グローバルでの大手優良顧客へのサービス基盤として、Microsoft Dynamics CRM を導入。 世界に展開する 5 拠点の情報共有と業務連携を通じて、ビジネスの効率を大きくアップ
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日本を代表する精密機器メーカーであり、コピー機やプリンターなどのオフィス ソリューションからパーソナル向けのデジタル カメラ、そして電子デバイスなどの産業向け製品までを幅広く提供する株式会社リコー (以下、リコー)。その中で、世界各国の大手優良企業を顧客にビジネスを展開しているのが、同社のグローバルサービス事業センターです。同センターでは 2008 年、Dynamics CRM による CRM システムを導入して、日、米、欧、中、アジアの世界 5 拠点に置かれた地域統括会社を結ぶ、情報共有と業務連携のためのしくみを構築。Fortune 500 にランキングされる大手優良企業を中心に、積極的な営業活動とサポート業務の展開に成功しています。
<導入背景と狙い>
グローバル メジャー アカウントの顧客に向けたサービス基盤作りを目指す 
 株式会社リコー 海外事業本部 リコーグローバルサービス事業センター センター長 奥津 靖 氏
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 株式会社リコー 海外事業本部 リコーグローバルサービス事業センター GS技術支援室 室長 木澤 昭夫 氏
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「今回の Dynamics CRM 導入の最も大きな目標として、グローバル メジャー アカウントのお客様に対するサービス提供の基盤作りがありました。当社のグローバルサービス事業センターでは、そうした国際企業の中でも "Fortune 500" にランキングされる大手優良企業を主な顧客としており、そのための販売、技術拠点を支える世界規模でのインフラ整備が求められていたのです」と、株式会社リコー 海外事業本部 リコーグローバルサービス事業センター センター長の奥津靖氏はシステム導入の動機を語ります。
現在のリコーのグローバル営業網は、5 極体制で世界に展開されています。日本本社のほかには、北南米、ヨーロッパ、アジア・オセアニア、そして中国の計 4 エリアにそれぞれ地域統括会社が置かれ、各国エリアごとの顧客のビジネス ニーズに幅広く対応しています。
「グローバル企業が相手の場合、地域や国が異なっていても同じサービスやサポートを提供できなくてはなりません。また技術支援にしても、同じサービスを国をまたいで共通で利用したいというご要望もあります。しかし以前は、拠点同士の連携や情報共有のしくみが整っておらず、なかなか難しいものがありました。そこで、こうした国を超えた視点でビジネスやサポートを最適化するための専門 SE 要員として、新たにTPS (Technical Presales Support) と呼ばれるポストを設け、5 極に配置しました。そして彼らが情報共有やビジネス連携を行うためのツールとして、今回の Dynamics CRM によるシステムを導入したのです」と、株式会社リコー 海外事業本部 リコーグローバルサービス事業センター GS技術支援室 室長 木澤昭夫氏は背景を語ります。
また同社では、成長戦略として M&A の積極展開を掲げ、米国などの関連業種企業の買収を進めてきました。この結果、2007 年度には売上ベースで海外事業の割合が全体の 50% に達し、グループ社員数も 10 万人を超える規模に達したと言います。
「M&A による国際化に伴って、国外の顧客へのサービス体制を整えるのはもちろんのこと、新たにリコーグループに加わった人々に、いかにリコーの DNA を伝えていくかが重要なテーマになります。各国のお客様の抱いている課題に対して、世界中どこでも均質かつ高品質なソリューション サービスを提供できる組織および体制を整えるという意味でも、グローバル営業における情報共有とビジネス連携のしくみ作りは急務だったのです」 (奥津氏) 。
<導入の経緯>
カスタマイズの容易さやユーザー規模の最適感に加え、技術者が豊富な点にも着目新しい CRM システムの導入にあたっては、これまでの課題や問題点が再三検討され、システムの要件として盛り込まれました。木澤氏は「今まではスタッフ同士のコミュニケーションもメール ベースだったので、うっかり CC からもれてしまっただけで情報共有できなくなったり、問題が発生した際、後追い対応になったりしがちでした。そこで新システムでは、技術支援の状況をグローバル規模でもれなく記録できること、また同じ顧客の問題であれば、異なる地域で起こっていることでも同一の対応がとれることを目標に、"問題や活動状況の可視化"、"リスク管理"、"グローバルなコミュニケーション"などを主な条件として据えました」と語ります。
具体的な製品の検討が始まったのは 2007 年の夏でした。同センターのシステムを担当していたアバナード株式会社 (以下、アバナード) に依頼して、各候補製品のコストや機能の比較検証を行ったのが始まりでした。アバナード株式会社 コンサルタント 矢生弘行氏は、「100 項目以上の業務要件を出していただき、当社でフィット & ギャップを行っていきました。選定にあたっては、まったく新しい組織での使用なので、今後の体制や用途の変更に応じて柔軟に対応できるシステム構築が可能な製品を選ぶ方向で進めていこうと考えました」と語ります。
最終的にマイクロソフトを含む大手ベンダーの 3 製品に絞り込まれた中で、Dynamics CRM が選ばれた理由はいくつかあると、木澤氏は語ります。
「まずカスタマイズが容易に行える点、対象とする規模も当センターのような 100 名程度の中規模ユーザーにフォーカスしている点、さらにマイクロソフトの各種エンタープライズ サーバー製品を通じて熟練したスキルを持つエンジニアが数多く世の中に存在しているため、開発期間を短くでき、導入および運用のコストを下げられるといったメリットにも着目しました」。
2007 年末には最終的に製品を決定して、年が明けた 2008 年初頭から開発を開始。急ピッチで作業が進められ、わずか 4 か月後の同年 4 月には運用が開始されました。
<システムの概要>
グローバルでの情報共有に加え、SE の営業マインド育成や顧客対応のスピードアップも「システムそのものの構成は、非常にシンプルです」と、木澤氏は言います。その言葉どおり、Microsoft Windows Server 2003 と IIS (Microsoft Internet Information Services) のコンビネーションをベースに、データベースは Microsoft SQL Server 2000、そして認証基盤には Microsoft Active Directory という組み合わせは、Microsoft Windows ベースの情報システムとしてはごく標準的な構成だと言えるでしょう。ここで 1 つ注目したいのは、グループウェアである Lotus Notes/Domino と Dynamics CRMとを連携させている点です。
「グローバル ビジネスにおいて、メールは重要情報のかたまりです。そこで今回の CRM 導入にあたっては、この既存のメール システムを Dynamics CRM と連携させて取り込むことにしました。リコーでは標準グループウェアとして、Notes/Domino を使用しており、この中からメールの部分のみを取り込むように作り込んだのです」と、木澤氏は語ります。
「具体的なアーキテクチャとしては、アバナードの提供する製品に、『Lotus Notes Connector』というデータ連携ツールがあります。これを使って Notes/Domino のメールボックスからログを取り出して、Dynamics CRM に取り込んでいるのです」 (矢生氏) 。
CRM システムは導入にもまして、ユーザーの熟練までに入念なトレーニングが必要だと言われています。今回の Dynamics CRM 導入にあたっては、同社は少人数のメリットを活かしてかなり熱心な指導を行ったと、木澤氏はふり返ります。
「トレーニング対象となるユーザーが少なかったので、最初は Web 会議システムを使って、ほぼマン ツー マンのきめ細かなトレーニングを実施しました。通常の運用フェーズに入ってからは、隔週ペースで電話会議システムなどを使って、現地の顧客の話などを聞きながらフォローを行っていきました」。
導入から約 1 年が経過した現在では、新しい CRM システムはすっかり業務に定着して、新しい成果を上げつつあると奥津氏は評価します。
「グローバル セールスを支援するツールという位置付けでは、大きな成功を収めたと感じています。たとえば以前はセールスのプロセスをスタッフに理解させるのに厚い紙の資料を渡したりしていましたが、そんな資料を現場でいちいち参照するのは大変です。これが Dynamics CRM に代わったことで、お互いにコミュニケーションをとりながら必要なことを、各人が自然に覚えていけるようになりました」。
一方で木澤氏は、プロセスの標準化に向けた意識がスタッフの間に定着してきたと指摘します。
「システム エンジニアに、営業担当と一緒にセールスの機会を作ってそれを実現するにはどんなタスクが必要か、またそのタスクを実現するにはどんなアクションが必要かという課題を与えて、その解決に Dynamics CRM を活用させるようにしました。その結果、プロセスの標準化に向けた営業マインドが彼らの中に醸成されつつあります」。
さらに、情報共有という面でも確実に成果は上がっています。
「たとえばヨーロッパで動いている商談があって、なおかつ同時にアメリカもスコープに入っている場合、ヨーロッパでの動向があらかじめアメリカのスタッフにも伝わっていれば、いざアメリカで動き出す時や連携して動く際にも迅速に対応できます。Dynamics CRM で普段から情報共有を行っておくことで顧客への対応も速くなるし、両者の橋渡しにそのつど日本の本部が介在しなくても済むので、ビジネスにおけるアジリティも向上します。もともと Dynamics CRM はセールスの熟度管理を主眼としたツールなのに、こうしたグローバル セールスの支援ツールとしても応用できる柔軟性は高く評価できますね」 (木澤氏) 。

 グローバル営業部隊のCRMシステム利用イメージ図[拡大図] |
<今後の展望>
トップレベルのグローバル サービス プロバイダーを目指して未来へ邁進今後はメールやプロジェクトの管理といったこれまでの利用法に加えて、各拠点をつなぐビジネス支援ツールとしてのさまざまな可能性を探っていきたいと、木澤氏は期待を語ります。
「たとえば社内の技術関連部門や各国のテクニカル センターと、世界の各エリアのお客様とをつないで、ビジネスの機会を創り出していけるような、システム拡張や連携のしくみを考えていけたらと思っています。さらに私たちグローバルサービス事業センターだけにとどまらず、他部署の利便性を上げていくような試みにも大いに関心があります。ゆくゆくはこの CRM システムをベースに、新製品開発や社内の他部署同士の連携なども実現できれば嬉しいと思います」。
これに対してアバナードの矢生氏も、「システムへのご要望や改善事項は現在も数多くいただいていますが、そうした課題に今後も全力を尽くしてお応えしてまいります。当社はマイクロソフトとの連携もたいへん強く、これからもそうしたアドバンテージを活かした質の高いご提案をしていきたいと願っています」と抱負を語ります。
「リコーがグローバル メジャー アカウントのお客様への取り組みを本格的に始めたのは 2005 年。同じ課題で先行している大手ベンダーも多く、まだまだ我々はチャレンジャーとしての力量を問われている段階です。しかし同時に、当社にはそうした先行組に対して圧倒的な強みを持つ分野と技術力があるという自負も持っています。そうしたアドバンテージと、パートナーとの協業をバネに、今後 3 年以内にグローバル サービス プロバイダーとしてトップレベルのサービスを提供できるように成長したいと、大いに意気込んでいるところです」と力強く宣言する奥津氏。圧倒的な企業パワーとテクノロジーを原動力に、リコーのグローバル ビジネスはさらに大きな目標へと動き出しています。
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