業務の効率化に向けた組織改革の一環として Microsoft Dynamics AX による新会計システムを導入 リアルタイムでの財務状況の把握や、Microsoft Windows Azure を介した海外の本社基幹システムとの連携による情報活用の強化を実現
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エムエスシージャパン株式会社 (以下、MSCジャパン) は、世界の 350 か所を超える拠点を持ち各国の有力企業にコンテナ海上輸送サービスを提供する Mediterranean Shipping Company (MSC) の全額出資子会社として 1999 年に設立された国際海運会社日本代理店です。同社では 2011 年 1 月に Microsoft Dynamics AX による新しい会計システムを導入。財務会計業務の徹底した効率化に加え、リアルタイムでの売上および売掛残高管理、リアルタイム情報の見える化による経営意志決定の迅速化を実現しました。さらにこの新会計システムを Windows Azure を利用したクラウド サービスを介して北米にサーバーがある基幹システムと結び、海上運賃・請求書情報が新会計システムへリアルタイムに反映されるようになりました。これにより、財務会計業務の大幅な効率化と管理業務の自動化に成功しました。
<導入背景とねらい>
全社的な業務改革の一環として
新たな会計システムの導入を決定 
 エムエスシージャパン株式会社 代表取締役社長 甲斐 督英 氏
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エムエスシージャパン株式会社は、2010 年 4 月に体制を一新。現在の代表取締役社長 甲斐督英氏の下で、組織と業務の改革に乗り出しました。
「改革のキャッチ フレーズは 2010 年が "少数精鋭、一致団結"、そして 2011 年が "温故知新" です。"温故知新" の言わんとするところは、日本に根付いた長い歴史を誇る大手海運会社代理店がこれまで提供してきたサービス、すなわち昔からの海運業の基本を当社もきっちりとやり抜こうという想いです」と甲斐氏は語ります。
今回の Microsoft Dynamics AX による新会計システムの導入は、業務改善の取り組みの一環であるのは言うまでもありません。MSCジャパンでは、それまで使ってきた財務会計のパッケージではできない財務状況のリアルタイム把握や、MSCの基幹システム「MSCLink」と連携して財務と会計の強化を実現するうえで、システムの全面的な刷新が不可欠と考えたと言います。
「単に ERP を導入するという次元の話ではなく、組織そのものをがらりと変えようという意気込みがありました。というのも、私はこれまでずっとコマーシャル担当だったため、会計の細かな決めごとなどに通じていません。それなら最初から自分がわかるシステムに一から作り直して、経営判断に必要な財務会計情報を確実に把握できるようにしようと考えたのです」。
今回の Microsoft Dynamics AX による新会計システムでは、ERP ならではの BI 機能による情報活用も実現しています。しかし、それも今回のプロジェクトでは、目的を達成するための手段であり、BI 機能そのものが目的ではありませんでしたと甲斐氏は強調します。
「BI を使った情報の見える化だけなら、当社の 80 名の規模ならば手作業でもできます。そこをあえてシステム刷新にこだわったのは、これを機会に業務そのものの根本的な改善を図っていこうというねらいがあったからです」。
今まで 10 人がかりだった作業を、工夫すれば 8 人でこなせるのではないか。減らせないと思っていた作業時間やコストも、実はもっと減らせるのではないか。そうした業務改善意識を社内で共有することが第一義であり、そのための有効なツールとして会計システムの刷新を積極的に進めたというのが、今回のプロジェクトの本質だったと甲斐氏は明かします。
<導入の経緯>
グローバル対応、国内サポート、
そしてコスト パフォーマンスが採用の決め手 
 エムエスシージャパン株式会社 管理本部 人事・総務・情報システム部 部長 丹羽 春木 氏
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MSCジャパンでは、さっそく具体的な製品の検討を開始。世界中に展開する MSC グループの姉妹会社に意見を求めたところ、あちこちから Microsoft Dynamics AX の名が挙がってきたと、管理本部 人事・総務・情報システム部 部長の丹羽春木氏は語ります。
「本社の MSCLink を利用している各国のエージェントは、おのおの自国のアカウント用のパッケージを選定しています。そうした中で採用実績も評価も高いのが Microsoft Dynamics AX だったのです」。
この意見を受けて、2010 年 5 月には導入プロジェクトがスタート。6 月には RFQ (request for quotation) を候補の各社に送り、回答に対する比較検討を経て、7 月には採用が決まりました。
「検討段階では 3 社くらいの製品を比較検討しました。選定条件としてはまずグローバル対応の会計 ERP パッケージであることが必須ですが、一方ではやはり日本国内でのサポートが充実していることがありました。あとはコストが重要なポイントです。主にこの 3 点を比較していった結果、Microsoft Dynamics AX に決定したのです」 (丹羽氏)。
甲斐氏も、最も大きな選択の決め手はコストの安さだったと語ります。
「Microsoft Dynamics AX の一番の特色は、コスト パフォーマンスだと思います。今回の予算でこれだけの機能を盛り込めるソフトウェアは、おそらく他にないでしょう」。
さらに甲斐氏は、もう 1 つの特長は軽いこと=必要以上のものを導入せずに済む点だと評価します。
「ERP というと誰もが高性能の統合 ERP を引き合いに出しますが、値段を聞くとあまりに高価なので驚きます。実際にそこまで費用をかけて、そんなに多くの機能はいらないのではないかと私は感じます。そもそも仕事というのは、その手順や勘どころをわかっている人が手掛ければ簡単にできるものです。また、組織の方向性や考え方が明確に絞り込まれていれば、自分たちにとって本当に必要な機能も明らかになります。その結果、ERP に求められる要件もスリムになり、かつ十分な機能だけをリストアップできます。しかしきちんと要件を絞れないと、どの機能も必要に思えてしまうため、そうした組織では高価で多機能な統合 ERP がもてはやされがちです。経営者がリーダーシップをとり、コンセプトや組織がはっきりしていれば、機能とコストのバランスを最適化して必要十分なシステムの導入が実現できます。Microsoft Dynamics AX は、そうした当社の風土にフィットしたのです」。
<システムの概要>
マイクロソフトのクラウドを活用して
基幹システムと会計システムとのリンクを実現 
 シャープシステムプロダクト株式会社 ビジネスシステム事業統轄部 第五営業部 真鍋 匠 氏
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「今までは、MSCジャパン業務基幹システムと会計システムは連携していませんでした。そこで、MSCLink の請求書情報を日本の会計システムにリンクさせ効率化しようというのが、今回の新会計システムの大きなねらいの 1 つです。そのリンクのためのツールとして Windows Azure を利用したのです」 (甲斐氏)。
このリンクの実現には、MSCLink と Microsoft Dynamics AX とを結ぶインターフェイスが必要でした。インターフェイスの開発にあたったのは、今回の一連の導入を手がけたシャープシステムプロダクト株式会社 (以下、シャープシステムプロダクト)です。
「実装の部分については、ほぼ完全にシャープシステムプロダクトに任せっきりだったのですが、こちらの要求に対しても、回答だけでなくその回答への評価や Q&A までを提示してくれました。このためこちらは提示された結果に Yes/No で答え、わからないことは聞くだけで済みました。MSCLink のデータベースは北米にあり、このデータベースとの連携のためにその情報を Windows Azure 上に置きました。データベースの管理を委託している開発会社から、あとは自分たちで自由に開発するよう言われていたのですが、ストレスなくアクセスが可能だったのでこちらでの開発にあまり支障はありませんでした」 (丹羽氏)。
シャープシステムプロダクト ビジネスシステム事業統轄部 第五営業部 真鍋匠氏は、「MSCジャパン様はご担当の方が IT リテラシーの高い方が多く、当社の提案を技術面でもよくご理解いただけたことが、スムーズな導入につながりました。とくに甲斐社長様は、フィット アンド ギャップ分析の会議には、まさに皆勤賞というほど熱心に出席くださり、これがシステムの完成度にも大きく貢献していると思います」と振り返ります。
<導入の効果>
予実管理のスピードアップや残業が劇的に減少
社内のヘルプ対応も楽に既に導入から 5 か月が経過して、業務面でもさまざまなメリットが生まれたのを甲斐氏は実感しています。
「まず、予実管理が迅速に行えるようになりました。また請求漏れがなくなったことも大きいですね。今までは、紙の請求書をなくしたらその時点でアウトです。新会計システムでは請求書を発行すると同時に、システム上に保管されるので安心です。もちろん実際には請求書の紛失などめったに起こりませんが、起こりうるリスクをシステム的に排除し防止できるというメリット、すなわちシステム化のもたらす業務改善効果を社内外にアナウンスして意識改革を進めるうえで、こうした例は恰好のトピックになるのです」。
また、紙ベースでの運用から脱却できたことで、リアルタイムでの財務データの把握とセキュリティの強化といった、情報マネジメント面での向上も果たされました。
さらに丹羽氏によれば、新システムによる業務のスピードアップが残業を大幅に減らしたと言います。
「以前は売掛金の消し込み作業が大変で経理担当者は残業続きだったのですが、Microsoft Dynamics AX の導入により退社時刻が早くなりました。」。
また、情報システム担当者も運用の負担が大きく減りました。丹羽氏は「今まで多かった、あのデータはどこを見ればいいのか、という問い合わせや、あの伝票が来ていない、といった苦情がほとんどなくなりました。もし聞かれた場合も、Microsoft Dynamics AX か MSCLink のどちらかを見てください、と言えば済むので大変に楽です」と改善効果を語ります。
現在社内で新会計システムを利用している人は約 30 名。移行の際に 2 週間かけてトレーニングと問題点の洗い出しを行ったこともあり、苦情や質問はほとんど聞かれません。
「Microsoft Dynamics AX は、ユーザー インターフェイスやショートカット キーなどが Microsoft Office に準じている点も、社員へのスムーズな浸透につながっていると思います。社内には Microsoft Excel を中心に Office ユーザーが多いのですが、Excel へのデータのエクスポートも簡単ですし、ほとんど作業時にも違和感がないのでしょうね」 (丹羽氏)。
<今後の展望>
Windows Azure を介した本社基幹システムとの連携が
新たな Web サービスの可能性を示唆今後の新会計システムの活用について、甲斐氏は早くも新しいアイディアを披露します。「実は Windows Azure にもう 1 つテスト用のスペースが空いているんです。そこでせっかく Windows Azure とのインターフェイスも開発したので、MSCLink のデータベースから現在の財務会計情報だけでなくすべての情報を持ってきて、何か新しい試みができないかと考えているところです。その第 1 弾として、Web BL (船荷証券) システムを構想中です。お客様が自分の BL 番号を直接 Web から入力して、いろいろな情報を確認できるといったしくみですね。また今は、MSCLink のデータベース上のデータを取り出すにも、いったん向こうで切り出したデータをメールで送ってもらって加工し直すといった状態なのを、Windows Azure を使って直接取り出せるようにしたいとか、構想はいろいろ拡がっています」。
さらに「これは私の個人的趣味ですが」と前置きして、「MSC グループの北米エリアはさまざまなシステムからモバイル フォンまですべて Microsoft で統一しているため、モバイル ツールからデータを参照、活用するためのインターフェイスも充実しています。こうした環境をコストが許せば日本でも構築していけたらと願っているのです」と自社 ICT の将来像を語る甲斐氏。
新会計システムの構築を機に、MSCジャパンは情報ネットワークの大海に向け力強く船出していきます。
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