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中部大学

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掲載日: 2013 年 8 月 9 日

教育改革を実践するため、全学学生カルテを Microsoft Dynamics CRM で構築
自立型人材の育成を目指し、大学 IR や学生ポートフォリオも活用していく

中部大学

中部大学

多くの大学で学生カルテや大学 IR (Institutional Research) 基盤が注目され、これらを学生支援や大学経営の改善に役立てようとする動きが加速しています。中部大学では、学部ごとではなく、全学で利用できる基盤として Microsoft Dynamics CRM を採用した学生カルテ (学生チャート) システムを構築。2013 年 4 月から稼動させ、今後はこのシステムをベースに 2013 年秋には IR システムを、2014 年秋にはポートフォリオ システムを構築することで情報活用を進め、自立型人材の育成と自主的な能力向上を図れる教育環境の実現を目指しています。

<導入の背景とねらい>
活用し切れていない学生データを
柔軟に分析できるシステムが必要

中部大学
大学事務局長
学生教育部 部長
川尻 則夫 氏

中部大学は、愛知県春日井市に 43 万 ㎡ の広大なキャンパスを構え、7 学部が結び合う総合大学です。2014 年 には、開学 50 周年を迎えることを機にロボット理工学科の新設が計画されています。

中部大学では、職業的な自立ができる学生を育てることを目標にし、2009 年ごろから学長主導で教育改革を推進し、どのような学生を育てるかというディプロマ戦略を掲げてきました。それらの改革の中ではさまざまな課題が話し合われてきましたが、改革のためには課題に対してのデータの裏付けが必要だったと、中部大学 大学事務局長の川尻 則夫 氏は話します。「データの裏付けがなければ、何が原因でどのような改革が必要かを判断することができません。学生データを包括して分析するツールを導入して教育の課題を解決し、学生サポートを強化していかなければならないと感じていました」。

中部大学では、従来から日々の学生の学修状況を学生総合情報システムにデータとして蓄積し、業務や学生教育支援サービスで活用できるようにしていました。しかし、それらのデータはペーパー ベースでしか活用されておらず、教育サポートを行うための分析なども行われていないため、事務部門としては「どのように学生データを教育の現場に返していくかが重要」と考えたと川尻 氏は説明します。

教育改革の中で中部大学は、2011 年から新たな教養教育課程を導入し、「社会に開いた教育改革」を行うために「社会が常に必要とする有為な人材の育成を 4 年間の大学教育の中で正しく位置付けて確実に実践」することを目標にしました。そして 100% 卒業 (大学として入学させた学生に対して責任を持って教育を提供し育てる) と 100% 就職を目指し、卒業後の活動評価を行っていくことが重要だと考えました。また、「学生力を育む教育改革」を行うため、学生支援事業や相談事業を行い、学生に対するサポートとケアを行うことにも取り組んでいます。

そのためには、学生の情報を共有し、課題学生の指導や支援を行うための学生カルテ システムを作ることが重要で、現在や過去の状況を分析し解析する IR システムの導入も必要と考えられました。また、自立型人材の育成と自主的な能力向上を図り、学生の成長の PDCA サイクルを回すには学生ポートフォリオの構築も重要と考えました。

<導入の経緯>
将来的にも柔軟で機能を追加および拡張しやすい
Microsoft Dynamics CRM が最適と判断

中部大学
学生教育部
学生教育情報システム課
課長
園田 浩詞 氏

株式会社ページワン
CEO(最高経営責任者)兼代表取締役
木村 譲 氏

川尻 氏が取り組んだのは、同じ基盤で学生カルテと IR を実現することでした。「本学では今回のシステムを、課題へのケアだけでなく、多くの相談事項を共有し、全学体制で学生支援をすることに重点を置いていることから、学生カルテではなく、学生チャートと呼んでいます。この学生チャートも IR も、基本的には学生の教学情報がベースになっており、両者は密接に関連しています。さまざまなシステムを検討した結果、IR にも強い Microsoft Dynamics CRM が適していると考えました」と川尻 氏は話します。中部大学では、さまざまな会社から学生チャートと IR の基盤となるシステムについての提案を受けた結果、柔軟性の面で Microsoft Dynamics CRM が適していると判断しました。「さまざまな大学で IR に対する取り組みが行われていますが、どのようなデータからどのような分析をし、どのような効果が生まれるのか、という情報はまだ少なく、これらは自分たちで考えて進めていくしかないと思っていました。そのためには、柔軟で拡張性の高いシステムが必要です。学生チャートも IR もシステムを作ったときがベストではなく、そこからスタートして進化するシステムにする必要があります。使う側の要求も進化するので、柔軟にさまざまな角度から分析が行えるツールを選ぶ必要がありました」 (川尻 氏)。

また、学部学科レベルではなく、全学で共通の基盤を構築することにもこだわっていた川尻 氏は、「学部学科レベルで Microsoft Dynamics CRM を使って学生情報の共有化をやってみたいという提案も出ていました。しかし、全学で導入しなければ学部学科の特殊要因が大きくなり、大学のシステムとして活用したり、資源を有効に利用できないと思いました。基盤となるシステムは、学部単位ではなく、全学で導入しなければならないと思います」と話します。

Microsoft Dynamics CRM については、中部大学 学生教育部 学生教育情報システム課 課長の園田 浩詞 氏も、「学生チャートやポートフォリオなど、やろうとしていることに非常に適したツールだという印象を受けました。グラフ化することでデータを “見える化” できる点にも注目しました。これからの導入計画を考えれば、段階的な機能追加は必須だと思いました」と話しています。その結果、中部大学では、2011 年 12 月から 3 か月間、扱うデータを限定して試験的に Microsoft Dynamics CRM を評価し、柔軟で拡張性の高いシステムとして本導入を決めています。

評価プログラムからパートナーとしてシステム構築に携わってきたのは、大学への CRM の導入に関して数多くの実績を持つ株式会社ページワン (以下、ページワン) でした。株式会社ページワン CEO兼代表取締役 木村 譲 氏は、今回の構築を振り返って次のように話します。「構想力のある人がリードして PDCA サイクルを回す体制を作らなければ、本当に役に立つ CRM を全学に適用することはできないと思います。1 万人以上の学生がいる大学で、かつ学部も多いため、同じデータでもそれぞれのセクションで見方が異なり、それぞれに PDCA を回す必要があります。そのため、見方を変えてさまざまな分析を行いたいという要望に応えられるシステムとして Microsoft Dynamics CRM をお勧めしました」。

ページワンに対して川尻 氏は、「導入実績などよりも、どのような発想でシステムを作るのかが重要でした。システムの方向性について話し合ったときに、CRM の活用方法や、学生チャートと IR を 1 つのデータで扱うことに理解してもらい、考えを共有することができました」と評価します。園田 氏も、「開発スケジュールが非常に厳しい中、よく対応してくれました。データの分析方法から画面構成まで幅広い提案をしていただいたのは非常に助かりました」と話します。

また、構築時には、情報をどこまでオープンにするかについて苦労し、ページワンと話し合いながら細かく設計していったと言います。「CRM で情報を共有して “見える化” するということは、情報をオープンにするということになります。しかし、学生の情報は個人情報でもあるため、扱いが非常にシビアです。そのため、これまでは成績情報、学籍情報、学習情報などのデータを連携させて分析することが困難でした。学生チャートの構築にあたっては、人によって見せてもいい情報とそうではない情報があるため、「オープンにしながら、情報を限定する」という相反することを行う必要がありました。分析結果は見せても、その裏にあるデータは参照できないようにするなど、細かな設定をしなければならないところに苦労しましたね」 (川尻 氏)。

2012 年 10 月から半年弱の構築期間で学生チャート システムを構築した中部大学では、1 万 579 人 (2013 年 5 月 1 日現在) の学生データを約 500 人の教員が活用しています。そのために、従来から学生総合情報システムで利用していた受験者、入試、学生基本、履修成績、授業、出席、異動、奨学金、学納金、教職員、就職などのデータを、Microsoft Dynamics CRM のバックエンドにある Microsoft SQL Server 2012 のデータベースに統合することも行われています。従来の学生総合情報システムでは、既存データベースからアクセス権付きのテーブルを作成して、それらを統合することは困難でしたが、新しいシステムではそれが可能になります。それも、Microsoft Dynamics CRM が選択された理由の 1 つとなっています。

学生チャート システムの導入概要

学生チャート システムの導入概要

<導入効果>
教員や職員の情報共有で一貫した指導を実現
退学および除籍者の抑制にも取り組む

Microsoft Dynamics CRM の一番の効果として、川尻 氏は教員や事務職員の間での学生データの共有を挙げます。「学生指導のコメントを入力しておけば、関連する教職員でタイムリーに共有できます。1 人の学生には複数の教職員がかかわっており、年度が変われば担当教員が変わることもあります。個々の教員が持つ情報と、教務などの事務側の情報を統合し、学生指導の内容も共有することで一貫した指導が行えるところが最も効果を期待できる点です」 (川尻 氏)。

また、100% 卒業を目指す中で、退学や除籍を抑制する取り組みも行われています。「100% 卒業というのは、何でもいいから卒業させようということではありません。大学は入試によって学生を選抜しているので、その学生を 4 年間で卒業させて社会に送り出す責任がある、というのが学長の考えです。経営面だけでなく、教育面での責任を追求するために退学者を抑制することが重要です」と話す川尻 氏。Microsoft Dynamics CRM の画面でタイムリーにグラフ化された全体の出席率や特定科目の出席率、成績などをチェックし、学生が学修に取り組まなくなるタイミングを探り、適切なケアを実践していくことで、退学者や除籍者を少なくする試みが行われています。「さまざまな観点で学生の状態を分析して把握するためには、単なる表だけでなくグラフ化することが有効です。学生の状況の変化を迅速に把握することができるのは大きな効果です」 (川尻 氏)。

しかし、今後もっと精度を上げるために、どのようなグラフを活用するのか、どのような分析を行うかは検討する必要があると言います。そのため中部大学の学生教育推進機構では プロジェクト チームを作り、2 週間に 1 度のペースで現場の教員と話し合い、効果的な基準の設定や分析方法などをシステムに反映するようにしています。Microsoft Dynamics CRM の採用条件であった分析項目の追加や削除、改変を簡単に行えることが、ここでも大きなメリットとなっていると言えます。

これらの細かなシステム改変や今後の IR 構築やポートフォリオ構築については、マイクロソフトの Premier サポートが役に立っていると木村 氏は話します。「Premier サポートのような窓口があって、的確な情報を得られることでお客様の要望に素早く応えることができます。マイクロソフトも質問に真剣に向き合って、米国本社への問い合わせなどを行い、難しい問題でも必ずコメントを返してくれるので助かっています」 (木村 氏)。

川尻 氏も「サポート契約も含めて、マイクロソフトとページワンに支援してもらい、今後も IR 構築やポートフォリオ構築を進めていけると思っています」と話します。

さらに中部大学の新しい取り組みは学生チャートだけに留まりません。いち早く BYOD (Bring Your Own Device) の考え方を取り入れ、学生が 1 人 1 台の PC を大学に持ってきて授業などに活用しています。そのため、マイクロソフトの教育機関向け包括ライセンス プログラムを活用して、学生が最新の Microsoft Office 製品を使える環境を、大学側が用意しています。「自分で購入しなくても最新の Office を使えることは学生にとっても大きなメリットになるでしょう。また、大学としてライセンスに関するコンプライアンスを遵守することができるのは、非常に助かります」 (川尻 氏)。

システム構成図

システム構成図 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
変化に対応しやすい Microsoft Dynamics CRM をベースに
さらなる教育改革を進めていく

木村 氏は、構築ベンダーの立場から、「どのようなシステムでも、構想力を持って構築し、状況に合わせてシステムを変化させることが重要です。Microsoft Dynamics CRM は、その変化に対応しやすいシステムであることを実感しています」と話します。また、今後学生カルテ導入を考えている大学に対して、川尻 氏は次のようなアドバイスを送ってくれました。

「誰が担当しても同じベースで学生への指導の積み上げができることが学生チャートの利点です。単に文字情報として共有するのではなく、成績情報や出席情報も連携させて、学生の動向をグラフなどで ”見える化” していくことが重要なのです。その意味では、Microsoft Dynamics CRM のようなシステムが適していると思います」。

2013 年秋の IR 構築と 2014 年秋のポートフォリオ構築を目指す中部大学。川尻 氏は最後に、「学生チャートと IR の方向性はイメージできているので、あとは進化させていくだけです。今後はポートフォリオのイメージを固めていきたいですね。学生ポートフォリオに取り組んでいる大学は多いですが、いずれも部分的な導入で全学的に導入しているケースは少ないと思います。ポートフォリオは、学生と教員の双方向でのやり取りを実現する SNS のようなもので、その中でどのように PDCA サイクルを回していくのか、全学的に使えるものとして方向性をどうするのかを考えて取り組まなければならないと思っています」と話してくれました。

学生情報を最大限に活用して大学と学生とのコミュニケーションを強化し、さまざまな教育の課題を解決しようとしている中部大学は、今後も基盤となるシステムを強化し、機能を追加しながら学生への支援と教育改革を進めていきます。

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ソリューション概要

プロファイル

総合大学として 7 学部 6 研究科を有する中部大学外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますは、愛知県春日井市にある中部圏屈指の学術教育研究拠点です。「不言実行、あてになる人間」を建学の精神とし、世界に羽ばたくことができる人材の育成を目指し、教育改革を積極的に進めているほか、グローバルな視点での総合的な取り組みを行っています。また、2014 年の開学 50 周年には工学部にロボット理工学科の新設が計画されています。

導入ソフトウェアとサービス

パートナー企業

Microsoft Partners Silver Small Business

導入メリット

  • Microsoft Dynamics CRM を採用した学生カルテ (学生チャート) システムの導入で、教職員間で学生データの共有が行え、4 年間で一貫した指導が行える
  • 出席率などをグラフ化して “見える化” することによって、学生が学修から離れるタイミングを読み、適切な指導で退学および除籍者の抑制が図れる
  • 学生カルテをベースに同じデータから IR システムやポートフォリオなどのシステムに拡張が可能

ユーザーコメント

「教育改革、学生支援やケアを行うためには、これまでの学籍データを分析して有効に活用するシステムが必要でした。学生チャートや IR システムを構築するにあたっては、柔軟で拡張性が高く、機能の追加/削除/改変が行える Microsoft Dynamics CRM が適していると考えました。全学で利用できる基盤として Microsoft Dynamics CRM を活用し、今後は学生チャートだけでなく、IR システムやポートフォリオの構築を行い、教育改革の支援を進めていきたいと思います」

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学生教育部 部長
川尻 則夫 氏

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