中小規模の企業を含めた企業間における電気・電子部品の技術情報交換を 最適化するため SaaS と Ecma Office Open XML を活用
|
2008 年 1 月 24 日、ロゼッタネットジャパンは、企業間における電気・電子部品技術情報の流通および再利用を行い、セット メーカおよび部品メーカの設計部門を含めた業務プロセスの最適化、効率化を実現するためのワーキング グループを立ち上げ、次世代の部品技術情報流通基盤を SaaS モデルで提供するための検討を本格的に開始したと発表しました。
<背景>
ハイテク業界の IT 化を先導してきたロゼッタネットの背景RosettaNet は、1998 年に米国でハイテク業界やその周辺業界における情報交換のニーズから設立された非営利コンソーシアムです。RosettaNet が開発した効率的な諸標準は、世界中の何百社にも及ぶ企業のビジネス プロセスを自動化し、グローバルな商取引における技術的および資金的な障害の低減に貢献してきました。2000 年にはロゼッタネットジャパンが発足し、国内においてもこれまでに 5,000 を超える PIP
※1 接続数(企業ごとの「接続企業数」×「利用プロセス数」の合計)を実現しております。
デジタル家電全盛の中、製品のライフサイクルはますます短くなってきており、在庫の圧縮や需要予測の精度向上がさらに求められています。これらの課題を解決するためにサプライチェーン マネジメント(SCM)は必須であり、IT を駆使して川上から川下までできるだけ速く正確な情報交換を行うことが求められています。ロゼッタネットは、このようなニーズに応えるグローバル標準として、受発注や物流領域を中心に活用され、もの造りの進化に貢献し、大きな成果を上げてきました。
<課題>
もの造りの現場が抱える課題ロゼッタネットジャパンでは、グローバル経済におけるもの造りの競争力をさらに強化させるため、標準化の検討範囲をより上流に広げていく必要があると感じており、製品開発および設計にかかわる電気・電子部品の技術情報交換プロセスをより効率化することを考えました。
一般にセット メーカの取引先となる部品メーカは、全世界で数千社以上にのぼり、その多くは中小規模の企業です。デジタル家電のもの造りの現場は、中小規模の企業の技術力に支えられているといっても過言ではありません。セット メーカは、新たに製品を開発する際、そのアイデアを具現化するために必要な部品、あるいはよりコストを抑えた製品化を可能にする部品、さらにはグローバルな環境規制に対応可能な部品を求めて、世界中の部品メーカから部品に関する技術情報を収集しています。
今までの技術情報交換プロセスでは、部品メーカが持っている取り扱い部品のスペック情報や、含有化学物質情報(以下、環境情報)などにおいて、紙を媒体としてセット メーカに提供しているケースが多く、セット メーカは、提供された紙媒体から情報を読み取り、電子データ化したうえで、設計プロセスを含めたもの造りに利用しています。
加えて、2D/3D CAD や、シミュレーション、環境情報のデータについても、セット メーカからの要求に応じて部品メーカが個別に対応していますが、特に環境情報においては、REACH 等の法規制に対応するため、より正確な情報をより短期間に、素材メーカから部品メーカ、セット メーカに至るサプライチェーン全体を網羅する情報流通が求められています。
技術情報が紙で取り扱われていることの弊害は、転記や再入力などによってミスを誘発しやすいこと、技術情報の取得までに時間がかかることなどが挙げられます。また、部品メーカの多くが中小規模の企業であるために、比較的高価な EDI サーバへの投資や、技術情報データベースへの投資も大きな負担となります。また、たとえデータベースが構築されていても、送付先のセット メーカごとにフォーマット、データ項目内容が異なるため個別対応が求められ、そのために多くの工数がかかることなどが課題として挙げられます。
<解決策>
日本のもの造りの競争力を向上させるためにこれらの課題を解決する要素として、大きく 3 つのポイントが挙げられます。1 つ目は、中小規模の企業の部品メーカが大きな投資を負うことなく、部品技術情報流通基盤に情報を容易に提供できるしくみを構築すること。2 つ目は、部品メーカ側に特別な IT スキルを求めない操作性に優れた簡単なしくみを整備すること。3 つ目は、双方、または関係者が協力してセット メーカ間の要求仕様を統一化することです。
ロゼッタネットジャパンでは、この課題解決に向けて検討準備会を設立し、これまでに多くの議論を重ねてきました。そして、その解決策として SaaS
※2 と Ecma Office Open XML
※3 を活用した次世代部品技術情報流通基盤の本格検討を開始することを決定しました。
部品技術情報流通基盤を SaaS モデルで提供すれば、中小規模の企業は新たにシステムを導入するほどの大きな初期投資をしなくとも、容易にセット メーカと技術情報を交換することが可能になり、また、情報入力手段として国際標準の文書ファイル形式 Ecma Office Open XML フォーマットを活用すれば、IT スキルの高い人材がいなくても、使い慣れた Microsoft Word や Microsoft Excel などを利用して、この部品技術情報流通基盤を利用することができるようになります。これらが実現することにより、セット メーカと部品メーカとの間で、正確かつ短期間に技術情報の交換が行えるようになるため、製品開発スピードを速め、産業競争力の強化につながること、さらに、セット メーカ、部品メーカ共にフォーマットを意識せず、技術情報を交換できるため、これまでの技術情報交換におけるさまざまな業務を省力化することができるようになります。ロゼッタネットジャパンでは、これらが実現することによる効果として、もの造り全般にかかわるコストの約 30 % を削減できると試算しています。
また、ロゼッタネットジャパンでは、RosettaNet 標準が利用する RNIF
※4 および PIP のみならず、JEITA/EC センターが推進し日本国内で幅広く活用されている ECALGA 標準等
※5 などの利用を検討し、部品スペックのデータ項目として業界標準である ECALS 辞書
※6 を利用するなど、複数の標準仕様をサポートすることで、幅広い企業が参加しやすいしくみを構築することを目指しています。

 部品技術情報基盤(R&R)概要図[拡大図] R&R = Registry & Repository |
<今後の展開>
日本発で世界に向けて成功事例を発信したいロゼッタネットジャパン代表の遠藤俊二氏は、2008 年 1 月 24 日に行われた記者発表会の際、「今回の部品技術情報流通基盤の整備により、部品スペック、環境情報などがオープンな形式で相互に交換され、バイヤ- サプライヤ連携の大幅な効率アップが図られることを大いに期待しています。既に世界のハイテク関連企業では、ロゼッタネット標準を使った、企業間電子商取引が急速に進んでおり、今後もロゼッタネットジャパン活動につき積極的に情報発信していく予定です」とのコメントを発信しています。
今回のロゼッタネットジャパンの取り組みは、グローバルなサプライチェーン マネジメントの分野でも非常に先進的な試みとなっています。記者発表会の席でロゼッタネットジャパンの顧問を務める野村茂徳氏は、「我々としては SaaS と Ecma Office Open XML を活用したこの取り組みによって、ハイテク業界が抱える課題を解決し、日本での成功事例を世界に向けて発信していきたいと考えています」とコメントしています。
ロゼッタネットジャパンでは、2008 年度下期から対象部品を絞ったスペック データのみの情報交換プロセスの実証実験を開始し、2008 年度下期中には本格的なスタートを切りたいとの構想を発表しています。また、形状、環境情報、シミュレーションなどのデータ分野に関しても、2008 年度からサブワーキング グループを設置し、本格的な検討を進めるというロードマップを示しています。
ワーキング グループへの参加企業についての情報は、以下の URL をご覧ください。http://www.rosettanet.gr.jp/
※1 Partner Interface Process の略、企業間で情報交換する際の手順と個々のプロセスで交換される文書の項目を定義したもの
※2 Software as a Service の略、ソフトウェアをサービスとして提供するモデルのこと
※3 国際標準化機関である Ecma International (欧州電子計算機工業会)が承認した国際標準の文書ファイル形式
※4 RosettaNet Implementation Framework の略、PIP の規定に従ってメッセージを交換する際に必要となる通信規約、セキュリティなどシステム構築に必要な技術的要件を定義したもの
※5 Electronic Commerce ALiance for Global Business Activity の略、JEITA/EC センターが標準化、実用化を推進している次世代 EC 標準の総称
※6 JEITA/EC センターが標準化している企業間電子商取引において半導体・電子技術情報(電子カタログ)を記述するための国際的な辞書標準 本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 | |
