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株式会社日立製作所 デザイン本部

掲載日: 2010 年 5 月 28 日
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ソリューション概要

プロファイル
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株式会社日立製作所 デザイン本部leave-msは、1957 年に設立されました。人間を基軸にデザイン領域の拡大と深化を追求し、高い品質とサービスを表現する優れたデザイン ワークで、グッドデザイン賞をはじめとして、さまざまなアワードを受賞しています。日立のキー コンセプトである「信頼」をかたちにしていく中で、すでに 10 年前からアクセシビリティに対応すべく調査、研究を行い、日立製作所のさまざまなプロダクツにおいて、ユニバーサルデザインを基軸にアクセシビリティへの対応も進めています。

ソフトウェアとサービス
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Microsoft ® Silverlight® 3

メリット
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アクセシビリティ対応 UI コンポーネントの開発技術として Silverlight 3 が採用された
豊富なアクセシビリティ対応機能によって上記コンポーネントのキー操作、読み上げへの対応が実現された
マイクロソフト が提供する開発情報とサポートにより、効率的に、短期間で開発が完了した

ユーザー コメント
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「RIA のアクセシビリティ対応を目指して、機能、サポート、将来性の予測などの観点で総合的に考えた結果、2009 年 7 月時点において、Silverlight で独自の UI コンポーネントの開発を開始しました」

株式会社日立製作所
デザイン本部
ユーザエクスペリエンスリサーチセンタ
専門デザイナー
稲田 高洋 氏
アクセシビリティに配慮した RIA (Rich Internet Application) 開発が
効率的に行える UI コンポーネントを Microsoft® Silverlight® で実現


* 株式会社日立製作所 デザイン本部
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株式会社日立製作所 デザイン本部

株式会社日立製作所 (以下、日立製作所) のデザイン本部では、ユニバーサルデザインの一環として、RIA 開発におけるアクセシビリティ対応の調査、研究に取り組んできました。Ajax や Flash も研究対象に含まれていましたが、標準で搭載しているすべてのコントロールに UI オートメーション*を実装していること、さらにカスタム コントロールに対しても UI オートメーションの実装方法が明示されていることから、 2009 年 7 月に Silverlight に対応する「アクセシブル UI コンポーネント」の開発に着手し、2010 年 3 月に「アクセシブル RIA プロトタイプ」が公開されました。
このプロトタイプは、今後、同社で開発する Silverlight アプリケーションが W3C から勧告されている最新のアクセシビリティ ガイドラインに対応するための雛形となることを目指しています。
* UI オートメーションとは、WPF (Windows Presentation Foundation) に搭載されたアクセシビリティ フレームワークで、Silverlight でも利用することができる。


<導入の背景とねらい>
アクセシビリティ対応を早くから表明していた Silverlight に注目


日立製作所のデザイン部門として 1957 年から日立グループのデザインを担っているのが株式会社日立製作所 デザイン本部です。産業製品からコンシューマ向け製品、アプリケーションなど、同社で生産、販売されるさまざまな製品において、「デザイン」という軸から日立製品のアイデンティティを表現することをコンセプトに、デザイン業務を行っています。
その中でも、ユニバーサルデザインという側面から、アプリケーション開発におけるデザインの重要な要素として、近年ではアクセシビリティが注目されています。
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 経営戦略室 国際標準化推進室 主任技師 野村 茂豊 氏が語ります。

* 野村 茂豊 氏
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株式会社日立製作所
情報・通信システム社
経営戦略室
国際標準化推進室
主任技師
野村 茂豊 氏

「デザイン本部では、日立製作所事業全体のユニバーサルデザインに対応しているのですが、近年、その中でも情報系のユニバーサルデザインとしてアクセシビリティへの配慮が重要になってきています。国際標準化推進室は、アクセシビリティ関連の国際規格と JIS をベースとして、情報系製品のアクセシビリティ対応を取り纏めています。デザイン本部で検討、検証を行い、ガイドラインを作成して、そのガイドラインに従って、お客様のシステムに実装していくという流れでアクセシビリティに対応しています」。

日立製作所には工事現場で使用する重機から、コンシューマ向け製品としての携帯電話など、さまざまな規模、用途の製品があります。その中でも Web の分野でのアクセシビリティに対する取り組みは、今から 10 年前の 2000 年からはじまりました。株式会社日立製作所 デザイン本部 ユーザエクスペリエンスリサーチセンタ主任デザイナー 本宮 志江 氏が語ります。

本宮 志江 氏
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株式会社日立製作所
デザイン本部
ユーザエクスペリエンスリサーチセンタ
主任デザイナー
本宮 志江 氏

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「1999 年に、W3C が発表した Web コンテンツ アクセシビリティ ガイドライン 1.0 が完成したことを受けて、研究を始めました。英語ベースのものでしたので翻訳はもちろん、日本の環境に合わせて全体を見直しました。その後、2002 年に日立製作所の Web コンテンツ全体について 16 項目のアクセシビリティ ガイドラインを策定、2004 年には JIS のアクセシビリティ ガイドラインが完成しましたので、それにも対応しました」。

しかし、現実には製品に反映するためのコストや作業工数、採算性などを考えると、アクセシビリティ対応もなかなか進みません。ユニバーサルデザインの一環としてアクセシビリティが重要であることは理解していても、なかなか各生産部門や営業部門では対応しきれないというのが現状でした。そこで、ガイドラインだけでなく、アクセシビリティに対応するツールやモジュールを準備できれば、より効率的にアクセシビリティに対応できるのではないかと考え、アクセシビリティに対応したテンプレートやモジュールの提供を開始しました。本宮 氏が続けます。

「まず、自社の Web サイト用にアクセシビリティに対応したテンプレートやモジュールを用意して、容易にアクセシビリティに対応できるようにしました。さらに、この仕組みを Web アプリケーションに広げるために同時期に概念が浸透し始めた RIA のアクセシビリティ対応に取り組み始めました。まず初めに検討したのは、Ajax 用に W3C で 2007 年に勧告された WAI-ARIA (Accessible Rich Internet Application) です。しかし、残念ながら Ajax は定着した開発ツールがないこともあって、製品開発にはあまり結びつきませんでした。こうした状況下で、早い段階からアクセシビリティへの対応を表明していた Silverlight に着目し、独自のコンポーネント開発に着手したのです」。

本宮 氏が、さらに続けます。

「ちょうど、2010 年前半には、JIS X8341-3 の改定が予定されています。今後は、Web アプリケーション開発においてもお客様からアクセシビリティ対応のご要望が出てくると思われます。こうした背景もありましたので、RIA でのアクセシビリティについて早くから取り組んできました」。


<導入の経緯とシステム概要>
Silverlight によって実現する視覚表現と、
キーボード操作および読み上げの対応


Web アプリケーションにおいては、これからは RIA が必要不可欠であるという認識が主流となってきています。日立製作所のデザイン本部では、RIA をどうとらえているのでしょうか。株式会社日立製作所 デザイン本部 ユーザエクスペリエンスリサーチセンタ 専門デザイナー 稲田 高洋 氏が語ります。

* 稲田 高洋 氏
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株式会社日立製作所
デザイン本部
ユーザエクスペリエンスリサーチセンタ
専門デザイナー
稲田 高洋 氏

「日立でも RIA の開発事例が増えてきているのですが、一番多いのはお客様が Windows 上のクライアント アプリケーションを使っていて、それを Web に移行したいというニーズです。その時に今までできていた操作、たとえばショートカットやファンクションキーで機能を選択するなどといった操作ができなくなってしまうのは困るので、RIA を使って解決するというケースが多いです。また、RIA でなくては実現できない視覚的表現もあるので、そのような面で付加価値を与えるために、RIA を選択するというケースもあります」。

企業内アプリケーションの Web ベースのシステムへの移行は、もはや一般的な流れと言えます。RIA へのニーズの高まりは、そうした背景と関連しており、ユニバーサルデザイン活動に取り組んでいる日立製作所が、アクセシビリティ対応を考慮することは必然的な流れだったと言えます。

こうして、同社では、アクセシビリティガイドラインに沿った Web アプリケーションの調査、研究を 2008 年 4 月から開始。アクセシビリティ対応のしやすさや、将来性の予測の観点などから、2009 年 7 月から半年ほどで、Silverlight を使った「アクセシブル UI コンポーネント」と、「アクセシブル RIA プロトタイプ」(以下、RIA プロトタイプ) を開発しました。

この RIA プロトタイプは、日立製作所デザイン本部が独自に開発した Silverlight の UI コンポーネントを用いて開発されています。もともと Silverlight には、アクセシビリティに対応可能なコンポーネントが用意されていますが、さらに多機能で、かつ共通的によく利用されるコンポーネントを開発し、それらを活用して模擬的に RIA を開発、検証を行っています。

「幅広いユーザーに試していただけるように、グループ ウェア風にした模擬アプリケーションを開発しています。当社のアクセシビリティガイドラインに対応するうえで最も作業工数のかかるキーボード操作と読み上げに対応している他、色覚に障がいがある方でも識別可能な色の範囲内で、システム管理者が UI 要素の色を自由に変更できる機能もあります。この RIA プロトタイプは、開発した独自の UI コンポーネントを用いて、検証のために開発したものです。」(稲田 氏)。

図 1 Web システムの各 UI 要素の色をシステム管理者などエンド ユーザー自身で変えられる独自の Silverlight コンポーネント。「色カスタマイズ」ボタンを押した後、画面上で色を変えたい UI 要素を選択すると、その部分の色を、文字や背景などといった、さらに細かい要素ごとに変えられる。その際、色覚異常など、人によっては判別しにくい色を選んでしまわないように配慮されている。
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図 1 Web システムの各 UI 要素の色をシステム管理者などエンド ユーザー自身で変えられる独自の Silverlight コンポーネント。「色カスタマイズ」ボタンを押した後、画面上で色を変えたい UI 要素を選択すると、その部分の色を、文字や背景などといった、さらに細かい要素ごとに変えられる。その際、色覚異常など、人によっては判別しにくい色を選んでしまわないように配慮されている。RIA プロトタイプの詳細leave-ms [拡大図]
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図 2 よく見られる多機能なデータ グリッドには共通する機能も多いため、UI を共通化することでユーザーが利用する上での混乱を防ぐことができる。多機能だとアクセシブルにするのが困難だと思われがちだが、Silverlight によって、複数の条件を指定することが可能な絞込み検索機能や、列の入れ替え、表示列の変更、列幅変更、リストの複数選択などで全てキー操作と読み上げに対応している。
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図 2 よく見られる多機能なデータ グリッドには共通する機能も多いため、UI を共通化することでユーザーが利用する上での混乱を防ぐことができる。多機能だとアクセシブルにするのが困難だと思われがちだが、Silverlight によって、複数の条件を指定することが可能な絞込み検索機能や、列の入れ替え、表示列の変更、列幅変更、リストの複数選択などで全てキー操作と読み上げに対応している。 [拡大図]
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この RIA プロトタイプは、各コンポーネントが Silverlight アプリケーションに自由に組み込めるようになっており、Silverlight のオーサリング ツールである Microsoft® Expression™ Blend から簡単にドラッグ アンド ドロップで利用できます。

「開発した独自の UI コンポーネントは、アプリケーションの開発に利用したいと思うものを、Expression Blend や Microsoft® Visual Studio ® のメニューから簡単に追加することができます」(稲田 氏)。

※ RIA プロトタイプのデモは、以下のページでご覧になることができます。
・Windows 7 をお使いの方はこちらleave-ms

<導入の効果>
UI オートメーションの標準実装による開発効率の高さと、
安心できるサポート体制


Silverlight は、RIA 開発の基盤として、当初からアクセシビリティを意識しており、マイクロソフトの新しい API である UI オートメーション (UI Automation) にも対応しています。こうしたアクセシビリティに対する Silverlight の機能が同社における Silverlight の高い評価につながっています。

「Silverlight に標準装備されているすべてのコンポーネントは UI オートメーションを実装しています。これは開発効率の面からは大きなアドバンテージだと言えます。また、今回制作したようなオリジナルに制作するコンポーネントであっても、UI オートメーションの実装方法が明示されていますので、プロトタイプを公開できるまでに至りました。

UI オートメーションというのは、現時点では最も新しい、マイクロソフトが開発したアクセシビリティのための API です。UI オートメーションを実装することによって、従来より多くの情報を、読み上げソフトのような支援技術に提供することができるので、RIA のように複雑なアプリケーションであっても、読み上げに対応することが可能なのです」(稲田 氏)。

さらに、他の技術に比べて、アクセシビリティに関する情報が得やすかったという点も Silverlight が採用された大きな理由の 1 つになっています。

「Silverlight は、アクセシビリティ面においても、カスタマイズする際の実装方法について、情報が得やすかったです。これは大きなポイントでした。サポートの体制がとても充実していると思いますし、見つかった技術的な問題のいくつかはエキスパートの方々に解消して頂けました」(稲田 氏)。

UI コンポーネントの開発においては、ユーザー テストを行い、実際に障がいのある方にお使い頂き、そこから得られた気付きを反映しています。
「実際に使っていただいたユーザーの中には、RIA でもここまで操作できるのかと驚かれた方もいらっしゃいました。逆に我々も気付いていなかったさまざまな課題が見えましたので、それらを UI コンポーネント、RIA プロトタイプに反映させることによって、より完成度を高くすることができました。改善はまだ続いています。また、日立だけでは決められないことについては、ガイドライン化を提案しています」(稲田 氏)。


<今後の展開>
公開した RIA プロトタイプに対する意見を収集、
JIS の アクセシビリティ関連規格に RIA を対応させることを目指す


同社の Web サイトでは、この Silverlight によるアクセシブル UI コンポーネント、RIA プロトタイプを公開しており、また、スクリーン リーダーで操作している様子も動画で見られるようになっていますが、さらに次のステップを検討しています。

「Silverlight によるアクセシブル RIA プロトタイプは、開発工程から得られた課題やガイドラインの提案と共に日立のユニバーサルデザインのサイトで 2010 年 3 月 18 日から公開しています。今後は、JIS 規格が改定された際に、それに合わせて社内向けガイドラインの再作成を行い、UI コンポーネント、RIA プロトタイプも改訂するとともに、それをお客様のために開発するアプリケーション、ソリューションに組み込んでいきたいと思っています」(本宮 氏)。

ユニバーサルデザインという側面から RIA におけるアクセシビリティに対して積極的に取り組み、よりアクセシブルな Web アプリケーションを実現するために採用された Silverlight は、今後の同社のソフトウェア開発にとって必要不可欠な存在になりそうです。
本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
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