ビジネス TOP > 導入事例 > 三菱自動車工業株式会社

三菱自動車工業株式会社

 印刷用ページを表示する印刷用ページを閉じる

掲載日: 2013 年 7 月 4 日

Microsoft SQL Server 2008 による「生産計画シミュレーター」導入で、需給調整業務における経営判断を迅速化
シミュレーションの飛躍的なスピードアップと精度向上により、最適な生産計画の立案を実現

三菱自動車工業株式会社

三菱自動車工業株式会社

高い技術力を背景にモーター スポーツで大きな実績を誇り、近年では「Drive@earth」のコンセプトの下、電気自動車や燃費性能に優れた小型車を発表するなど、新たな挑戦を続けている三菱自動車工業株式会社。同社では 2012 年 7 月、市場動向の変化により柔軟に対応するため、需給調整業務に、SQL Server 2008 による「生産計画シミュレーター」を導入しました。この結果、大量データに基づくシミュレーションが、超高速かつオンデマンドに運用可能となり、高精度な部品管理に基づく迅速な意思決定プロセスの確立と最適な生産計画の立案に成功しました。


【導入前の課題】

  • 市場の変化により柔軟に対応するため、需給調整の過程で業務部門側でもすぐにシミュレーション可能なシステムが求められていた
  • 従来のシステムは、1 回のシミュレーションに 4 時間以上もかかり、ユーザーのニーズに即応できず、高精度なデータに基づく迅速な意思決定が難しかった
  • 部品全般にわたる、高精度なシミュレーションを短時間で行えるシステムの構築が急務だった

【導入の成果】

  • 所要量計算時間が一気に短縮され、急な市場変化にもきめ細かな部品所要量と生産計画の分析が実現した
  • 生産の現場やサプライヤーとのタイムリーな情報共有が実現し、確立
  • 精度の高い情報に基づいた、迅速な意思決定が可能となった

<導入の背景とねらい>
変化に応えるスピードを備えた
シミュレーション システムを

三菱自動車工業株式会社
生産管理本部
生産計画部
部長
豊國 真也 氏

三菱自動車工業株式会社
生産管理本部
生産計画部
エキスパート
吉野 信弘 氏

三菱自動車工業株式会社
管理本部
生産・販売IT 部
担当部長
藤本 正和 氏

三菱自動車工業株式会社
管理本部
生産・販売IT 部
マネージャー
伊藤 寛 氏

今日、自動車産業を取り巻く状況は、グローバル規模で急激に変化しています。そうした事業環境下で部品調達を最適化し、生産稼働率を向上させていくためには、国内外の需要全体を基にした、部品サプライヤーからの供給状況や自社の工場の稼働条件の把握。さらには販売、需要予測といった要因との連携も含めた、トータルな生産計画の最適化が不可欠です。その実現に向け、部品管理および生産計画の立案に SQL Server 2008 による「生産計画シミュレーター」を導入し、需給調整業務の飛躍的なスピードアップと精度の向上を実現。生産計画策定時の意思決定の迅速化とコスト削減に大きな成果を挙げているのが、三菱自動車工業株式会社 (以下、三菱自動車) です。

「生産計画シミュレーター」は、自動車生産に必要な部品の在庫数や供給能力をベースに生産計画をシミュレーションし、生産工場とサプライヤーに最新の動向を早く伝えることで、需給調整業務全体の精度を向上させることを目的に、三菱自動車が独自に構築してきたシステムです。

「自動車生産の現場では、エンド パーツで 1 台当たり約 1,200 点という部品を最適のタイミングで調達することが日々要求されます。また海外からの部品調達は基本的に船便ですが、発注後に生産計画が変更となると、コストをかけて空輸することも珍しくありませんでした。それらへの対策のため、必要な部品の数量を繰り返しシミュレーションしながら、生産計画を最適化していく仕組みが必要だったのです」と語るのは、三菱自動車 生産管理本部 生産計画部 部長 豊國 真也 氏です。

生産計画部では世界各国からの注文を受けて、需給調整から生産計画の策定までを行っています。その精度を確保するには、最新の注文内容に合わせた部品の必要量や変動の状況を工場やサプライヤーとリアルタイムに共有し、供給能力も確認しながら生産計画を策定する必要があります。また最近は海外からの部品輸入が急激に増えており、部品調達のリード タイムが長くなり、一層きめ細かな生産計画シミュレーションが求められるようになっています。

今回の「生産計画シミュレーター」強化プロジェクトの中心となってきた三菱自動車 生産管理本部 生産計画部 エキスパート 吉野 信弘 氏は、SQL Server 2008 R2 導入以前の旧シミュレーターを次のように振り返ります。「当時の機能は所要量計算 (MRP) だけで、対象となる生産拠点やサプライヤーも限定していました。システム パワーが小さいため繰り返しシミュレーションすることも難しく、需要の変化に即応したフレキシブルな計画の立案などは望めなかったのです。しかも、1 回のシミュレーションに 4 時間以上もかかりました。これだと、シミュレーションの結果を製作所やサプライヤーに渡し、翌日中には対応の可否をもらわなくてはいけないこととなり、とても間に合いません。検討が 1 日遅れただけでも大きな問題になるため、”ボタンを押せば、すぐに結果が出せるようにして欲しい” との声が日増しに大きくなり、ついに新しい生産計画シミュレーターの構築を決意したのです」。

<導入の経緯>
優れたユーザビリティに注目して
SQL Server 2008 を採用

初代の生産計画シミュレーターが導入されたのは 2009 年。順調に業務展開が進むにつれ、システムのパワー不足が次第に問題化してきました。そこで 2010 年、新しい生産計画シミュレーターのプロジェクトが立ち上がりました。その目的は、変化する市場の動向によりフレキシブルに対応しながら、ロスを最小限に抑えることです。そのためには、シミュレーション対象の生産拠点やサプライヤーの数を大幅に増やす必要があります。当然、部品点数も飛躍的に増えるため、パワフルなデータベースの採用は必須要件でした。加えて、需給調整業務では多種多様な検討が求められるため、ユーザー自身が扱えるユーザビリティと将来的な拡張性も必要となります。

「そこで最初に、新しい生産計画シミュレーターに求める要件の柱を決めました。① 処理時間の大幅な短縮を製品性能のみで実現できること (いわゆるチューニングを要してはならない) ② 十分なデータ保管容量を有すること ③ 業務部門自身が簡単に扱えること ④ 汎用性が高く、拡張性があることの 4 つです」 (吉野 氏)。

また今回は、データベース パッケージ製品を利用することもあらかじめ決まっていたと、三菱自動車 管理本部 生産・販売IT 部 マネージャー 伊藤 寛 氏は語ります。「IT システムの導入にあたっては標準的なものを採用するというポリシーが全社的に掲げられており、その条件を満たしていると当社が評価した製品のリストに SQL Server 2008 もあったのです」。

そこで日本マイクロソフトに打診があったのが、2011 年 5 月。続く 6 月からは実機による評価が開始され、年末には正式に採用が決定されました。

製品選定では当初のコンセプトどおり、処理性能とユーザビリティが重視されました。とくにユーザビリティは、各業務部門自身が簡単に扱えるシステムにするうえで重要です。その点「SQL Server 2008 には、レポート ツールや管理ツールなどが目的や用途に応じて標準で附属しており、直感的でわかりやすい GUI 環境が提供されています。SQL 文の自動生成機能なども充実していて、クエリの専門知識のないスタッフでも簡単に運用できます」 (吉野 氏)。

また、Windows Server と組み合わせて、ほぼ標準機能だけで拡張性に優れたプラットフォームを構築できる点も高く評価されました。「これなら、将来的に“生産計画シミュレーター”の適用される業務範囲が拡がっても対応できます」。選定段階では、主要なデータベース パッケージ 3 製品による比較検討が行われましたが、上記のようなアドバンテージによって最終的に SQL Server 2008 が選ばれたと伊藤 氏は語ります。

システムの開発、構築には、日本マイクロソフトのパートナーである株式会社日立ソリューションズ (以下、日立ソリューションズ) があたりました。伊藤 氏は、同社の提案により、システムの構想の幅が拡がったと評価します。「当初は、処理スピードの速さばかりを考えて製品を選んでいました。しかし処理が速くなればその分、サーバーの空き時間が長くなってしまい稼働率が下がります。日立ソリューションズは、そうした空きリソースをサーバー仮想化によって有効に活用するといった提案もしてくれました」。

今回はいくつかのハイパーバイザーの利用を検討されましたが、日立ソリューションズによる日本ヒューレット・パッカードのサーバーと Windows Server Hyper-V の組み合わせ提案が、結果的に構築コストの抑制につながったと伊藤 氏は語ります。

<導入効果>
シミュレーション速度の飛躍的な向上で
生産計画策定の迅速化と精度向上を実現

2012 年 7 月に稼働を開始した「生産計画シミュレーター」は、データサイズ約 32 TB の巨大なデータベースで、1 回につき最大 40 万台分の車両の生産計画シミュレーションを行います。この新しいシステムのもたらす最大のメリットは、なにより飛躍的な処理スピードの向上にあると、三菱自動車 管理本部 生産・販売IT 部 担当部長 藤本 正和 氏は強調します。同社の生産計画は、毎月 1 回開催される需給調整会議で決められますが、ここでもし変更が発生すれば、そのつど試算をやり直すことになります。

「しかし旧システムでは、1 回のシミュレーションに 4 時間以上もかかっていました。このため 1 週間でせいぜい 3 回のシミュレーションが限界とあって、急な変更への対応が難しく、生産計画の精度にも限界がありました。それが新しい"生産計画シミュレーター" になってからは、15 分もあれば処理が完了してしまいます。これは生産計画の質にも運用形態にも劇的な改善をもたらしました」 (藤本 氏)。

従来、需給調整会議ではあらかじめ紙に出力した資料を配付していたのが、その場で議論しながらシステムを回して 2 回、3 回と再試算を行えるように変わりました。生産計画そのものの精度向上はもちろんのこと、さまざまな変動要因や会議の席上で出された意見、仮説に基づいたさまざまなシミュレーションがリアルタイムで可能になったのです。

何より大きいのは、生産計画に対して現場の遂行能力の有無などを事前に確認しながら、実現性の高い生産計画のみを選択、実行できるようになったことだと豊國 氏は語ります。「従来はとても事前確認をする余裕はなく、まず計画ありきで進めていくしかありませんでした。このため予定の部品が間際になって間に合わないといったことも絶えなかったのです。そうしたリスクが大きく減ったことは、生産計画のガバナンス向上に大きく貢献しています」。

製造業の重要課題である在庫削減=コスト圧縮にも、大きな改善がもたらされました。これまで調達のリード タイムが長い輸入部品は、余裕をみて在庫を早め、多めに取りがちでした。しかし、「部品在庫の状況を短い時間で確認しながら生産計画を調整できるようになり、以前は 2 か月分を保有していた在庫が半減した」と豊國 氏は明かします。

部品在庫が絞られてくると、その分、より正確な見きわめ=足りるか足りないかの判断が必要になってきます。吉野 氏は、「旧システムでは性能的に月別の所要量を計算させるのがやっとでしたが、現在は日単位で計算させることができるようになり、よりきめ細かな検討が可能です」と語り、急な計画変動に対しても高精度な検討がタイムリーにできるようになった点を強調します。

さらに「生産計画シミュレーター」は、経営層の判断指標も提供してくれます。豊國 氏は、「旧システムではディスクのデータ容量が限られていたため、シミュレーション結果はそのつど消去していました。しかし SQL Server 2008 では過去の膨大な履歴データをすべて保存、活用できるため、前年比、前々年比といった過去との比較といった大局的な視野から、生産計画に関わる判断ができるようになりました。今後は市場の動向や変化を基に、より分析的な判断が可能になると考えています」と評価します。

システム構成図

システム構成図 [拡大図] 新しいウィンドウ

業務フロー図

業務フロー図 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
グローバル化対応の情報エンジンとして
さらなる活用を目指す

三菱自動車では今後「生産計画シミュレーター」を、今後の生産拠点のグローバル化に対応する強力なツールとして活用していきたいと考えています。

「現在、急速に部品の海外調達が拡大しています。これらを世界各国から最小限のコストで計画通りに調達するためには、世界各拠点の生産計画をシステムに集約し、グローバル規模でサプライヤーの在庫や供給能力を確認できる体制が必要です。また、現在ノックダウン生産では日本から部品を海外工場へ輸送していますが、今後は海外工場間の部品輸送が加速するでしょう。そうなれば、生産計画シミュレーターの役割は、さらに重要になってきます」 (豊國 氏)。

加えて同社には、「生産計画シミュレーター」=データベースをバックエンドに置いた業務アプリケーションの将来的な開発構想もあると吉野氏は明かします。これには「生産計画シミュレーター」の機能向上が大きく貢献しています。その好例の 1 つが、「逆引き」です。これを利用すると、ある部品からその部品が使用されている車種の検索が可能です。このため供給に問題のある部品が発生した場合、影響を受ける車種をすぐに特定して計画を修正するなど、よりアクティブな対応ができるようになりました。

「こうした新機能を応用して、たとえば部品の状況を見ながらオーダーを積極的にコントロールできるような、需給調整業務を支援するためのアプリケーションを、エンド ユーザーに見やすい形で提供していきたいと考えています。その取り組みの一部は既に進行中です」 (豊國 氏)。

標準化されたプラットフォーム上で多彩なアプリケーションを展開することは効率化を促し、さまざまな業務の生産性を向上させます。また、担当者が異動するとシステムが使えなくなるといった属人性に縛られない環境は、より全社的な情報活用=生産性の向上の布石となるでしょう。

「そうでなくては、せっかくの優れた IT システムを作っても社内に拡がりません。今後は生産管理の視点だけにこだわることなく、より多くの人々に活用してもらえるアプリケーションやサービスを、IT 部門やベンダーと協力しながら提供していきたいと考えています」と抱負を語る豊國 氏。

同社では今後、「生産計画シミュレーター」の SQL Server 2008 に格納されたデータを、Web 経由でサプライヤーと共有するといった、さらなる情報共有、活用のインフラ作りを計画しているといいます。「生産計画シミュレーター」という強力な情報エンジンの完成を機に、三菱自動車は生産性の新たな地平へ向けて力強く走り出しました。

三菱自動車が今年 1 月に発売した最先端の環境対応車 自分で発電する電気自動車『アウトランダーPHEV』

三菱自動車が今年 1 月に発売した最先端の環境対応車 自分で発電する電気自動車『アウトランダーPHEV』

三菱自動車が今年 6 月に発売した従来の軽自動車の枠にとらわれない魅力満載の最新型軽自動車『eKワゴン』

三菱自動車が今年 6 月に発売した従来の軽自動車の枠にとらわれない魅力満載の最新型軽自動車『eKワゴン』

ダウンロード

Download File 5425-SE1.pdf

PDF ファイル 1,411 KB
Adobe Reader を利用して PDF ファイルを閲覧・印刷することができます。ダウンロードはこちら 外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますからできます。

ソリューション概要

プロファイル

1970 年、三菱重工業の自動車事業部門から独立して三菱自動車工業株式会社外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますを設立。企業理念として「大切なお客様と社会のために、走る歓びと確かな安心を、こだわりをもって、提供し続けます」のスローガンを掲げ、さらに近年は「Drive@earth」のコンセプトを提唱。地球温暖化防止に貢献する次世代電気自動車『i-MiEV (アイ・ミーブ)』の世界展開など、人とクルマ、社会とクルマ、地球とクルマの新しい時代を拓くために、日々新たなテーマに挑戦し続けています。

導入ソフトウェアとサービス

業務上の導入メリット

  • 経営層に対して、判断の指標となる情報を迅速かつタイムリーに提供できるようになり、経営のアジリティとパフォーマンスの向上を実現
  • 制約条件を勘案した最適な生産計画の立案により、利益の最大化を実現

実現可能にしたマイクロソフト製品の特長

  • SQL Server 2008 の強力なデータ処理能力が、膨大なデータ量であっても高速な処理を可能にし、オンデマンドで精度の高いシミュレーションを実現
  • 標準搭載の多彩なツールや SQL 文の自動生成機能などが、データベース スキルの少ないビジネス ユーザーにも、データベースの容易な運用、管理を可能に
  • Microsoft Excel などと高い親和性を持ち、現場のエンド ユーザーでも慣れ親しんだツールで容易にデータ抽出や加工ができる
  • Windows Server Hyper-V によるサーバー仮想化などと組み合わせて、構築、運用コストを削減

ユーザーコメント

「生産計画部では、世界各国の営業現場が取りまとめた受注に対して、最終生産までの一貫したシーケンス (生産の序列計画) を作成しています。Microsoft SQL Server を活用した新しい "生産計画シミュレーター" により、製作所やサプライヤーへの部品情報伝達が迅速化し、生産計画確定前に部品のアベイラビリティを確認・事前調整したうえで生産計画を作成することが可能となり、コスト・納期面でよりバランスの取れた生産計画の作成が可能となりました」

三菱自動車工業株式会社
生産管理本部
生産計画部
部長
豊國 真也 氏

  • 第 2 弾公開! Windows 10 イチから導入ガイド 2 WaaS への対応編 (新規ウィンドウで開きます)
  • IT 担当者のための【最新サイバー セキュリティ対策ガイド】公開! (新規ウィンドウで開きます)
  • 今年も開催!! IT 技術者のための技術コンファレンス「de:code 2017」 (新規ウィンドウで開きます)
  • 日本のデジタルトランスフォーメーション浸透度は? (新規ウィンドウで開きます)

本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。

ページのトップへ