Microsoft Office SharePoint Server 2007 による文書管理システムで、ネットワーク設備建設に伴う紙書類をすべて電子化。 協力会社との協働体制の効率化とセキュリティ強化を実現
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株式会社 エヌ・ティ・ティ・ドコモ四国 (以下、NTTドコモ四国) は、ドコモグループの中にあって四国全域の携帯電話キャリア業務を担う会社です。同社のビジネスを推進するうえでも最も重要な業務の 1 つに、ネットワークの構築があります。この設備構築には多数の協力会社が参加しており、建設作業はもちろん、入札や発注から竣工まで、膨大な量の文書が同社との間で交わされます。これらのドキュメントは、従来、紙ベースで作成され、なおかつ郵送でやり取りされていましたが、携帯電話の普及とともに工事件数は増加の一途をたどり、また近年はさらなるセキュリティ強化のニーズも高まっていました。そこで同社ではドキュメントの電子化によるペーパーレス化とセキュリティ強化、およびネットワークによる文書交換を目指し、Office SharePoint Server 2007 を基盤とした「建設工事文書管理システム」を構築しました。
<導入背景と狙い>
電子化による文書処理業務の効率化と
セキュリティの強化を目指してプロジェクトを開始 
 株式会社 NTTドコモ四国 ネットワーク部 建設担当 主査 佐藤孝雄 氏
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「当社のコア ビジネスは、ネットワーク設備を作り、それを携帯電話ユーザーの皆さまにご利用いただいて対価を得ることです。私たちの部署の仕事はその通信ネットワークの整備ですが、建設工事にあたっては協力会社の力が不可欠であり、工事を進める過程で多くの文書がやり取りされています。工程は見積書提出、設計・工事発注、建設工事、竣工検査、受け渡しまでにおよび、各プロセスにおける情報連絡や確認をはじめ、決済ごとに文書が発生します。この一連の業務は社内システムを使って行っていますが、すべての業務がシステム化されてはいないため、残された業務の電子化を目指して、2006 年 10 月に『紙書類の扱いをシステム化し、業務の効率化を図る』、『ペーパーレス化を進め、文書をサーバー内で管理することで、情報セキュリティを強化する』という 2 つの目標の下、建設工事文書管理システムを構築するためのプロジェクトが立ち上がったのです」と、株式会社 NTTドコモ四国 ネットワーク部 建設担当 主査の佐藤 孝雄氏は語ります。
そこで、全国に展開するドコモグループ各社の事例をリサーチしましたが、当初はコストや実効面で納得いくものが見あたらず、自社で独自開発することを決定し、ドコモエンジニアリング四国株式会社に協力をお願いしたと言います。
導入にあたって最も気を使った事柄の 1 つが、ユーザーの意識付けだったと佐藤氏は語ります。
「システムのユーザー構成は、当社の他にはドコモエンジニアリング四国、そして協力会社 6 社による合計 200 名規模です。これだけの人数が使うシステムを一斉に展開するとあって、ユーザーの意識付けには、一番気を使いました。そこで、『なぜ変えるのか、どう変わるのか』といったことを、ユーザーを集めて繰り返し説明会を開催しました。それまでが紙一辺倒でしたから、ユーザー各社ごとの対応体制や可否のヒアリングまでを細かく行いました。また、導入に際しては担当者研修も実施しました。一方的なトップダウンではなく、最初から現場を巻き込んでいったことが、導入がスムーズに行えた最大のポイントだと思っています」(佐藤氏)。
一方、システム開発の部分では、Virtual PC 上に構築したプロトタイプ環境をベースに何度も関係者間でのすり合わせを繰り返しながら、より実用性の高いシステムへとブラッシュ アップを重ねていったと言います。
<導入の経緯>
Office SharePoint Server 2007 の採用で、
建設工事に関するあらゆるステップの電子化に成功  | 
 ウェブシステム テクノロジー株式会社 代表取締役 岸本俊彦 氏
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 ドコモエンジニアリング 四国株式会社 ソリューションビジネス部 システム部門 社内システム担当 主査 高橋嘉裕 氏
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今回の導入で大きなハードルとなっていたのが、開発期間の短さでした。社内システム委員会の承認が下りてプロジェクトが発足したのが 2007 年 4 月。同年 5 月から開発がスタートして 9 月にはサービス インしていたということからも、かなりハイペースで開発が進められたことがわかります。具体的な構築作業を手がけたウェブシステムテクノロジー株式会社 代表取締役 岸本 俊彦氏は、当時を振り返ります。
「お話をいただいてからキックオフまでが非常に短かったので、一からプラットフォームを開発していたのでは時間的にもコスト的にも間に合いません。そこで弊社が基盤プラットフォームとして注目していた、Office SharePoint Server 2007 に、建設工事文書管理システムに必要かつ最適なインフラ ベースがあると判断し、それを採用しようと決めたのです」。
とは言うものの、出荷開始直後の時期で、まだ国内では開発ノウハウが十分に浸透しておらず、手探りでのスタートとなったと岸本氏は語ります。
「たとえば、決済のワークフロー開発のときも、マイクロソフトの Web サイトやブログ、ニュース リリースなどを探し、そこから情報を集めました。そこで得た情報を要求仕様に合わせて一つひとつ検証していく作業が大変でした」。
そうした苦労にもかかわらず NTTドコモ四国が Office SharePoint Server 2007 を選択したのは、いくつものメリットがあったからだと、ドコモエンジニアリング四国株式会社 ソリューションビジネス部システム部門 社内システム担当の高橋 嘉裕氏は語ります。
「検討比較した他のパッケージ製品に比べて、使いやすいこと、さらに現在社内にある Lotus Notes の情報共有システムが老朽化しつつあり、それを今後 Office SharePoint Server 2007 上に移行して公開しようというプランがあったのです。また、もともとドコモグループではマイクロソフト製品を多く採用しており、社内にマイクロソフト プラットフォーム基盤が整備され、Active Directory も導入されていました。セキュリティという観点でも、問題はないという判断でした」。

 株式会社 NTTドコモ四国 ネットワーク部 建設担当 林 孝彦 氏
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今回の新しい『建設工事文書管理システム』では、社内システムから取り残された建設工事に関するすべての工程をシステム上に載せて、完全なペーパーレス化を図ったのが最大の特長です。これまで建設工事関連の業務フローにおいては、各ステップで定められた書式をはじめとして、紙ベースによる連絡や申請確認などが不可分となっていました。この結果、しばしば IT の導入は困難と見られがちでした。しかし今回の事例は、入札から発注、そして建設、納入までを一貫して電子化して見せた点で、新しいワークフロー像を示すエポックメイキングな事例と言えます。
「このシステムでは、あらゆる文書を PDF などで取り込んで、オンラインで授受します。文書の種類も非常に多く、たとえば施工契約 1 つとっても、各施工会社との見積書や図面、仕様書、工事下請通知書、設計変更指示、完成書類の授受までを全部システム上でやり取りしています。単なる文書の受け渡しだけでなく、Office SharePoint Server 2007 ではワークフロー管理機能も盛り込めるので、いったんワークフローが開始したら、そのまま承認、保存までを一貫して動かすことが可能になっています」と、システム運用を手がける株式会社 NTTドコモ四国 ネットワーク部 建設担当 林 孝彦氏は語ります。
<システムの概要>
セキュリティを重視した厳しい権限管理と
直感的なインターフェイスによる操作性を両立今回のシステムで最も力を注いで開発されているのが、権限管理をはじめとするセキュリティの部分だと林氏は強調します。
「1 つの案件に複数の協力会社など外部のユーザーがアクセスするので、他社の文書や内部文書がお互いに見えないように、アクセス権の管理を常に厳しく行っています。見積書などはそのまま金額が見えるところだけに、いくら注意してもしすぎることはありません」。
この言葉を裏付けるように、アクセス権の設定には同社ならではのユニークな工夫が随所に凝らされています。たとえば「アクセス権切り替えの自動化」です。これはオンラインでの工事入札の際に、入札時点では応札する各社がアクセスできるようになっていますが、落札と同時に落札した会社と担当の施工監理会社のみに自動的にアクセス権限が絞られます。この切り替えは Office SharePoint Server 2007 によって管理されており、ワークフローのステータスに応じて自動的に切り替わるため、人手による作業の手間やうっかりミスの心配もありません。
また、外部の複数の協力会社ユーザーがアクセスするシステムでは、ユーザーごとに操作の知識や熟練度が大きく異なってきます。そうした理由によるミスを予防する工夫も盛り込まれています。
「システム自体が他にあまり例のないものですし、協力会社の中には PC に詳しくない方もいます。そこで画面の中にあるリンクのうち、その人の権限では必要のない部分にはマスクをかけて見えなくしています。決裁権のない方が決済関連の文書ライブラリに誤ってアクセスしてしまうといったミスがこれで防げます。また、文書の変更や消去の権限はアドミニストレータのみに付与するよう定めています。というのも、文書管理では誤って消してしまう、変えてしまうのが一番恐い事故だからです。それを防ぐためにも、この機能は必要なのです」(林氏)。

 ISA を経由した Office SharePoint Server 2007 利用システム |
こうしたポリシーは開発の時点から一貫してきたと、岸本氏は語ります。
「Office SharePoint Server 2007 は非常に多機能なので、開発者がやろうと思うことは何でもできる分、そのまま一般のユーザーに渡してしまうと多機能過ぎてわからなくなってしまうこともあります。そこで開発にあたっては、『使える機能は極力標準機能を活用してコスト節約』と『使いやすさを強化するためにカスタマイズ』の両天秤で進めました。その結果達したポリシーの 1 つが『見えなくてよいところは見せない』だったのです」。
たとえば、情報の検索には Office SharePoint Server 2007 の検索エンジンを使っていますが、より重要なファイルだけに絞りこんで検索結果を表示するといったカスタマイズも加えています。このほかにも、マニュアルをシステムのトップ ページに掲載して、誰でもすぐに参照できるようにするなど、「誰にでも使えるシステム、現場が使うために苦労しないシステムを最初から目指して、視覚的にもわかりやすく作り込んだ」(佐藤氏)と言うだけに、ポータル画面も左は資料の保存エリア、右にワークフロー、そして下部分には過去の履歴というように整然とレイアウトを分けて設計され、ひとめで全体が把握できるようになっています。

 移動通信工事の管理サイト。工事に関する「プロジェクトの進捗を管理する」「ドキュメント保存する」「承認ワークフローを開始する」などの業務を行うメインのサイト[拡大図] |  | 
 移動通信工事のワークフロー開始画面。ワークフローを行う際の承認先、提出先、通知先、メール本文に付加するコメントなどを入力する[拡大図] |  | 
 移動通信工事のドキュメント画面。ドキュメントの保存場所で各種保存されている文書の承認状況が確認できる[拡大図] |
<今後の展望>
機能の強化を進めながら、システムの発展すべき方向を探る 
 株式会社 NTTドコモ四国 情報システム部 基盤システム担当 松浦暁海 氏
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佐藤氏は、「今回の新システムによって、当社だけではなく協力会社各社の仕事の進め方自体が大きく変わったのでは」と語ります。複数の会社があれば、仕事の仕方もその数だけあります。その中には必ずしも効率的とはいえないものもあるでしょう。「今までそうだったから」というだけで、効率のよくないワークフローをそのままにしていたり、紙書類では書きかけて忙しくなると、しばらく放りっぱなしといったことも珍しくありません。
「それがオンライン化されると、ワークフローやワーク スタイルをシステムに合わせて変えざるを得ません。たとえば小さな規模の会社では、端末 PC が 1 台しかないところもあります。そうなれば、交替で使わなくてはならないため、端末が空いている時間内に仕事を終えなければならないといった制約が生まれ、その結果『いかに限られた時間内で効率的に仕事を進めるか』を考えるスタイルに変わってきます。これは協力会社の皆さまにもメリットになることだと思っています」(佐藤氏)。
事実、文書の電子化で各社にもたらされるメリットは少なくありません。
「建設関連の書類は竣工後 7 年間の保存義務があります。この保存コストや紙資源の節約につながります。また、従来書類は郵送でやり取りしていましたが、この郵送コストもなくなります。トータルで 2 ~ 3 年で導入コストがペイできるということをお話しして、各社にはご理解をいただきました」と林氏は語ります。
こうした “使う側のさまざまなメリット” を強化する形で、同社ではこの新システムをさらに発展させていきたいと考えています。
「そのためにも、現在のマイクロソフト プラットフォームを基盤としたシステム統合を図っていきたいと考えています。社内にはさまざまなシステムが個別に稼働していて、管理の負荷が増える一方です。これを多機能かつ単一プラットフォームにまとめ、そこで生まれた余力を、これからはコンテンツの充実に回していけたらと思います。」と、株式会社 NTTドコモ四国 情報システム部 基盤システム担当 松浦 暁海氏は語ります。
基盤としての改良に加え、今後当面は短期間で導入した際に積み残した機能を順次追加しながら自動化などを盛り込み、よりユーザーに使いやすいシステムに練り上げていくことが必要だと佐藤氏は語ります。
「四国でこういうシステムを運用しているということを、まだグループ内の各社もほとんど知らないはずです。いずれはグループ内での横展開にまで発展させていければ嬉しいのですが、その前に自分たちが直面している課題を 1 つずつ解決して、胸を張って外部にアピールできるレベルにまで改良を加えていくのが、私たちに課せられたミッションだと思っています」。
なお、今回の導入を契機として、懸案だった Lotus Notes からの移行も順調に進み始めたと松浦氏は語ります。
「Lotus Notes は長年使ってきたシステムでしたが、現状の他システムとの親和性や連携を考えるとすでに孤立化しつつあるというのが正直なところです。アカウント 1 つをとっても独自仕様なので、現在の他のシステムとの親和性がありません。今後、さらに権限管理やユーザー管理を統一していく方向でシステム整備を進める上で、これは早急に解決していく必要があります。その点、現在の他のシステムがほぼマイクロソフト プラットフォーム上に構築されているので、この Lotus Notes に代わるものを Office SharePoint Server 2007 で構築すれば、他システムとの情報共有が可能になります。この 2007 年度中に基盤部分までの整備を進め、来年度以降にコンテンツを作り込んでいきたいと思っています」。
いずれは現在の Notes データベースや Web データベースといった部分までをすべて統一して、NTTドコモ四国の情報基盤を Office SharePoint Server 2007 の下に統合したいと語る同社からは、IT 活用によるさらなる業務活性化および効率化を目指す元気な声が聞こえてきます。
本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 | |