社長自ら経営分析を行うためのツールとして、タッチ パネル入力の「社長PC」を導入。 Microsoft® Excel® 2010 で分析して経営を可視化し、迅速な経営判断に役立てる
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病院、福祉施設の給食業務受託で栃木県内トップの株式会社日本栄養給食協会 (以下、日本栄養給食協会) は、社長自らが行う経営分析の質を高め、分析に要する時間を短縮し、迅速な経営判断をする目的で 社長PC (販売元 : 日本コンピューターシステムサービス株式会社) を導入。食材の仕入れ価格と人件費を基にした製造原価にあたる「販売収支」の管理に、Microsoft
® SQL Server
® 2008 ベースのキューブを Excel 2010 のピボット テーブルで分析する方式を適用しようとしています。完成したキューブは、基幹系システムの重要データを社内で共有するための仕組みとしても活躍。社長からの指示を担当者に伝達するためのツールとして Microsoft
® OneNote
® 2010 の手描きメモ/録音機能を活用したり、県内に点在する業務受託先に衛生管理の注意を徹底するためにマイクロソフトのクラウド サービスである Microsoft
® Online Services の Microsoft
® Office Live Meeting を活用した Web 会議も展開予定です。
<導入の背景とねらい>
「おいしさ」にこだわる経営を徹底するため、
より細かなレベルの製造原価管理が要求された株式会社日本栄養給食協会 (栃木県宇都宮市) は、病院や福祉施設の給食業務の受託で県内トップのポジションにある企業です。2009 年 10 月現在の従業員数は、741 名。管理栄養士 (35 名)、栄養士 (94 名)、調理師 (232 名) の国家資格を持つスタッフが、おいしくて健康によい食事作りに日々取り組んでいます。
食に関する本物のサービスを目指す同社が特に力を入れているのは、「3 つの質へのこだわり」と「6 つのお約束」。食事の質を高めるために「人財」「食材」「安全衛生」の 3 つの質を高く維持し、「楽しいお食事のご提供」「経済的メリットの追求」「円滑な運営体制」「顧客ニーズへの迅速対応」「質の高いサービスの提供」「絶えざる技術革新の追求」の 6 つを約束することが、日本栄養給食協会の事業運営方針なのです。株式会社日本栄養給食協会 代表取締役 橋本 正行 氏が、福祉マーケットの拡大と、同社の方針について語ります。
「日本社会の高齢化が進むにつれて、福祉のマーケットはどんどん大きくなっていくと思います。この市場で地場の企業が全国ブランドの大手と戦っていくには、自らの特徴をはっきりと打ち出すことが重要課題です。弊社は、そのポイントを『おいしさ』に定めました。病院食は基本的に薄味ですから、素材にこだわることがおいしさの第一条件。安全、衛生に配慮するとともに、人にも十分な投資を行っています」。
このような理念をもって経営にあたる橋本氏が心がけているのが、質と原価率のバランスをうまく保つこと。そのために必要としていたのが、コストの引き下げのみを追い求めるのではなく、質も考慮に入れた経営分析を行うためのツールでした。
「弊社が重視している経営指標に、販売収支というものがあります。これは、食材の仕入れ価格と人件費を基に算出した製造原価にあたるものです。これまでの業務システムでも、全体的なレベルでの販売収支管理はできたのですが、私はもっと細かいレベルで見たかったのです。例えば、部門別や地域別に状況を把握したいと思いましたし、正社員の比率が食事の質にどう影響してくるかも知っておく必要がありました」(橋本 氏)。
<導入の経緯>
大きな画面とタッチ パネルでの操作により、
使いなれた Excel でデータ分析を行えるように日本栄養給食協会で稼働しているおもな業務システムは、経理、人事、給与、販売など。経理業務は会計事務所が指定した専用ソフトウェア パッケージで行っていますが、その他の業務については、同じく宇都宮市に本社を構える日本コンピューターシステムサービス株式会社 (以下、JCOM) に開発を依頼したクライアント サーバー型のシステムを利用しています。これらの人事・給与・販売のアプリケーションが出来上がったのは、10 年以上前のこと。当初から 30 種類ほどの検索/分析レポートが組み込まれていましたが、時間の経過につれて経営や業務のニーズを満たせなくなっていました。日本コンピューターシステムサービス株式会社 代表取締役 鈴木 修司 氏が語ります。
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 日本コンピューターシステムサービス株式会社 代表取締役 鈴木 修司 氏
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「人事・給与・販売の各業務システムを開発、納入した 10 年以上前と比べて、日本栄養給食協会様の規模は人員も売上も倍以上になりました。そのためもあって、検索/分析レポートはほとんど使われていなかったのですが、いざ作り直すとなると多額のコストが発生します。橋本社長が必要とされる分析の切り口をヒアリングしてタイムリーにシステム化することも実際には難しく、まったく手が付けられていない状態でした」。
「存在しているはずのデータをなかなか引き出すことができず、他の帳票を見ながら数値を Excel シートに手作業で再入力することも多いです。あまりにも時間と手間がかかるので、概算が出たところで作業を切り上げ、後は長年の “勘ピューター”に任せることもしばしばでした」(橋本 氏)。
このような悩みをかかえていた 2010 年 2 月。所用で JCOM を訪れた橋本氏が会議室で出会ったのが、「社長PC」のデモ機でした。
社長PC とは、日本ヒューレットパッカード社製のタッチ パネル付き一体型 PC に Windows
® 7 Professional と Microsoft
® Office 2010 を組み込み、経営者仕様のビジネス インテリジェンス (BI) ツールとして使えるようにした JCOM のソリューションです。社内のさまざまなデータ資産から「知りたい情報を」「知りたい時に」取り出し、Excel 2010 の新機能である「スライサー」を使ってさまざまな切り口でデータを表示できるというユニークな製品です。
Office 2010 でのデモンストレーションを見た橋本 氏は、まず、画面が大きな 社長PC ならスクロールの回数が減ること、操作の多くを指先でできることに着目しました。これを導入すれば、使い慣れた Excel で販売収支を多様な角度から検索/分析できると考えたのです。早速オーダーした 1 セットが橋本氏のデスクに搬入されたのは、3 月中旬のこと。通常のデスクトップ PC としての利用と並行して、JCOM による BI システムの構築も始まりました。
<システムの概要>
既存システムのデータベースを ETL でキューブ化。
ピボット テーブルで多様な経営分析を実行可能に社長PC では、Microsoft
® SQL Server
® 2008 ベースのキューブを Excel 2010 のピボット テーブルから参照することによって簡単操作の BI を実現しています。SQL Server 2008 にアクセスするためのクライアント コンポーネントや BI 関連の仕組みは、社長PC に標準で組み込み済み。サーバー側にキューブさえ構築すれば、経営者はすぐにでも検索や分析を始めることができます (図 1)。

 図 1 株式会社日本栄養給食協会に導入された社長PC。サーバー側のキューブを Excel 2010 のピボット テーブルで利用する仕組みになっています。 [拡大図]

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「弊社は、既存システムのデータベースからデータを抽出・変換して SQL Server 2008 のキューブを作り上げるところまでをサービスとして提供しています。ですから、お客さま企業が抽出、変換、ロード (ETL) 用のプログラムを自ら開発される必要はありません」(鈴木 氏)。
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 株式会社日本栄養給食協会 事務センター 係長 白濱 啓二 氏
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JCOM のこのサービスを利用することにした日本栄養給食協会は、慎重を期して段階的なアプローチを選択。まず、分析の切り口がそれほど複雑ではない人事・給与システムからキューブを作り、それをうまく使いこなせるようになったところで販売システムのキューブも作成することにしました。同社で総務・庶務・情報システムを担当する株式会社日本栄養給食協会 事務センター 係長 白濱 啓二 氏は、キューブ構築に始まる導入の経緯を次のように振り返ります。
「それまでは業務システムから取り出したデータを担当部署や担当者が個別に保管していたため、経営分析用の基礎データを複数の部署から集めなければならず、半日以上の時間を費やしていました。そこで、BI 用キューブの構築作業は弊社の業務システムに詳しい JCOM にお願いし、各業務システムのデータを 1 つのキューブに統合してもらいました。また、Office 2010 からはユーザー インターフェースのリボンをユーザー側でカスタマイズできると JCOM の鈴木さんからうかがっていましたので、社長専用のリボンも併せて制作していただき、経営分析を効率よく進められるようにも配慮しました」。
人事・給与システムのキューブは、4 月初めに完成。一定の権限を持つ社員しか参照できないようなアクセス制御をかけた上で、イントラネット上でアクセスできるようにしました。販売収支用キューブの構築もすでに始まっており、近く完成する見込みです。
<導入の効果>
製造原価の分析に要する時間は 1/10 に。
副次的効果として重要データの社内共有も進行社長PC の BI 機能を使い始めた橋本 氏は、これが日本栄養給食協会の競争力を高めるのに寄与する重要な経営分析ツールになるものと確信しています。
「人事・給与システムのデータについては、検索や分析に要する時間がこれまでの半分ほどになりました。また、弊社の重要な財産である“人財”をお客さまごとにどのような構成でご提供すればよいかも分かるようになり、ライバルに打ち勝つための競争力の源泉ともなっています。経営分析の本命となる販売収支が稼働するまでにはもう少し時間がかかりそうですが、複雑で大規模な検索/分析を自動化できるようになることから、所要時間は従来の 1/10 程度になるはずです。そうして生まれた時間の余裕を、より高度な経営分析に振り向けたいと考えています」。
また、副次的な効果として、白濱 氏は情報の共有が社内で進んだことを挙げます。
「従来は情報の共有が図られていなかったので同じ資料を複数の部署が別々に作成してしまうこともよくあり、効率の面で非常にもったいない状態でした。しかし、BI 用のキューブが出来上がったことによって基幹系システムの重要データを本社にいる約 30 人のスタッフが共有できるようになり、情報の水平展開を達成することができました」。
<今後の展開>
OneNote の手描きメモと録画で指示を伝達。
遠隔地と Web 会議をするために Microsoft Online Services も導入日本栄養給食協会では、今後、BI を本社内のスタッフや業務委託先の管理職にも積極的に使ってもらいたいと考えています。サーバー側に出来上がっているキューブは Excel さえあれば利用できますから、社員に支給されている普通のクライアント PC でも十分に活用が可能であること、追加のハードウェア コストが要らないことから、普及も短時間に進みそうです。
さらに、IT を経営と業務遂行にフルに生かすべく、日本栄養給食協会ではマイクロソフトの最新技術の導入にも積極的に取り組んでいます。
まず、社長PC については、標準で装備されているタッチパネルと Web カメラを OneNote 2010 のメモ機能で活用する使い方を検討中。社長が画面に手書き入力した指示や、Web カメラ/マイクロホンで録画/録音したコンテンツを電子メールで担当者に送ることによって、経営のスピードをさらに速めることがねらいです。
また、社内コミュニケーション用のツールとして、マイクロソフトの企業向けオンライン サービスである Online Services もすでに導入済み。県内全域に点在する病院や福祉施設などの業務受託先との間で Office Live Meeting を利用した Web 会議をいつでも実施できる準備を整えました。
「食のビジネスに携わっている関係上、衛生管理の注意をすべての業務委託先に迅速に伝えなければならない事態も発生します。Web 会議は、そのような時に威力を発揮することでしょう」(白濱 氏)。
さらに、システム運用管理の作業負荷を軽減するための改善策として、日本栄養給食協会はクラウド サービスにも大きな期待を寄せています。
「現在、社内にあるサーバーについては HDD に三重のバックアップをしています。しかし、弊社の規模では専任のメンテナンス チームを確保することが難しく、いつかシステムがダウンしてしまうのではという不安が残ることは否めません。そこで、業務システムをクラウド サービスに乗せることはできないか、現在検討を進めているところです。クラウド サービスなら弊社がシステム運用管理の心配をする必要もなく、IT コストの抑制にもつながるのではないでしょうか」(白濱 氏)。
健康と食をあずかる企業として、絶えざる技術革新を追求する。経営と業務遂行に IT をフル活用していくための日本栄養給食協会の取り組みは、これからも続けられていきます。
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