにプロジェクト メンバーの作業時間の収集が必要になります。しかし作業時間入力の手間は現場では負荷に感じてしまいがちです。プロジェクト管理の実効性を高めるには、システム インテグレーションの実作業に携わるプロジェクト メンバーの意識が鍵になると、我々は考えています。「進捗度を正しくインプットしてもらうことが、プロジェクトの運営にどのように役立ち、ひいては経営にどう反映されていくのか。そうした意義を現場のプロジェクト メンバーに訴え続けていかなければ、プロジェクト管理はけっして浸透しないでしょう」と、安間氏。そうした認識に立って安間氏が発足させたのが、Quality & Process Improvement (QPI) と Strategic Delivery Office (SDO) の 2 つの専任チームです。
QPI チームに与えられている任務は、ソフトウェア品質管理とプロセス改善を全社レベルで推進していくこと。QPI チームのリードを務める岡本氏は、その活動内容を「プロジェクトがスタートするたびにこちらから出向いていき、開発プロセスの標準やプロジェクト管理の意義についてインタラクティブにコーチしています」と語り、「プロジェクトにおける QPI 実施状況をモニタリングしてフィード バックすること、プロジェクトの管理アプローチを QPI などの観点からレビューすることも、QPI チームに委ねられている重要な役割です」と付け加えます。
  アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ株式会社 マネジャー 田村 正和 氏
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一方、SDO は Accenture Delivery Method である方法論や、Accenture Delivery Tools に含まれる IT ツールの展開・定着化を行う組織に位置付けられています。定着化の手段として、トレーニング コースが定期的に開催されていて、教材には SDO が独自に作製したものを使用。トレーニング コースの具体的な内容について、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ株式会社 マネジャー 田村正和氏は、「プロジェクト管理のトレーニング コースでは、管理ツールとなる Office Project の使い方だけでなく、現場でしばしば発生するケースについても具体的な指導をするようにしています。たとえば、進捗度はどのように評価して報告すればよいのか、遅れが生じた場合はリソースの追加と完了予定日の変更のどちらで対処すればよいのか。そうしたケース スタディを通じて、プロジェクト メンバーのスケジュール作成や修正能力を高めてもらうようにしています」と説明します。
Project Server を実際に使うにあたっては、現場の実情に合ったプロジェクト管理ができるようにと、大幅な裁量がプロジェクト チームに認められています。「プロジェクトごとに Project Server を構築し、進捗報告は ブラウザーから Microsoft Office Project Web Access で行うのが標準です。ただ、規模が小さなプロジェクトでは、プロジェクト マネジャーの PC に Project Professional を組み込み、スタンド アロンで使うことも珍しくありません。またプロジェクト メンバーが進捗報告をするために、Microsoft Office SharePoint Server 上の専用ツールで作業時間を入力する事も可能なっています。」と、岡本氏。田村氏は、「大規模なプロジェクトでは、業務ワークフローのシステムと Office Project Server を連携させて、プロジェクト リーダーが承認した進捗報告だけが Project Server に更新されるようにすることもあります」と言います。
プロジェクト管理ツールに Office Project を選択することによってアクセンチュアにもたらされたメリットは、プロジェクト管理者にかかわるものと経営層にかかわるものの 2 つに大別できます。
プロジェクト管理者にとっての最大のメリットは、システム インテグレーション サービスの品質、費用、納期 (QCD) を高めることができたこと。安間氏は「ADS を導入する前と比べて、Cost of Poor Quality (CoPQ) は 1/4 から 1/5 になったという感じです」と振り返り、「従業員からも、SDO と QPI のおかげで無駄な残業時間が減り、進捗管理や工事進行基準への取り組みを深められるようになったとの報告を受けています」と顔をほころばせます。また、「プロジェクト マネジャーの個人的な流儀に左右されないスタンダード ルールを社内に浸透できたこと」「プロジェクト メンバーごとの仕事のアサインを平準化できたこと」 (岡本氏)、「タスクの完了まで何日かかるかを可視化できるようになったこと」 (田村氏) なども、システム インテグレーションの現場では歓迎されています。
一方、アクセンチュアの経営層は、プロジェクト後期に急に赤字が発覚するなどの「サプライズがなくなったこと」 (安間氏) や「自信を持って経営状況を外部の人に話せること」 (野村氏) を重要なメリットとして受け止めています。「弊社のようなサービス業では、プロジェクトの成否がそのまま企業の損益に直結してしまいます。弊社はニューヨーク証券取引所に上場していますから、適用される会計基準は米国一般会計原則 (US GAAP) です。株主やステーク ホルダーの方々にご迷惑をかけないようにするには、プロジェクトのオーバー ランによるサプライズを極限まで小さくしなければなりません」と、安間氏。野村氏は、「自信を持って財務報告をするには、サプライズがないことに加えて、そこに記載する予測情報も適正であることが前提となります。ADS の標準化と Microsoft Office Project ベースのプロジェクト管理を導入している弊社の場合、予測数値はすべてデータに基づく信頼性の高いものとなっています」と評価しています。
<今後の展望>
次に必要なのは、分散型開発用の集中管理ツール
見積精度の向上に向けて原価分析も充実したい「一応の成果を出すところまでは到達できましたが、これで満足してはいけないと思っています」と語る、安間氏。ADS と工事進行基準対応のプロジェクト管理をさらに広く深く浸透させると共に、管理レベルをさらに高めていかなければならないと、アクセンチュアは考えているのです。
そうした課題の 1 つに、世界の複数の拠点にまたがって行われている分散型開発を 1 か所で集中的に管理する体制としくみの整備があります。「現状でも国際的プロジェクトの一元管理はできているのですが、一部に責任の所在があいまいになっているところがあるのも確かです。たとえば、日本のチームが中国のデリバリー センターをグローバル ソーシングで利用している場合、日本で起きている問題は日本チームが、中国の問題は中国のデリバリー センターが対処するということになりがち。そうしたことを防ぐには、プロジェクト全体の責任者を決め、世界のどこで発生した問題についてもその人が窓口として対処するようにしなければなりません」と、安間氏。このような管理方法を実現するには、プロジェクト管理ツールの側にも高度な統合管理機能が求められます。
同じようなねらいから、アクセンチュアは「ソリューション アーキテクト」と呼ばれるハイ レベルなプロジェクト管理者も置くようにしています。ソリューション アーキテクトの任務は、引き合い案件の見積もりから完了までの全工程に対して 1 つの窓口で責任を持つこと。そうしたソリューション アーキテクトには、プロジェクトで発生しているあらゆる危険信号を早めに警告し、レポートしてくれるようなプロジェクト管理ツールが必要です。
さらに、見積もり精度を高めるための切り札として、安間氏はハーベスティング (プロジェクト完了後の実績原価分析) にも注目しています。ADS は世界共通の方法論となっていますが、工程別の工数比率が国や地域によって異なるというのはよく知られた事実です。正確な原価分析を可能にするツールがあれば、システム インテグレーターとしての競争優位性はさらに高められていくことでしょう。
グローバルにビジネスを展開するシステム インテグレーターのための高精度のプロジェクト管理ツールを駆使し、アクセンチュアは、これからも高品質のシステム インテグレーション サービスを提供し続けるでしょう。
※Office Project Server による実績収集の詳細については、以下の URL をご覧ください。
http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/accenture.aspx 本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 | |