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取手市教育委員会

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掲載日: 2011 年 7 月 21 日

迷惑メールの排除とメンテナンス業務の軽減を目指し Microsoft Exchange Online を採用
震災後の ICT 活用ビジョンとしてクラウド サービスのさらなる利用を検討

取手市教育委員会

取手市教育委員会

市立の小中学校 25 校を指導する取手市教育委員会では、オンプレミスのメール サーバーを利用して教育委員会と学校との連絡や保護者と学校との連絡に活用していました。しかし、システムの老朽化からメールの遅延などが発生し始め、迷惑メールも急増したため、メールを Microsoft Online Services の Exchange Online に移行。クラウドの安全性と利便性を実感し、さまざまなシステムのクラウド利用も検討し始めています。

<導入背景とねらい>
老朽化したメール サーバーでは
メール遅延などの問題が発生する

取手市教育委員会
指導課
指導主事
石塚 康英 氏

取手市教育委員会
学務給食課
主幹
横島 信吾 氏

取手市教育委員会では、従来から「教科指導の中でのわかる授業の実現」「情報活用能力の育成」「校務の情報化」の 3 つを ICT 目標とし、学習指導と校務の両面での ICT 活用に取り組んできました。特に教育現場では、教職員の実務を支えるためにも ICT 活用が必要不可欠だと、指導課 指導主事の石塚康英氏は言います。「教職員は非常に忙しく、子供たちが学校にいる間は事務業務を行うことができません。特に、小学校は、朝 8 時から 16 時頃まで、子供たちが学校で生活している間は、職員室に戻る余裕がほとんどありません。このような時間的な問題から、中学校に比べて小学校の教職員の ICT 活用が進まないのが現状です」。

そのような状況の中、取手市教育委員会では毎年度 ICT 活用の柱を立てて積極的に取り組んできました。たとえば、平成 17 ~ 19 年度は、社団法人日本教育工学振興会 (JAPET) の「ネットワーク配信コンテンツ活用推進事業」に取り組み、平成 20 年度は独立行政法人科学技術振興機構 (JST) の「理科ねっとわーく活用推進事業」や小学校 6 年生の希望者を対象としたコンピューターを利用した補習授業「夏休み算数スクール」などを実施してきました。また、本年度はデジタル教科書活用推進事業によって各教科書会社が指導者用のデジタル教科書を発行し始めたのを受け、小学校の国語と算数、中学校の英語の教科書をそれぞれ導入し、利活用を始めています。さらに、近隣の牛久市やつくば市と遠隔地共同学習を行い、同じテーマの研究を行っている他の市の生徒と掲示板などで情報交換が行えるようにしています。

取手市では、平成 17 年度に市役所の情報管理課が中心となって「地域イントラネット地盤整備事業」を行い、行政、福祉、教育の 3 つのポータルを運用し始めています。「われわれは、教育ポータルにメール サーバーを導入し、教育委員会と市内の小中学校のアカウントを管理していました。総務省の総合行政ネットワーク (LGWAN) では、学校が対象外となっていたため、市独自で IT 資産を保有する必要があったのです」と、学務給食課 主幹の横島信吾氏は言います。

しかし、イントラネット構築から約 5 年たったころから特にメール サーバーに関する不具合が発生し、メンテナンスや運用に時間が取られたと横島氏は続けます。「メールの送受信がうまくいかなかったり、サーバーのレスポンスが遅いなどの問題が徐々に発生してきました。迷惑メールなども増えてきて、学校の現場では非常に困っていました」。

また、学務給食課 主事の松﨑昌也氏も「メンテナンスなどにも時間が取られ、問題が発生するたびに各学校に行って対応しなければなりませんでした」と話します。特に、メール サーバーに障害が発生した場合は、教育委員会のある藤代庁舎 (旧藤代町役場) からサーバーのある取手市の本庁舎 (取手庁舎) まで車で駆けつけ、サーバー室の鍵を担当者に開けてもらって対応しなければならなかったため、かなりの手間がかかったと言います。

2010 年末から 2011 年初頭にかけてメール サーバーの入れ替えを検討していた取手市教育委員会学務給食課では、クラウド サービスに注目します。「これらの問題を解決するためには、クラウド サービスがいいのではないかと考えました。クラウドなら安心して、安全な運用ができると考えて検討し始めましたね」と横島氏は話します。

<システムの概要>
震災で 180 度変わったクラウドのイメージ
災害に強いシステムとしての期待

取手市教育委員会
学務給食課
主事
松﨑 昌也 氏

開発会社などからさまざまな話を聞いて、Exchange Online の採用を決めたと話す横島氏は、サービスの印象を次のように話します。「Exchange Online がいいのではないかという話になり、サービス内容を調べていく中で、セキュリティがしっかりして安心できるサービスだと感じるようになりました。特に、迷惑メール フィルターがしっかりしていて、ほとんどをフィルタリングできるという評価が決め手になりましたね」。

「今回の入れ替えにあたり、現在のようなオンプレミスではないシステム構築を視野に入れて検討しました」と続ける横島氏は、予算面や運用面でオンプレミスのサーバーは採用しづらかったことを明かします。「予算に限りもあるため、新たにイントラネット内にサーバーを構築するのは難しい状況です。また、構築しても、時間が経てばレスポンスの遅れなどの同じような問題が発生すると考えています」。

クラウド サービスには無償で利用できるものもあり、特に教育機関に向けては有償サービスと同等の機能を持った無償サービスも提供されています。これらのサービスは「検討していない」と話す横島氏は、「われわれが最も大切にしているのは、セキュリティと利便性であるため、マイクロソフトの Exchange Online を使うのが最適だと考えました」と話します。安心してメールを確実に受けられることを考えれば、サービス品質が保証されない無償サービスは選択肢とはならず、しっかりと SLA 契約を結べるサービスである必要があったのです。

取手市教育委員会では、50 アカウントの Exchange Online を利用し、教育委員会の指導課と学務給食課にそれぞれ 1 カウントずつを用意。市内の小中学校 25 校のそれぞれに代表メール アドレスを提供し、6 月初旬から運用を開始しています。「当初は、4 月の学年始期に合わせて導入する予定でしたが、3 月 11 日の震災の影響で 6 月に予定がずれ込みました」と話す横島氏。しかし、その東日本大震災によって、クラウドのイメージは 180 度変わったと言います。

「それまでも、クラウドを利用することによって好きなときに好きな場所から情報が取れる、というイメージは持っていました。しかし、震災によってさまざまな市町村が津波に遭い、住民基本台帳などの行政にとって大切な財産といえるような情報が被害を受けたという話を聞き、このような問題がわれわれにも起き得ると痛感し、クラウドのメリットを再認識しました。震災前は、外部にデータを置くことに少なからず抵抗があったのですが、これまで蓄積してきた大切なデータや財産となる情報を守るための選択肢の 1 つとして、クラウドを考えられるようになったと思います」 (松﨑氏)。

また、横島氏も、震災当日を振り返りながら次のように話します。「メールの遅延なども発生していました。取手市が被災地となった場合に、保護者や子供の安否確認や情報発信ができるか、という課題を意識するようになりましたね。今後はメールだけでなく、Web ページなどをクラウドに置くことも考える必要があると思います」。

これらの言葉を受け、石塚氏は次のように語ります。

「取手市は、学務給食課が頑張ってくれており、現場との連携もスムーズで ICT 活用を進めやすい環境にあると思います。その中で、この先 10 年の教育現場でどのような ICT が必要で、いつ入れ替えるのか、といったビジョンを立てて ICT 活用を行っていかなければなりません。2011 年の 1 月に将来ビジョンを話した中でも、文科省からもクラウド活用に関する提言が出ていることが安心につながり、導入の決め手にもなっています」。

システム構成図

システム構成図

<導入効果>
教職員の業務効率向上に貢献し
運用およびメンテナンスの手間を低減

Exchange Online の導入効果としては、まずに運用およびメンテナンスのコスト削減が挙げられます。取手市教育委員会では、平成 19 年度から ICT 活用支援スタッフを 2 名配備していますが、これらのスタッフの運用負担が軽減され、各学校のサポートや授業支援、研修会の支援などの業務に集中させることができます。「教育ポータル全体としての予算を考えているので、メールの部分だけのコスト効果は計算していませんが、確実にサポートや運用コストは削減されると思います。以前は、休日にも出勤して運用や障害対応を行う必要がありましたが、今後はそれもなくなるでしょう」と話す横島氏。今後は、学校の統廃合などによるメール サーバーの移行などでも設定や手間の低減が期待できると言います。

また、迷惑メールが確実にフィルタリングされることも大きなメリットとなっています。「学校の現場では、多いときには 1 日に数百通の迷惑メールが届きます。そのため、以前は大事なメールを見落としたり、間違って削除してしまうことが起きていました。学校の現場では、本当に必要なメールだけが届き返信できることで業務の効率アップが期待できますし、われわれもサポートなどの手間が減ると思います」 (横島氏)。

石塚氏は、教職員が自宅でもメールをチェックできることに大きな期待を寄せています。「教職員がサーバーにあるデータを使って自宅で仕事をしたいという要望は、非常に高いものがあります。前述のように、小学校の教職員は放課後まで教室から離れられず、職員室に戻る余裕もありません。また、教職員自身にも子供がいる場合もあり、すぐに自宅に戻りたいこともあるでしょう。そのような中で、普段の教育委員会からの連絡や他の学校との連絡を自宅の PC から行うことができるのは非常に便利です。また、教頭や校長が代表メールに届いた保護者からのメールを自宅で見られれば、土日などに緊急性の高いメールが来たとしても週明けを待たずに対応することができます」。

運用およびメンテナンス コストの軽減に加え、外部で利用する利便性が高まった取手市教育委員会。今後は、修学旅行のような学外活動時の連絡など、さまざまな使い方や活用法を考えていきたいと言います。

Exchange Online を活用したメールの画面

Exchange Online を活用したメールの画面[拡大図]

<今後の展望>
さまざまなシステムでの
クラウド活用を検討したい

初めてのクラウド サービスとして Exchange Online を活用し始めた取手市教育委員会では、そのほかのクラウド サービスや Microsoft Online Services の機能にも注目し、今後の活用を検討しています。「教育ポータルの中にはテレビ会議システムも用意されていますが、準備や予約、設定などがわずらわしく、現場での利用率が上がっていないのが現状です。これらを Microsoft Online Services の Live Meeting (Microsoft Office 365 では Lync Online) に置き換えれば、気軽で簡単にテレビ会議が行えて、コミュニケーションが向上するのではないかと考えています」 (横島氏)。

また、クラウドの安全性や可用性に関しても期待を持っていると言います。「藤代庁舎にある児童生徒の情報などはもちろんバックアップを取っていますが、サーバーの障害や震災などでサーバー自体がダメになってしまう危険性はゼロではありません。個人情報などの大事な情報こそクラウドでしっかりと管理してもらう必要があると感じています」と松﨑氏が話せば、石塚氏も「各学校の現場にあるクライアント PC やサーバーは、本当に過酷な環境で使われています。これらに蓄積されているデータや情報を安全でセキュアな環境にバックアップしておきたいという需要は絶対にあるはずです。このような需要に応えるために、クラウドを活用することも考えていかなければなりません」と続けます。

「システムを一元化して、すべてのシステムをシングル サインオンで利用できるようなユーザーに優しいシステム作りを心掛けていきたいですね」と話す横島氏は、5 年後のシステム見直しのときには、「自宅から安心して利用でき、クライアント PC と同じ感覚で操作できるようなサービスが充実していると良いと思います」とクラウドのセキュリティと利便性のさらなる向上に期待を寄せています。

最後に「子供たちに教科書だけでは学習できないことを教え、創造性を豊かにするような教育を行っていくことがわれわれの目標です。これを実現するためや、学校や家庭のさまざまな問題を解決できるようなツールとして、今後も ICT を活用していきたいですね」と話す石塚氏。

取手市教育委員会では、ICT 活用の将来ビジョンをしっかりと立てていきながら、クラウド パワーを活用して、よりよい教育現場の構築を行っていきます。

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ソリューション概要

プロファイル

取手市教育委員会は、子供たちの知徳体のバランスが取れた育成を目指し、学力向上や教育に関する施策の重点化に取り組んでいます。そのため、各小中学校がそれぞれの目標を設定して、一年間の取り組み状況を検証するようにし、これまで教育現場には浸透していなかった PDCA サイクルを学校のマネジメントに活かし、学校と教育委員会が共に推進していくことを目指しています。また、「教科指導の中でのわかる授業の実現」「情報活用能力の育成」「校務の情報化」の 3 つを柱とした目標を掲げ、ICT 活用も推進しています。

シナリオ

  • 2005 年度 (平成 17 年度) に導入し、老朽化したオンプレミスのメール サーバーに障害などが多発したことにより、クラウド サービスに注目して、Microsoft Exchange Online を採用。
  • 教育委員会のある藤代庁舎からメール サーバーのある取手庁舎まで出向いてメンテナンスを行う必要などがなくなり、運用コストを大幅に低減。オンプレミスのように障害時の復旧作業を行うことがなくなり、本来のサポートおよび運用業務に集中できる。
  • 高度な迷惑メール フィルターや外部からの簡便なアクセスによって、現場の教職員の業務効率を向上させる。

導入ソフトウェアとサービス

  • Microsoft Exchange Online

導入メリット

老朽化したオンプレミスのメール サーバーから Exchange Online へ移行することで、オンプレミスで多発していた障害を抑え、メンテナンスの時間的なロスをなくすことに成功。各小中学校に確実に必要なメールを届けることができるようになりました。また、クラウドのメリットである外部からアクセスできる利便性やセキュリティの高さも実感し、今後の他のシステムにおけるクラウド活用も検討し始めています。

ユーザーコメント

「Exchange Online を導入することによって、メール遅延や障害が発生することなく、迷惑メールをシャットダウンすることが期待できます。また、忙しい教職員にとって、自宅でもメールをチェックして情報を入手できることは大きなメリットになりますね。今後の ICT 活用においても、クラウド サービスに注目していきたいと考えています」

取手市教育委員会
指導課
指導主事
石塚 康英 氏

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本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。

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