販売、購買、在庫の管理システム 3 本を Microsoft Dynamics AX で統合化 & リプレース 新経営管理システムによる情報共有と活用が、もの作りの現場力と効率をアップ
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世界一の品質を誇るわが国製鉄業界の一翼を担う JFEグループにあって、電気炉精錬技術を核とした新技術および新商品の開発を進める JFEマテリアル株式会社 (以下、JFEマテリアル) 。同社では 2008 年、Microsoft Dynamics AX による「新経営管理システム」を導入しました。従来の販売管理、購買管理、そして在庫管理の 3 システムを刷新して、既存の経理システムまで含む全社的なデータベース統合と共有を実現。さらに JFEグループの連結決算システムとも連携して、月度決算や日報処理などの大幅なスピードアップと、手作業では避けられなかったタイム ロスやミスの根絶を可能にしました。
<導入背景とねらい>
グローバル化を生き抜く
迅速な情報発信、共有のシステム構築を決意 
 JFEマテリアル株式会社 代表取締役社長 松本 敏行 氏
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押し寄せるグローバル化の中で、わが国の製造業は厳しい国際競争に直面しています。基幹産業を代表する製鉄も例外ではありません。高い品質と業務の効率化をいかに両立させていくかは、製鉄業界にとって喫緊のテーマになっています。そうした中で JFEマテリアルは、IT による「もの作りの現場改革」に早くから真摯に取り組んできたと、代表取締役社長 松本敏行氏は強調します。
「私たちの仕事は、経営面でも技術面でもますます難しさを増しています。海外メーカーとの価格競争がある中では、これまで以上に高い品質を維持する一方で、限られた人員による業務の効率化が要求されてきます。そこでこれらの課題をサポートするための、新しい IT システムを導入しようと考えたのが始まりでした」。
マスター プランの立ち上げが始まったのは、2007 年のことでした。自社開発も含めた企画のシミュレーションが繰り返され、全社的なデータベース連携などの基本要件が洗い出されていく中で、新しいシステムのコンセプトも固められてきたと松本氏は語ります。新経営管理システムの導入プロジェクト開始にあたって松本氏は、「より多くの実務者が関与して構築すること」と「現場自身が何をしたいのかを明確にすること」の 2 つを大原則として掲げました。
「もの作りで最も重要なのは現場です。データを机の上に取り出して、そこで満足していては意味がありません。たとえば生産の歩留まりの数値に問題を発見したら、それを生産現場にフィードバックして初めて問題解決につながるのです。事務所と現場が乖離している限り、現場は決して盛り上がりません。そこで、それなら一気に現場にシステムから直接データを参照したり活用できるしくみを作ってしまおうと決めたのです」。
製鉄業に限らず製造業の現場は職制が強く、そのヒエラルキーの下、各人は上からの業務命令に従って動きます。厳格な統制が取れる反面、スピード感や状況変化への柔軟さに乏しい組織では今後を乗り切れないと考えた松本氏は、「組織間連携」というキーワードを重視したと振り返ります。
「せっかく良い製品を作っても、販売の現場がそれを知らないと売れない。逆に売れ行き好調の情報がすぐに製造現場に伝わらないと、生産が追いつかない。各部門がお互いにリアルタイムで情報を共有し合うことで、組織全体が活性化しスピードアップしていけるシステムが必要です。特に製鉄業は業務の体質が古い分、最新の情報システムを入れればそれに牽引される形で、組織そのものが効率化の方向に変わっていくという確信がありました。今回の "新経営管理システム" は、そうした最初の大きな試みだったと言えます」。
<導入の経緯>
パッケージの標準機能のみですべての要件をカバー
省コスト性も採用の決め手に 
 JFEマテリアル株式会社 企画管理部長 松井 卓也 氏
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 JFEシステムズ株式会社 東京事業所 関連企業営業部 部長 田中 智 氏
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新経営管理システムの導入プロジェクトが本格的に動き出したのは、2007 年 9 月でした。既存の販売管理システム、購買管理システム、そして在庫管理システムの 3 つを一挙に刷新することになったきっかけは、既存システムの老朽化問題、経営判断に必要な情報を迅速に収集したいという経営ニーズへの対応、そして親会社である JFEスチール株式会社からの決算作業短縮要請に対応するための事務作業効率の向上、これらを同時に求められたことだったと企画管理部長 松井卓也氏は振り返ります。
「そこで、自社で検討していた情報共有の考え方を盛り込みながら、システム企画の検討を始めました。当初は販売管理と購買管理のリプレースを考えていたのですが、後々のことを考えるとできるだけ個々のシステム間が連携できる方が便利です。そこで、在庫管理システムを加えた 3 つをまとめて刷新しようということになったのです」。
JFEマテリアルでは、具体的な製品選定を同社のシステムを手掛けてきた JFEシステムズ株式会社 (以下、JFEシステムズ) に依頼。いくつかの候補を比較検討した結果、Microsoft Dynamics AX の採用を決定しました。この過程では、パッケージの機能に加えて価格やソフトウェアの将来性、メンテナンスの容易さなどについても細かなアドバイスを受けながらチェックを重ねていったと松井氏は語ります。
「旧システムも市販パッケージだったのですが、既に 10 年近くを経過して陳腐化しているうえ、カスタマイズを施している部分が多く、その作り直しにかなりのコストがかさみそうでした。その点 Microsoft Dynamics AX は、標準機能で既存のほとんどの要件がまかなえ、帳票関係を中心に多少の手を加えれば業務に適合することがわかったのです」。
とりわけ大きな採用ポイントは、コスト パフォーマンスの高さでした。
「当社は従業員数約 200 名とあって、ERP だからといってそんなに大きなシステムを導入するわけにいきません。そこで "最小投資で最大効果" をキーワードに、会社の規模に合った予算内で要件を満たせる製品を探してほしいと頼んであったのです。特に 3 つのシステムを 1 本のパッケージですべてカバーできる点は重要でした」。
2007 年 12 月には最終的な採用決定が下り、翌 2008 年 1 月からは開発に着手。アドオンや周辺開発も含めて 1 年半後の 2009 年 5 月に完成し、トレーニングなどの準備を経て 2009 年 8 月には本格的な運用が開始されました。
一連の開発と導入に携わってきた JFEシステムズ 東京事業所 関連企業営業部 部長 田中智氏は、「足掛け 2 年という期間を費やした理由は、在庫管理システムの開発前のディスカッションです。販売管理や購買管理と異なり、在庫管理システムでは製造現場が深く関わってきますし、また将来構想としてあった生産管理システムとも密接な関係が出てきます。そこで製造現場の担当者に加わっていただき、ヒアリングを実施したのです」と前工程に時間をかけたねらいを明かします。
「もの作りの現場では、常に予期しない状況の変化が起こります。そこで単純なリプレースではなく後々の拡張性を確保できるよう、まったく新しく開発する気持ちで、最初の 3 か月くらいは直接システムを使わない担当者からも入念にお話を伺っていきました」 (田中氏) 。
完成した 3 つの新しいシステムは、中間プログラムを介して、2006 年に導入した経理システムと接続され、この経理システムを経由して最終的には JFEグループの連結決算システムとも連携する大きなネットワークを構成しています。
「Microsoft Dynamics AX はデータ連携の機能が優れているので、独自仕様を持つ経理システムともスムーズにつなぐことが可能です。ここも採用理由の 1 つになりました」 (松井氏) 。
<導入効果>
紙や Microsoft Excel からの二重入力の手間やミスを根絶
経理を中心に飛躍的な効率のアップが 
 JFEマテリアル株式会社 企画管理部 経理室長 一刎 日出雄 氏
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システムの刷新から既に 2 年。さまざまな業務改善の中で、最も注目すべき導入成果の 1 つが、全社共通、共有のデータベースを構築できたことだと松井氏は語ります。
「新システム導入前は、工場内の部署ごとに個人が Excel や紙文書で作成したデータを事務所に集約し、人手で集計や入力の処理をしていました。このためどれが最新データなのか、またそのデータが唯一の原本なのかが判断できなかったのです。それが各現場から直接データ入力と共有ができるようになって、データのバージョン管理や整合性が確実に担保されるようになりました」。
もう 1 つの顕著な成果は、業務の大幅な効率化です。各部署から共通データベースを自由に利用できるようになった結果、経理部門を中心に業務効率が飛躍的にアップしていると松井氏は語ります。
「月度決算を例に見ると、従来は処理作業に 4 日くらいかかっていたのが 3 日程度と、およそ丸 1 日早まっています。今までは紙文書を手作業でシステム上に転記していたのが、始めからデータで部署から上がってくるうえ、処理過程での加工も自在といった一連のメリットが、事務の省力化に明確に反映されています」。
こうした現場での活用が順調に進んだ背景には、Microsoft Dynamics AX のユーザビリティの高さも大きく貢献していると、エンド ユーザー側のマネージャーである企画管理部 経理室長 一刎日出雄氏は評価します。
「情報源に最も近い現場が自ら情報を発信していくことが、完全な情報共有と活用のしくみを実現するうえでは不可欠です。それだけに、システムにはできるだけ入力しやすく使いやすい環境が要求されますが、さいわい当社では普段から Excel や Microsoft Access を使っているので、操作性での共通点が多い Microsoft Dynamics AX のユーザー インターフェイスはなじみやすく、新システムではありましたが取り組みやすかったというのは幸いだったと思います。具体的には、紙文書からの再入力という手間がなくなったこと。その結果データベースから直接データを取れるので、データが確定したらすぐに作業にかかれること。そして、手作業に付きもののミスがなくなったことが挙げられます。経理部門だけを見ても、月ベースでは全体に作業が早くなり、最近では多少の余裕まで生まれるようになりました」。
この他、導入の初期には JFEシステムズに依頼して、最低限の PC 操作に必要なマニュアルも作成。また、社内の若手スタッフを問い合わせ対応のシステム専任者として置き、「何でもこの人に聞いてほしい」とアナウンスするなど、現場密着型の啓蒙活動を進めてきたことが、現在の盛んな活用につながっています。
<今後の展望>
外部システムとの連携や BI 活用までを視野に
多彩なシステムの可能性を探る現在 JFEマテリアルでは、現場の第一線がデータ入力を行い、そのデータを全社的に利用できる環境の実現に向けて力を注いでいます。製鉄の現場では、システムを直接操作する作業は普段そう多くありません。このため PC 操作に慣れていない社員も多く、現状は Excel などに入れたデータを事務所でまとめている部門もあちこちに残っています。しかし一番ホットな情報は現場にあるため、2012 年中には、現場が日常的に入力を行えるレベルまで持って行きたいと松井氏は考えています。
「手始めに、日報改革を実施します。現在も作業日報は Excel で作成しているので、システムの端末画面上に似た入力フォームを用意して、日々の最新情報を現場の第一線から発信できるしくみ作りを進めています。また意識作りという点では、 "データの重み" をいかに理解してもらうかが課題ですね。紙は受け取った人が目視でチェックできますが、データは入力したら間違いがあってもそのまま生きてしまうだけに、データを注意深く扱う意識の育成は不可欠です」。
現在 JFEマテリアルでは、新たに生産計画のシミュレーション システムを開発中ですが、松井氏はこれらの社内システム間のリンケージを含む、さらに多彩な活用のアイデアにチャレンジしていきたいと意気込みを見せます。
「たとえば品質管理システムや開発中のシミュレーション システムなどの各種業務システムとの連携や、統合データベースを活かしたデータ加工、活用といった BI 的な試みにも挑戦していきたいと願っています。またそのためにも、これまで以上に JFEシステムズの支援をお願いしたいですね。SE という枠を越えて開発日程管理や課題管理という面までを力強くサポートしてくれる同社には、これからも期待しています」と語る松井氏。
JFEグループ同士の絆から生まれた実績をステップ ボードに、JFEマテリアルはわが国鉄鋼産業の競争力の最先頭を目指して突き進んでいきます。

 JFEマテリアルの製造サンプル:フェロクロム |
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