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株式会社ニジボックス

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掲載日: 2011 年 9 月 29 日

Yahoo! モバゲーの人気ゲームを海外展開するにあたり、Microsoft Windows Azure を稼働基盤に選択、
既存の LAMP 開発環境をそのまま活用、運用管理負担も大幅に軽減

株式会社ニジボックス

株式会社ニジボックス

2010 年 11 月に Yahoo! モバゲーで「おしゃれ泥棒」をリリースし、人気ランキングで上位を獲得している株式会社ニジボックス (以下、ニジボックス)。ここではその海外展開を行うため、「おしゃれ泥棒」の英語化と Facebook への移植が進められています。同社はその稼働環境として、複数の海外クラウド サービスを比較検討。その結果、Windows Azure の採用を決定したのです。決め手は既存の LAMP 開発環境との親和性の高さと、マイクロソフトの国内でのサポート力。初期コストの安さや、データベースを含めたスケーラビリティの高さも評価されています。開発環境は従来の環境をそのまま流用し、PHP コードの修正を最小限に抑えることにも成功。2011 年 9 月中には Facebook 版「おしゃれ泥棒」を公開する予定です。

<導入背景とねらい>
Yahoo! モバゲーの人気ゲーム「おしゃれ泥棒」を
海外展開するため Facebook 上に移植

株式会社ニジボックス
コンテンツ事業部
新領域開発グループ
プロデューサー
内藤 崇司 氏

ソーシャル ゲーム パブリッシャーにとって、ゲーム稼働環境をどのように構築するかは難しい課題の 1 つです。ソーシャル ゲームは利用者が爆発的に増える可能性があるため、セキュアかつスケーラブルな環境が求められます。しかしゲームがヒットするか否かを予測することは難しく、最初から大きなシステム投資を行うことはできません。

初期投資抑制のためクラウド サービスの活用を検討しているパブリッシャーも少なくありませんが、ここにも大きなハードルがあります。ネット系の開発では PHP や MySQL が利用されるケースが日本ではよくみられまですが、クラウド サービスの中には独自アーキテクチャーを持ち、開発言語やデータベースが限定されるものもあります。その場合には既存の開発環境をそのまま利用できないため、開発者の負担が増大するのです。

このような問題を、Windows Azure によって解決しているのがニジボックスです。

同社は 2008 年末に株式会社リクルートのネット サービスの実証研究機関「Media technology labs」において活動を開始し、2010 年 11 月に分社化。デジタル コンテンツ サービスの企画・開発会社として次々と新サービスを開発しています。「当初からサービス量産を前提に事業を展開してきました」と言うのは、コンテンツ事業部 新領域開発グループ プロデューサーの内藤崇司氏。経営理念の 1 つとして掲げられている「SPEED IS POWER」という言葉にも、その姿勢がはっきりと現れています。

分社化直後には、PHP と MySQL で開発された女性向けソーシャル ゲーム「おしゃれ泥棒」を Yahoo! モバゲーにリリース。人気ランキングで上位を獲得し、順調に収益を上げています。そしてこれを海外展開するため、Facebook への移植も進めているのです。

「海外展開のプラットフォームとしては、Facebook が世界最大規模です」と内藤氏。ユーザー ベースの大きさを考えれば、今後最も重要なプラットフォームになりうると指摘します。「しかし Facebook 上でどれだけのユーザーを獲得でき、そこからどれだけの収益を上げられるのかは未知数です。しばらくは研究開発の一環として、Facebook ユーザーの反応を見ていく必要があります」。

Facebook 版「おしゃれ泥棒」は、まだ収益が見通せないサービスであるため、システム投資を最小限に抑えることが必須条件です。また短期間でサービスを投入するには、開発担当者の負担軽減も意識しなければなりません。この 2 つの要件を満たすクラウド サービスとしてニジボックスが選択したのが、Windows Azure だったのです。

<導入の経緯>
LAMP 環境との親和性とサポート力を高く評価
初期コストの安さとスケーラビリティも魅力

株式会社ニジボックス
コンテンツ事業部
シニアアーキテクト
山本 有悟 氏

シグマコンサルティング株式会社
取締役 副社長
菅原 英治 氏

ニジボックスで「おしゃれ泥棒」の海外展開に向けた検討が始まったのは 2010 年 11 月。その稼働環境としては当初から、北米にデータ センターを保有するクラウド サービスの採用が前提になりました。Facebook に対するレイテンシを考えれば、これは当然の条件だと言えます。

もちろん北米にデータ センターを持つクラウド サービスは、Windows Azure だけではありません。採用の決め手はいったい何だったのでしょうか。内藤氏は「既存の PHP 開発環境をそのまま利用でき、国内サポートも充実していること」だと説明します。

これらの優位性を、他社サービスと比較しながらさらに詳しく説明するのは、コンテンツ事業部 シニアアーキテクトの山本有悟氏です。「選択肢としては他に、Google AppEngine と Amazon EC2 がありました。しかし AppEngine は独自アーキテクチャーに合わせる必要があるので移植がやや難しく、開発者の確保が容易ではありません。また EC2 はこれまでにも試験的に利用してきましたが、比較的 Windows Azure は開発運用の手離れがよく、日本マイクロソフト株式会社 (以下、マイクロソフト) がサポート窓口なので、国内の商習慣でスムーズに利用でき、安心して使えると判断したのです」。

これらに加え、イニシャル コストが安く、スケーラビリティが高いことも、Windows Azure の魅力だと山本氏は指摘します。「特に重要なのがデータベースのスケーラビリティです。データベースはシステム全体の中で、最もスケールしにくい部分だからです。今回は SQL Azure を使用していますが、MySQL を自前で管理するのに比べてはるかに高いスケーラビリティを確保できます」。

2011 年 2 月にはマイクロソフトの紹介によって、シグマコンサルティング株式会社 (シグマコンサルティング) がコンサルタントとして参画。効率的なコード移植を行うためのノウハウが提供されています。また日本マイクロソフトは Facebook と数多くの協業を行っており、問題発生時にもスムーズな情報入手が可能になりました。強力なコネクションをフル活用することで、「おしゃれ泥棒」の移植を多面的にサポートしているのです。「コンサルタントや開発者の層の厚さ、IT 業界におけるコネクションの多さは、さすがにマイクロソフトだと感じました。また技術面だけではなく、プロモーションまで視野に入れたビジネス面でのサポートにも積極的です。海外クラウド サービスでここまでやってくれるところは、他にありません」 (内藤氏)。

長期的なコストを大幅に削減できるとことも、Windows Azure 採用の論理的根拠になっています。シグマコンサルティングの試算によると、3 年間アプリケーションを稼働させた場合の TCO は、自社サーバー運用では 1,900 万円以上になるのに対し、Windows Azure では 322 万円程度。わずか 1/6 程度で済んでしまいます。Amazon EC2 と比較しても、Windows Azure の TCO は半分程度です。

「Windows Azure はサーバー運用はもちろんのこと、セキュリティ パッチの適用もマイクロソフトが責任を持って行っているため、管理・サポートに関する負担を大幅に軽減できます」と言うのは、シグマコンサルティング 取締役 副社長の菅原英治氏です。「データベースのバックアップも常に 2 重に取得されています。これまでは MySQL のレプリケーションを行ったうえで、レプリケート先のデータを定期的にエクスポートしていたと伺っています。しかし SQL Azure ならそのような運用も不要です」。

3 年間アプリを稼働させた場合のトータル コストの比較表 (単位:円)

3 年間アプリを稼働させた場合のトータル コストの比較表 (単位:円)

<システムの概要>
既存の開発環境をそのまま流用
運用管理負担は大幅に軽減

Windows Azure をターゲットにした開発は、図に示す環境で行われています。プロジェクト管理とコーディングは、PHP Development Tools (PDT) と Microsoft Windows Azure Toolkit for Eclipse を実装した Eclipse を使用。アプリケーション フレームワークは Zend Frameworkを 利用しています。開発者用マシンには Apache もインストールされており、開発中のコードを開発者のローカル環境でテストできます。テスト時のデータベースは SQL Azure にリモートからアクセスします。テストが完了したコードを本番環境に展開する時は、Windows Azure Toolkit for Eclipse が提供する「パッケージ発行機能」を使用します。

「これまで使ってきた LAMP 開発環境とほとんど変わらないので、開発はとても進めやすいですね」と山本氏。各種設定作業もブラウザー ベースの GUI ツールが用意されており、すぐに使いこなせると言います。「Windows Azure をターゲットにした開発は、当初考えていた以上に手軽です」。

データベースは MySQL から SQL Azure に移行していますが、これに伴うコード変更もほとんどありません。Microsoft Drivers for PHP for SQL Server というドライバーが用意されているため、MySQL と同じように PHP Data Object (PDO) でデータ アクセスできるからです。

さらに菅原氏は「本番環境へのコード展開が簡単に行えるのも、Windows Azure のメリット」だと指摘します。Windows Azure では PHP プロジェクトをパッケージ化して本番環境に「発行」しますが、この操作は Eclipse のメニュー選択だけで行えます。「PHP ファイルを FTP でアップロードするよりもはるかに手軽ですし、セキュリティ上の問題やヒューマン エラーも回避できます。これも開発者の負担軽減に大きな貢献を果たしているはずです」 (菅原氏)。

開発者の負担軽減によって、ゲーム内容そのものの検討に、より多くの時間を割くことが可能になりました。特にゲーム中に表示されるテキストの翻訳には、今回かなり力を入れていると内藤氏は説明します。「機械的に日本語を英語に置き換えるのではなく、北米の文化に配慮しながら、ネイティブの感覚に合わせた表現を心掛けました。デザインはオリジナルのままにして "東京" を強く押し出すイメージにしましたが、北米の皆様にも違和感なく楽しんでいただけるしあがりになったと思います」。

システム構成図

システム構成図[拡大図]

<今後の展望>
Facebook 版「おしゃれ泥棒」は 2011 年 9 月中に公開
今後は Facebook オリジナルのゲーム開発も視野に

Facebook に移植された「おしゃれ泥棒」は、現在「Tokyo Wardrobe」という名称で社内限定公開され、テストが続けられています。一般公開は 2011 年 9 月中を予定。その後しばらくは、月間ダウロード数や継続率、課金率などを追跡しながら、細かい調整を繰り返していく計画です。特に重視されているのが継続率の確保です。継続期間が長いユーザーは、ヘビー ユーザーになる可能性が高いからです。

「Tokyo Wardrobe」の今後の推移は、他のソーシャル サービスを Facebook 上で展開するか否かの、重要な試金石になると内藤氏は言います。「これが成功すれば、Facebook オリジナルのソーシャル ゲームを開発する可能性もあります。その場合ももちろん、稼働環境には Windows Azure を最初に検討するでしょう」。


Facebook 版「おしゃれ泥棒」の画面

自分の部屋

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職場を見る

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ソリューション概要

プロファイル

株式会社ニジボックス外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますは、2008 年末に株式会社リクルートのネット サービスの実証研究機関「Media technology labs」において活動を開始し、2010 年 11 月に分社化したデジタル コンテンツ プロバイダーです。法人設立時には「3 年間で 1,000 本のコンテンツ開発」を宣言、きわめて速いペースでサービス展開を進めています。2010 年 11 月には「おしゃれ泥棒」をリリースし、Yahoo! モバゲーで人気ランキング上位を獲得。その英語版も 2011 年 9 月中に Facebook 上で公開する予定です。

シナリオ

  • 2010 年 11 月に、Yahoo! モバゲーで「おしゃれ泥棒」をリリース。人気ランキング上位を獲得し、順調に収益を伸ばしている。
  • その海外展開を行うため、Facebook への移植に着手。そのための稼働環境として、複数の海外クラウド サービスが比較検討された。
  • 既存の LAMP 開発環境がそのまま流用できることや、国内でのサポートが充実していること、初期コストが安いこと、データベースを含む十分なスケーラビリティがあることなどを評価し、Microsoft Windows Azure の採用を決定した。

導入ソフトウェアとサービス

導入メリット

LAMP 環境との親和性が高い Windows Azure を採用することで、既存の開発環境をほぼそのまま流用できました。サーバー管理はもちろんのことデータベースのバックアップ運用も不要になったため、運用管理負担の大幅な軽減も実現しています。

ユーザーコメント

「Windows Azure は既存の PHP 開発環境をそのまま利用できます。国内サポートが充実している点も大きな魅力です」

株式会社ニジボックス
コンテンツ事業部
新領域開発グループ
プロデューサー
内藤 崇司 氏

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