複数のシステムに分散していた顧客保守データを Microsoft Dynamics CRM によって一元化。 構築とカスタマイズの容易さを活かして、「使いながら育てる CRM システム」を自社構築で実現
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株式会社テリロジー (以下、テリロジー) は、設立以来、ネットワーク機器を中心に輸入と販売を手がける IT 機器の専門商社です。さらに近年はこれらの最先端製品に自社のノウハウを組み合わせ、アプライアンス製品およびソフトウェアとして提供。セキュリティ分野および CTI 分野におけるソリューション プロバイダーとして、ビジネスの幅を大きく拡げつつあります。同社ではこうした業容の拡大に合わせて、契約管理や保守、フィールド サービス業務にかかわる顧客データ管理を一元化しようと決意し、Dynamics CRM を導入。顧客の管理を効率化するとともに、インシデントへのすばやい対応や、多種多様な製品ごとに最適化されたフィールド サービス体制を確立して、顧客満足 (CS) のさらなる向上に向けた基盤作りに成功しています。
<導入背景と狙い>
複数のシステムに分散していたデータを統合して、
顧客サポート体制の強化と売り上げアップを目指す 
 株式会社テリロジー 事業本部 カスタマサポート& サービスセンタ センタ長 森 和英 氏
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「今回の保守部門への新 CRM システム導入にあたっては、大きく 3 つのポイントがありました。まず 1 つ目は、当社の商材の特徴に合わせた『きめ細かで迅速なサポート体制の実現』です。当社では IT 機器の中でも最先端の製品の輸入とインテグレーションに力を入れています。製品が多種多様であることに加え、メーカーのサポート ポリシーも多岐にわたっており、頻繁な設定変更などが求められます。また一方で、お客様のニーズも刻々と変化していきます。こうした製品別・顧客別の、細かで迅速なサポートを実現するためのシステム導入が急務でした。
2 つ目は『CS の向上』です。インシデントの発生時にいかにすばやく対応できるかは、顧客の保守データや製品データの精度に左右されます。そうした、必要なときに必要なデータをスピーディに検索できるシステム作りを通じて、顧客満足の向上を図ろうと考えたのです。
そして 3 つ目は、『保守データを活用した営業展開』という将来的な展望です。今回は保守業務に限ってのシステム導入でしたが、これを今後はインシデント情報のリアルタイム発信やベンダー情報の発信といった分野に展開することで、営業面での強化を図っていきたいと考えています」と、株式会社テリロジー事業本部 カスタマサポート&サービスセンタ センタ長 森和英氏は語ります。
これまで同社では、保守サービスのデータ管理を複数のシステムで運用してきたため、データの活用が効率的に行えない状態が続いていました。
「日常のオフィス ツールのようなアプリケーションを使ってファイルを作成しているので、複数の古いシステムを同時に使いながら仕事を進めているというのが実状でした。しかし業務が拡大し、保守契約のお客様も増えていく中で、これでは効率的な業務処理は望めません。そこで新しい顧客データ管理システムを導入して、こうしたやり方を一挙に刷新し、『顧客サポートの強化』と『売り上げの向上』を図ろうということになったのです」。
こうした決定を受けて具体的な製品の検討に入ったのは、2008 年 3 月末のことでした。Dynamics CRM を知ったのは、ちょうどこのころに開催された製品セミナーに参加したのがきっかけでした。森氏は、このセミナーに参加して Dynamics CRM が、自社の求めている条件に合っていると感じたと語ります。
「保守・営業支援システムの事例紹介を特に興味深く見て、短期間で精度の高いシステムを作りたいという当社の希望を満たす製品だと思いました。できるだけカスタマイズが不要な製品を探していましたし、仮にカスタマイズが発生しても、特別な知識がなくても実施できる点を高く評価しました。また価格的にも、十分に満足できるものでした」。
同時に他社製品との比較検討も進めていましたが、最終的に絞り込んだ 3 社のうち、同社の構築ポリシーに最も近いという評価がなされ、Dynamics CRM の採用が決定しました。
<導入の経緯>
専門知識不要の簡単さとシステム インテグレーターのコンサルタントで
自社内での開発を実現Dynamics CRM の導入が決まったのは、2008 年 5 月。その 5 か月後の同年 10 月には仮運用を開始、12 月からは事業本部全体の 110 ユーザーによる本格稼働というスケジュールで進められました。しかし最初の約 2 か月はシステムの内容に関する議論が主で、実装は 7 ~ 9 月のわずか 3 か月で行われたと言います。CRM システムとしては、かなりのスピード構築と言えますが、その理由はアプリケーションそのもののカスタマイズの容易さと、システム インテグレーターのプロフェッショナルによる支援という 2 つの要因から生まれたと森氏は指摘します。
「今回は専門の部署に依頼せず、保守サービスの部門メンバーのみで構築するということが決まっていました。その点、Dynamics CRM は専門知識がなくともシステムを作れます。とりわけカスタマイズの簡単さという点では、大きく構築作業の効率アップに貢献しました。しかし同時に『簡単であってもよりよい高機能を』という点も譲れません。そこで、構築の当初から NECフィールディング株式会社 (以下、NECフィールディング) にコンサルティングを依頼して、概要設計支援までを支援してもらったのです」。
NECフィールディングとの共同作業を進める中で、プロのノウハウを吸収しながら部内のスタッフのスキルを高めていくことができたと、森氏は今回の試みを評価します。
「質の高いシステムを短期間で仕上げることができたため、残された時間を今度は既存データの移行やユーザー サービスのフロー作成などの作業に充てることができ、最終的に短期間でも満足のいくシステムを完成できたと感じています」。
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 株式会社テリロジー 事業本部 カスタマサポート& サービスセンタ CosmoCom 技術担当 波田 幹生 氏
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構築にあたって苦労したのは、Dynamics CRM が標準でサポートしていない、同社業務独自の機能をカスタマイズする作業だったと、構築に携わった株式会社テリロジー 事業本部 カスタマサポート&サービスセンタ CosmoCom技術担当 波田幹生氏は語ります。
「今回導入したのは、Dynamics CRM 4.0 という最新バージョンです。しかも当社が導入したのはリリース直後とあって、まだ公開されている技術情報が少なく、カスタマイズの際『これはどうやったらいいのか ?』ということがしばしばありました。しかしそのたびにマイクロソフトから支援してもらえたので、作業そのものはスムーズに進めることができました。既存のデータベースの移行に際しても、インポート ツールがあったのでシステム上は楽に行えました。むしろ、元ソースの収集と下ごしらえの方が大変でしたね」。
また稼働後の運用という面からは、マイクロソフト製品ならではの視覚的で直感的なインターフェイスが、作業効率の向上に大きく貢献していると波田氏は言います。
「Office 製品と共通点の多い GUI を採用しているので、普段 Microsft Office Excel や Microsoft Office Word といったオフィス ツールしか使っていない一般社員にも、抵抗感のないユーザビリティが Dynamics CRM には備わっています。そもそも製品選定の際、そうした共通点を高く評価して導入に踏み切った経緯がありました」。
<システムの概要>
CTI や新ライセンスに加え
「運用しながら育てていける CRM」を実現した点を高く評価今回のシステムの大きな特長の 1 つに、CTI との組み合わせを実現した点が挙げられます。CTI 機能と Dynamics CRM との連携にあたっては、NECフィールディングへコンサルティングをお願いし、同社が展開しているコールセンター ASP サービス「iReqCC (アイレックシーシー)」を利用しました。この iReqCC はテリロジーが販売ディーラーを務める CosmoCall Universe で構築されており、既に DynamicsCRM 3.0 との連携実績もあることから、製品を熟知したスタッフによって順調に開発、構築が進められたと言います。
「より良い保守・運用サービスの新システムを構築するには、CTI との連携が不可欠だと考えたのです。またその導入にあたっては、構築期間が短く、必要に応じて席数やサービス内容の増減が可能な ASP サービスの利用が条件でした。幸い NECフィールディングが展開している『コールセンター ASP サービス iReqCC』は、この条件を満たしており、なおかつ Dynamics CRM は、iReqCC のプラットフォームに採用されている CosmoCom 社製 フル IP マルチテナント対応のコールセンター システム『CosmoCall Universe』と十分な連携実績がありました。こうした条件をふまえたうえで、最適の組み合わせだと判断したのです。もちろん、今回の自社内での導入事例を模範ケース スタディとして、営業に役立てたいという考えもありました」 (森氏) 。
同社ではこの新システムの導入にあたって、ライセンス契約の面でも効率的かつ経済的な選択を行いました。とりわけ注目したいのは、Dynamics CRM 4.0 から加わった新規ライセンスである「Limited CAL (参照ユーザー)」を効果的に利用している点です。これはデータの参照のみに権限を限ったライセンスです。
「保守エンジニアには、日常の保守業務に加えてナレッジを蓄積する、リード/ライトの両方の権限を付与した CRM Full CAL を与えています。一方、営業担当にはリード権限のみの Limited CAL を与えています。営業担当が顧客からの関する問い合わせに日常的に対応するため、情報が引き出せるようになっていますが、システムに関する変更はできません」 (森氏) 。
現在のライセンスの割合はそれぞれが約 50 ライセンスと、全ユーザーのほぼ半々に分かれています。こうして職掌に応じて権限を分けることで、セキュリティ維持に加え、投資の節約という 2 つのメリットが得られるようになりました。
こうした特長の中で最も評価したいのが、「運用しながら育てていける CRM」を実現できた点だと森氏は強調します。
「他社の CRM 製品は、カスタマイズに時間がかかります。ちょっとした変更でも自社内では作業できないので、そのたびに構築を依頼したシステム インテグレーターに戻さなければなりません。これでは、当社のように最先端の技術や機器を扱う企業では、カスタマイズがビジネスの速度に追いつけないのです。その点、Dynamics CRM は、運用しながら社内でカスタマイズができるため、『使いながら変更していく』スタイルが可能になりました。さらに、営業担当からの不定期な変更要求や、製品メーカーからの仕様変更に対しても、迅速かつ安全に対処できます。こうしたレスポンスとコストに重点を置いたシステムにできたのが、Dynamics CRM を採用した最大のメリットだと言えます」。
<今後の展望>
ユーザーへの情報発信の基幹システムを目指し、
ナレッジの蓄積と多彩な活用法を探るいよいよ本格稼働の段階を迎え、今後は現場の声を聞きながら、他の業務システムとの連携や統合を進めていく方向を目指したいと森氏は考えています。
「今回の新しいシステムには、多種多様な顧客情報が入っています。今後はこれらのデータを、顧客の保守だけでなく、さまざまな視点から分析して営業活動に活かしていくといった、いわゆる BI (ビジネス インテリジェンス) の方向性も探っていけたらと考えています。いずれにしても Dynamics CRM は、いろいろな可能性を秘めていると思うので、使いながらその可能性を検証していくことはあり得るでしょうね」。
運用の現場でも、早くも活用や拡張のアイデアが浮上してきています。その好例として波田氏は、Microsoft Office Outlook との連携を挙げます。
「Outlook 上から Dynamics CRM を操作できるのが大きな特長です。デスクトップから Dynamics CRM 上の顧客情報やスケジュールが見られるので、営業や企画など保守部門以外の社員でも、使いたいときにすぐデータを参照してビジネスに役立てるといった可能性が期待できます。また Office 製品との親和性という面では、Microsoft Office Communications Server 2007 と Outlook が連携できることを利用して、ユニファイド コミュニケーションへの拡張の可能性も探っていきたいと考えています」。
こうしたさまざまなアイデアと期待が盛り上がる中、森氏は改めてサポートの強化= CS の向上が第一課題であると言います。
「サポートのコールを受けていかに早く対応できるかという、今回のシステム構築の原点をさらに強く認識していくべきだと思います。インシデントでは "異常/正常" の切り分けがその後の対応を左右します。そして、その精度を左右するのは、システム上のナレッジの蓄積です。ベテラン技術者のナレッジをこの新システムに蓄積していき、若手エンジニアがそれを検索し、共有するというサイクルが完成すれば、迅速な判断と対応が可能になると信じています。また、一次対応者での障害復旧率をアップすることで、エンジニア リソースの有効活用を実現したい。一方、エンジニアへのフォローとして、メーカーからの情報を保守契約ユーザーへタイムリーに発信することで、サポート エンジニアの底上げと負荷軽減を図りたいと思っています」。
大きな可能性を秘めた今回の新システムを、ユーザーへの情報発信の基幹システムとして育て、将来にわたった信頼関係を築いていきたいと語る森氏。テリロジーと顧客とのリレーションシップをつなぐ新しい道が今、同社の目前に開けています。
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