メンテナンス不要で常時運用できるサービスとしてMicrosoft Online Services を採用。 SLA のあるクラウドを利用することで安定性と信頼性を確保し、運用コストの削減を実現
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情報分野で活躍する人材を育てている神奈川工科大学の情報学部では、学内にメール サーバーを設置し、メールを活用していましたが、サーバーの保守期限が切れることから運用コストを見直すことを決定。教職員用のメールに Microsoft Exchange Online を採用し、24 時間 365 日安定稼働できる信頼性の高いサービスを確保しました。また、Microsoft SharePoint Online による情報共有も行い、クラウドを活用した情報コミュニケーション化を推し進めています。
<導入背景とねらい>
運用コストを下げながら
常時利用できるサービスを求める 
 神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科 准教授 春日 秀雄 氏
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神奈川工科大学は神奈川県厚木市に位置し、工学部、創造工学部、応用バイオ科学部、情報学部の 4 学部を設置し、11 の学科でそれぞれの分野を広く、深く学ぶことができる 4 年制大学です。「創造する力」「豊かな人間性」「コミュニケーション能力」「基礎学力」の 4 項目を教育の柱としている同学では、学力にあった少人数基礎教育、創造性・知的好奇心を育む体験型教育、得意分野を伸ばす個人指導、感性と国際性を涵養するコミュニケーションの促進という教育方針を掲げ、工学系大学として社会により具体的に役立つことを重視した「課題解決型教育研究」に力を入れています。
情報工学科、情報ネットワーク・コミュニケーション学科、情報メディア学科の 3 つの学科を持つ情報学部では、従来からのメール システムに課題があり、学内の教職員向けのメール サービスの入れ替えを 2010 年春前から検討していたと言います。「2011 年の春に当時のシステムのリース期限が切れるので、現状のシステムを継続するのか、新しいものに入れ替えるのかを決める必要がありました。一番の課題となったのは、メール サーバーの運用コストとメンテナンスの問題です」と情報学部 情報メディア学科 准教授の春日秀雄氏は話します。
同大学は、学内に設置されたサーバーに Linux 系のメール サーバーを導入し、運用を外部に委託していました。しかし、「これまでも、できるだけクオリティの高いシステムを提供するようにしていましたが、何らかのトラブルが発生すると修復に時間がかかってしまうこともありました」と春日氏は問題点を指摘します。「また、1 ~ 2 か月に 1 回くらいは、メンテナンスのためにメール サーバーを止める必要がありました。ちょうどそのメンテナンスの日に学会関連のメールを受け取って返信しなければならない先生がいて、困ったこともありましたね」と春日氏は続けます。土日であってもメールを利用しなければならない場合もあり、教職員の仕事をスムーズにさせるためにも、24 時間 365 日ノンストップで提供できるメール サービスの構築が課題となっていたのです。
<導入の経緯>
あらゆる選択肢を検討して
SLA 契約のあるクラウド サービスを採用 
 神奈川工科大学 情報学部 技術スタッフ 小高 泰陸 氏
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サーバーやシステムの保守やメンテナンスを担当している情報学部 技術スタッフの小高泰陸氏は、検討当時の選択肢について、次のように振り返ります。「検討当初は、クラウドというものを意識していたわけではありません。オンプレミス、学内またはデータ センターに置くアプライアンス型のメール サーバー、レンタル サーバー、クラウド系のサービスなど、運用面、コスト面、安定性、信頼性などが保たれれば、形態にはこだわらず、あらゆる可能性を検討しました」。
神奈川工科大学では、転送メールなどをこれまでと同じような操作感で使えるということから、従来から利用してきた Linux 系のオンプレミスのメール サーバーも最終候補として残りました。しかし、最終的にはクラウド系の 2 つのサービスが候補に残り、Exchange Online を採用しました。「安定性や信頼性に加え、コスト面で Exchange Online を採用することにしました。従来のサーバーに比べてコストを抑えることができるうえ包括ライセンスなどを適用すれば、さらに低コストになることも魅力でした」と小高氏は話します。また、春日氏は CO
2 削減やエコについても選択の重要なポイントだったと話します。「学内ではなく、省電力性に優れたデータ センター置かれたクラウド サービスを利用することによって、消費電力を抑えることができ、CO
2 削減やエコに貢献できるということも考えました」。
クラウド型のサービスの中には、Microsoft Live@edu をはじめ、教育機関向けに無償サービスを提供しているものもあります。これらを選択しなかった理由を小高氏は、「もちろん、他のクラウド サービスの教育機関向け無償サービスも検討しました。しかし、サービスに制限があったり、サービスの停止や提供中止の可能性が規約に書かれていたため、候補からは外したのです」と答えてくれました。メール サービスの品質と安定性を求める神奈川工科大学では、SLA (Service Level Agreement) が保証されているサービス以外は、選択肢になりえないと判断しました。
もともと、信頼できるメーカーから提供されているクラウドであれば、安定性と信頼性は担保できると考えていた神奈川工科大学情報学部ですが、2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災後は、クラウドの信頼性の高さと必要性をより痛感したと言います。「震災時には、既にアカウントを用意していて 3 月 15 日に切り替える予定にしていました。その最中に震災が発生したため、多くの先生方と連絡が取れず、個人的に知っている連絡先に頼って情報を収集しなければなりませんでした。もう少し早く切り替えていれば、クラウドの大きなメリットを実感できたと思います」 (春日氏)。
小高氏も「停電が起きたときに学内のメール サーバーを利用していたとしたら、自家発電装置などを導入しない限りサービスを継続させることはできず、さらにコストがかさむことになります」と話し、震災後の計画停電などでクラウドのサービス継続性を実感したと言います。
また、教育機関として外部にデータを預けることに対して、学内からの不安や抵抗感について、春日氏は次のように語ります。「外部のサービスを使いたくないという先生方は少なからずいます。しかし、先生方の多くはネットワーク関連の知識に強く、外部にデータを置くことの利点も問題点も把握していただいているので、最終的には理解していただいています。また、今回の震災で外部にシステムがあったほうが安心できると考えられている先生方も少なからずいるのではないでしょうか」。
<システムの概要>
モバイル環境からのアクセスが好評
大幅な運用コスト削減も実現するExchange Online の採用を決めた情報学部では、教職員用に 150 アカウントを導入し、2011 年 2 月末からメール サーバーの移行を始めました。「導入は非常に簡単でした。オンプレミスでサーバーを立てる場合は、手作業でやらなければならないことが結構あるのですが、Exchange Online はあらかじめ用意されているテンプレートに従って設定するだけでよく、これといって難しい作業もありませんでした。オンプレミスなら 1 ~ 2 か月かかるため、春に向けて 2 月末から作業を開始したのですが、 10 日ほどで作業を完了して仮ドメインで確認することができ、後の時間をメール ソフトの設定などのマニュアル作りに充てることができました」 (小高氏)。
導入後のメリットについて真っ先に「メンテナンスしなくても常時使えること」と答えている春日氏ですが、当初ねらっていた効果以外にも、モバイルでの利便性などの効果もあったようです。「以前は、学会などの外出先や自宅からメールをチェックするために、オンプレミスのサーバーにセキュリティや設定上の制約があったため、転送メールなどを利用していました。しかし、Exchange Online では、携帯電話やスマートフォンで簡単にメール チェックできるので、大変便利だと感じている先生方も多く、こんなに簡単だったらもっと早く導入してくれればよかったのに、という声も上がっています」。
また、他のユーザーを指定して、自分の代わりにメールの送信を行うことができる「代理人」などの機能も、管理者アカウントに切り替えなくても管理作業などが行えて便利だ、と春日氏は続けます。「さまざまな機能があるので、今後使っていくメリットは数多くあると思います。必要な人がいれば、順次導入していきたいですね」 (春日氏)。
当初からねらっていた運用コストの軽減に関して春日氏は、「以前のオンプレミスのシステムと比べ、大幅なコスト削減が実現できたと思います」と、手応えを感じているとのこと。小高氏も「以前は、トラブルが発生すると正常に稼働するまでサーバーに張り付いて管理する必要があり、ハードウェアの交換で部品が来るまで待機しなければなりませんでした。そのための時間を削減できただけでも大きな効果だと思います」と話します。さらに小高氏は、作業負担が減り、時間的な余裕ができた現状について、「先生方が、何の問題もなく、どこからでも 24 時間メールが使えるようになったので、かえって質問メールが気軽に送られてくるようになり、作業依頼なども増えてしまったように感じています」と笑いながら話してくれました。「仕事が楽になった、というよりも、仕事の質が変わった、と感じていますね。これまではサーバーの管理などにかけなければならなかった時間を、今後は他のシステムの機能アップやサポート対応などにまわすことができるようになると思います」 (小高氏)。
Exchange Online とともに導入した SharePoint Online は、学科ごとの情報共有に活用されています。「これまでは、Web サーバーを立てていましたが SharePoint Online を導入することで学科ごとに情報共有を便利に行うことができるようになり、会議の議事録の共有などに役立てています。情報学部全体にアナウンスされるような資料にも活用していきたいですね」 (春日氏)。
<今後の展望>
さらに機能を活用して
情報共有を進めていく神奈川工科大学情報学部では、今後は今回導入した Exchange Online と SharePoint Online をさらに活用していくことが直近の課題だと春日氏は説明しています。前述の Exchange Online の機能を順次採用していくということに加え、学部内の学生用のメールをクラウドに移行させることも検討しているとのこと。「学生用のメールは連絡が取れることが主となるので、無償サービスを検討するかもしれません。クラウドに大きなメリットがあることは何人かの先生方と話をしていますが、いずれにしても移行するとなれば情報学部だけでなく全学で移行しなければ効率的ではないため、今後も話し合っていかなければならない課題だと思います」 (春日氏)。
学科ごとに独自の使い方で情報共有に活用している SharePoint Online についても、今後使いこなしてさまざまなアイデアを具現化していく予定です。「たとえば、学部内の先生方のスケジュールをひとめでわかるように管理できれば、先生方が助かるだけでなく、事務職員が先生方のスケジュールをすぐに把握できて便利になります」と春日氏が話すように、SharePoint Online をグループウェア的に活用して、情報発信と共有を行うことも考えられているようです。
小高氏も「SharePoint Online については、まったく知らないシステムであったため、導入時に理解するまでが大変でした。マイクロソフトにステップ バイ ステップで簡単にわかるようなものはないか、と問い合わせて、チュートリアルのようなものを提供していただき、サイトを作り始めました。今後は、もっと使いこなして、先生方の要求に応えられるようなサービスを作っていきたいですね」と期待を寄せています。
最後にマイクロソフトに対して春日氏は、「われわれは、独自の研究スタイルでシステムを活用することが多く、先生方の要求のバリエーションが多いため、外部のシステムで実現できないケースも多々あります。クラウド サービスの利点の 1 つは、順次機能が拡張され、システムに反映されることにあると思いますが、われわれのようなユーザーのことも考えて機能拡張を行ってくれるとありがたいですね。たとえ細かな要求でも、すぐに聞いて対応してくれるようなサービスが望ましく、小さな需要をいかに汲み取ってくれるかが大学にとって重要なのです」と今後の要望を語ってくれました。
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