Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server の活用によって全世界にまたがる開発およびローカライズ プロジェクトを効率化。開発スピードの 200% 以上の向上と、顧客満足度の向上を実現
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アメリカ、東欧、アジアの 3 か所に置かれた開発拠点と協調し、開発者向けソフトウェアの開発および提供を行っているインフラジスティックス・ジャパン株式会社。同社では、開発拠点間でのデータの同期や、時差によるコミュニケーション ミスの防止、そして過去の開発資産を継承した効率的な開発を実現させ、効率的な開発と日本市場向けのローカライズを実現するために、グローバルな開発環境を一新することを検討。選ばれたのは、Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server でした。
<導入背景とねらい>
市場ニーズに即した開発スピードを確立するため、世界各拠点にまたがるプロジェクト体制の整備に着手 インフラジスティックス・ジャパン株式会社 (以下、インラフジスティックス・ジャパン) は、米国プリンストンに本社を置く米インフラジスティックス社の日本法人です。Windows 用のアプリケーションの開発者を対象に、Windows Presentation Foundation (WPF) や ASP.NET に対応したユーザー インターフェイス開発のためのフレームワークおよびコンポーネント製品「NetAdvantage」シリーズを提供しており、国内の開発者からも厚い支持を受けている開発ツールベンダーです。社員数はワールドワイドで約 280 人、オフィスは米国と日本を始め、インド、イギリス、ブルガリアに展開しています。
製品の開発は、米国とブルガリアの拠点が担当。最終的にインドの拠点でテストを実施し、できあがった製品を受けて、それぞれの国の拠点がローカライズ作業を進めます。ローカライズ作業は、日本国内だけで完結するわけでなく、バグの修正や動作テストなどは、開発を担う 3 つの拠点のエンジニアと絶えずコミュニケーションを取って進めなくてはなりません。こうして各国仕様に合わせた製品をリリースしていきます。
同社の製品は、開発者向けのツールであるため、最新技術へすばやく対応し、迅速にリリースすることが求められます。しかし、製品開発に携わるエンジニアが、米国、東欧、アジアに分散しているため、コミュニケーションのタイムラグが発生し、それが開発やローカライズ作業のスピードに影響を及ぼすという事態が相次いでいました。
日本市場向けのローカライズ作業を担うインフラジスティックス・ジャパンとしても、こうした状況を大きな課題と受け止めていました。インフラジスティックス・ジャパン 代表取締役のクーニング デビッド氏は次のように語ります。
「海外に開発拠点が点在していることで、ローカライズ時の不具合修正を始め、リリース後にお客様から上がってきたバグ修正依頼に迅速な対応ができませんでした。こうした問題に加えて、日本語環境でのテストや、ソースコード管理、バグの登録と修正、日本語への翻訳作業と、それぞれの作業によって異なるアプリケーションを使っていたため、各作業の同期や成果物の管理がしにくく、全体として大きなオーバーヘッドも生じていたのです」。
そこで 2008 年、インフラジスティックス社全体として、この課題解決に向けて製品開発およびローカライズ プロジェクト全体の質を上げ、製品リリースの短期化を目指すこととなったのです。
開発およびローカライズ作業に関するオーバーヘッドとして、特に問題となっていたのが、次の 3 点でした。
- ソースコード管理、バグの登録と修正、翻訳、進捗管理で別々のアプリケーションを使っており、各作業間で同期が取りにくい
- 海外開発拠点とのコミュニケーションにタイムラグが生じていた
- 旧バージョンで蓄積された成果や資産を継承できない。
これら 3 つの課題を解消するために検討を重ねた結果、「すべてを一気に解決するためには、『Microsoft Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server』しか選択肢がありませんでした」とクーニング氏は言います。
<システムの概要>
開発およびローカライズに必要な機能をシームレスに統合した開発環境を実現 インフラジスティックス社が、Team Foundation Server を選択した主な理由は、次の 3 点でした。
- ソースコードやビルドの管理、バグの登録と修正履歴の管理など、開発およびローカライズ作業に必要な機能が 1 つに統合されていること。
- Microsoft Office 製品などマイクロソフトが提供する別アプリケーションとシームレスに連携。開発拠点間を結ぶさまざまなコミュニケーションが実現できること。
- 一度作成したビルド ファイルを継続的に利用することができること。
そして 2008 年 3 月、米国本社が中心となり世界全拠点に Team Foundation Server が導入されました。導入にあたっては、その効果を最大限に享受するため、製品自体の機能拡張、Excel や Microsoft Dynamics など、マイクロソフトの他アプリケーションとの連携も積極的に進められています。
製品の機能拡張においては、マイクロソフトが無償提供しているツール「Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server Power Tools」 (以下、Power Tools) を利用し、「コミュニケーションのタイムラグ解消」、「成果物管理の効率化」、「開発作業の品質向上」の実現に努めました。
まず、コードの修正や変更発生時に、プロジェクト マネージャーに通知メールを出す「アラート機能」を追加。修正時にリアルタイムに通知されることで、時差に悩まされることなく、進捗状況を確認できるようにしています。
次に、Windows エクスプローラーから直接サーバーの情報を閲覧できる機能を追加することで、Team Explorer を起動しなくても、サーバー内に格納された成果物を管理し、閲覧できるしくみを搭載。
最後に、分散開発環境下における開発作業については、Power Tools で提供している「Check-In Policy Pack」を使うことで、強化を図りました。Check-In Policy Pack は、ソースコードが、あらかじめ登録してあるルールに沿ったものであるか検証し、ルールに反していた場合にはエラーメッセージを送信する機能です。これにより、製品開発自体の手戻りを解消すると共に、品質向上にも大きな成果が期待できます。
一方、他アプリケーションとの連携の狙いは、大きく分けて 2 つありました。1 つは全世界に分散する各拠点間の情報共有であり、もう 1 つは、ローカライズ作業における効率的なプロジェクト管理です。
まず、開発拠点にある Visual Studio 2008 との統合により、開発およびローカライズ拠点の両方において、より正確かつ迅速な情報共有を実現しています。
同時に「Microsoft Office Communicator」と連携させることで、Team Foundation Server 上で海外にいる開発者とチャットできるようにするなど、コミュニケーションの機能を補強しています。
また、Team Foundation Server は、Active Directory との連携により、職種に応じた権限設定が行えるため、「経営者」や「開発者」、「顧客情報管理者」などあらゆる作業者が同一の環境にアクセスし、最新のデータを参照しながらも、安心して仕事を進めることができるようになっています。
この利点を活かして、インフラジスティックス・ジャパンでは、プロジェクト管理ツール「Microsoft Office Project」ともデータを連携。経営者であるクーニング氏が、ソースコードに触れることができないように権限設定した上で、プロジェクトの進捗を逐一把握できる環境を構築。ローカライズ プロジェクトのマネジメント強化を実現しています。
この利点について、クーニング氏は「慣れるまでは、気になって進捗を確認していましたが、今まで何もトラブルはありませんし、全体の進捗も簡単に把握できます。プロジェクト全体の動きを把握するために時間を割いていた従前の環境がウソのようです。今ではすっかり安心しているので、プロジェクトの進捗を私が直接覗くこともほとんどなくなりました。その分、経営サイドの仕事に注力できています」と強調します。
さらにもう 1 つ注目すべきポイントとして、顧客管理に使っていた「Microsoft Dynamics CRM 3.0」との連携が挙げられます。インフラジスティックス・ジャパンで顧客サポートを担当するデベロッパーサポートエンジニアの池原大然氏は、Team Foundation Server との連携理由を次のように述べています。
「リリース後のバグ修正については、お客様である開発者の方々からバグの報告を受け、その情報を登録してから修正作業に入ります。社内では、Microsoft Dynamics CRM で顧客情報を管理していましたが、バグ登録システムと別々に運用されていたので、『どのお客様から、どんなバグ報告を受け取ったか』という情報の一元管理ができていませんでした。そのため、2 つのシステムで顧客情報が重複するという事態が発生しており、この点を解消するために Team Foundation Server と連携することにしたのです」。
こうして、Team Foundation Server は、開発およびローカライズのツールとしてだけでなく、顧客サポートを加えた 3 つの業務をつなぐ基盤として進化していきました。
 |  インフラジスティックス・ジャパン株式会社 代表取締役 クーニング デビット 氏 |
<導入効果>
開発およびローカライズ作業のスピードは昨年の 2 倍 CRM との連携で迅速かつ的確な顧客対応も実現 クーニング氏は、Team Foundation Server 導入によって「2 倍以上の生産性アップを達成した」と語ります。
「以前は、開発中の不具合を特定するだけで、ひどい時には数週間かかってしまうこともありました。こうしたオーバーヘッドが削減されたおかげで、2008 年は例年の倍もある 7 製品をリリースできました。当社のミッションは、『常に最新技術を必要とする開発者の方々を支援すること』ですから、この生産性向上は喜ばしいことです。また、品質管理という側面から言うと、これまでならば実装作業に注力していた時間を検証や修正に割り振れるようになったことが大きいです」。
また、日本市場向けローカライズ プロジェクトの責任者であるヴァグレ セドリック氏は、Team Foundation Server を「コミュニケーション ツール」として高く評価しています。
 ローカライゼーション・スペシャリスト ヴァグレ セドリック 氏 |  |
「ローカライズ プロジェクトは、各作業者の作業状況の報告で成り立っています。『いつ誰が、どのようにソースコードを修正および変更したのか?』、『成果物の格納場所はどこか?』、『全体的な作業の進捗度はどれくらいか?』。これらすべての疑問に対して、拠点間でスムーズなコミュニケーションが行えなければ、プロジェクト全体を管理することはできません。しかし、メールと電話に頼るコミュニケーションでは、時差などの障害を越えることはできませんでした」とヴァグレ氏。
こうしたコミュニケーションの必要性に応えるために、「アラート機能などが役に立っている」と続けます。
「Team Foundation Server に、『常に最新のデータが格納されている』ということ自体が開発者同士のコミュニケーションを円滑にしています。加えて、従来なら些細な変更でも作業担当者からメールで報告を受けなければならなかったのに、今では自動的にアラートが出て、世界中に変更を知らせてくれます。これも、効率的なコミュニケーション手段の 1 つとなっています」。
 |  デベロッパーサポートエンジニア 池原 大然 氏 |
Team Foundation Server では、あらかじめ設定したフォルダに常に最新バージョンのファイルが格納されるため、迷うことなく常に最新ファイルにアクセスできるほか、それぞれのファイルには、「誰がいつ、どのような修正を加えたか」という情報を追加できるので、どのような状態にあるかが一目で把握できます。さらに、ローカル フォルダとサーバー内のフォルダをチェックし、相違点を確認できるので、誤って古いファイルをサーバー側に上書き保存するというミスも起こりません。
また、アラート機能を使うことで、コミュニケーションのタイムラグが大きく解消したほか、「変更後のメール連絡を忘れる」というミスもなくなりました。
バグ修正の管理も向上しました。Team Foundation Server に登録してあるバグ情報を開発拠点側で閲覧し、その修正状況のログを残せるので、ローカライズ拠点側も作業進捗を把握できます。最新ファイルの格納場所も指定されているため、常に最新版で作業できます。その結果、障害箇所の特定がしやすくなり、手戻りなどのロスも発生することもなく、生産性が大きく向上したそうです。
また、ローカライズに不可欠な翻訳作業については、翻訳した文言を管理している Microsoft Office Excel を Team Foundation Server にインポートして利用することで、従来テキストのコピー & ペーストにかかっていた作業工数を削減しました。また、これらの作業の進捗は、Office Project に自動的に反映されます。
そして、「修正やローカライズを施した現バージョンのビルド ファイルを、そのまま資産として引き継げるようになったことが非常に大きい」と、ヴァグレ氏は話します。
「製品開発をマラソンにたとえるなら、これまでは一度走った距離を成果とすることができず、開発の度にスタートラインに戻って走り始めるという状態でした。しかし、Team Foundation Server 導入後は、すでに修正や翻訳を施した位置から開発をスタートできるので、差分のローカライズだけで済み、製品リリースのサイクルがより短期化できるのです」(ヴァグレ氏)。
ローカライズの観点でいえば、Power Tools の Check-In Policy Pack も大きく貢献しました。チェックイン時のルールを徹底することで、基となる製品自体の不具合が減り、ローカライズ作業におけるバグ修正作業の削減につながったのです。
このように開発のスピードが上がったことが、顧客満足度にも好影響を及ぼしていると、池原氏は話します。
「開発スピードが上がり、製品リリースのない時には日本語修正パッチを迅速に適用できるようになりました。そのため、お客様の方が弊社の修正スピードに追いつかず、修正済みのバグを報告していただくこともあります。いずれにせよ、製品の品質が上がることでお客様の満足度も向上し、より信頼されるようになってきました」と話します。
また、Microsoft Dynamics CRM との連携により、顧客データと、その顧客が報告してきたバグ情報を一元管理できるようになったため、問い合わせ時にも的確に対応できるようになったと言います。開発およびローカライズだけでなく、顧客対応という業務の中でも、 Team Foundation Server は欠かせないものとなっているそうです。
<今後の展開>
さらに進化する Team Foundation Server に期待 Team Foundation Server の今後の活用について、クーニング氏は「チェックイン ルールのさらなる徹底を図り、基本となる製品自体の品質を向上させることで、ローカライズ作業を現在以上に効率化させていきたいと考えています。これにより、来年はさらにリリース期間を短くし、より多くの製品を市場に投入していきたいと考えています」と話します。
さらにクーニング氏とヴァグレ氏は、早くも Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server の次バージョンに期待していると言います。ヴァグレ氏は、期待する機能として具体的に以下のようなものを挙げています。
「次バージョンでは、テスト機能がさらに充実するとのことで、その点に期待を寄せています。たとえばテスト環境や実行手順を記録しておけるので、開発拠点とテスト拠点で同じリソースを使うことができます。ローカライズの作業に入ると、日本語環境で不具合が起こっても、海外の開発拠点の方では英語環境であるために不具合が再現できず、なかなか問題を特定できませんでした。しかし、海外の開発拠点でも、日本で記録した不具合をそのまま参照し、検証できるようになれば、開発作業はさらに効率化されるでしょう」。
最後に、クーニング氏は言います。「マイクロソフトは、とてもソフトウェアの開発力に優れている企業だと認識しています。そして、開発に関するその優れたノウハウが Team Foundation Server には詰め込まれています。こうしたノウハウを共有し、活用できることは、非常に素晴らしいことだと思っています」。
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