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積水化学工業株式会社

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掲載日: 2015 年 6 月 24 日

グローバル展開されている海外支社の標準 ERP として Microsoft Dynamics AX を採用
新規拠点向けシステムの短期導入も実現する

写真:積水化学工業株式会社

積水化学工業株式会社

グローバルに生産拠点や販売拠点を持つ企業にとって、ビジネス スピードを確保して IT 統制を行うために ERP を活用することが必須となってきます。積水化学工業株式会社では、2010 年に海外共通の標準 ERP として Microsoft Dynamics AX 2009 を採用。2015 年 1 月には、アジア圏の 15 社で Microsoft Dynamics AX 2012 への一斉アップグレードを行いました。今後は、アジア圏と欧米圏の両方で Microsoft Dynamics AX 2012 を海外支社の標準 ERP として活用していきます。

<導入の背景とねらい>
海外支社の標準 ERP としてこれまでの実績が高い
Microsoft Dynamics AX を採用

積水化学工業株式会社
経営管理部
情報システムグループ長
寺嶋 一郎 氏

住宅カンパニー、環境・ライフラインカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーなどの事業を展開している積水化学工業株式会社 (以下、積水化学工業) では、北米、欧州、アジア、中南米の各地に海外グループ企業を持ち、グローバルに事業を展開しています。多くの拠点と関連会社を持つ同社は、国内 120 社以上、海外 60 社以上のグループ企業を持っています。

多くの関連会社がある企業では、国内外を問わず、リアルタイムに経営情報が "見える化" されていなければ、迅速な経営判断を行うことができません。積水化学工業では、国内ではグループウェアや ERP を自社開発し、情報共有などが行われていましたが、海外では個別の ERP が使われており、中には PC だけで会計を行い、専用の会計システムを使っていない小規模な拠点もあったと言います。「海外連結会社の決算情報などをなるべく早く収集して共有させ、IFRS (国際財務報告基準) などに対応する必要がありました」と積水化学工業株式会社 経営管理部 情報システムグループ長 寺嶋 一郎 氏は話します。

スクラッチで構築された国内の基幹システムを海外でも活用することも考えられましたが、拠点ごとの通貨や税制対応などの細かなカスタマイズを行うことは難しく、開発コストもかかることが予想されました。また、海外拠点は中小規模が多いため、国内の大規模な基幹システムを持って行くよりも、適切なパッケージ製品を使うほうがよいと判断されました。「日本はボトムアップで業務に合わせてシステムを利用するという文化がありましたが、海外ではトップダウンで提供されたものを使うことを徹底できる風土があると考えました」と話す寺嶋 氏。既に、さまざまな種類の ERP パッケージが使われている中で、これまで最も多く使われ、安定稼動の実績も高かった Microsoft Dynamics AX 2009 が海外支社の標準 ERP として 2010 年から使われ続けています。

<導入の経緯>

欧米とアジアの Microsoft Dynamics AX を 2012 に統一するため
アジア 15 社の一斉アップグレードを決断

積水化学工業株式会社
経営管理部
情報システムグループ 理事
小笹 淳二 氏

積水化学工業株式会社
経営管理部
情報システムグループ
担当係長
西川 優子 氏

「海外支社の標準 ERP を選定する段階で、Microsoft Dynamics AX 以外の選択肢は考えていませんでした」と、積水化学工業株式会社 経営管理部 情報システムグループ 理事の小笹 淳二 氏は、当時を振り返ります。多くの拠点で Microsoft Dynamics AX が安定して使われており、2003 年 12 月から積水化学工業の海外拠点に Microsoft Dynamics AX を導入しているパートナーである、上海のシーイーシー信息系統有限公司 (以下、CEC 上海) の構築実績も高かったと言います。また、当時は複数の ERP を持っていたマイクロソフトが Microsoft Dynamics AX に最も力を入れることをアナウンスしており、海外拠点側から見ても不安感がなく、信頼できることも大きな選択のポイントとなりました。「パッケージ製品の機能の比較表を作って検討するというのではなく、当時の状況から考えて、Microsoft Dynamics AX がベストな選択肢だと考えました」と小笹 氏は話します。

海外支社の標準 ERP を決める中で、積水化学工業が苦労したのは、投資と償却をどこの部門で負担し、どのようなタイミングで行うかという問題でした。積水化学工業では、経営管理部が全社共通のシステムのオーナーとなるため、グローバルのシステムも同部署が管理して、標準 ERP によるガバナンスやセキュリティの確保を進めることを考えていました。しかし、各拠点の税制の中で利用会社と経営管理部でどのように投資の負担を行うかを判断し、統一した枠組みを作る必要がありました。「PC だけで業務を行い、その PC も償却が終わっていて、IT コストが実質ゼロの拠点もありました。そのような拠点では ERP 導入に 1 円でもかかるとコスト増になってしまいます。海外拠点側が納得してくれるようなルールを決め、どのようなスキームで投資と償却、回収を行っていくかを検討することが重要でした」と小笹 氏は話します。

2010 年から、Microsoft Dynamics AX を活用してきた積水化学工業ですが、欧米などでは 2012 年 10 月にリリースされた Microsoft Dynamics AX 2012 が導入される中、アジア圏の拠点では Microsoft Dynamics AX 2009 が使われており、バージョンの違いが課題となっていたと言います。「Microsoft Dynamics AX 2009 までは、バージョンアップしてもオペレーションやデータ構造が大きく変わることはありませんでした。しかし、Microsoft Dynamics AX 2012 では、これまでとはデータ構造やレポーティング機能などが大きく異なり、グローバル全体をサポートする体制が取りにくくなってしまいます。そこで、ハードウェアが保守切れになるタイミングで、中国、台湾、シンガポール、タイ、インドネシアの 15 社を 2012 に一気にアップグレードする計画を立てました」と話す小笹 氏。欧米とアジアでバージョンを統一することで、人やノウハウを共有し、ダイナミックに人を動かすこともねらいであったと説明します。

2014 年 1 月から Microsoft Dynamics AX 2012 へのアップグレードを計画し始めた積水化学工業では、CEC 上海と共に構築計画や方針を立てていきます。11 社の販社、4 社の生産拠点がある中で、大きな課題となったのは、販社用と生産拠点用に分かれていた 2 つのデータベースを統合することでした。そのため、販社 1 社と生産拠点 1 社を選んでパイロット開発を行い、販社用のデータベースに生産拠点用のデータベースをマージしてからアップグレードのテストを行いました。

「CEC 上海とは付き合いが長いため、コミュニケーションが取りやすく、詳しい仕様を言わなくてもすぐに理解してくれたのでやりやすかったですね」と積水化学工業株式会社 経営管理部 情報システムグループ 担当係長の西川 優子 氏は話します。パートナーとして業務知識などにも精通していたことも、複数の国にまたがる 15 社の同時アップグレードを成功できた要因ともなっています。また、大規模なアップグレード案件であるため、開発の進捗状況をトラッキングできるシステムを導入し、積水化学工業と CEC 上海で情報を共有できたことも成功の要因でした。「開発状況がわかることで、これまでは CEC 上海にお願いするしかなかった部分を、状況に応じて我々が作業することによって、少しでもスピードアップすることができました。また、お互いがどのようなテストを行っているかがわかるので、相手のテスト結果を基に別の観点からテストするなど、テストの精度も上がったと感じています。現地に足を運んだり、CEC 上海に電話することもなく、ほとんどメールとトラッキング システム内のやり取りでスムーズにコミュニケーションすることができました」と西川 氏は話します。このトラッキング システムは、今後の運用や新たなプロジェクトでも活用できる手応えを感じたと言います。

CEC 上海の董事 ビジネス推進部 部長である侯 天炘 氏は、今回の積水化学工業のアップグレードに対して、「我々は Microsoft Dynamics AX の高い導入実績を持っており、今回のアップグレードでもマイクロソフト カスタマーサービス部門のアジア地域 Dynamicsチームと連携しながら、システムを止めないように移行リハーサルも行い、4 日間の短期間で最終的な本番移行を行うことができました。今後も、日本の CEC と日本マイクロソフト、CEC 上海とマイクロソフトが緊密に連携して、パフォーマンス向上や安定運用に寄与していきたいと考えています」と話します。

<導入効果>
新規拠点向け ERP を最短 1 か月で提供可能
Microsoft Azure の活用も検討する

2015 年 1 月に 15 社のアップグレードを終えた積水化学工業では、販社用と生産拠点用のデータベースを統合したことによって、1 か所ですべてのデータやログを見られるようになり、毎月のチェックに役立っていると言います。当初のねらいであった人やノウハウを欧米とアジアで共有していくことにも期待を持っており、今後アジアの他の拠点や欧米での Microsoft Dynamics AX 2012 へのアップグレードを順次進めていく予定です。

2015 年 4 月には、台中で 16 社目の新規立上げが行われており、スムーズに導入が進んでいると小笹 氏は説明します。 Microsoft Dynamics AX 2009 の構築経験から、新規の拠点の立ち上げの場合でも、環境さえ揃っていれば最短 1 か月で提供できると考えています。

積水化学工業では、基本的に日本語、英語、中国語 (簡体字、繁体字) でシステムを提供していますが、以前のバージョンとの操作の違いをそれぞれの言語で書いた簡易マニュアルを配布し、販社で 2 ~ 3 日、生産拠点 4 ~ 5 日かけて教育を行っています。また、メニューのローカライズやマニュアルに対しては、CEC 上海が作成した簡体字と繁体字の変換ツールが使われ、細かな用法の違いなどに対応することができたと言います。

「まだバージョンアップしたばかりなので、Microsoft Dynamics AX 2012 の新機能やデータ構造の変更による柔軟性を使って、ビジネスにどのように役立てればよいかを検討している段階です。Warehouse Management などの機能は、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 から R3 にかけてどんどん強化されている機能なので、注目しています。米国では、バーコード スキャナーを使うために専用のサーバを立てて連携させていますが、これらの機能でバーコード スキャナーを制御して 1 つのシステムで運用できることに期待しています」と説明する小笹 氏。続けて、「マイクロソフトに対しては、有効活用のサポートという面で、どの機能を使いこなせば各拠点のビジネスをどのようにサポートできるかという情報を提供してほしいと思います」と話します。

積水化学工業では、Microsoft Dynamics AX 2012 へのアップグレードと平行して Azure を試験的に活用しています。「将来的には、Azure 上で Microsoft Dynamics AX を動かせればよいと考えていますが、現在はどこまでできるかを確認しながらテストしている段階です。Azure は、リージョンごとのデータセンター間の回線が太いので、グローバルでデータのやり取りが行いやすいと考えています。海外拠点は中小規模が多いため、小規模のデータセンターを使わざるを得ない場合が多く、その場合は、回線速度に不満が残すケースもあるため、最終的にはアジアや米国で Azure を使ってデータ交換ができるようになるといいですね」と期待を寄せる小笹 氏。また、基幹システムとして VPN だけでは不十分と考えており、自社データセンターと Azure などをセキュアにつなぐ Azure ExpressRoute なども実際に試して、使えるという感触を得ているようです。

システム概要図 [拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
他拠点での Microsoft Dynamics AX 2012 導入を進めて
IT を使ったビジネスの効果を出していく

今後は、アジアの 20 拠点に Microsoft Dynamics AX 2012 を導入し、その他の拠点にも順次入する計画を立てています。「Microsoft Dynamics AX 2012 を導入した拠点数が増えてくれば、基幹システムとしての重要性もどんどん大きくなっていきます。安定運用するためのノウハウの蓄積、ルール作り、IT 統制などが重要になってくるので、CEC 上海と一緒に取り組んでいきたいですね。また、日本国内の基幹システムとデータ統合を実現するしくみも今後作っていかなければなりません」と小笹 氏は話します。

また、寺嶋 氏も今後について「アジアでは、今回の 15 社一斉アップグレードにおいて、日本主導で導入を行うことで一定の成果は上げられたと感じています。今後は、どう活用するか、どのようにシステムをグレードアップしていくかが課題ですね。欧米はカルチャーが違うため、アジアとは異なる部分で苦労があると予想できますが、欧米への Microsoft Dynamics AX 2012 の導入に注力していきます」と話してくれました。

「我々のような、日本の技術力を使って製品を開発し、グローバルなビジネスを展開している企業は、ERP を入れて標準化を行ってガバナンスを効かせることは必須となっていると思います。しかし、それだけでなく、標準 ERP を導入することで、本当の意味でどれだけの利益が出ていて、ロジスティックなどをどのようにすればよいかを把握することが重要だと考えています。海外支社の標準 ERP として Microsoft Dynamics AX に統一することにより、IT を使ったビジネスの効果を出していくことができ、次のオペレーションにつなげていけると考えています」と話す寺嶋 氏。積水化学工業では、今後も IT やクラウドを活用することでグローバル化を進め、ビジネスや経営のチャレンジを進めていきます。

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ソリューション概要

プロファイル

1947 年に創業した 積水化学工業株式会社外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますでは、住宅・住環境、社会インフラ、高機能プラスチックなどの事業を手掛け、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献してきました。2009 ~ 2013 年の中期経営計画では「SHINKA」をキーワードに、事業の進化・深化・新化を図り、2014 ~ 2016 年度の中期経営計画では「SHINKA!-Advance 2016」を策定。100 年経っても存在感のある企業グループであり続けることを目指しています。

導入製品とサービス

パートナー企業

導入メリット

  • 海外支社の標準 ERP として Microsoft Dynamics AX を採用することで、各国の言語や税制などに対応したシステムをすばやく提供することができ、緊急な新規拠点立ち上げにも対応。
  • アジア圏と欧米で同じしくみの ERP を活用することで、人を流動的に活用することができ、ノウハウや情報の共有を行うことができる。
  • 販社用と生産拠点用の 2 つのデータベースを統合することで、1 か所ですべてのデータやログを見ることができ、毎月のチェックに役立てる。

ユーザーコメント

「海外支社の標準 ERP として Microsoft Dynamics AX 採用の決め手は、これまで多くの拠点で安定して利用されており、マイクロソフトが力を入れている ERP としての信頼性も高いことと、導入実績の高い CEC 上海をパートナーとして評価したからです。米国で Microsoft Dynamics AX 2012 の利用が進む中、アジア圏では Microsoft Dynamics AX 2009 が利用されていたため、2014 年に複数の国にまたがる 15 社の一斉アップグレードを決意し、1年間でアップグレードを成功させました。今後は、国内システムとの連結や Azure などのパブリック クラウドの活用を考えていきたいですね」

積水化学工業株式会社
経営管理部
情報システムグループ 理事
小笹 淳二 氏

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