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トールエクスプレスジャパン株式会社

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掲載日: 2012 年 4 月 17 日

グローバル化に向けた情報共有と活用の基盤作りを目指し、
Microsoft SQL Server 2008 R2 Enterprise と SAP 連携モジュール PerfectConnect による
BI ソリューションの刷新を実現

トールエクスプレスジャパン株式会社

トールエクスプレスジャパン株式会社

1938 年創業の長い歴史を持ち、近年は BtoB における長距離輸送に強みを発揮してきた、トールエクスプレスジャパン株式会社 (以下、トールエクスプレスジャパン) 。2009 年 10 月にはオーストラリア最大の国際物流企業であるトールグループの日本における拠点として、新たなスタートを切りました。これを機に同社では、グローバル物流のスピードと規模に応えるため BI (Business Intelligence) ツールの全面的な刷新を決定。SQL Server 2008 R2 Enterprise と SAP 連携モジュール「PerfectConnect」の組み合わせによる新しいソリューションを導入し、経営層から現場までの一貫した情報共有と活用の基盤を実現しました。

<導入の背景とねらい>
グローバル企業グループへの参加を機に
情報を可視化できる BI ツールの導入を決意

トールエクスプレスジャパン株式会社
専務執行役員
最高戦略責任者
玉川 篤史 氏

トールグループへの参加は、トールエクスプレスジャパンに情報戦略面での大きな課題を提示することになりました。親会社との情報共有や厳しい運賃水準を乗り切る積極的なナレッジ マネージメントと業務情報の分析および活用など、グローバル企業グループの一員として取り組むべき課題は少なくありません。しかしそれ以上に喫緊の課題となっていたのは、これらの個別課題を解決する土台となる全社共通の情報基盤がいまだに存在していないことだったと、トールエクスプレスジャパン株式会社 専務執行役員 最高戦略責任者 玉川 篤史 氏は語ります。

「どのような問題にしても、まず情報が見えないことには取り組みようがありません。これまでもいわゆる BI ツールはありましたが、各業務システムはそれぞれが単独で稼働しているため、たとえばレポートを抽出するにも人手であちこちからデータを収集せざるを得なかったのです。このため作成した人間によって内容や分析結果が違っていたり、手作業に伴う単純なミスが避けられませんでした」。

社員ごとの感覚や経験値に頼ったデータ分析では、正確な客観的事実や共通の認識を得られないばかりか、誤った判断につながる危険さえはらんでいます。また旧 BI ツールは、売り上げなどの静的なデータは見られても利益分析などは行えず、本来の意味での BI を実現するうえでも、案件に関するデータをすべてひも付けて一元処理できるソリューションが必要でした。

「当社ではトールグループの日本における拠点として 2012 年 3 月にフットワークエクスプレス株式会社から社名変更し、全面的なブランド統一を行いました。それを単なる名称変更だけにとどまらない、根本からの組織改革としていくうえでも、グローバルでデータを可視化し共有できる情報基盤の整備は必須課題です。そこで改めて小手先の改良や変更などではなく、ゼロからすべて新しく作り直そうと決意したのです」。

<導入の経緯>
SAP からのデータ抽出に絞って機能を比較し、
CSK Winテクノロジの提案を採用

トールエクスプレスジャパン株式会社
システム部
部長
山内 照清 氏

株式会社CSK Winテクノロジ
第二開発部
第三開発課
課長
稲継 正樹 氏

システム刷新の取り組みが本格的に動き出したのは、2010 年の 5 月でした。トールエクスプレスジャパン株式会社 システム部 部長の山内 照清 氏は、「トールグループの IT 標準に沿って、マイクロソフト製品を採用することは既に決まっていました。そこで、マイクロソフト製品に実績のある 5 社に企画提案を依頼しました。ここで重視したのは、データ抽出に高度な技術を持っているかどうかでした。というのも、SAP で構築された個別の業務システム側にあるデータ量が膨大で、しかもデータベースのテーブル構造が複雑なため、ここからいかに効率よくデータ抽出を行えるかが大きな課題だと考えていたからです」と振り返ります。

同年末までに各社から提出された企画を比較検討した結果、株式会社CSK Winテクノロジ (以下、CSK Winテクノロジ) による SQL Server 2008 R2 Enterprise と SAP 連携モジュール「PerfectConnect」によるソリューションが最終的に選ばれました。PerfectConnect は、SAP の業務データを SQL Server へ抽出する際、SAP 標準の変更文書情報を参照し、更新差分のデータのみを取得することで高速なデータ統合を実現する CSK Winテクノロジ独自開発のモジュールです。

「同様の組み合わせは他社も出してきたのですが、純粋にマイクロソフト製品のみの構成は CSK Winテクノロジだけでした。他社はどうしてもサード パーティのツールなどが必要で、プラットフォームの混在が避けられなかったのです。その点、PerfectConnect を中心にすべてをマイクロソフトで統一できるのは、今後のシステム変更および拡張の自由度やメンテナンス性を確保するうえで、またトールグループ全体とのプラットフォーム標準化という点でも非常に有利だと考えたのです」(山内 氏)。

これについて刷新プロジェクトを担当してきた株式会社 CSK Winテクノロジ 第二開発部 第三開発課 課長 稲継 正樹 氏は、「この組み合わせには、SQL Server 2008 R2 Enterprise のチューニングの幅が非常に広いため、お客様の複雑なデータ環境にも完全に対応できるといった強みがあります。加えて PerfectConnect は、マイクロソフトのサーバー統合ソリューションである BizTalk Server 2010 に含まれる BizTalk Adapter Pack 2010 (BAP) を利用しているため、アプリケーション周りをすべてマイクロソフト製品で固めることができたのです。この結果、マイクロソフト テクノロジーに特化した開発を得意とする当社としては、最も良い形でのご提案ができたと自負しています」と語ります。PerfectConnect 独自の差分抽出機能も重要な評価ポイントでした。SAP のデータ量がきわめて多いため、これまではレポート作成のたびにデータ抽出に非常に長い時間を要していました。しかしこれをデータベースの差分のみに絞って行えれば、劇的に処理時間が短縮できるのです。

それ以上に CSK Winテクノロジの積極的な提案力を感じたのが、SQL Server の SharePoint 統合機能を利用したポータルのアイデアでした。それまで同社にはポータルがありませんでしたが、「これを利用すれば、基本的な情報共有や発信の基盤を整備することができると直感しました」と山内 氏は語ります。

加えてハードウェア面でも冗長化を始めとした画期的な提案が評価され、採用が正式に決定。2011 年 4 月にはオーストラリアのトール本社の承認を得て開発が始まり、同年 9 月初頭にリリースが完了しました。

<導入効果>
データ パーティションなどの機能を活用して
処理時間を従来の 5 分の 1 に短縮

トールエクスプレスジャパン株式会社
経営戦略部
部長
武田 政己 氏

今回のプラットフォーム刷新は、早くも処理速度の劇的アップという成果をもたらしたと山内 氏は評価します。

「既存の SAP BW による BI ツールでは、前日の分の処理に 14 時間もかかっていました。このため夜通し処理させても翌朝の会議に間に合わないなど、データ活用の迅速性という点で問題になっていました。これが一挙に 2 ~ 3 時間、約 5 分の 1 に短縮できたのです」。

このスピードアップには PerfectConnect によるデータ抽出の一方で SQL Server 2008 R2 Enterprise のデータ パーティション機能も大きく貢献しています。

「運用開始の直前に 2 年分、5,000 万件の送り状のデータを SQL Server へインポートしたところ、最初は思うようなパフォーマンスが出ませんでした。そこでデータ パーティションを月次別に分けてみたところ、すぐに現在のスピードを達成できました。パーティションの設定も非常に短時間で、CSK Winテクノロジに依頼してその日中には完了していました」。

今回のマイクロソフト製品で統一された BI 環境は、同社のビジネスのアジリティそのものを大きく向上させる可能性があると、トールエクスプレスジャパン株式会社 経営戦略部 部長の武田 政己 氏は指摘します。

「これまではちょっとしたシステム変更でも、そのつど SAP に依頼する必要がありました。今回のソリューションはデータベースの設定や変更からポータルへの発行まで、一連の作業の多くを自社内で行えるため、ビジネスの要求に合わせて柔軟かつ迅速にシステムを変化させていくことができます。また、自社の経営に必要な指標を最も良く知っているのは社内の人間です。どんなデータが必要なのかを社員自身が見極め、収集、分析し、その成果を共有できるようになりました」。

加えて武田 氏は、今回の BI ソリューションの最も大きな効果を、「同じデータで皆が同じ判断を下せる環境が生まれたこと」と評します。

「物流・運輸業界は長い歴史を持っている分、古く特殊な商習慣が数多く残っています。その解釈も人によってまちまちで、これが標準化やグローバル化の大きな妨げになってきました。統合化されたデータベースとその BI 環境を確立できたことは、人による判断のブレをなくし、普遍的な定義と情報共有を可能にする第一歩だと感じています」。

こうした情報活用・共有の試みは、早くも BI レポート活用の新しいスタイルとして実現しつつあります。

「現在、既に経営戦略部の中で IT スキルのあるスタッフを選び、Report Builder を使ったレポート作成のユニットを立ち上げています。ここでの運用がうまく回るようになれば、システム部にオペレーションを引き継いで、全社レベルへ展開していこうというもくろみです」 (武田 氏)。

Report Builder は、BI レポートの作成、管理、および配信までをすべて行えるツールです。SQL Server に標準搭載されたレポートの作成・配置・管理サービスである Reporting Services の機能を全面的にサポートしているため、この経営戦略部での事例のように非 IT 部門のナレッジ ワーカーでも、自分でレポートを作成できる点が大きな特長です。さらに Reporting Services/Report Builder は、 SharePoint 用 SQL Server 2008 Reporting Services アドインを用いてシームレスに SharePoint ポータルとの連携が保証されています。このため誰でも、必要に応じて作成したレポートをダイレクトに社内ポータルに発行して共有・活用するといった情報連携のワークフローが容易に実現できます。

また今回トールエクスプレスジャパンでは、マイクロソフトの包括ライセンス プログラムである Enterprise Agreement (EAP) を利用しており、これもトータル コストの抑制につながっています。山内 氏はそのメリットを、「通常価格の 40 ? 50% で購入できると聞いていましたし、無償アップグレードなどの特典も利用できるとあって、コスト抑制に役立つと判断しました。ソフトウェア、ハードウェア、開発費と費目はいくつもありますが、合計のバジェットは限られています。その中でライセンス コストを抑えられる効果は大きいですね」と評価します。

システム構成図

システム構成図 [拡大図]

<今後の展望>
支店や地域ごとに即したカスタマイズで
社員が自ら考えるためのツールを目指す

ようやくスタート ラインに立ったトールエクスプレスジャパンの BI 基盤を、今後はさらに細かなエリアや事業拠点ごとに活用していきたいと武田 氏は意欲を見せます。

「当社には関東から九州まで約 80 の支店があり、その市場特性は地域でまったく異なっています。今後はそうした地域性に即したカスタマイズを施し、各エリアの担当者が自ら考えるためのツールに最適化していけたらと考えています」。

一方、山内 氏は「情報活用の基盤はできたので、ここから先はわれわれ IT 部門がユーザーにどんな価値ある情報を発信できるかが課題になると思っています。そのためにもポータルの活用などの可能性を探っていきたい。加えて現在の Lotus Notes/Domino を Microsoft Exchange Server に変更していくなど、Windows 連携のベース作りをさらに固めていきたいですね」と語ります。

これを受けて、稲継 氏も、「今回は最初に SAP との連携がネックと伺っていたので、通常の BI ソリューションに当社開発の PerfectConnect という独自のツールをプラスしてご提案しました。私たちは、Windows およびマイクロソフト製品に特化した技術を常に追求してきました。今後もトールエクスプレスジャパン様のビジネスに貢献できるような、独自のソリューションやテクノロジーをご提案していけたらと願っています」と抱負を語ります。

「今回のポータルを使ったフロントのしくみをトールホールディングス本社にプレゼンテーションしたところ、大変高い評価を得ました。もちろん本社には本社のスタンダードがありますが、私たちも良いものは積極的にグループ内に発信していきたい。そうした貢献を通じて、日本という拠点の存在感を高めていきたいと考えているのです」と意気込みを見せる玉川 氏。

トールエクスプレスジャパンは今、日本から世界の物流シーンへ向けて、力強い第一歩を踏み出したところです。

トールエクスプレスジャパンのポータル サイト

トールエクスプレスジャパンのポータル サイト [拡大図]

ポータルで公開される日次実績 (Daily Report)

ポータルで公開される日次実績 (Daily Report) [拡大図]

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ソリューション概要

プロファイル

1938 年 10 月に、前フットワークエクスプレス株式会社の前身である東播運輸株式会社が創業。1950 年 9 月には、日本運送株式会社に社名を変更し、通運事業を開始。翌年 10 月には、姫路 - 東京間に日本発の直通長距離定期路線運行を開始しました。2004 年 1 月に、フットワークエクスプレスとして営業を開始。また 2005 年 12 月には、フットワークエクスプレスおよび地域子会社にて、ISO 9001、ISO 14001 認証を同時に取得。さらに 2009 年 10 月には、オーストラリア最大の国際物流企業であるトールグループ (本社 : オーストラリア、メルボルン) の全株式取得により、同グループの一員となり、2012 年 3 月に、トールエクスプレスジャパン株式会社外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます に社名変更し、新たなスタートを切っています。

導入メリット

  • SQL Server 2008 R2 Enterprise と SAP 連携モジュール「PerfectConnect」によって、個別の業務システムごとに分散している SAP の業務データの抽出および統合から BI 分析レポート作成、ポータルへの発行までをシームレスに一元化。
  • PerfectConnect による差分データの取得が、旧来の BI ツールでは不可能だった迅速なデータ処理を実現。処理時間を従来比で約 5 分の 1 に短縮して、最新データをすぐに経営判断に活かせる体制を可能に。
  • 全社的な情報共有、活用基盤の確立はもちろん、SQL Server 独自のデータ パーティションやデータ圧縮による処理の高速化などの相乗効果で、データ分析と活用におけるアジリティが劇的に向上。

ユーザーコメント

「当社のビジネスの根幹は各支店にあり、それぞれの支店長が日々業務を進めていくうえで、より正確な判断材料を提供していくのが私たち本社の使命です。その点、今回の新しい BI ソリューションでは、これまでのようなトップ ダウン型の指示に偏ることなく、各支店長へダイレクトにデータが提供され、自らがそれを基に考えられることで、よりその現場や地域に即した判断が可能になると考えています」

トールエクスプレスジャパン株式会社
専務執行役員
最高戦略責任者
玉川 篤史 氏

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本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。

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