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佐賀県教育委員会

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掲載日: 2012 年 4 月 24 日

ICT 利活用事業の一環として県立中学校の全校生徒と教員にスレート PC 約 520 台を導入
平成 27 年度までに県立学校全校で生徒 1 人 1 台の PC 環境を目指す

佐賀県教育委員会

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佐賀県では、県立学校の全生徒が 1 人 1 台の PC を利用できる環境整備を平成 25 年度から進める予定です。その試験運用として、平成 23 年春に佐賀県立致遠館中学校の全校生徒 (1 学年 160 名× 3 学年)および教員に対して、Windows 7 Professional 搭載のスレート PC 約 520 台を導入。将来的な全高等学校への導入を目指して、中学校の現場での ICT 教育を進めると共に、新たな環境での学習のあり方やルール作りに取り組み、学習ツールとしてのスレート PC の可能性を実証しています。

<導入の背景とねらい>
先進的 ICT 利活用教育推進事業を
県の重点施策として積極的に進める佐賀県

佐賀県教育庁教育情報化推進室
室長
福田 孝義 氏

鍋島直正や大隈重信などの佐賀の七賢人を輩出し、教育に重きを置く風土が根付いている佐賀県では、総務省や文部科学省の学習指導要領や推進事業に沿って ICT 利活用教育にも力を入れてきました。総務省や文部科学省が進める「フューチャースクール推進事業」、「学びのイノベーション推進事業」などと並行して、佐賀県では、県独自の施策として、平成 23 年度から新たに「先進的 ICT 利活用教育推進事業」を行っており、人材育成と機器整備、独自の管理システムの構築に取り組んでいます。また、平成 22 年 8 月からは小学校で、平成 23 年 8 月からは中学校でフューチャースクール推進事業を推し進めるなど、学校の現場での ICT 利活用のあり方を試しながら、着実に歩を進めてきました。

佐賀県における ICT 利活用教育の現状について、佐賀県教育庁教育情報化推進室 室長の福田 孝義 氏は次のように語ります。「平成 23 年に小学校、24 年に中学校、25 年に高校が新学習指導要領となりますが、それに準じて ICT 利活用教育に取り組んできました。他県を意識したわけではありませんが、結果的に佐賀県がトップランナーとなっている状況です。しかし、我々が韓国やシンガポールをモデルに施策を進めたように、他県の身近なモデルとして佐賀県が役立つのであれば、その役割を担わせてほしいとの思いでフューチャースクール推進事業でも提案しているところです」。

佐賀県では、平成 25 年度から高校 1 年生全員が 1 人 1 台の PC を使えるようにし、平成 27 年度までの 3 年間で県立高校の全生徒が自分の PC を持てる環境を作ることを計画しています。これは、平成 22 年に国が提唱した「経済・社会のあらゆる分野における ICT の徹底利活用の促進」が基となっています。これまでの ICT 利活用は、PC 教室などを作って情報機器の活用を高めることを目指していましたが、ここからは情報機器の使い方に変わってきたと言います。

「高度情報化社会やグローバル化の流れの中では、当然のことながら子供たちに情報活用能力を教えることが不可欠となってきます」と話す福田 氏は、今後、児童生徒があらゆる場所で PC を使える環境を作り、「PC を学習」するだけでなく「PC で学習」することを目指していると説明します。また、ICT 利活用では各教科の成績の向上にとどまらず、生徒が卒業して社会に出てよりよい生活を行うための "学力" を向上させることも佐賀県の目標です。これについて福田 氏は、「文部科学省ではこのことを "生きる力" と表現していますが、佐賀県では "生き抜く力" を育てることを目指しているのです」と説明します。

そのため、教育委員会の予算の中でも先進的 ICT 利活用教育推進事業費の予算の比率は非常に高く、平成 24 年度は約 15 億円の予算を計上していると言います。これには、機器の整備などはもちろん、教員研修なども予算化されているところが大きな特徴です。「教員の能力が不足しているということではなく、教育工学で考えたときに目の前にある情報機器を使ってどのような教育が行えるのかを考える力を養っていきたいと考えています。教員も生徒も、情報機器を当たり前のように使えるようにしなければなりません」と福田 氏は話します。

<導入の経緯>
1 人 1 台の環境を構築するためには
ルール作りが最も重要

佐賀県立致遠館中学校
教頭
栗山 明彦 氏

平成 25 年度からの高校への情報端末導入に際しては、いきなり始めるのではなく、まず最初に致遠館中学校を先進的 ICT 利活用教育推進事業の実証研究校として指定。平成 23 年秋に電子教卓、電子黒板、大型スクリーン、無線 LAN 環境を整備しました。生徒全員が 1 人 1 台利用する端末約 520 台は、持ち運びの利便性や机上で利用することを考え、タブレット端末が最も適していると判断されました。また、学習ツールとして多く使われることが予想される学習者用のデジタル教科書は、先行して Windows 版の試作品が作られていたため、OS に Windows 7 Professional、CPU にインテル Atom プロセッサー Z670 (1.50GHz) が搭載された富士通製スレート PC「STYLISTIC Q550/C」が採用されました (現在、デジタル教科書は端末や OS を問わずに作成するよう指標が変更されています)。「致遠館中学校の前に佐賀県内 5 つの小学校でも端末の導入を行い、そのうちの 3 校で Windows 版スレート PC を使っていましたが、将来的な学習用デジタル教科書の利用やこれまでの教材の利活用を考え Windows を選択し、端末の操作性を考えて STYLISTIC Q550/C を採用しました」と福田 氏は話します。

パイロット校として選ばれた致遠館中学校は、致遠館高等学校も併設する県立の中高一貫教育校です。第 10 代佐賀藩藩主の鍋島直正が創設した英学稽古所「致遠館」が名前の由来となっており、中学校から高等学校までの 6 年間の教育を計画的かつ継続的に行え、生徒 1 人 1 人の能力や個性にふさわしい教育を進めている学校としての評価も高い学校です。

平成 23 年にスレート PC が全校生徒に配布されたことについて、「時代が非常に進んできたな、と感じました」と振り返る致遠館中学校教頭の栗山 明彦 氏は、導入に際してはルール作りが最も大変だったと話します。「多くの生徒が使うものなので、基本的な約束事が必要と考えました。そこで、導入前に使い方を想定しながらルール作りを進めました。今後は実際に利用した課題などを踏まえて、平成 24 年度に向けて改定していきたいと考えています」。

また、使わないときには充電できるように、各教室にはスレート PC が 20 台収納できるロッカーを 2台用意して、クラス全員分が保管管理できるようにしています。

<導入効果>
ICT を利活用することで
生徒の約 9 割の理解力が深まる

佐賀県立致遠館中学校
教諭
江口 修 氏

致遠館中学校で約 1 年間スレート PC を使った授業を行ったことによって、福田 氏は「平成 25 年からの高校への導入を実現できるという見通しが持てました」と話します。その最も大きな理由は、スレート PC を嫌がる子供が少なく、素直に受け入れてくれたことにあると言います。「積極的な子供と消極的な子供がいれば、理解に格差が出てしまうため、導入を躊躇してしまいます。新しいものを積極的に受け入れてくれることがわかったのは大きな成果です」 (福田 氏)。

教育の現場で英語を担当している致遠館中学校教諭の江口 修 氏も生徒の良い反応を感じたと話してくれました。「先に電子黒板が導入され、スレート PC の導入はその後だったので、生徒からは早く使いたいという声をよく聞きました。スレート PC を使わない授業のときにも、使わないの? と言われることが多いですね」。

通常の授業でスレート PC や電子黒板を利用できるようになって、教員の負担も大きく軽減されたと江口 氏は続けます。「これまでは、PC やプロジェクターを抱えて教室を行ったり来たりする必要がありましたが、それがなくなったのはうれしいですね」。

実際の授業でも、これまでとは異なる教育を行うことができるようになっています。STYLISTIC Q550/C には Office がインストールされていますが、たとえば英語の音読教材を音声付で Microsoft PowerPoint で作成して提供すれば、読めない単語を繰り返し聞いたり、音声に合わせて発音するなど、各生徒のレベルに合わせた学習を同時に行うことができます。また、総合学習などで生徒が研究を行う場合、以前はパソコン教室で 40 名しか PC を利用できなかったのが、全学年で同時に情報を検索して集め、レポートを作成することも可能となりました。

「個人的には、Windows Journal が使えると思いました。生徒に自由英作文を書かせるときに、発想が面白いものや共通の間違いなどをすぐに全員に見せることができるのは便利です」と話す江口 氏。「感覚的な感想」と前置きしながら、「以前のように紙に書かせる英作文よりも、スレート PC にタッチ ペンで書かせたほうが英文の量が多くなっていると感じるのは不思議ですね」とも話しています。これについては、栗山 氏も「これまでは、それぞれが発表する時になっても書き方がわからないという生徒もいて時間が無駄になっていましたが、他の生徒の良い作品例をすぐに見せてあげられるので、理解が進んでいるのではないでしょうか」と分析しています。

スレート PC の入力ツールとして、指はもちろん、タッチ ペンや Bluetooth キーボードも提供されていることも致遠館中学校の大きな特長です。生徒によって得意な入力方法が異なるため、あらゆるツールを用意し、授業内容によって使い分けることが行われています。

また、致遠館中学校では電子黒板やスレート PC も含めた ICT 機器によって「授業がわかりやすくなったか」というアンケートを行っています。このアンケートでは、「とてもわかりやすくなった」が 29%、「わかりやすくなった」が 60% と、9 割近くの生徒の理解度が深まったこという結果となりました。「残りの 11% の生徒がうまく活用できるようにするにはどうしたらよいかも、今後考えていかなければならないでしょう」と話す江口 氏。しかし、着実に ICT 利活用教育が広く生徒に受け入れられ、浸透してきていることを感じさせます。

Office を活用できることに加えて、これまで作ってきた教材や資産をそのまま利用できることもスレート PC のメリットだと、現場の教員は考えているようです。また、10 時間という長い駆動時間である STYLISTIC Q550/C も授業で使う際に役立っているようです。「授業中にバッテリーが切れてしまっては、授業に支障が出てしまいます。現在のところ、授業中にバッテリーがなくなったという話は聞いていないですね」 (江口 氏)。

さらに、栗山 氏は、コミュニケーション ツールとしてのスレート PC の可能性にも言及します。致遠館高等学校が国から SSH (スーパー サイエンス ハイスクール) の指定を受けていることから、致遠館中学校のほうでも数学に探求の授業を取り入れていますが、解法の探求を生徒同士がスレート PC の画面を見せ合いながら学習していると言います。「これまでは、教師が黒板に書いて、指名された生徒が黒板に出てきて解くという限られた方向のコミュニケーションしかありませんでした。生徒がスレート PC を持つことによって、話し合いながら学習していくことができるようになるのはいいことですね」 (栗山 氏)。

スレート PC を活用したさまざまな授業風景

スレート PC を活用したさまざまな授業風景

体育や美術など技能教科でもスレート PC を活用

体育や美術など技能教科でもスレート PC を活用
スレート PC を授業で活用することによって、致遠館中学校では 89% の生徒が「授業がわかりやすくなった」と感じている

スレート PC を 20 台収納して充電できる収納個を各教室に 2 台用意している

スレート PC を 20 台収納して充電できる収納個を各教室に 2 台用意している

<今後の展望>
本格導入には学科ごとに適した端末を選定することが重要

平成 24 年度から佐賀県では、県立高校 5 校 (普通科 2 校、農業科・家庭科 1 校、工業科 1 校、商業科 1 校) で試験運用を開始。平成 25 年度からは県立高校 36 校すべてを対象に毎年 1 学年 (約 7,000 人) 分の生徒用 PC を確保し、自宅や学校を問わずに学習に役立てることを目指しています。この試験運用によって、スレート PC をはじめ、どの学科にどのような PC を導入させるかを見極めることも目的の 1 つです。「基本となる学習用デジタル教科書が端末や OS を問わず提供されることになるので、教育の内容によってスレート PC にするか、ノート PC にするか、どのような性能を求めるのかを決めていこうと考えています」と福田 氏は話します。キーボード入力が必須の学科、グラフィック性能が必要な学科など、その教育に最適な PC を選ぶ必要がありますが、次期 Windows OS で更なる進化を遂げ、多彩なハードウェアから選択が可能なスレート PC は、佐賀県の選択に大きく貢献すると考えられています。

最後に、栗山氏は今後の ICT 利活用教育について、「理想論」と前置きしながらも、次のように話してくれました。「特に高校では、知識注入型で一方的に知識を与えて暗記させるという流れがありました。そうではなく、学んだことを活かして自分から発信するために ICT 機器やスレート PC が役立てられればと思います。隣の中学校と英作文や数学の解法を交換できたりすることで、相手と ICT 機器でつながることができるという意識をもっと持てるようになれば良いと思います。受験のために学ぶだけではなく、他の中学校などの外の世界とつながりながら学習していってほしいと思います」。

今後も佐賀県では、ICT を大いに利活用しながら、流れの速い時代に対応でき、個性豊かで自由と規律を重んじる教育を進めていきます。

富士通製スレート PC 「STYLISTIC Q550/C」

富士通製スレート PC 「STYLISTIC Q550/C」

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ソリューション概要

プロファイル

先進的 ICT 利活用教育推進事業を掲げ、教育の現場での ICT 利活用を推し進めている佐賀県教育委員会外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますは、特色のある学校作りや魅力ある学校作りを行う小・中・高・特別支援学校を支援しています。学校への ICT 機器の導入だけでなく、ICT を使った教育工学に基づく指導法のための教員研修も積極的に行っています。また、佐賀大学文化教育学部との連携および協力事業の一環として「21 世紀教員養成改革アクションプラン」にも取り組んでいます。

導入ソフトウェアとサービス

導入メリット

  • 1 学年 約 7,000 人、3 学年 2 万 1,000 人の高校生すべてに 1 人 1 台の PC 環境を整備するため、そのモデル ケースとして、平成 23 年度から県立致遠館中学校に約 520 台のスレート PC を導入して実証実験を行う。
  • 過去に作成した教材をそのまま利用でき、稼働時間の長い「STYLISTIC Q550/C」(富士通製) を採用することで授業中のバッテリー切れの心配などもほとんどなく、生徒の反応も良い。実際に平成 27 年までに高校での 1 人 1 台 PC 環境の整備を実現できる見通しがつく。
  • Office の活用によって、これまでにない高いレベルでの教育が可能。約 9 割の生徒の授業の理解度が高まる。

ユーザーコメント

「スレート PC の導入によって、各教科 (科目) で効率のよい授業が行えるようになりました。生徒たちの理解度も高く、積極的に ICT 利活用に取り組んでくれています。これまでの授業では、教師と指名した生徒との限られたコミュニケーションしか行えませんでしたが、生徒同士が問題の解き方をディスプレイで説明しあったり、優れた回答や英作文をすぐに他の生徒に示すことができるなど、コミュニケーション ツールとしても活用できると思います」

佐賀県立致遠館中学校
教頭
栗山 明彦 氏

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