グローバルに多様なビジネスを展開し、変化を常とする "総合商社" の絶え間ない進化に即応する SAP ECC 6.0 + SQL Server 2008 による新基幹システムを含めた統一インフラ基盤を Hyper-V Cloud で構築
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グローバルを舞台に、多様なビジネスを展開する総合商社、三井物産株式会社。同社では、絶えず「挑戦と創造」を続けてきた歴史と、「グローバル規模で一斉に変化する」現在の市場を見据えた「長期業態ビジョン-絶え間ない進化 (EVOLUTION) を求めて-」を 2009 年に発表。この経営戦略を表裏一体で支える情報戦略を実現するために、従来の基幹システムを刷新して新基幹システム「MIRAI」を導入。「MIRAI」は、基幹システムとしての高い信頼性はそのままに、Windows Server 2008 R2 Hyper-V を活用したプライベート クラウド環境、SAP ECC 6.0、SQL Server 2008 によるグループ全体の統一インフラ基盤として構築され、クラウド対応を視野に入れた最先端基幹システムとして、これからの三井物産の革新を支援し続けます。
<導入の背景とねらい>
ベンダーとの関係再構築や、最新の技術動向分析により、「絶え間ない進化」を目指す情報戦略を実践  |   三井物産株式会社 経営企画部 情報戦略企画室 室長 真野 雄司 氏
|  |   三井物産株式会社 IT推進部 副部長 黒田 晴彦 氏
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1876 年 (明治 9 年) の「旧三井物産」創業から、135 年の歴史を誇る三井物産株式会社 (以下、三井物産)。同社の歴史は、「挑戦と創造」の歴史でもあります。
戦後 GHQ の指示により一度は解体されつつも、1959 年に第一物産を中心とした各社の大合同により復活。その後、60 年代の「商社斜陽論」をはじめ、80 年代の「商社冬の時代」、90 年代の「構造改革」など、世の中のさまざまな変化に対応し、勝ち残り、グローバルにビジネスを展開してきた三井物産。
2009 年に発表された三井物産の「長期業態ビジョン-絶え間ない進化 (EVOLUTION) を求めて-」には、今後 10 年間、これまで以上の速度で激しく変化する市場に即応していくための進化の指標が描かれています。
三井物産 経営企画部 情報戦略企画室 室長 真野雄司氏は、「経営戦略と情報戦略は表裏一体です。このビジョンを成し遂げる上で、IT が非常に重要な意味を持っている」と話します。
「昔は、大きなシステムをフルスクラッチで構築し、5 年、10 年と活用するのが当たり前でした。しかし、今はそういう時代ではありません。市場がグローバルで一斉に変化していく時代です。最前線で働く『人』の力を効率的にサポートするために、IT も、この絶え間ない変化に即応していかなければならないと考えています」
三井物産ではこのビジョン実現に向けた一環として、2009 年 1 月に「情報戦略委員会」を設置。主要システムの構築や社員の意識改革、IT ベンダーとの取引の在り方など、世界に広がっているグループ全体の情報戦略や IT 戦略を統括しています。さらにその下部組織として設立した「情報技術部会」にて、最新のテクノロジーを研究・調査しています。
「変化に即応していくために行った重要施策の 1 つに IT ベンダーとの関係見直しがありました。今までは案件単位で RFP (提案依頼書 : Request For Proposal) を作成し、入札を繰り返してきましたが、それではいざというときの対応力に差が出ます。やはり、スピーディにグループ全体のニーズを満たしていくためには、普段から当社の経営戦略・情報戦略などを IT ベンダーにも理解していただく必要があります。そこで、グループ全体で IT システムの発注先を絞り込み、パートナーとして日頃から情報を開示し、密接な関係を築くことにしました。
さらに、最新のテクノロジーを深く検討しながら、10 年先の変化までを見据えたシステムの構築・導入を行うために、情報技術部会でユーザー視点での R&D (Research and Development) に取り組んでいます」(真野氏)
こうして三井物産が最新のテクノロジーに取り組む中、もっともインパクトのあった技術変化が「クラウド サービス」であると、真野氏は続けます。
「この数年で、一番インパクトのあったテクノロジーと言えば、やはり『クラウド サービス』でしょう。クラウドというと『安い』というキーワードが目立ちますが、それよりも『仕事の進め方を劇的に変える』ものであると認識しています。
当社でもグローバルで M&A (Mergers and Acquisitions) を行っていますが、たとえばあるグループの子会社である場合、本社のシステムを借用しているために、自前の社内システムを持っていないことが最近はよくありますよね。昨年海外で買収した企業も、親会社のシステムをレンタル利用していました。そうした企業を買収した場合、三井グループとしてビジネスをスタートさせるまでの短期間で、必要なシステムを新たに構築する必要があります。
こうした時にもクラウド サービスなら、必要なリソースとシステムを比較的容易に割り当てることができます。三井物産グループとして、新しく入っていく会社もあれば、外に出ていく会社もあります。体制が次々に変わる中で、システムの要・不要も激しく変わります。そうした状況下におけるインフラ構築に、クラウド サービスは非常に有効であると考えています」
2009 年 10 月の Windows Server 2008 R2 発売時から Hyper-V によるプライベート クラウドを試験的に構築・活用するとともに、パブリック クラウド である Windows Azure の評価検証を重ねてきた三井物産では、Windows Server ベースでのクラウド サービスの有用性を高く評価。グループ全体の IT インフラとして、本格的に採用していく方針を固めています。
そして、2010年 11 月。基幹業務を支えてきた SAP R/3 4.7 を SAP ECC 6.0 へとアップデートするとともに、Windows Server 2008 R2 Hyper-V で構築されたプライベート クラウド上にシステムを移行。新基幹システム『MIRAI』として、活用を開始しています。
<システム概要>
高い信頼性・可用性が求められる SAP システムを Hyper-V で構築されたプライベート クラウド上に実現三井物産の新基幹システム『MIRAI』は、Windows Server 2008 R2 のフェールオーバー クラスタリングによって冗長化された上に、サービスを止めることなく仮想マシンが動作する物理ホストを移動させることのできる Hyper-V の Live Migration 機能を活用して高い可用性を確保したプライベート クラウド上に、SAP ECC 6.0 および SAP BW 7.0 を構築。データベースには SQL Server 2008 を採用し、System Center 製品群によって運用管理を行っています。
そして、このシステム構成については「情報技術部会で取り決める基本方針に基づき、種々検証作業を行いました」と、三井物産 IT推進部 副部長 黒田晴彦氏は説明します。
「検討開始当初は現場のシステム担当者から『Hyper-V 上で SAP を動かして大丈夫なのか?』、『データベースが 1TB ある当社の SAP 運用をSQL Server で支えられるのか』という不安の声もありました。しかし、これらの不安はテストを通して 1 つずつ取り除かれました。Hyper-V 上での稼働についても、SQL Server のパフォーマンスについても、従来の環境と遜色なく稼働しています。
本番環境では、SAP のアプリケーション サーバー (SAP 値は 20,000) はすべて Hyper-V 上で動かしています。データベース サーバー (SAP 値は 16,000) に関しては、検証の結果 8 コアが必要とわかり、Hyper-V 上でのサポートが現在のバージョンでは 4 コアまでに限られているために、物理サーバーで稼働しています。これも、Hyper-V のバージョンが上がり、8 コアまでサポートされるようになれば、すぐにでも仮想環境に移したいと考えています」
黒田氏はまた、「MIRAI」を支えるシステム製品群の利用形態を、以下のとおり説明します。
「相互の親和性を考慮し、システム基盤には、Windows Server / SQL Server および System Center を選定しました。SQL Server については、当社でも長く活用してきた実績がありますが、今回の構築ではミラーリング機能を採用しました。対障害性が高まることに加え、システム全体を止めることなく定期的なメンテナンス作業が可能となるため、可用性の向上を図れます。
また、SQL Server のログシップ機能により簡単にデータの複製が作れますので、DR (Disaster Recovery) サイトも短期間で構築することができました。さらにバックアップの圧縮機能も優れていて、データサイズを最大 86% 圧縮することが可能となりました。おかげでストレージの必要容量を当初の見積もりよりも大幅に減らすことができ、想定以上の効果がありました。
運用管理のための System Center ですが、まず Virtual Machine Manager をプライベート クラウド運用の中心となる製品として利用しています。仮想環境の初期設定や稼働状況に応じた再配置を行うことが可能です。クラスター構成をとり Live Migration 機能を活用することによって、クラウドに必要とされる柔軟なオペレーションを実現できます。
SAP のバージョンアップに伴う開発、テスト、トレーニングなどの環境は、100% このプライベート クラウド上に構築しました。課題が見つかる都度、即時テスト環境が必要になることが多々ありましたが、Hyper-V 上では容易に仮想サーバーを立ち上げることができ、また不要になり次第、他の用途に転用が可能ですので、プロジェクトを非常に効率的に進めることができました。」
今回のプライベート クラウド環境および 「MIRAI」 構築におけるポイントとして下記の 3 つが挙げられると黒田氏は話します。
1. 単に仮想化技術を利用したのではなく、Hyper-V を用いて、グループ全体が活用可能なインフラ基盤としてのプライベート クラウド上に「MIRAI」を構築したこと
2. Hyper-V、System Center、SQL Server などのロードマップを理解した上で、導入後も着実に進化できるクラウドの実現に取り組んでいること
3. マイクロソフトが、他のパートナーと連携してシステムの構築・運用をサポートしてくれていること
「『MIRAI』の稼働は無事開始できましたが、今後稼動後に運用業務の効率化・自動化をより進めていくことが重要です。System Center は、明確にロードマップが提示されており、将来の計画が立てやすいことがありがたいですね。
Operations Manager に Configuration Manager と、必要とされる機能が順次リリースされる予定になっています。また、Service Manager、Opalis Software がラインアップに加わることによって、運用管理プロセス全体の効率化、自動化を進めやすくなりました。今後、こうした製品群を効果的に活用し、運用業務の改善を進めていきたいと考えています。
さらにありがたいのは、米・日マイクロソフトが、内外のパートナーとしっかりと連携し、顧客サポート体制を整えてくれていることですね。当社は、三井情報株式会社 (MKI) をコアパートナーとして起用していますが、必要なサポートをタイムリーに受けることができています」 (黒田氏)
<導入効果>
グループ全体の標準化と各組織の差別化を迅速かつ柔軟に支え、企業力強化に貢献今回のプライベート クラウド構築、および新基幹システム構築は、目指すべきシステム体系構築に向けての第一歩、と黒田氏は言います。
「当社では、情報技術部会の下で、アプリケーションを支えるシステム基盤の体系を IT Landscape として取り纏め、その実現に取り組んでいますが、今回のプライベート クラウドの構築と SAP の更新は、その第一歩に過ぎません。
ニーズに応じた迅速な仮想環境の配置が可能になったことは、『MIRAI』プロジェクトをスケジュールどおりに推進することに大いに寄与しました。プライベートクラウドが、SAP を含めたさまざまなシステムの基盤として活用できることも確認することができました。運用面でも、従来はシステムごとに異なっていた環境が、『MIRAI』を含めてプライベート クラウド上で標準化されましたので、基盤全体の運用効率化が可能になりました。
しかし、グループ全体での活用を進めるために、更なる取り組みが必要だと考えています」
そして「クラウド活用による好影響は、すでにグループ全体に広がっている」と、真野氏も言葉を続けます。
「当社では『標準化と差別化の "OR" から "AND" へ』という言い方をしているのですが、現在構築が進められているプライベート クラウドをグループ全体の標準基盤として活用し、その上で各社が必要とするアプリケーションを展開することでグループ各社の差別化や個別最適を図り競争力を強化していく。そうすることで標準化と差別化のどちらも犠牲にせずに、三井物産グループ全体の『進化』を促進させていくというイメージです」
三井物産には現在本店に 14 の営業本部があり、これら営業本部が「資源・エネルギー分野」、「物流ネットワーク分野」、「生活産業分野」そして「インフラ分野」の 4 つの事業分野にわたり、国内外のさまざまな関係会社と協働してビジネスを推進しています。
従来は、地域ごと、商品ごと、関係会社ごとの独立性が非常に高く、ネットワークも、システム基盤も、すべて個別に構築されており、「それが故に営業本部や関係会社への負担が生じていた」と前置きして、真野氏は続けます。
「私は、今回のシステム構築によって得られた最大のメリットが、『各営業本部をシステム基盤に関わる負担から解放できたこと』にあると考えています。
今までは、各営業本部が、『差別化』のためのアプリケーションを活用するために、個別にサーバーを調達して運用管理する必要もあったのですが、今は申請に応じてクラウドのリソースを、速やかに分配して提供することができます。また、関係会社におけるクラウド リソースの活用も浸透しつつありますので、営業本部や関係会社がインフラについて悩む必要もありませんし、サーバー管理のために人手を割かなくても良くなってきたのです。
それに自分たちで物理サーバーを調達して運用するよりも、はるかに低いコストで構築できます。従来はサーバーを調達するために申請を行ってから入手するまでに大体数か月を要していましたが、今なら申請から 10 日もあれば必要なリソースを調達することが可能です。また、サーバー管理のみならずデータベースに関しても、SQL Server のミラーリングの機能を活用することで、サービスとしてこれまで以上に安定したシステム環境を提供できるようになっています」
こうしたリソース提供によって、三井物産グループにおけるクラウド活用は、グループの競争力を高める「標準化と差別化の "OR" から "AND" へ」の促進に着実に影響してきています。真野氏は「実際、プライベート クラウド環境を公開してから、営業本部や関係会社からのアプリケーション利用の申請数が増えている」と、その成果を評しています。
<今後の展望>
Windows Azure 活用によるハイブリッド クラウドやユニファイド コミュニケーションの実現へ三井物産のクラウド活用は今後、プライベート クラウドとパブリック クラウドを併用する「ハイブリッド クラウド」を目指していると、黒田氏は話します。
「IT Landscape においては、パブリック クラウドも重要な要素であり、プライベート クラウドと組み合わせて利用することを検討していきます。Windows Azure Platform に関しても、2010 年 9 月から、情報技術部会における R&D の取り組みとして実際に検証しています。
Windows Azure では、アプリケーションの実行時に、システムの稼働状況に応じてダイナミックに仮想環境を増減させるなど、伸縮性に富んだリソース活用が可能になっています。Visual Studio には、動作環境として Windows Azure を選択できる機能が標準で組み込まれていますし、System Center においても、管理対象となるシステム群として、Windows Azure 上の環境を選定できるようになっています。また、Active Directory のフェデレーション機能も搭載されているなど、マイクロソフト製品群は Windows Azure との親和性が大変高いと言えます。
ハイブリッド型でのクラウド活用によりシステム利用形態の幅が大きく広がりますので、今後とも検証を進めていきたいと考えています」
さらに、三井物産では、社員のプレゼンス (在席情報) を把握しながら、より親密なコミュニケーションを実現する最新製品 Microsoft Lync 2010 を活用したユニファイド コミュニケーションの導入も進める予定と、黒田氏は言います。
「当社の特徴として『グローバル』が欠かせないキーワードの 1 つとなっています。ネットワークを介して、グローバルな規模でコミュニケーションを図りながらビジネスを推進するわけですから、『相手がそこに居るかいないか』がわかった上で、TPO に応じて、電話、メール、インスタント メッセージ、Web 会議など、コミュニケーション ツールを自由に選択できることは、大きなメリットだと評価しています。Lync 2010 の導入によって、グローバルなコミュニケーションをより活性化できるのではないかと、大いに期待しています」
三井物産の「絶え間ない進化」を支える情報戦略の在り方について、真野氏は、「長期的な進化を見据えた情報戦略によって、社内に『夢』を与えられるものでありたい」と話します。
「今までは、IT の導入というと、最前線で働く社員からは『面倒くさい』と思われる側面もありました。しかし、今回のプロジェクトを通じて、『現場の負担をなくしつつ、それぞれの要望にスピーディに応える』ことのできる、まったく新しい IT 基盤を提供することができました。
先ほど、アプリケーションの申請が増えてきたとお話しましたが、『自分たちのやりたいことを、このシステムならスピーディに叶えてくれる』と感じて IT を自らの戦略実現の重要なツールとの意識を持ってくれる人が少しずつ増えてきたということは、会社にとって非常に意味のあることです。
相談窓口には、IT と縁のなさそうな部署からの相談なども含めて、件数が大変多く寄せられています。その分情報戦略委員会の下で私たち経営企画部情報戦略企画室と IT 推進部は、『グループ内の期待に益々応えなくてはいけない』と自覚し、継続的な進化を目指しています。
その進化を実現し続けていくためには、やはりマイクロソフトのようなパートナーが、欠かせません。
今回のプロジェクトを通じて、マイクロソフトとのパートナーシップがまた一歩前進したこともまた、私たちにとっては収穫です。今後とも、当社のグローバルな事業を支えてくれるパートナーとして、一歩踏み込んだ提案をいただけることを期待しています」
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