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株式会社ジェイアール東日本企画

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掲載日: 2011 年 1 月 25 日

カメラの顔認識機能を活用し、"閲覧者数をレポートするデジタルサイネージ" を 11 の鉄道会社および鉄道系ハウスエージェンシーが共同で実験する一大プロジェクトに、Windows Embedded を OS とする株式会社ブイシンクの「adbo」を採用

「駅デジタルサイネージネットワーク」 (JR 新宿駅)

「駅デジタルサイネージネットワーク」
(JR 新宿駅)

11 の鉄道会社および鉄道系ハウスエージェンシーにより「デジタルサイネージ推進プロジェクト」が発足。このプロジェクトの共同企画・配信により、「駅ナカにおける広告系デジタルサイネージの最善の形」を探る実証実験メディア「駅デジタルサイネージネットワーク」が、2010 年 6 月 21 日よりスタートしています。そして、このプロジェクト推進を実現する筐体として採用されたのが、Windows Embedded を採用して開発された、株式会社ブイシンクの顔認識用カメラ搭載型デジタルサイネージ「adbo」でした。

■駅デジタルサイネージネットワーク設置 11 鉄道

小田急電鉄 京王電鉄
京浜急行電鉄 京成電鉄
西武鉄道 東京急行電鉄
東京地下鉄 (東京メトロ) 東京モノレール
東武鉄道 東京都交通局 (都営地下鉄)
東日本旅客鉄道 (JR東日本)  

<導入の背景とねらい>
駅ナカにおけるデジタルサイネージの「最適な活用方法」を探ることのできる筐体

株式会社ジェイアール東日本企画 交通媒体本部
媒体開発部 部長 山本 孝 氏

駅・車両・店舗さらには Suica など JR 東日本グループが持つさまざまな資源を活用した広告/マーケティング活動を展開し、独自のノウハウによるビジネス企画を開発・提案してきた株式会社ジェイアール東日本企画 (以下、jeki) は常に「交通広告媒体」の新しい可能性を模索しています。

その取り組みの一環として、今や広告事業にとって欠かせない柱にまで成長したデジタルサイネージの「駅ナカにおける最善の活用方法」を探るべく、jeki を幹事会社として 11 の鉄道会社および鉄道系ハウスエージェンシー (小田急エージェンシー、京王エージェンシー、京成エージェンシー、京浜アドエンタープライズ、西武鉄道、東京エージェンシー、メトロアドエージェンシー、東京都交通局、モノレール・エージェンシー、東武鉄道、jeki) により構成される「デジタルサイネージ推進プロジェクト」を発足。
2010 年 6 月 21 日より、鉄道会社の枠を超えて「駅で注目され、関心を持っていただける広告・コンテンツは何か?」を検証するため、デジタルカメラの顔認識機能を活用し、「どれだけの人が広告に目を留めたか」をレポートする実証実験メディア「駅デジタルサイネージネットワーク」を開始しています。

デジタルサイネージは、2002 年に jeki が導入した「トレインチャンネル」(現在約 18,000 面を展開) を筆頭として、広告不況が叫ばれる現在にあっても好調を維持している重要なメディアです。しかし、「まだまだ最適解は見つかっていない」と、jeki 交通媒体本部 媒体開発部 部長 山本孝氏は話します。
「この数年、トレインチャンネルや駅ナカの J・AD ビジョンなど、当社の事業におけるデジタルサイネージの重要性は高まっています。皆様に活用いただいているおかげで、音声を発しないデジタルサイネージに向けたさまざまなクリエイティブのアイデアなども蓄積されてきています。
しかし、デジタルサイネージの可能性はまだまだ大きく残されています。『デジタルサイネージに適したコンテンツはどのようなものなのか?』、『駅ナカにおいて、デジタルサイネージ設置に適したロケーションはどこなのか?』といった問いに対するベスト プラクティスはまだ生まれていないのです。
そこで鉄道会社の枠を超えて共同実験を行い、駅構内におけるデジタルサイネージ活用の共通したフォーマットを導き出せればという想いで『デジタルサイネージ推進プロジェクト』を発足させるに至ったのです」

そして 11 鉄道 20 駅 27 面という規模で、「駅デジタルサイネージネットワーク」がスタートします。しかし、このプロジェクトを支えるデジタルサイネージには必要不可欠の条件がありました。それが、「筐体の厚さが 100 mm 以内」ということと「顔認識用カメラを搭載」という 2 項目です。
そして、この条件を満たす製品が、株式会社ブイシンク (以下、ブイシンク) が提供する「adbo」でした。

山本氏は次のように説明します。
「実は、地下鉄のコンコースでは設置する場所により、看板等の広告媒体は壁から 100 mm 以上出てはいけないというルールがありました。そこでいくつかのメーカーの仕様を確認したのですが、そもそも内蔵しているモニターだけで 130 mm あるという回答もあるなど、なかなか条件に適合した製品がありませんでした。当社で J・AD ビジョンなどに利用している 65 インチのデジタルサイネージも 180 mm 程度あります。そこで、今回の選定に際しては、配信ソフトの比較検討よりも先に、『スリムな筐体を確保すること』が優先されました。
さらに、今回の実証実験を行うにあたり、『その広告がどれだけの人に見てもらっているか』あるいは『どのような人に見てもらっているか』を定量的に示すデータを得るために、ぜひとも顔認識用カメラを活用したいという想いがありました。
そして、この 2 つの条件を満たすメディアが、ブイシンクの『adbo』だったのです」

<システム概要>
Windows ベースの開発環境で配信ソフトの開発も容易に

駅デジタルサイネージネットワーク/オーディエンス トラッキング測定概要

■ 駅デジタルサイネージネットワーク/オーディエンス トラッキング測定概要[拡大する]

「駅デジタルサイネージネットワーク」に採用された「adbo」は、横型 52 インチのディスプレイで、筐体上部に顔認識用カメラを 2 台搭載しています。
この顔認識用カメラを使い、約 5 m 以内を通る人々が「広告を見たかどうか」を判別し、WiMAX を利用したインターネット接続でデータベースに認証結果を送信 (画像データは一時的にも蓄積しません)。翌日にはセンターで結果を集計し広告主へ媒体レポートとしてフィードバック出来る仕組みになっています。

識別範囲は、カメラの性能によって 10 m、15 m の距離までをカバーできますが、距離が広がれば広がっただけ対象とするべき通行人の数も増えると同時に、より広範囲を正確に識別するためにかなりの画素数も必要となります。そのためにデータ量が増大し、筐体内に搭載した CPU への負担が大きくなりすぎてしまうことから、今回の実験では 5 m 以内を認識範囲として設定していると言います。

こうして、さまざまな機能を搭載した「adbo」の組み込みの OS には Windows Vista for Embedded Systems が採用されていますが、これは「何も、特別なことではない」と山本氏は話します。
「私たちが駅ナカで運用しているサイネージは、すべてマイクロソフトの OS で動いているものばかりです。もう、Windows や Windows Embedded というのは私どもユーザーにとっては空気のように当たり前の製品であり、業界全体を見ても、ほとんどのシステムは Windows ベースのソリューションなのではないでしょうか。大きな安心感をもって採用させていただきました」

この点についてブイシンク 取締役 事業開発本部長 内藤正明氏は、次のように補足します。
「デジタルサイネージという "グラフィック" が重要なメディアにおいて、WMV や MPEG2 といったマルチメディア系の追加モジュールが必要ない Windows Embedded は『実行環境』として非常に有効です。
また、Windows Embedded は市販されている多くの周辺機器がサポートされています。今回の筐体では顔認識用のデジタルカメラを 2 台搭載しているのですが、デバイスの選定でベンダーに縛られたりすることがないことや、追加のための開発を最小限に抑えられることは、非常にメリットがあります。
さらに、Windows Embedded であれば、.NET Framework といったアプリケーション実行・開発環境や Microsoft Visual Studio といった強力な開発ツールが整備されています。当社でも過去、Linux + ネイティブ コードといった開発を行っていましたが、Windows + .NET と比較すると『開発生産性』という点で少し見劣りする感があります。
気がつけば、ここ数年の間に使用した OS は Windows Embedded ばかりになっています」

株式会社ブイシンク
取締役
事業開発本部長
内藤 正明 氏

株式会社ブイシンク
事業開発本部
開発グループリーダー
加藤 義弘 氏

実際に「adbo」の開発を担当したブイシンク 事業開発本部 開発グループリーダー 加藤義弘氏も .NET での開発を「非常に楽」と評します。
「Windows Vista for Embedded Systems 以降、.NET でいうと 3.0 以降は、さまざまなハードウェアを積極的に活用したアーキテクチャを作ることができるようになっています。それによって、PC が持っている CPU と GPU のリソースをより効率的に使うことができて、非常に助かっています。デバイスを直接制御する一部だけネイティブ コードを書いていますが、それ以外は全部 .NET のコードで書いています。
今回、カメラを 2 台搭載していますが、Linux ですとカーネルのバージョンなどいろいろな制約があって、メーカー側も稼働を担保しないことが多いというマイナス要素がありますから大きな違いがありますね」

内藤氏もまた、デジタルサイネージの要となる配信ソフト開発について、次のように話します。
「Windows Embedded を活用した方がはるかに有利です。
Linux などのフリーの OS に比べ、最初にライセンス費用がかかるということはありますが (笑)、それ以上のメリットがあると判断しています。グラフィックのさまざまな機能など、Linux ベースで開発する場合に比べて、半分から 3 分の 1 の期間で出来てしまいますから。配信ソフトを作る側にとっても、非常に便利ですよ。業界でも多く活用されています」

山本氏はユーザーの立場として、デジタルサイネージの選定では OS よりも、「通常はまず、モニターや配信ソフトのスペックがニーズを満たしているかどうかで決まってくる」と前置きし、「しかし、結論としては、ほとんどの配信ソフトが Windows 環境で開発されています。ですからもう、本当に空気のように、あって当たり前の存在になっていますね」と笑顔を覗かせます。

<導入効果>
11 鉄道をまとめて扱うメリットと効果測定レポートへの好評価で、高稼働率を記録

「駅デジタルサイネージネットワーク」がサービスを開始して以降、その稼働率は非常に高いと、山本氏は話します。
「この実証実験を開始して以来、おかげさまで稼働率は非常に高いものとなっています。
27 面という面数は、決して多い数ではありませんが、やはり 首都圏の 11 鉄道 20 駅にまとめて広告を出せるというのは、デジタルサイネージのセットとして、非常に面白い媒体であると認識いただけたのだと思います。また、今回は『どれだけの人が広告に目を留めたのか?』というレポートも、試行的にせよお客様に提出させていただいています。
この仕組み自体が、代理店様にとっても、クライアント様にとっても新しい試みとして評価いただけた結果だと思います」

そして今後、この「駅デジタルサイネージネットワーク」を通じて得たさまざまなデータが、駅ナカにおけるデジタルサイネージのベスト プラクティスの開発へとつながっていくことに期待していると、山本氏は続けます。
「当社がトレインチャンネルを導入した当初はまだデジタルサイネージという言葉も使われていない状況で、『声の出ないテレビ』と言われて、最初の 2 年間ほどは苦戦した経緯があります。それはやはり、広告側のクリエイティブも、今まではグラフィック、Web、TV-CM といった具合に、ほとんど決まったフォーマット、ノウハウがクリエイターの中で固まっているところに、この音の出ないメディアをどう扱うかという挑戦があったと思います。
今はおかげさまでトレインチャンネルを初めとするデジタルサイネージも成長し、文字数や文字の大きさ、カット割りの秒数など、コンテンツの作り方も、ある程度確立されてきました。しかし、駅ナカに設置するにあたり、画面を縦にするか横にするかということについても議論は尽きません。今回の『駅デジタルサイネージネットワーク』では、Web コンテンツとの連動も当然あると考え、横型を採用しましたが、この辺も含めた試行錯誤を続けている段階です」

また、顔認識用カメラを活用した効果測定の方法についても、今後業界標準が出来上がっていくことを期待していると話します。
「カメラの性能も、メーカーによって異なります。顔認識の技術も異なります。ですから、今はまだ顔認識用カメラを搭載したからといって、それで媒体の価値を定量的に把握できるとは考えていません。
今後の取り組みの中で、認識する距離、基準となる性能などの『仕様の標準化』、業界としての『運用ガイドライン』が出来上がると、お客様へ提出するレポートの信頼性も高まり、本当の意味で活用できる段階に至ると思っています」(山本氏)

<今後の展望>
Windows Embedded Standard 7 でグラフィック、セキュリティなどを強化。より良いデジタルサイネージ活用へ

jeki では、「駅デジタルサイネージネットワーク」のほか、駅ナカにあるデジタルサイネージを 2011 年中にあと 100 面、全体で 300 面弱にまで拡張、さらに車両内のトレインチャンネルに関しても京葉線への導入を含めて約 20,000 面を目指して拡張していく予定であると言います。

また、「adbo」も、さらに機能、信頼性を高めるべく、今後の開発は、Windows 7 をベースとした Windows Embedded Standard 7 (WES7) に移して行われていく予定であると、内藤氏は話します。
「もうすでに、WES7 の SDK (Software Development Kit) は購入し、基本的なテストを進めています。Windows XP Embedded 以来の本格的な Embedded OS であると実感しています。グラフィックに関しても Vista から大幅に強化された印象を持っています。また、重要な項目であるセキュリティについても、かなり強化されると期待しています」

高機能、高信頼性を誇るデジタルサイネージが、今後も展開面数を増やしていく中で、後方サービス側では、面数の増加や、イベント シーズンの測定処理の急激な上昇などにも柔軟に耐えるコンピューター処理性能が必要です。総コストを抑えつつ、迅速かつ柔軟に展開させるため Microsoft Windows Azure Platform などのクラウド サービス活用も、今後の視野に入れていると内藤氏は言います。
「今、筐体の中の PC は、Core 2 Quad の 4 Core CPU で構成していて、Microsoft SQL Server Express を搭載しています。Microsoft SQL Azure であれば、この端末とも親和性が高く十分なパフォーマンスを持った環境を、リーズナブルに活用することができます。こうしたメリットも、マイクロソフトのプラットフォームを活用し続ける理由になっていますね」

最後に、山本氏は次のように締めくくります。
「広告のデジタル化は交通広告の分野において、非常に大きな可能性を秘めたトレンドであると思います。そうした中、クライアント様にとっても付加価値の高い駅ナカ、および車両広告として『価格』『機能』『性能』など、さまざまな面で今後も成長すること、そして業界標準となる基準が生まれていくことでしょう。
私たちとしては、配信ソフトやハードウェアの機能・性能の向上や、クリエイティブの新しい手法、そして顔認識用カメラ活用などに関する業界標準の策定など、さまざまなことがしっかりとかみ合って、より良い形に展開していければと期待しています」

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ソリューション概要

プロファイル

株式会社ジェイアール東日本企画外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますは、1988 年 5 月 9 日、東日本旅客鉄道株式会社の戦略子会社第 1 号として発足して以来、車両、駅ナカという東日本旅客鉄道株式会社の資産活用を行う事業の一環として、単に広告業務にとどまらず、総合的なマーケティング企画業務に従事。駅・車両・店舗さらには Suica などの JR 東日本グループが持つさまざまな資源および当社の積み上げてきたノウハウをクライアントのニーズとうまく組み合わせることにより、当社独自のビジネス企画を開発し、提案できるマーケティング・ノウハウを有しています。

導入メリット

  • Windows Embedded Standard 7 への移行により、グラフィック、セキュリティともに向上
  • Linux での開発に比べ、半分から 3 分の 1 の工数で開発が可能
  • メーカーの縛りもなく、顔認識用カメラを自由に選択可能
  • Microsoft .NET Framework 上に整えられた豊富な開発環境で柔軟に開発可能

ユーザーコメント

「私たちが 駅構内において運用しているデジタルサイネージは、すべてマイクロソフトの OS で動いているものばかりです。もう、Windows や Windows Embedded というのは私にとっては空気のように当たり前の製品であり、業界全体を見ても、そのほとんどは Windows ベースのソリューションなのではないでしょうか。大きな安心感をもって採用させていただきました」

株式会社ジェイアール東日本企画
交通媒体本部 媒体開発部
部長 山本 孝 氏

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