治水施設などのプラント監視・制御システムを設計・製作するツールとして Microsoft Visio 2010 で全面的に刷新 設計、製作、テストまでの作業プロセスをシームレスに結合させ、大幅な開発効率と品質の向上を可能に
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株式会社荏原電産 (以下、荏原電産) は、「水と空気と環境の明日を考える」をスローガンに掲げる荏原製作所グループの中でも、治水をはじめとした公共施設の電気設備および監視制御システムなどの設計、製作を幅広く手掛けています。2011 年、公共施設用監視・制御システムの開発のツールとして Visio 2010 を導入。さらに Microsoft Silverlight への変換プラグインと組み合わせることで、GUI の設計と機能の実装そして検証まで一連の工程をシームレスに結合し、システム設計および製作プロセスの大幅な効率化と飛躍的な品質向上のための基盤を確立しました。
<導入背景とねらい>
監視・制御システムの開発プロセス全体の見直しを通じて
飛躍的な生産性向上を目指す 
 株式会社荏原電産 情報・通信・制御統括室 技術二部 技術二課長 稲田 浩一 氏
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今回、監視・制御システムを設計・製作するためのツール開発、および作業プロセスを全面的に刷新した背景について、代表取締役社長の南郷克尚氏はプラント監視・制御に対する時代の要請の変化と、そこへのいち早い対応を目指す同社の戦略があったと明かします。
「たとえば、河川の排水ポンプ設備の監視・制御です。昔は現場ごとに行われていたものが、近年は広域防災という観点から、遠隔拠点からの集中監視へと変わってきました。治水施設は、そのまま人命にもかかわる最重要の社会インフラです。その監視・制御システムを提供する私たちメーカーとしても、より高い信頼性やメンテナンス性、さらに省コスト性を追求していかなくてはなりません。そうした意味でも、今回の設計・製作ツールの刷新は当然の取り組みだったと言えます」。
荏原電産が導入した新しいツールは、河川に設置されたポンプ場などの設備稼働を監視・制御するシステムを構築するための、いわば「設計・製作支援ツール」です。これまで同社ではシステムを構築する際、まず紙の設計書を作成し、その設計書を基に製造部門が専用のグラフィック ツールを用いて GUI を製作。最後に品質管理部門がテストを行って出荷するという、ごく一般的な作業プロセスを用いていました。しかしこれは時間も手間もかかるうえ、工程ごとに問題が発生する可能性があったと、情報・通信・制御統括室 技術二部 技術二課長の稲田浩一氏は語ります。
「それまでも標準化されたシステムがあり、それをお客様に合わせてカスタマイズしていたのですが、各工程が分かれているため、どうしても個々の問題によりバグや不具合の発生が避けられませんでした。そこで作業プロセス全体を見直し、より上流側で問題解決を可能にすることで、大幅な品質向上を図ろうと考えたのです。また当社の監視・制御システムのユーザーには、公共設備を手掛ける企業が少なくありません。近年の公共工事の厳しいコスト要件の下でも顧客が利益を確保できるよう、より効率のよい運用環境を提供するねらいもありました」。
「不具合をなくそう」をスローガンにスタートしたこの取り組みを受け、さっそく同社の開発部門ではシステムの企画に着手しました。情報・通信・制御統括室 監視制御開発部 副部長の相川義博氏は、ここでの重点ポイントを大きく 2 つ挙げます。
「まず目指したのは、作業プロセスそのものの刷新でした。今までの各工程に対して単に新しい支援ツールを導入するだけでは、個別の作業の効率化にはなっても全体を通した大幅な効率アップは期待できません。そこで GUI およびロジック の設計作業がそのまま機能の実装になり、さらにその場で作成した GUI やロジックの動作をテストできる、つまり設計、製作、テストまでを連携させた効率化のしくみを新たに作って、飛躍的な生産性の向上を実現しようとしたのです」。
もう 1 つのポイントは、「新しいツールであっても操作性は日常使い慣れたものであること」でした。
「当社の設計者は皆 Visio を使っているので、操作方法の取得などの時間が不要になり、全員がより早くツールを使えるようになります。新システムへの移行に伴うタイムロスを極力抑えることが、効率化に大きな効果があると考えました」 (相川氏)。

 監査システム |
<導入の経緯>
Visio と XAML 変換プラグインの組み合わせが
唯一にして最適と評価し導入を決定  | 
 株式会社荏原電産 情報・通信・制御統括室 監視制御開発部 副部長 相川 義博 氏
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ツール製品の選択は、2009 年暮れから翌 2010 年 1 月にかけて進められましたが、当初から第一候補には Visio 2010 が挙がっていたと相川氏は明かします。
「実は、以前から当社では Visio を GUI の設計に使用していたのです。もちろん、これまでは絵や図版を描くなどの設計作業のみで、機能を GUI にひも付けるといった Visio 本来の使い方はしていませんでした。しかし作業ツールとしては既に多くの設計者が慣れ親しんでおり、新システムに移行してもゼロから操作を憶え直すといった苦労がない点は重要でした。また Visio 2010 は、多くの出荷実績を通してマイクロソフトによるバグ フィックスが進んでいます。自社開発ツールのように、未知のバグの心配をしなくて済む点も大きな魅力でした」。
さらに Visio 2010 の採用を決定付けたのは、株式会社マイスター (以下、マイスター) が提供する Silverlight 用の XAML 変換プラグインを知ったことでした。このプラグインは Visio 2010 で作成したファイルの編集図面を XAML (Extensible Application Markup Language) 形式に変換し、Silverlight で再生できるようにするものです。
「当社の GUI は、最終的に Web サービスを介して顧客に提供されます。この GUI を Silverlight で作成する方針を決めていたため、マイスターのプラグインはまさにうってつけでした。調査した結果、マイスターの Visio に関する技術力は高い水準にあり、そのプラグインを Visio 2010 に組み込めば、設計、製作、テストの構築プロセスを一体化して飛躍的な効率アップを実現できると確信しました。これらの理由から、Visio 2010 以外の選択肢は考えられなかったのです」 (相川氏)。
こうした要件についてマイスターと打合せを重ね、2010 年 3 月にはサンプルを作成して検証を実施、最終的に採用を決定しました。2010 年 4 月からは必要な機能の洗い出しから設計書の作成へと進み、2011 年 3 月に開発が完了。2011 年 7 月現在、同年 10 月の自社工場での試運転を目指して、お客様向けシステムの製作が急ピッチで進められています。
<導入効果>
システムのすべてを Visio と Excel で開発可能
トラブル時の原因切り分けと修復もスピーディに 
 株式会社荏原電産 情報・通信・制御統括室 技術二部 技術二課 主任 大橋 邦洋 氏
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 株式会社マイスター ソリューション事業部 第三課 課長 平賀 茂貴 氏
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 株式会社荏原電産 情報・通信・制御統括室 技術三部 主任 飯塚 昌明 氏
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 株式会社マイスター シニアSE 田村 慎治 氏
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今回の Visio 2010 がもたらすメリットを、情報・通信・制御統括室 技術二部 技術二課 主任の大橋邦洋氏は、「製造プロセスそのものが、今までとは大きく変化すると期待しています。Visio 2010 を使うことで、設計と同時に製作もかなりの部分ができてしまうため、私たちの工数がかなり削減できるはずです。もちろん、その分の時間やエネルギーを品質向上に振り向けられるようになると思っています」と語ります。
ちなみに以前使用していた GUI ツールではシステムの全画面の 1 割程度しか作成できず、残りは専用のアプリケーションで作業を行っていました。しかし今回の Visio 2010 による GUI 作成ツールなら、画面の 6 割以上が作成可能になると言います。さらに GUI だけでなくサーバーやクライアントで実行可能なロジックまでも作れるため、実質的に設計と製作が 1 つの工程で完了できるようになりました。
「さらに、Visio 2010 の設計ファイルからデータをそのまま Excel に出力して設計仕様書を作成するといったことも可能です。Visio 2010 は Excel と容易に連携できるため、今回のシステムではその 2 つさえあれば他の専用アプリケーションなどを使わずに監視・制御システムをすべて構築できるのが大きな特長です」 (相川氏)。
効率化に加えてもう 1 つの大きなメリットは、トラブル発生時の手戻りや原因追及の手間が大きく削減できる点です。情報・通信・制御統括室 技術三部 主任の飯塚昌明氏は、「以前は設計、製作、テストの各工程が分かれていたため、トラブルが発生しても原因がどこにあったのか切り分けが難しく、対応にも時間がかかっていました。新しいツールを使えば、設計と製作、動作確認が同時にできるので、問題箇所の特定から修正およびテストが迅速に行えるようになります。また品質管理という点でも、設計書と実装の食い違いが大幅に減らせるようになるでしょう」と展望を語ります。
また構築にあたる荏原電産の設計・製作スタッフだけでなく、システムを利用するお客様の側もこの新しい開発システムのメリットを大いに享受できると飯塚氏は付け加えます。
「今まではシステム納入後に機能の変更などがあると、そのつど当社で設計をし直して Microsoft Visual C++ でプログラムを書き直してテストして……という新規開発とほぼ同じ工程を繰り返さなくてはなりませんでした。それが Visio 2010 ならば、以前の設計情報を利用してプログラムレスで仕様変更が可能なため、お客様からの緊急の要望にも迅速かつ柔軟に対応できるようになります」。
マイスター ソリューション事業部 第三課 課長の平賀茂貴氏は、今回のシステムの成功要因の 1 つとして、荏原電産の開発システムに対する要求レベルの高さは見逃せないと語ります。
「監視画面を作成するシステムとあって画面の精度はもちろんのこと、以前のシステムからの機能継承などにも非常にこだわって作り込まれています。また工程全体を通した効率化に注目され、弊社の XAML 変換プラグインを介した Silverlight の利用を考えられたのも非常にすばらしいと思います。弊社もそうしたご期待に応えようと精いっぱい力を振り絞ったことが、結果的に満足いただけるしあがりにつながったと自負しています」。
また実際の仕様検討に携わったマイスター シニアSE 田村慎治氏も、「要件定義書が非常にしっかりとしている印象を受けました。これは荏原電産様が自社の獲得目標を明確に持ち、なおかつ Visio の特長をよく理解されていた何よりの証明であり、この結果、実現したい要件を十二分に機能として実現できたと思っています」と振り返ります。
<今後の展望>
監視・制御システムへのニーズの変遷に応え
社会インフラを支えるシステムの信頼性をさらに追求新しい開発システムは、当面は荏原電産および協力会社の設計担当者約 20 名の利用を想定しています。しかし相川氏は「プレゼンテーションにも活用できる GUI ツールなので、営業や計画部門への応用も可能だと考えています」と、早くも将来の展開に期待を寄せています。
一方、新システムを活用する担当者からは、実作業を通じてこれまでは実現できなかった新しい作業プロセスや、そこから生まれるメリットを活かしていこうという声が聞かれています。
「この後私が担当する予定なのが、Visio 2010 を利用する第一弾の案件です。先陣を切るのに恥じないよう、バグのない高品質なソフトウェアを製作したいと思っています」と意気込みを見せる大橋氏。
稲田氏や飯塚氏からは、「これまで Visio は監視画面の一部を描く作業しか行っていませんでした。それが今後は監視・制御のロジックまでを扱うことができるので、これでブロック図を描けばその図どおりに制御が動作するなど、設計・製作ツールとしてのユーザビリティが大きく向上し、最終的に品質向上と効率アップにつながります。また設計仕様書と実装との差が極小化できるので、納品後のお客様からの修正要求なども減らせると思います」と、新たな作業プロセスへの期待が語られました。
1958 年の設立以来、滔々と続く同社の技術開発の流れは、Visio 2010 による新しい開発システムを得て、さらに大きな可能性を広げています。
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