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KDDI株式会社

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掲載日: 2010 年 3 月 16 日

Microsoft® Office Visio® で作成した図面データを、Microsoft® SQL Server® で管理。通信局舎 (データ センター含む) 図面の自在な開閉と履歴管理による共有体制を実現

KDDI株式会社 (飯田橋ビル)

KDDI株式会社 (飯田橋ビル)

KDDI株式会社 (以下、KDDI) は、2000 年 10 月、第二電電株式会社 (DDI)、国際電信電話株式会社 (KDD)、日本移動通信株式会社 (IDO) の 3 社が合併して発足。固定通信事業と au ブランドで知られる、移動通信事業を併せ持つ、国内屈指の総合情報通信企業です。同社は拡大する加入者数や高度化を増す新サービスの提供などを背景に、通信局舎の機器配置や構成画面は頻繁に変更が繰り返され、最新情報の共有が困難な状況にありました。そこで同社は、Visio と SQL Server を基盤に、社内関連部署や施工協力会社様など関係者全体がリアルタイムに共有できる体制整備を模索。株式会社マイスターの DataMixer for Visio を核にした新システムの導入により、課題の解決を図りました。

<導入の背景>
頻繁に更新される図面データ。
一元管理によるリアルタイムでの共有を指向

KDDI における固定通信系サービスの基盤となる設備の配置や機器の実装などを示す図面は、合併前の各社が作成していたさまざまな図面が混在しており、それらが設計や運用保守管理を行ううえで大きな負荷になっていました。
一方、加入者の増加や新サービス提供などに伴って、通信局舎の設備機器類やそのレイアウトも常に追加や更新が繰り返されており、それを管理する図面も高頻度で更新されていました。
こうした状況に加え、建設工事などに携わる施工協力会社様も多岐にわたり、関係者が相互に最新の図面情報を共有することは容易ではありませんでした。

KDDI株式会社
ネットワーク建設本部
ネットワーク建設業務部
建設管理グループ 課長
大島 雅美 氏

通信設備の工事、試験、運用保守のあらゆる段階で円滑な業務遂行をサポートする役割を担う、KDDI株式会社 ネットワーク建設本部 ネットワーク建設業務部 建設管理グループ (旧所属 ネットワーク建設本部 建設1部 統括グループ) 課長 大島 雅美 氏は、次のように語ります。

「まず、図面の書式やスタイルを 1 つにまとめ、設備情報の統合データベース化を図りたいと考えました。以前は図面データをそれぞれの部署やサービス担当者ごとにファイル管理していたので、頻繁に更新される情報を一斉に共有することが難しかったのです。また、合併以前の 3 社とも、図面作成や管理には、Visio と Microsoft® Office Excel® を活用しているケースが多かったので、その資産や文化を継承しながら、リアルタイムな図面共有ができないだろうかと考えました」。

<導入の経緯>
同一図面を複数のユーザーが同時に開きながら、
履歴管理できるシステムを検討

新日鉄ソリューションズ株式会社
ITインフラソリューション事業本部
ITサービス事業部 プロフェッショナルサービス部
コンサルティンググループ 部長
田中 慎一郎 氏

株式会社マイスター
ソリューション事業部
取締役 部長
佐藤 文仁 氏

KDDI では、こうした課題へのソリューションを求めて、新日鉄ソリューションズ株式会社 (以下、新日鉄ソリューションズ) の図面管理セミナーに参加しました。

その経緯について、新日鉄ソリューションズ の ITインフラソリューション事業本部 ITサービス事業部 プロフェッショナルサービス部 コンサルティンググループ 部長 田中 慎一郎 氏は次のように説明します。

「新日鉄が公共的な社会インフラ建設に貢献してきたという歴史的経緯などを踏まえて、当社にご相談いただけたものと自負しております。KDDI 様の課題は、『排他制御的に管理された図面ファイルに対して、1 つの図面を複数のユーザーが同時に開いてそれぞれが更新を図りながら、その編集履歴を管理するシステムを Visio ベースで実現したい』というものでした。さまざまな方法を検討した結果、株式会社マイスター (以下、マイスター) のアプリケーション、DataMixer for Visio の適用が最適と判断しました」。

マイスターのソリューション事業部 取締役 部長 佐藤 文仁 氏は、DataMixer for Visio の基本的な設計思想を次のように解説します。

「本製品は『DataMixer for Visio』というネーミングが示す通り、Visio で描かれた図面の同時編集を可能にするアーキテクチャを持ったアプリケーションです。たとえば、他の人が作成した図面を上書き更新した場合にも、それぞれの変更情報や元の情報を保持して、相互の図面を自在に重ね合わせることができます。つまり、Visio で作成した図面情報にラックや機器などの位置情報を含めたデータを、SQL Server のテーブルに載せ、サーバー側で一元的にデータベース管理します。各ユーザーは、データベースへのアクセスを意識せずに自己の求める図面を手元の PC で開き (チェックイン)、それぞれのニーズに即した更新を加えて閉じる (チェックアウト) だけです。SQL Server に戻された各自の変更データは、それぞれ本製品によりレイヤー管理されますので、元データや各自の更新履歴を保持しながら、更新時の入力情報 (管理番号や作業内容など) を基に、確定した複数のレイヤー (編集後の状態) 同士を指定して重ね合わせることで変更の反映が行われます」。

2004 年 6 月、佐藤 氏はプロトタイプ版の DataMixer for Visio を持ち込んで、複数ユーザーによる図面の開閉と、レイヤー管理による変更反映のデモを実施しました。通信キャリアの局舎ならではの複雑で高頻度の図面変更にも十分に対応できることが確認され、実際の業務フローに合った実装が可能かどうかを検討した結果、可能であるとの判断に至り、導入が決定されました。

図 1 Visio による画面例 (1 担当者それぞれが作図し、編集確認を行う → 2 各データをレイヤー管理しつつ、内容を統合 → 3 KDDI担当者が複数案件を一度に編集確認)

図 1 Visio による画面例 [拡大図]

<システム構築>
スモール スタートで検証し、逐次的に全体への拡大を図る

こうしてゴー サインが出された新システムは 2004 年秋から検討がスタート。「小さく生んで大きく育てる」思想で、フェーズを追った拡大を図ることになりました。

その背景について、新日鉄ソリューションズ の ITインフラソリューション事業本部 ITサービス事業部 プロフェッショナルサービス部 SI営業グループ グループリーダー 久松 延吉 氏は次のように語ります。

新日鉄ソリューションズ株式会社
ITインフラソリューション事業本部
ITサービス事業部
プロフェッショナルサービス部
SI営業グループ グループリーダー
久松 延吉 氏

「実際のシステム構築は、まず対象となる図面や施設の範囲を限定した形で開始し、その実績を基に、適用図面、関東圏の通信局舎などと、範囲を各フェーズに分けて段階的に拡大していきました。システムの成長と共に、システムを活用する第一線のユーザー層の啓蒙と浸透を段階的に行っていこうと考えたのです」。

本システムは社外の施工協力会社様も利用することから、セキュリティ対策にも万全を図りました。

「従来、工事を担う各施工協力会社様には、原本となる図面データ (以下、原図) へ暗号化およびパスワードを施し、電子メールや外部記憶媒体によるハード コピーの形で渡していました。図面電子化の徹底を図った今回の新システムでは、さらにセキュリティを強化しています。データを社外に持ち出せないよう、ユーザーごとの権限を階層管理すると共に、ユーザー側の PC にデータを置かず、データ管理はすべてサーバー側で行うようにしました」(大島 氏)。

「また、社内や社外のユーザーからの要求をデータベースへつなぐ部分では、アプリケーション サーバーを社内向け、社外向けに分離しました。スイッチングによって、両者のアクセスを交差させない工夫を図り、高度なセキュリティを確保しています。そもそも通信キャリアである KDDI 様自身が、ネットワーク セキュリティのエキスパートですので、非常にスムーズに展開できました」(田中氏)。

こうして、約 1 年後の 2005 年 10 月、フェーズ 1 がカットオーバーとなりました。

図 2 システム構成図。データはサーバー側だけで管理。アプリケーション サーバーも、社内、社外向けを並列的に分離したスイッチングによって、セキュリティ確保を担保している。

図 2 システム構成図。データはサーバー側だけで管理。アプリケーション サーバーも、社内、社外向けを並列的に分離したスイッチングによって、セキュリティ確保を担保している。 [拡大図]

<導入の効果>
実業務に即した機能追加で戦力化を推進、
各プロセスの生産効率性向上を実現

KDDI株式会社
ネットワーク建設本部
ネットワーク品質統括部
ネットワーク品質試験グループ 主任
上野 勇夫 氏

対象となる図面とサービスが限定的に設定されたフェーズ 1 は、背後のサーバーも 数台からのスモール スタートでした。ここでさまざまな検証を図りながら、次フェーズへの更改が進められ、最初のカットオーバーから 5 か月後の 2006 年 3 月には、早くもフェーズ 2 としてシステムの対象範囲が拡大されました。
そして、フェーズ 2 以降、2007 年 12 月にサービス インした現在のフェーズ 4 に至るまで、順調に更改が進められていきました。フェーズ 4 では背後のサーバー台数が 約 4 倍増、登録図面数は原図レベルで十数万枚単位、ユーザー数も数百名規模に拡大しています。このような段階的にスケーラビリティを確保しなければならいシステムでは、冗長化とコスト パフォーマンスの両立も大きな課題でした。

「冗長性のレベルをどのあたりに設定するか、その最適化をどう定めるか、という点も大きなポイントでした。そこで、当社からいくつかのシナリオに基づいたコスト シミュレーションを提出して、今後の加入者予測やサービス計画を踏まえてのご判断を KDDI 様に仰ぎました」(久松 氏)。

このように、将来への成長性を意識したスモール スタートによるシステム戦略について、KDDI のネットワーク建設本部 ネットワーク品質統括部 ネットワーク品質試験グループ (旧所属 ネットワーク建設本部 建設1部 統括グループ) 主任 上野 勇夫 氏は、次のように説明します。

「段階を追ったシステム構築の過程で、施工協力会社担当者様を招いた機能説明会やユーザー トレーニングを実施し、スムーズな情報共有とコラボレーション体制の素地形成を目指しました。また、社内ユーザーに対しては、オンサイトでの教育のために、私たちスタッフが全国の通信局舎運用部門を回りました。私自身、名古屋、広島、沖縄などの各事業所を訪ね、トレーニングを行うと共に、画面設計や使い勝手などのユーザー インターフェイスにかかわる現場の声の収集にも努めました」。

旧来は図面更新も煩雑で、担当者ごとに仕掛かり状態のものを入れる仮フォルダを設けていたのですが、そのバックアップ ログの肥大化も懸案事項になっていました。今は更新すべきものをワン クリックで即座に図面に反映できるようになりましたので、現場担当者の操作性や負荷軽減と共に、作業生産性も旧来より大幅に向上しています」(上野 氏)。

原図レベルで 十数万枚を数えるデータのハンドリングを担う本システムは、図面管理や検索面でも、そのパワーを発揮しています。

「以前は、サービスや担当者ごとにバラバラのフォルダで管理を行っていましたが、このシステムでは、全図面を自動で案件と関連づけたナンバリングがされますので、フォルダ名などを意識することなく、すべての図面を一元的に管理する有機的な管理体制が実現したといえます。実際、図面検索効率は体感速度で数十倍に向上しました」(大島 氏)。

さらに、施工後の確認作業にも大きく貢献しています。

「協力会社の施工後図面のレイヤーを、施工前図面と重ね合わせることで、施工完了確認を視覚的に把握することもでき、チェックの迅速化と効率化も進みました」(上野 氏)。

<今後の展望>
さらなる水平展開やセキュリティ、資産管理などの副次的効果にも期待

新システムでは、フロア全体のレイアウトや機器、電源の配置、ラックごとの実装状況などは Visio のデータで、またケーブルの配線表は Excel のデータで記述されており、作図効率の面でも大きな負荷軽減と属人性を廃した平準化を実現しました。

マイスターの佐藤 氏は DataMixer for Visio のさらなる進化を視野に入れ、次のように抱負を語ります。
「今のシステムは、担当者の習熟度を問わずに、最適な処理が進められる環境になっています。『システム シェイプ』機能を設けたことにより、誰もが同じ仕様に則りながら、簡単に図面作成や変更、属性情報の修正などができるようになっているのです。今後は、資産情報など他システムとのデータ連動による統合化や運用保守管理への図面展開などの機能追加を考えています。さらに Visio の図面を活かし、配置の 3 次元化を図って、配置や空調効率設計、死角の排除によるセキュリティのいっそうの向上などを進めていきたいと思っています」。

一方、新日鉄ソリューションズの久松 氏は、「すべての図面データは元より、機器の保証書や契約書などを含めたデータをも取り込み、設計段階から保守、運用に至るまでの一貫した管理体制を支援するものにしていく構想が進んでいます。そうなると、管理すべきデータ量は現在より膨大になりますが、私たちとしても、このシステムのさらなる成長性をしっかりと支えていきたいと、決意を新たにしています」と語り、同じく田中 氏は、「設備情報電子化の成果をさらに有効に活かしていきたいと考えています。設計計画や建設計画やマニュアル作成、管理、さらに資産管理などにも活用範囲を広げていくためのご提案を続けていきたいと思います」と、次へのビジョンをしっかり見据えています。

「現在のシステムでも、ラックごとの電源状況を見ることができますが、さらに上位の電源設備も含め、KDDI 全体として視覚化していきたいと考えています」(上野 氏)。

「電源設備のあるすべての場所で活用できるシステムだと思います。更新や拡充頻度の著しい図面管理システムとして、他部門への適用拡大も視野に入れています」(大島 氏)。

これらの言葉からは、新システムに対する KDDI の評価と期待の高さが窺われます。

Visio の自由な作図機能と SQL Server の自在な統合管理データベース機能を融合し、社内外の有機的なコラボレーション体制を実現した本システムは、時代要請に応える戦力として、KDDI のミッション クリティカルなサービス体制を、今後も背後からしっかりと支えていくことでしょう。

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ソリューション概要

プロファイル

KDDI株式会社外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますは、2000 年 10 月、DDI、KDD、IDO の 3 社が合併して発足。以来、au ブランドで知られる移動通信事業とブロードバンドを中心にした固定通信事業を併せ持つ国内唯一の総合通信企業として、業界を牽引してきました。本格的なユビキタス社会に向かおうとしている今、豊かなコンテンツを活用するための社会インフラ拡充が不可欠であり、KDDI はそうした文化や基盤を形成する旗手として、次世代通信インフラ構想「ウルトラ 3G」を掲げ、固定通信と移動通信、さらに放送を融合した「FMBC (Fixed Mobile and Broadcasting Convergence)」を推進しています。

導入ソフトウェアとサービス

導入メリット

複数のユーザーによる図面の開閉やレイヤー管理を実行する DataMixer for Visio を核に、Visio の自在な作図機能と SQL Server の統合管理データベース機能を融合した図面管理システムを構築。ビジネスの拡大に伴って頻繁に更新される通信局舎の設備および機器レイアウトやラックのマウント状況などを、社内関連各部門や社外の施工協力会社様とリアルタイムに共有し、迅速で正確なセンター運営を実現しました。

ユーザーコメント

「当社では、サービスごとにさまざまな担当者が図面を変更し、それを基に多くの協力会社様が施工にあたっています。今回のシステム導入によって図面データベースの一元管理が可能となり、各担当者の負荷軽減や施工協力会社様とのリアルタイムな図面共有体制が実現しました。図面の検索や機器類の集計表作成などもスムーズになり、作業効率性が向上しています」

KDDI株式会社
ネットワーク建設本部
ネットワーク建設業務部
建設管理グループ 課長
大島 雅美 氏

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