コンピューティング リソース サービスを Windows Server® 2008 Hyper-V™ で構築。 信頼性と可用性を確保しつつ、業界最低価格を実現
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日本を代表するデータセンター事業者の株式会社 IDC フロンティアは、より高い付加価値を求めるユーザーのニーズに応えようと、データセンター事業を基盤としたプラットフォーム提供ビジネスへの展開を経営戦略として選択。その最初のサービスとして、法人向けのオンデマンド型コンピューティング リソース サービス「NOAH プラットフォーム サービス」を 2009 年 6 月 30 日にサービス インさせました。プラットフォームのコアとなる仮想化テクノロジーとして同社が選んだのは、低コストで調達でき、十分な信頼性と可用性を確保できるマイクロソフトの Hyper-V"!。高可用性サーバーと組み合わせることにより、基幹系の業務システムにも安心して使えるプラットフォームを低価格で提供することができました。次のステップとして、IDC フロンティアはサイト間連携を検討中です。
<導入背景とねらい>
新たな付加価値の提供が求められるデータセンター事業 
 株式会社 IDC フロンティア ビジネス開発本部 技術開発部 部長 大屋 誠 氏
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東京都新宿区に本社を置く株式会社 IDC フロンティア (以下、IDC フロンティア) は、日本を代表するデータセンター事業者の 1 社です。前身となる国際デジタル通信企画が設立されたのは、1986 年 11 月のこと。その後は、通信事業者系のデータセンターとして、e コマースや e マーケティングを指向する多くの企業にインターネット データセンター (IDC) としてのサービスを提供してきました。2009 年 2 月には、ヤフー グループに参加。同 4 月に現在の商号へと変更し、IDC 業界の最先端領域をフロンティア精神で駆け抜けようとしています。
IDC フロンティアが現在運用しているデータセンターは、首都圏 (7 か所)、関西圏 (1 か所)、九州 (1 か所) の合わせて 9 か所。首都圏と関西圏のものはアクセスの良いロケーションにある典型的な都市型データセンター、2008 年に北九州市、福岡に新設されたアジアン・フロンティアは、高集約、省電力型をねらった最新のデータセンター コンプレックスとなっています。
「ここ数年、都市型データセンターについては需要が供給を上回る状況が続いています」と、新サービスの開発を指揮する株式会社 IDC フロンティア ビジネス開発本部 技術開発部 部長 大屋 誠 氏が語ります。「その一方で、世界的に経済状況が厳しさを増していることもあり、データセンターには従来からの単純なサービスを超える付加価値を提供することも求められるようになりました」(大屋 氏)。
新しい付加価値の 1 つの例として大屋 氏が挙げるのは、CO2 を減らし、電力コストを抑えたグリーンな IT 環境。また、「所有から利用へ」のマインド変化に伴い、IT リソースやアプリケーションそのものを提供するメニューも求められていると言います。「IT コストを削減し、スタート アップ時の物理投資をなるべく避けたいという企業の思いは、この 1 ~ 2 年でますます強まったと感じています。ただ、日本の企業にとって、海外のクラウド コンピューティング サービスは検討の対象とはなるものの、実際に利用しようとするとさまざまな課題があるようです」(大屋 氏)。
具体的には、企業ユースを想定した場合の言語を含めたサポートへの不安、利用料金の決済がクレジット カードを使った米ドル ベースになってしまう、完全な従量制課金では経費の予算化が難しいといった課題です。
このような状況のもと、より踏み込んだ上位レイヤーのサービスとしてコンピューティング リソースのオンデマンド型提供はできないものか――と考えたのが、同社のビジネス開発本部 企画部に属するサービス開発グループ。早速、日本の企業にも受け入れられるようなサービスの実行可能性についての検討を 2008 年夏から開始しました。

 株式会社 IDC フロンティア ビジネス開発本部 企画部 サービス開発グループ グループ リーダー 霜鳥 宏和 氏
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「当時、海外の事業者による同種サービスの提供が始まっていましたし、国内のデータセンターでもリソース貸しを行っているところが数社ありました」と語るのは、同社 ビジネス開発本部 企画部 サービス開発グループ グループ リーダーを務める霜鳥 宏和 氏です。「そうした先行サービスを研究しつつ、お客様にとってメリットがあり、弊社としてもこれからの事業の軸になるようなサービス企画を練りました」と、霜鳥 氏は振り返ります。
できあがった企画書では、新サービスの主な狙いを 2 つに絞りました。
「まず、サービスの利用料金を、業界でもっとも低い価格に設定しました。また、日本のお客様は必ずしも価格だけで採否を決定されるわけではありませんので、信頼性や可用性についても十分な手当てをすることにしました」(霜鳥 氏)。
具体的には、最新の高可用性サーバーを採用することによってハードウェアの信頼性を高め、さらに複数台のサーバーにて冗長構成を組む。それでも障害が発生した場合はマイグレーション (移行) によって可用性を確保することにしたのです。
<導入の経緯>
競合製品との比較から低コストで導入可能な Hyper-V を採用では、IDC フロンティアが目指すオンデマンド型のコンピューティング リソース サービスを実現するには、どのようなテクノロジーを採用するのがよいか――。企画部 サービス開発グループは、2008 年夏の時点で利用可能だったテクノロジーの中から、同社のビジネス目的に合致するものを選んでいくことにしました。同社が最も重視したのは、ユーザーにとって利便性に優れ、かつリーズナブルであることです。大屋 氏が語ります。「ユーザーは信頼性と可用性の高いサービスを求めますが、システム投資の予算には限りがあります。そこで、低コストで調達した設備を効率よく稼働させる検討をした結果、サーバーの利用率を高めるためのテクノロジーとしては仮想化がベストであるとの結論に至りました。ラックやネットワークについても稼働率を高める必要がありますが、こちらについては、弊社がこれまでのデータセンター事業およびホスティング事業で培ってきたノウハウが生かせると考えました」。
次に決めなければならないのは、サーバー仮想化を実現するためのソフトウェアに何を選ぶかということです。選考の過程ではさまざまな意見が社内から寄せられましたが、最終的には、新サービスの狙いにうまく合致し、競合製品よりも低コストで導入できることを評価して、Hyper-V を選ぶことに決めました。
導入の焦点となったのは、業務システムの可用性を確保するためのマイグレーションの実装方法だと大屋 氏が話します。「導入コストが高くなってもかまわなければ、マイグレーションを高速に行える他社製品を選ぶという選択肢もありました。けれども、選考の過程において、弊社が新サービスの主な顧客として想定しているのは、システム構築を自らまたはシステム インテグレーターの力を借りて行えるような企業でした。業務システムに求められる可用性の相当部分はアプリケーション レベルで実装されていると考えられますので、システム全体のコストを考えると、マイクロソフトの Hyper-V の方がリーズナブルという判断になりました」。
また、マイクロソフト製品との親和性の高さも、IDC フロンティアが Hyper-V を選ぶ理由の 1 つになりました。霜鳥 氏が語ります。
「開発中のサービスのファースト ユーザーとして、マイクロソフト製の業務アプリケーションを SaaS として提供するサービス プロバイダーが予定されていました。この協業を成功に導くためにも、プラットフォーム部分にはマイクロソフト製品との親和性が高いものを選ぶ必要があったのです。国内データセンター事業者での Hyper-V 採用数がまだ少ないことは認識していましたが、それだからこそ挑戦してみる価値はあるというのが、われわれサービス開発グループの発想でした」。
社内手続きを経て、Windows ServerR 2008 と Hyper-V の採用が正式に決まったのは 2008 年 12 月のこと。まずは、ファースト ユーザーとなるサービス プロバイダー向けのシステム構築が先行して進められ、2009 年 4 月に運用が始まりました。その後、そのシステム構築によって得られたノウハウと「ベータ カスタマー」の評価を基に、詳細部分をブラッシュアップ。一般ユーザー向けの PaaS として、IDC フロンティアのオンデマンド型リソース サービス「NOAH プラットフォーム サービス」を 2009 年 6 月 30 日にサービス インさせました。
<システムの概要>
顧客と運営の双方の視点が求められる仮想化システム 
 株式会社 IDC フロンティア ビジネス開発本部 企画部 サービス開発グループ 野間 和知 氏
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ユーザー企業の視点では、NOAH プラットフォーム サービスは共用ファイアウォール、仮想マシン (仮想サーバー)、仮想マシン用ストレージ、バックアップ用ストレージの各コンポーネントで構成されたデータセンターとして見えます。企業は仮想マシンの台数と仕様を指定して 1 か月単位で契約するだけでよく、物理サーバー上で何台の仮想マシンを動作させるかといった仮想化システム特有の設定に気を配る必要はありません。
仮想マシンに標準で含まれる IT リソースは、CPU、メモリー、ハード ディスク、仮想マシンからのインターネット接続環境、共用ファイアウォールのそれぞれ。1 台の仮想マシンあたり、CPU は最大 4 個まで、メモリーは最大 16 GB までの割り当てが可能です。また、ソフトウェアはすべてオプションとなり、OS ライセンス (Windows ServerR 2003/2008 Enterprise) とデータベース ライセンス (MicrosoftR SQL Server 2005/2008 Enterprise/Standard) については IDC フロンティア経由で 1 か月単位で利用できるようになっています。
運用管理サービスについては、メールおよび電話でのサポート (24 時間 365 日)、障害情報などを閲覧するためのカスタマー ポータル サイト、仮想マシン管理コンソールのそれぞれが基本料金内で提供されます。この仮想マシン管理コンソールはユーザー企業のシステム管理者向けの管理ツールとなるもので、契約中の仮想マシン (群) に対してシャットダウン、開始、スナップショットの取得と削除などを指示することができます。
このような論理的構成を支えているのが、NEC のハイエンド IA サーバー「Express5800/スケーラブル HA サーバ」とマイクロソフトの Hyper-V からなる物理的な実体です (図 1)。IDC フロンティア側での運用管理には、System Center ファミリの管理ツールが使用されています。System Center Virtual Machine Manager 2008 の機能の一部は、顧客向けの仮想マシン管理コンソールでも利用されています。
「NOAH プラットフォーム サービスの設計と構築にあたっては、利用率を最大限まで高めることを目指して、技術チームと一緒になって地道な努力を続けました」と語るのは、同社 ビジネス開発本部 企画部 サービス開発グループの野間 和知 氏。ストレス テストを含むさまざまな稼働状況でパフォーマンスなどの統計データを集め、トライ アンド エラーを繰り返して最適なシステム設定にしあげたと言います。「仮想化システムでは、お客様の視点と弊社のベア メタルな視点の両方から管理をすることが求められます。その意味で複雑さは確実に増しているのですが、だからこそ、そこを乗り越えることができればお客様にリーズナブルなサービスを提供できると思って、頑張りました」(野間 氏)。

 図 1 IDC フロンティアが提供中のオンデマンド型コンピューティング リソース サービス「NOAH プラットフォーム サービス」。Hyper-V 上に作られた仮想マシンを低価格で一般企業に提供しています。 [拡大図] |
<今後の展望>
短い準備期間でもサービス レベルを高く維持することで顧客ニーズに対応Hyper-V ベースの NOAH プラットフォーム サービスがサービス インしたことにより、IDC フロンティアはさまざまな定性的効果を手にすることができました。
霜鳥 氏は、Hyper-V の導入によって、ビジネス面でのもっとも重要な定性的な効果として、同業他社に対する差別化ができたと見ています。「データセンターのスペックが均質化しつつある現在、仮想化テクノロジーによるクラウド コンピューティング サービスを始めたことによって、新規顧客の開拓もしやすくなっているようです」(霜鳥 氏)。
また、「弊社データセンター サービスをご利用中のお客様に NOAH プラットフォーム サービスのご紹介をすると、かなりの確率でお話を聞いていただけます」(大屋 氏) と、既存顧客に対するクロスセリング/アップセリングの良い材料となっていることも大きな定性的効果です。
さらに、協業の機会も増えてきました。「ソフトウェア パッケージを持っておられるベンダーの方から、タイアップの企画がしばしば持ち込まれるようになりました」(霜鳥 氏)。そうした出会いから、IDC フロンティアの商材を再販してもらえるようになるケースも多いとのことでした。
定量的効果について、大屋 氏は「まだサービス インから日も浅いので詳細な統計数字は持ち合わせていないのですが」と断りつつ、高い信頼性がもたらす定量的効果に大きな期待を寄せていると言います。「高可用性サーバーを採用することによって安定動作するシステムを構築し、それを切り出してお客様にご提供する――というのが、NOAH プラットフォーム サービスの基本的な考え方です。ハードウェアの信頼性が元から高いので、冗長化されていない低価格サーバーやホワイト ボックスのサーバーに比べて、故障率はグンと低くなるものと確信しています」(大屋 氏)。
サービス レベルを高く維持でき、在庫としての予備機を減らせることは、経営面でも必ずやプラスに働くものと見込んでいます。
「そもそも、データセンター事業を基盤にプラットフォーム ビジネスをさらなる成長の柱としていくというのは、弊社の経営陣が決めた経営戦略でした。従来からのデータセンター サービスやホスティング サービスだけでは、お客様のニーズの変化に対応することができないからです。それをわずか 1 年足らずの準備期間で形にできたことについて、マネージメント層からは評価の言葉をいただきました」(大屋 氏)。
サービスが無事に軌道に乗ったことを受けて、IDC フロンティアでは NOAH プラットフォーム サービスの成果をさらに 2 つの方向で拡張しようとしています。
第 1 の方向は、サイト間連携。大屋 氏が構想を説明します。「将来を見据えた際に、さらなるサービスの可用性の向上やデータの増加に対する対処のしくみがポイントとなると考えています。お客様の利用システムの高度化や業務データが爆発的に増大している今、その可用性や大量のデータをいかに安全にお預かりするかを考えることもプラットフォーム ビジネスの重要なテーマとなりました。そのテーマに向けて、弊社の事業の基盤である 9 つのデータセンター施設を活かし、地理的に離れたサイト間での連携を模索し、サービス提供への道を検討しています」。
第 2 の方向として、最終的なエンド ユーザーにアプローチするためのパートナーリングのしくみ作りが進められています。現在、NOAH プラットフォーム サービスは顧客向け業務システムを開発・構築するデベロッパーやシステム インテグレーターによる利用が多いのですが、本来はさまざまな役割・立場のパートナー企業にプラットフォームとして使ってもらいたいというのが、IDC フロンティアの思い。もっとも可能性が高いパートナーリングの例として、大屋 氏はソフトウェア パッケージを SaaS として提供するベンダーを挙げます。
「コアの部分にマイクロソフトの Hyper-V を採用することにより、NOAH プラットフォーム サービスはお客様にとって魅力的なサービスとなりました。今後は、弊社の運用コストを引き下げたりお客様にもっと多くのバリューを提供したりするためにも、マイクロソフトと良い関係を築いていきたいと考えています」。
マイクロソフトの仮想化テクノロジー「Hyper-V」は、一般の企業だけでなく、データセンター事業というプロフェッショナルの世界でもキー テクノロジーとして認められています。
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