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東京工科大学

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掲載日: 2014 年 4 月 3 日

Microsoft Azure 上に Oracle データベースを移行するとともに、Office 365、Dynamics CRM などのテクノロジー & サービスを活用することで、将来を見据えた全学フル クラウド システムを実現

写真: 東京工科大学

東京工科大学

東京工科大学は、実学主義を実践し、世界に通用する人材を育成するために、従来から ICT への投資を積極的に行ってきました。しかし、約 100 台の業務用サーバーなど、いち早く整えた ICT 資産の老朽化が進み、システム更改が求められていました。そして、最善の ICT 環境を求めて約 1 年かけて検討した結果、システム運用の負荷を極限まで削減するべく「全学フル クラウド化」と「中核データベース」の構築を計画。その実現のために選択されたのは、Microsoft Azure や Office 365、Microsoft Dynamics CRM などマイクロソフトの提供するテクノロジー & サービスでした。

<導入の背景とねらい>
老朽化した ICT 資産から脱し、
今を起点とした最善のシステム環境を構想

写真: 田胡 和哉 氏

東京工科大学
メディアセンター長
コンピュータ
サイエンス学部教授
田胡 和哉 氏

1986 年の開学以来、「実社会に役立つ専門の学理と技術の教育」「先端的研究を介した教育とその研究成果の社会還元」「理想的な教育と研究を行うための理想的な環境整備」という 3 つの具体的理念に基づき、生活の質の向上と文化の発展に貢献する人材の育成に取り組んできた東京工科大学。

同学では、ICT に精通した技術者や多様なエキスパートの育成を図るため、従来から学内 ICT 環境への投資を積極的に行ってきました。たとえば 1999 年に国内初となる「メディア学部 (メディア学科)」を設置した際には、学部生に対してノート PC を必携として、インターネット活用を積極的に推進。さらに、2003 年に工学部が改組され、「コンピュータサイエンス学部 (コンピュータサイエンス学科)」と「バイオニクス学部 (バイオニクス学科:現 応用生物学科)」が新設されると、ノート PC 必携という前提条件をほぼ全学生にまで拡大。同時に、学生たちがインターネットを不自由なく活用できるように、全学に有線のイーサネット環境を整備しています。

10 年以上前に最善だと考えられたネットワーク環境は、その後のテクノロジーの進化によって、見直しを迫られることになったと、東京工科大学 メディアセンター長 コンピュータサイエンス学部教授 田胡 和哉 氏は振り返ります。
「まず求められたのが無線ネットワークです。このニーズに対し、学内の各研究所でワイヤレスのアクセス ポイントが立ち上げられました。これにより局地的なニーズを満たされましたが、キャンパス内のどこにいてもつながる、という利便性までは実現できませんでした。」

さらに、業務システム用に導入されていた約 100 台のサーバーも老朽化して、運用管理が煩雑化。その維持にかかる費用が、学生たちに最新の IT 環境を提供するために必要な予算を圧迫するようになっていました。
こうした状況を鑑みて、「ゼロから学内の ICT 環境を見直すべき時が来ていた」と田胡 氏は言います。
「今の学生は、イーサネット ポートのない薄型のノート PC を持ち歩き、日常の生活ではスマートフォンを使いこなしていますが、この状況を 10 年前に正確に言い当てた人はいないでしょう。そう考えると、従来の資産をそのまま延命するのではなく、今のテクノロジーを出発点として、将来を見据えた最善の ICT 環境を構築すべきであると判断しました。」

こうして東京工科大学は、2013 年 4 月から、大胆な変革を推進しています。それが、全学 ICT 環境のフル クラウド化です。
「『クラウド』は、かつてメイン フレームから PC へと移行した時以来の大きな変化であり、決して一過性のトレンドではないと認識しています。よく、『クラウド = コスト ダウン』と誤解されますが、そうではありません。コストを下げるためだけではなく、長期的な視点でベストなシステムが構築できるように使いこなすことが重要だと思います。」

東京工科大学の全学フル クラウド化は、2012 年から 1 年かけて、さまざまな可能性を検討した成果に基づいています。この検討期間中から、プロジェクト開始以降に至るまで「まるで天啓のように、その時々で必要としたさまざまなサービスが目の前に現れてきた」と、田胡 氏は言います。

それが、マイクロソフトの提供するクラウド サービス Microsoft Azure および Microsoft Office 365、Microsoft Dynamics CRM などのテクノロジー & サービスでした。

<導入の経緯とシステムの特徴>
PaaS から SaaS までのクラウド サービスの併用と
中核データベースの構築によって全システムを効率運用

写真: 木村 譲 氏

株式会社ページワン
CEO 兼 代表取締役
木村 譲 氏

写真: 中谷 央 氏

株式会社ページワン
営業部
ソリューション
営業部長
中谷 央 氏

"全学フル クラウド" を目指した東京工科大学のシステム環境には、もう 1 つ、特徴的なポイントがあります。それが中核データベース (以下、中核 DB) の存在です。

10 年、15 年先まで見据えた上で、機能、拡張性、柔軟性そしてコストという、あらゆる面でベストと呼べるシステム環境を志向した東京工科大学では、PaaS (Platform as a Service) から IaaS (Infrastructure as a Service)、SaaS (Software as a Service) まで 3 段階のクラウド サービスを組み合わせて利用するという決断をしました。

そしてすべてのシステムから入力された情報は、新規に構築される中核 DB に集約され、全学で再整備されたワイヤレス ネットワークを通じて、CRM (Customer Relationship Management) や教務事務に、縦横に活用できるようになっています。

こうしたクラウド サービス、そして中核 DB の活用によって、東京工科大学が、目指したもの――それは、「システム運用の手間を極限まで削減すること」であると、田胡 氏は言います。そして、この目標達成に向けてテクノロジーの選定を行う中で、重要視されたキーワードが、下記の 3 点でした。

  1. PaaS のクラウド サービス活用
  2. エンド ユーザー コンピューティング (以下、EUC) によるシステムの成長
  3. Microsoft Office との連携

田胡 氏は、これらのキーワードについて、次のように説明します。
「SaaS で提供されている大学向けの既存ソリューション (事務システムや就職情報検索システム) は、そのまま活用を続けますが、その一方で、新規のシステム構築も求められます。この際に生じる負担を低減するためには、インフラとなるクラウド サービスが、OS 環境やセキュリティが一定以上担保された "PaaS" であることが重要だったのです。Amazon Web Services (以下、AWS) などの IaaS のサービスも検討しましたが、早い段階で対象から外しました。」

田胡 氏が AWS などの IaaS 型クラウドを早々に検討対象から外した理由として、一番に挙げたのが「EUC」でした。
「大学内で末永くシステムを利用するためには、専門業者に頼らずに教職員によるシステムの運用や更新を可能にする EUC が重要になります。常に変化する学内の状況に対応したシステムを、教職員の手を使わずに更新し続ければ、コストは膨れ上がる一方です。その点、IaaS 環境でセキュリティなどを維持し続けるのは、ハードルが高すぎます。」

そして、教職員の事務業務を支えるには「Web アプリケーションだけでは不十分」であり、Microsoft Office との連携が不可欠だったと、田胡 氏は続けます。
「本学でも、これまでにデスクトップの Web 化などさまざまな取り組みを行ってきました。その経験から言えるのは、『事務業務を Web アプリケーションで完結することには無理がある』ということです。一方、汎用的な事務業務を行うためのアプリケーションとして、教職員全員が慣れているものは、Microsoft Office のほかにありません。結局のところ、ワーク フローの電子化などによって業務を効率化するためには、ミドルウェアと Microsoft Office がシームレスに連携していることが、理想的だったのです。」

図: Microsoft Azure サービス構成図

Microsoft Azure サービス構成図[拡大図] 新しいウィンドウ

Microsoft Azure を IaaS としても活用し、
Oracle データベースを構築、運用

先に述べた 3 つのキーワードを満たすサービスは、「正直に言って、Microsoft Azure と Office 365 以外になかった」と、田胡 氏は振り返ります。しかも、計画が進むにつれて両者のサービス内容が急速に充実し、不足を感じる要素がなくなっていったと言います。

「まず、安心して活用できる PaaS については、最初から Microsoft Azure のほかに選択肢がほとんどない状態でした。学内には Cent OS 上で動く Java のシステムもありましたので、若干の迷いもありました。しかし、やがて『Microsoft Azure 仮想マシン』と『Microsoft Azure 仮想ネットワーク』を利用できる IaaS 機能の正式なリリースが始まり、この懸念も解決しました。PaaS + IaaS のハイブリット活用で、オープンソースによるソリューションまで気軽に運用できることは素晴らしいと思います。」

さらに、東京工科大学における Microsoft Azure 活用に際して特に大きなポイントとなったのが、Oracle とのパートナーシップが発表されたことでした。システムの設計、構築を担当している株式会社ページワン (以下、ページワン) CEO 兼 代表取締役 木村 譲 氏は次のように説明します。
「既存の教務システムにおいて長年利用されていた Oracle データベースを、どのようにクラウド上に移行するかに頭を悩ませていたところに Microsoft Azure の Oracle への対応が発表されました。おかげで、東京工科大学の新しいシステムにおいて、非常に重要な役割を果たす中核 DB の構築がスムーズになりました。」

こうして、Microsoft Azure を PaaS と IaaS の両面で活用。Microsoft Azure 仮想マシン上への Oracle データベースの移行は何の問題もなく、スムーズに完了したと言います。

Lync Online など Office 365 を活用し、
教職員のコミュニケーション環境を刷新

そして、メールやポータル サイトなどの教職員向けの ICT 環境には、Microsoft Office とシームレスに連携する Office 365 が採用され、Active Directory を活用した認証基盤を通じて、学内外からシステムにアクセスできるようになっています。

Exchange Online (メール システム) と SharePoint Online (ポータル サイトなど) のほか、既存環境にはなかった新たな機能として Lync Online を活用。教職員の在席情報 (プレゼンス) が、Outlook やポータル サイト上に表示されるようになり、相手が席にいるかどうか、オンラインにいるかどうかを確認しながら、インスタント メッセージやメール、Web 会議など複数のコミュニケーション手段を選べるようになっています。

「Lync を活用したコミュニケーションは非常に便利です。全教職員に浸透するには、もう少し時間がかかるかもしれませんが、私たちはシステム構築に関して、ページワンの方々とコミュニケーションするのも、Lync を使っていました。Web 会議ではデスクトップを共有しながら、お互いの顔を見て対話できるのですから、電話だけで説明するような不自由さもありません。今後、学生への利用拡大も検討したいと思います。」

SharePoint Server と Microsoft Dynamics CRM の
活用で EUC による柔軟なシステム運用を実現

そして、今回採用されたマイクロソフトのテクノロジー & サービスの中でも、特に EUC の観点から期待されているのが、SharePoint と Microsoft Dynamics CRM の存在です。

「SharePoint に関しては、クラウドとオンプレミスの両方を混在活用しています。まず、業務の効率化としては、SharePoint と Microsoft Office 2013 を組み合わせて活用することで、教職員の手で電子帳票の設計、共有ができるようになりました。大企業においては、10 年以上前からこのようなシステム構築が行われてきましたが、クラウドを使い、かつ EUC が実践できるようになったことで、中小規模の企業や、本学のような教育機関でも気軽に利用できるようになったことは大きいと思います。」

そして、中核 DB に蓄積されたデータを匿名化して取り込み、さまざまな視点で整理して閲覧できる "データ ビューアー" として期待されているのが、Microsoft Dynamics CRM です。フロント部分となる Web テンプレートをさまざまにカスタマイズして、SharePoint と連携。学生個人を軸として経年変化を確認するなど、学内に存在するデータのスムーズな活用を可能にします。

これまでに、数多くの教育機関で Microsoft Dynamics CRM の活用をサポートしてきたページワンの木村 氏は、東京工科大学における活用について、次のように説明します。
「Microsoft Dynamics CRM は、いわゆる『学生カルテ』や『IR』などに、幅広い活用が可能です。また、SharePoint 経由でデータ入力を行いたいといった、今後必ず発生してくるであろう学内の要望に柔軟に応えられることが、Microsoft Dynamics CRM の魅力だと思います。」

<導入効果と今後の展望>
企業にも転用可能な合理的なシステムと
EUC の促進によって、さらなる成果を

今回の全学フル クラウド化によって、将来にわたってシステム運用の負荷を極限まで削減する試みが全学規模で開始されたものの、「その一歩を踏み出したばかり」と前置きしながら、田胡 氏は話します。

「今後はどの大学でも学内で扱うデータ量が飛躍的に増加していくでしょう。そうした視点からも、クラウド上にデータベースを集約することに意義はあると思います。さらに言えば PaaS から SaaS までのクラウドを混在活用しているのも、運用面でも、コスト面でもそれがもっとも合理的であると判断したからです。」

木村 氏もまた、IT ベンダーの立場から、新しいシステムの構想に賛同しています。
「東京工科大学における EUC が深まり、中核 DB のデータ量が膨れ上がったとしても、Microsoft Azure に置いている限り、何の問題もありません。データを蓄積しておくための費用は驚くほどわずかです。AWS と比較しても、ランニング コストは大幅に抑えられるでしょう。」

田胡 氏は最後に、今後への期待を含め、次のように締めくくります。

「フル クラウド化は、本学としても初めての試みであり、データ量も運用のルールも、まったく手探りの状態からスタートしています。しかし、実現できたのは Microsoft Azure という安価で、対応力に幅のあるクラウド サービスがあったからこそです。Dynamics CRM や SharePoint との連携により、情報分析も進み、高度な IR も実現できるようになりました。そして、この成果は今後の運用の中で、はっきりと現れてくるでしょう。個人的には、今回構築したしくみは、企業にも役立ててもらえるモデルになるのではないかと思っています。」

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ソリューション概要

プロファイル

東京工科大学外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きますは、1986 年に開学。「生活の質の向上と文化の発展に貢献する人材を育成する」という基本理念を貫き、高いスキルを身に付けた世界に通用する人材を育成するために、時代のニーズに敏感に対応しながら、学部学科の改組や新設も積極的に実施。さらに細かな専門に分けた「コース」という独特の単位を設定。学生たちが、興味に応じてフレキシブルに学習できる体制を整えています。

パートナー企業

導入メリット

  • PaaS と IaaS の両方のクラウド環境を活用可能 (Microsoft Azure)
  • Oracle データベースやオープンソースで作られたソリューションを移行 (Microsoft Azure)
  • Microsoft Office とシームレスに連携した ICT 環境をクラウド サービスで実現 (Office 365)
  • エンド ユーザー自身の手でワーク フローの設計、開発が可能 (SharePoint Online)
  • 柔軟なデータ活用により、学生カルテや IR を実現 (Microsoft Dynamics CRM)

ユーザーコメント

「フル クラウド化は、本学としても初めての試みであり、データ量も運用のルールも、まったく手探りの状態からスタートしています。しかし、実現できたのは Microsoft Azure という安価で、対応力に幅のあるクラウド サービスがあったからこそです。Dynamics CRM や SharePoint との連携により、情報分析も進み、高度な IR も実現できるようになりました。」

東京工科大学
メディアセンター長
コンピュータ
サイエンス学部教授
田胡 和哉 氏

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