社内ポータルを Notes/Domino から Microsoft Office SharePoint Server 2007 へと移行、 過去のしがらみから脱却することでシングル サインオンやライセンス コストの削減を実現
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「Benesse (よく生きる)」を企業理念に、1 人 1 人のライフ ステージに合わせた多様なサービスを提供している株式会社ベネッセコーポレーション (以下、ベネッセコーポレーション)。ここでは社内の情報系インフラであるイントラネットの刷新が行われ、その一環として Notes/Domino から SharePoint Server 2007 への移行が実施されました。同社では既に、ユーザー管理に Microsoft Active Directory、電子メールに Microsoft Exchange Server が採用されており、Microsoft Office も日常的に活用されています。これらに加えて情報共有基盤もマイクロソフト製品にすることで、複数のベンダー製品混在がもたらしていた問題を、根本から解決したのです。これによって Active Directory によるシングル サインオンと、共有情報のきめ細かいアクセス制御を実現。また、Microsoft Enterprise Agreement の下、システム全体をマイクロソフト製品に統合することでライセンス コストの抑制や製品間の親和性向上によるコスト削減も可能になり、Notes/Domino のバージョンアップに比べて高い投資効果が得られています。
<導入背景と狙い>
"過去のしがらみ" を根本から断ち切るため
イントラネット全体のリニューアルを実施 
 株式会社ベネッセコーポレーション IT戦略部 イントラ基盤開発課 課長 鉢蝋 吉久 氏
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1990 年代半ばから企業への導入が始まったイントラネットは、その後さまざまな機能を取り込み、拡大を続けてきました。現在では社内掲示板や各種情報共有、電子メールはもちろんのこと、ワークフロー機能や業務アプリケーションを、イントラネットの一機能として実装しているシステムも少なくありません。このような発展に伴い、当初はシンプルだったシステム構成が複雑化し、運用性や利便性、セキュリティ等に問題が生じるケースも増えてきました。特に複数のベンダー製品が混在している場合には問題が顕在化しやすく、多くのシステム担当者を悩ませる結果になっています。
このような問題を根本から解決するため、イントラネット上の情報共有基盤を Notes/Domino から SharePoint Server 2007 へと移行したのが、ベネッセコーポレーションです。
同社が Notes/Domino を導入したのは 1999 年。それから約 10 年にわたって情報共有基盤として使われ続けてきました。社内への情報発信は主に HTML で記述されたポータルで行われていたのですが、会議室予約やフォーラム、人物検索等は Notes/Domino 上で実現されており、ポータルからのリンクによってアクセスできるようになっていたのです。その一方で電子メールシステムは Exchange Server、ユーザー認証システムは Active Directory を活用。情報発信の手段としてブログを利用している部門もありました。「このように複数のベンダー製品が混在した環境では、TCO 低減やユーザーの生産性向上に限界があります」と言うのは、株式会社ベネッセコーポレーション IT戦略部 イントラ基盤開発課 課長の鉢蝋吉久氏。「イントラネット全体をリニューアルすることで、このような "過去のしがらみ" を断ち切りたかったのです」。
それでは具体的にどのような問題が生じていたのでしょうか。その 1 つとして鉢蝋氏が挙げたのが、サインオンの問題です。ベネッセコーポレーションでは定期的なパスワード変更をユーザーに義務付けていますが、Notes/Domino のパスワードは夜間バッチで Active Directory と同期するしくみになっていたため、ユーザーがパスワードを変更しても、すぐに Notes/Domino には反映されませんでした。そのためパスワード変更を行った日は、クライアント PC や Exchange Server は新パスワード、Notes/Domino は旧パスワードを使う必要があったのです。またポータルから Notes/Domino の機能にアクセスする場合には、ポータルでの認証を受けた後、再び Notes/Domino による認証も受ける必要がありました。ユーザーは常に複数のシステムを意識する必要があり、シームレスに利用することが難しかったのです。
また「サポートがワン ストップで受けられないのも大きな問題」だったと鉢蝋氏は指摘します。複数ベンダーの製品が混在しているシステムでは、問題発生時の原因特定が簡単ではありません。「シングル サインオンの実現やサポートの問題解決のためには、1 つのベンダーに統一すべきだと考えました」。
この他にも、ユーザー数の増大に対応したシステム キャパシティの拡大や、社内 PC の管理性向上、将来性を見据えたコミュニケーション基盤の整備なども、重要な課題になっていました。そこでベネッセコーポレーションでは、より快適で安全な情報系インフラの実現を目指す「ベネッセイントラ 2008 プロジェクト」に着手。PC 環境を Microsoft Windows XP から Microsoft Windows Vista にアップグレードすると共に、Active Directory や Exchange Server のアップグレード、Microsoft Systems Management Server 2003 (SMS 2003) や Windows Server Update Services (WSUS) の導入などを実施します。そしてこのプロジェクトの一環として、HTML や Notes/Domino で実現されていた社内ポータルを、SharePoint Server 2007 へと移行するのです。
<導入の経緯>
マイクロソフトのツールだけで移行作業を完了
移行不要な Notes DB はバックアップ保存 
 株式会社ベネッセコーポレーション IT戦略部 イントラ基盤開発課 別所 恵子 氏
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「ベネッセイントラ 2008 プロジェクト」の検討が始まったのは 2006 年。その翌年には具体的な取り組みがスタートします。
まず 2007 年 6 月に Active Directory 2003 の導入を実施。これと並行して SharePoint Server 2007 のテスト導入も行われました。2007 年 9 月には SMS 2003 の導入、クライアント PC の Windows Vista への移行、the 2007 Microsoft Office system への移行、Active Directory 2003 への移行に着手。2008 年 3 月までかけてこれらの移行作業を完了させています。そして 2008 年 7 月には電子メールをExchange Server 2007 環境へと移行。なお、今回のプロジェクトでは、サーバー ハードウェアもリニューアルされています。
SharePoint Server 2007 の環境がユーザーに公開されたのは 2008 年 9 月。まずはパブリック フォルダーの移行と新規フォーラムを対象とした「チーム サイト」の運用が始まりました。2009 年 1 月には Notes DB からの移行をスタート。2009 年 3 月には移行を完了しました。
ベネッセコーポレーションにおける Notes/Domino からの移行で注目したいのが、かなりの数の Notes DB が "整理" されているということです。「Notes/Domino 時代の情報資産を "生き写し" で移行するのではなく、いったん過去のしがらみを断ち切り、新たに SharePoint Server 2007 の世界を作っていくというのが、今回の移行の基本的な考え方です」と説明するのは、株式会社ベネッセコーポレーション IT戦略部 イントラ基盤開発課の別所恵子氏。そのため移行の必要がないデータをMicrosoft Office Excel にバックアップするしくみを提供したうえで、Notes DB のオーナーであるユーザー部門の管理者に、移行の要否を判断してもらったのだと言います。「Notes DB の総数は 800 を超えていましたが、今後も必要と判断されたものは 60 ~ 70 しかありませんでした。このうち最終的に 28 の DB が SharePoint Server 2007 へと移行され、残りはバックアップ保存されています」。
移行先のテンプレートは、事前に決められた全社共通のグランド デザインに基づいて作成されています。Notes/Domino を使っていたころは、ユーザー部門ごとに個別のデザインでしたが、SharePoint Server 2007 への移行を機に統一することになったのです。移行作業はマイクロソフト提供のツールを使用し、短期間で完了。安全性確保のために複数回の事前検証が行われていますが「ユーザー部門の協力により移行要件を極力絞り込んだことにより、移行はそれほど大変ではありませんでした」と別所氏は言います。
<システムの概要>
シングル サインオンを実現しアクセス制御も容易に
ライセンス コストの削減も大きなメリット 
 株式会社ベネッセコーポレーション IT戦略部 イントラ基盤開発課 斎藤 定俊 氏
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現在のイントラネット システムの構成は図に示すとおり。SharePoint Server 2007 のフロントエンド部分は複数サーバーへの負荷分散を行うことで冗長化されており、バックエンドとなる Microsoft SQL Server はアクティブ/パッシブ型のクラスター構成、データベースはディスクアレイ上に構築されており、高い可用性を確保しています。
「以前は Active Directory と Notes/Domino でユーザー情報を二重持ちしていましたが、今では完全なシングル サインオン環境が実現されています」と言うのは、株式会社ベネッセコーポレーション IT戦略部 イントラ基盤開発課の斎藤定俊氏。自分のクライアント PC にログインすれば、ポータルへのアクセスもシームレスに行えると説明します。もちろんパスワード変更時に Notes/Domino 側でタイム ラグが生じるという問題も解消されました。「以前はパスワード変更に関する問い合わせも少なくなかったのですが、今ではこのような問い合わせもなくなりました」。
Active Directory のセキュリティ グループを SharePoint Server 2007 にも適用することで、チーム サイトのアクセス制御も容易になりました。「Notes/Domino のころは、検索を行うとアクセス権のない情報も表示されていましたが、今では自分に関係ある情報だけに絞り込まれています」と別所氏。セキュリティだけではなく情報アクセスの効率も高まっているのです。
以前は HTML で直接記述されていたポータル部分も SharePoint Server 2007 へと移行されたことで、ポータルの運用性も向上しています。HTML 記述は専門知識が必要であるため、ユーザーが自由に情報発信を行うことが難しく、各ユーザー部門の管理者が作業を行う必要がありました。またサイト デザインを外部の業者に任せているケースも少なくなかったと言います。しかし現在では、事前に決められたグランド デザインに基づいて、必要なページを短時間で立ち上げることができ、コンテンツの投稿も各ユーザーが行えるようになっています。ブログはまだ残されていますが、今後はこれも SharePoint Server 2007 に統合することが検討されています。
さらに鉢蝋氏は「コスト削減もメリットの 1 つです」と指摘します。実は今回のプロジェクトにあたり、ベネッセコーポレーションは Enterprise Agreement の契約を行っていますが、この契約に基づいてシステム全体をマイクロソフト製品に統合したことで、ライセンス コストの低減を実現しているのです。また製品間の親和性や利便性、セキュリティの向上などによるコスト削減効果も見逃せません。 「移行作業にもあまりコストはかかっていませんし、運用負担も軽減しました。今回のプロジェクトではコスト メリットも重視していましたが、Notes/Domino から SharePoint Server 2007 への移行はこの観点から見ても最適解だったと思います」。
<今後の展望>
今後は社外との情報共有もこの基盤上で実現
IRM によるセキュリティ強化や Office 連携拡大も 
 株式会社 富士通ソフトウェアテクノロジーズ システム基盤グループ プラットフォームサービス事業部 ソリューションサービス部 米国PMI認定PMP 三沢 淳見 氏
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今回リニューアルされたイントラネットは社内ユーザーを対象としたものですが、今後はベネッセグループ全体の情報共有に活用することも計画されています。「グループ全体でセキュアな情報共有を実現するには、ユーザー情報とアクセス権限を統合管理し、監査しやすい環境を実現する必要がありますが、今回のプロジェクトでその基盤が整いました」と鉢蝋氏。2009 年 4 月には具体的な取り組みに着手する予定であり、その次のステップではグループ外の協力会社との連携も視野に入れていくと言います。
またセキュリティをさらに強化するため、Microsoft Information Rights Management (IRM) の活用も考えられています。現在は他ベンダーの製品によってファイル持ち出しのログを取得していますが、SharePoint Server 2007 で IRM 機能を活用することで、ファイル持ち出しそのものを制約することが容易になります。
Office と連携した SharePoint Server 2007 活用も拡大していく予定です。「今の時代は Active Directory による認証と Office の利用がデフォルトになっています」と言うのは、今回の Notes/Domino からの移行に参加した、株式会社富士通ソフトウェアテクノロジーズ システム基盤グループ プラットフォームサービス事業部 ソリューションサービス部の三沢淳見氏。ベネッセでもこの条件は同じですが、これらを最大限に活かせる情報共有基盤は SharePoint Server 2007 しか考えられないと言います。「今は Microsoft Internet Explorer からのアクセスだけですが、将来は Microsoft Office InfoPath を活用したワークフローも提案したいと考えています」。
この他にも、 Exchange Server および SharePoint Server と連携するプレゼンス機能によってコミュニケーションをさらに円滑化することが検討されており、その製品候補として Microsoft Office Communications Server 2007 が挙げられています。現在はまだ複数製品の比較検討を行っている段階ですが、Active Directory と Exchange Server との連携は必須条件であり、Office Communications Server 2007 はこの条件を高いレベルで満たせると評価されています。
ベネッセコーポレーションが行った Notes/Domino からの移行は、TCO の削減やユーザーの利便性向上など、さまざまなメリットをもたらしました。しかしそれだけではなく、マイクロソフト テクノロジーを最大限に活用できる環境を整えたことで、インテグレーション性も飛躍的に高まっています。"過去のしがらみを断ち切る" という英断を下したことで、新たな将来展望を手にすることが可能になったのです。
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