Microsoft Exchange Server 2007 と Microsoft Office SharePoint Server 2007 で情報共有基盤を統合。 トータル コストを大幅に削減するとともに、運用負担の軽減や利便性向上も実現
|
営業力強化と業務効率化のため、愛知、静岡、岐阜、三重の 4 県の事業会社を合併し、2008 年 7 月に誕生した株式会社NTT西日本-東海 (以下、NTT西日本―東海) 。ここでは合併後の情報共有基盤を統合するため、Exchange Server 2007 と Office SharePoint Server 2007 が導入されています。マイクロソフト製品が採用された最大の理由は、既に 2006 年に合併前の各社で導入されていた Microsoft Active Directory を最大限に活用できることと、この時に一緒に契約した ESA (Microsoft Enterprise Subscription Agreement) の Core CAL によって低コストで導入できることにありました。これによって以前は他のソフトウェアに費やされていたライセンス料が不要になるなど、年間運用コストが大幅に低減され、新規投資額を計算に入れても 5 年間で 7,300 万円のコスト メリットが生まれると試算されています。また運用負担軽減やユーザーの利便性向上も実現。コミュニケーション活性化やナレッジ共有の促進にも、大きな貢献を果たしつつあります。
<導入背景と狙い>
営業力強化と業務効率化のため 4 会社を合併
その効果を引き出すため情報共有基盤も統合 
 株式会社NTT西日本-東海 取締役 企画部長 土永 聡志 氏
|  |
企業力を強化するため、複数の事業会社を合併する。これは企業戦略の高度化や、間接業務の共通化によるコスト削減など、数多くのメリットをもたらす有効なアプローチの 1 つだと言えます。しかしその効果を最大限に引き出すには、情報共有基盤の統合が欠かせません。情報共有基盤が個別のままでは、全社的な戦略の共有やコミュニケーション コストの削減は困難だからです。
それでは、実際の情報共有基盤統合をどのようにして実現すればいいのでしょうか。この問いに対し、マイクロソフトのサーバー製品の全面採用を選択したのが、NTT西日本-東海です。同社は 2008 年 7 月に、それまで愛知、静岡、岐阜、三重の各県に分かれていた事業会社を統合する形で誕生した、NTT西日本のグループ会社です。統合の目的は、営業エリアを広域化することによる営業力の強化と、さらなる “KAIZEN (改善)” によるコストダウンの実現です。
「NTT西日本を取り巻く環境は、固定電話系収入の減少や光市場における競争の激化など、非常に厳しいものになっています」と言うのは、株式会社NTT西日本-東海 取締役 企画部長の土永聡志氏。NTT西日本はこの状況の中、IP ブロードバンドを主軸とした企業への転換を図り、NGN サービス「フレッツ光ネクスト」を中心とした拡販と、徹底したコスト コントロールに取り組んでいるのだと説明します。「これまでも仕事のやり方の見直しや、全社を挙げての改善活動を通じて、事業運営の効率化を進めてきました。しかしより高度なビジネス戦略を立案、実行したり、さらなるコスト ダウンを実現するには、企業統合による事業エリアの広域化が必要だったのです」。
しかし合併前の情報共有基盤は各社個別に導入されたものであり、そのままの形で統合することは容易ではありませんでした。ユーザー管理基盤としては既に Active Directory が導入されていましたが、当然ながらフォレストは個別に構築されており、相互運用はなされていません。また各システムの内部構造も、メール システムとスケジュール管理、情報共有のための社内ホームページが個別に導入されており、それぞれのサーバーにアクセスするためには個別のユーザー ID とパスワードが必要という状況だったのです。
そこで NTT西日本-東海では企業統合に先立ち、新たな情報共有基盤の構築に向けた検討を、2008 年 2月にスタートします。掲げられたテーマは、完全にシームレスな情報共有を可能にすることと、インフラ基盤の運用コストを極限まで削減すること。このわずか 2 か月後には、Exchange Server 2007 と Office SharePoint Server 2007 の導入を正式決定。ユーザー管理も Active Directory の単一フォレストで一元管理することが決まるのです。
<導入の経緯>
できる限りコストを抑えることを目指し
マイクロソフト製品の全面採用を決定 
 株式会社NTT西日本-東海 企画部 経営企画部門 情報システム担当課長 大原 康生 氏
|  |

 株式会社NTT西日本-東海 企画部 経営企画部門 情報システム担当 主査 後藤 誠 氏
|  |

 株式会社NTT西日本-東海 企画部 経営企画部門 情報システム担当 隠岐 正司 氏
|  |
それではなぜ、新しい情報共有基盤にマイクロソフト製品を選択したのでしょうか。
「まず一番に考えたのは、システム構築費やランニング コストをできる限り抑えることと、既存の Active Directory をうまく活用することでした」と言うのは、株式会社NTT西日本-東海 企画部 経営企画部門 情報システム担当課長の大原康生氏。NTT西日本-東海では 2006 年に Active Directory を導入した際に ESA を契約しており、これを活かすことでコストを抑制できると判断したと言います。「ESA 契約の特典である Core CAL を活用すれば、Exchange Server 2007 と Office SharePoint Server 2007 を追加コストなしで導入できます。これは大きな魅力でした」。
その一方で「以前に比べて利便性が高まる点も重要なメリットです」と指摘するのは、株式会社NTT西日本-東海 企画部 経営企画部門 情報システム担当 主査 の後藤誠氏です。たとえば、以前のユーザー管理は前述のように Active Directory だけではなく、メール システムやグループウェアにもユーザー登録が必要で、管理が煩雑なうえ、ユーザーにとっての利便性を低下させる要因にもなっていました。またメールとスケジュール管理が個別システムだったため、両者を連携させた活用も難しかったと言います。「Exchange Server 2007 と Office SharePoint Server 2007 に移行すれば、このような問題はなくなります。実はグループウェアだけで 5 社の製品を検討したのですが、やはりマイクロソフト製品がベストだという結論に至ったのです」。
2008 年 5 月には Exchange Server 2007 の環境構築を開始。これと並行して新規の Active Directory 環境も準備され、ユーザー登録が進められていきました。2008 年 6 月には Active Directory の統合とメールおよびスケジュール環境の移行準備を完了。約 1 万 4,000 名のユーザーが、7 月 1 日に新環境へと一気に移行しています。2008 年 8 月には Office SharePoint Server 2007 の環境構築もスタート。これも 9 月までに完了し、2008 年 10 月には本番運用を開始しています。
「全面的にマイクロソフト製品を採用したシステムは今回が初めてでしたが、情報システム担当者のスキルアップも兼ねて、すべて自前で構築を行いました」と大原氏。マイクロソフトの支援を活用しながら作業を進めることで、短期間での構築が可能になったと言います。「ほとんどの設定作業はウィザードで行えるので、システム構築そのものはそれほど難しくありませんでした」と言うのは、株式会社NTT西日本-東海 企画部 経営企画部門 情報システム担当の隠岐正司氏。むしろ難しかったのは、県ごとに異なる社風や文化に配慮しながらユーザーの移行プロセスを調整することだったと振り返ります。「できるだけ社内が混乱しないよう、手順書やツールの準備、移行用ホームページの立ち上げなどを行いましたが、切り替えから 1 ~ 2 か月間は数多くの問い合わせ電話をいただきました。しかしエンド ユーザーへのトレーニングを行う必要もなく、Office SharePoint Server 2007 のページを立ち上げるための管理者向けセミナーを開催しただけで、特に大きな問題もなく移行を完了することができました」。
Office SharePoint Server 2007 の環境がリリースされてからは、各社が保有していたグループウェア上のコンテンツの移行が進められていきました。古い情報はこれを機に削除され、最終的に半分程度が移行されたと言います。この作業は約 5 か月間にわたって行われ、2009 年 3 月には旧グループウェア環境の撤廃が実施されています。
<システムの概要>
運用負担が軽減され利便性も向上
年間コストの削減額は 3,900 万円に現在の情報共有基盤の構成は図 1 の右側に示すとおりです。ユーザー認証は単一フォレストの Active Directory で一元管理されており、メールとスケジュール管理は Exchange Server 2007、情報共有は Office SharePoint Server 2007 で実現されています。クライアントは Microsoft Office Outlook と Microsoft Internet Explorer を利用。Exchange Server 対応モバイル ソリューション「ExLook シリーズ (株式会社ビービーシステム)」も採用され、社外からも携帯電話などでメールやスケジュールにアクセスできるようになっています。
Office SharePoint Server 2007 で共有されているコンテンツとしては、社内規定やシステム操作マニュアル、経営会議資料、契約書類、稟議書などの共有ドキュメントのほか、社内向けの掲示板やポータルがあります。「掲示板やポータルのデザインは各部門に任せていますが、それぞれ非常に個性的なページを作っています」と後藤氏。静岡県の営業所では稟議書のワークフローの構築、検証も行われており、これがうまくいけば全社展開される可能性もあると言います。
現在のサーバー数は、バックエンドの Microsoft SQL Sever も含めて 21 台。以前に比べてサーバー数が削減され、運用負担も軽減されています。また Office SharePoint Server 2007 によるファイル共有には有効期限などの情報を設定でき、登録された情報を直接編集できるため、ユーザーにとっての利便性も向上しています。もちろん Office Outlook を立ち上げるだけでメールとスケジュールの両方を管理でき、メールとスケジュールの連動が可能な点も高く評価されています。Office Outlook の書籍を購入し、情報システム担当も知らないような使い方を探求している社員もいるとのこと。
しかし今回の情報共有基盤統合がもたらした最大のメリットは、大幅なコスト削減が可能になったことでしょう。大原氏によれば「従来のグループウェアなどのライセンス コストがなくなったことなどで、年間 3,900 万円のコスト削減になりました」と言います。もちろん新規導入設備のコストは必要ですが、それを計算に入れても 5 年間で 7,300 万円のコスト抑制が可能になると試算されているのです (図 2)。「ハードウェア保守費用も大幅に下がり、ユーザー管理に必要な人員数も以前の半分程度になりました。投資に見合うコスト削減効果は十分にあると判断しています」。
<今後の展望>
今後はブログ機能なども積極的に活用
自然発生的なナレッジ共有にも期待今回の情報共有基盤統合は、NTT西日本グループの他の会社からも、大きな注目を集めています。既にこれまでにも NTT西日本本社や他地域の社員が見学に訪れています。また Office SharePoint Server 2007 環境の構築経験は、新たなビジネスにもつながりつつあります。法人営業部には「Office SharePoint Server 2007 に関する提案をして欲しい」という顧客からの引き合いが来ているとも言います。
今後は Office SharePoint Server 2007 のチーム ディスカッションやブログなどの機能も積極的に活用していく予定です。既に一部の部門ではブログ制作に着手しており、社内コミュニケーション活性化の手段として期待されています。「Office SharePoint Server 2007 は情報共有の基本機能を網羅しているため、やりたいことがあればすぐに対応できます」と隠岐氏。また土永氏は「将来はこの上にコミュニティを作り、自然発生的なナレッジ共有を実現したいですね」と期待を語ります。
社内コミュニケーションが活性化し、ナレッジ共有も進んでいけば、より戦略性の高いビジネス展開が可能になるはずです。既に大幅なコスト削減が実現されていますが、これは今回の情報共有基盤統合の一面に過ぎないのです。新たなインフラを活用することで、どこまで企業力を高めることができるのか。NTT西日本-東海の取り組みには、これからも目を離すことができません。

 GROUP東海エリアポータル[拡大図] |  | 
 静岡事業部ポータル[拡大図] |  | 
 Office SharePoint Server 2007 活用サイト[拡大図] |
本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 | |
