"エンロールメント・マネジメントの国内スタンダード" 創造に向けた新しい情報基盤の構築へ。 400 項目を超える要求に応える最適解として SQL Server 2008 を中核とするソリューションを採用
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国立大学法人山形大学では 2006 年にエンロールメント・マネジメントを実現するための事務組織を立ち上げて以来、"学生を知り抜く" ためにさまざまなデータ分析を行ってきました。そして 2010 年度に従来、汎用ソフトベースで行われてきたデータ分析を充実させ "国内におけるエンロールメント・マネジメントのスタンダード" を確立するべく、データの収集・分析のための新システムを構築。選ばれたのは Microsoft SQL Server。これを中核としてマイクロソフト製品をフルに活用し、データ分析の結果などを学内でシームレスに共有することを目指したソリューションです。
<導入の背景>
"学生を知り抜き"、PDCA に活かすことで、さらなる "学生価値の創造と価値の最大化" へ  |   山形大学 エンロールメント・マネジメント部 教授 福島 真司 氏 (左) 教授 平尾 清 氏 (右)
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「何よりも学生を大切にする大学を目指して」というスローガンを掲げ、「学生」を中心に据えた教育改革マネジメントの PDCA (Plan - Do - Check - Action) サイクルに取り組んでいる国立大学法人山形大学 (以下、山形大学) では、エンロールメント・マネジメント (Enrollment Management) にも注力。2006 年から専任部署を設置しています。
エンロールメント・マネジメントとは 1970 年代に米国の大学を中心に提唱された概念であり、在学中のみならず、入学前から卒業後の一貫して学生を支援する科学的マーケティング施策を指します。アメリカでは重要な施策として定着しつつありますが、日本でエンロールメント・マネジメントに取り組む専任部署を設置している大学はほとんどありません。
その背景には、「文化の違いと、さまざまな誤解がある。」と山形大学 エンロールメント・マネジメント部 福島真司氏は説明します。
「アメリカの大学には、日本の大学とは違い、定員がありません。そこで、授業料や奨学金の設定と学生数の増減の関係を精緻に計算し、収益の最大化を図るレベニュー マネジメントが行われています。
また、転学が比較的容易にできますので、入学者数が決まった時点で年間の収支が正確に予測できるということもありません。苦労して入学者を集めても、満足しない学生は次々と転学しますので、大学の満足度と大学経営は直結しています。ここが日本とは大きく違うところです。
しかし、大学のマネジメント サイクルを回していく上で学生たちが『入学した理由』、『入学しなかった理由』、『退学した理由』、『満足している理由』などを徹底的に調査して PDCA に活かしていくことの重要性は日本でも変わりません。大切なことは、大学全体として学生価値の創造と最大化に取り組むことであり、そのために、"学生を知り抜く" ことです。」
山形大学では、"学生を知り抜く" ために入学前のコンタクト データや入試情報、そして在学生を対象に半年に 1 回実施する満足度調査、および、卒業後 5 ~ 10 年が経過した卒業生に実施する卒業生調査の結果などを、総合的に分析する取り組みを行ってきました。
しかし、従来は CSV ファイルなどを使って、汎用ソフトベースで分析を行っていたために課題も多かったと、福島氏は話します。
「収集されたデータについては、一定の仮説をもとにクロス集計をかけていました。しかし、調査対象者が毎年数千人ずつ増える上、調査項目も数十に及んでいます。汎用ソフトベースによる分析を行うにはデータ量が多く、大学が抱える『思いもよらない問題点』を見逃す危険性があると考えるようになりました。」
そして、2010 年。山形大学では、学生を生涯にわたって支援するエンロールメント・マネジメントをより充実させ、教育改革マネジメントの PDCA により適切に反映していくために、新たな情報システムの構築に着手します。それは、「日本におけるエンロールメント・マネジメントのスタンダード確立」を目指した意欲的な取り組みであると、福島氏は説明します。
「当初は『同窓会』のデータベースを強化して、CRM (Customer Relationship Management) を充実させるところから着手しようと考えていましたが、担当理事を含めて協議する中で、やはり学内のデータを統合して分析していかなければ、エンロールメント・マネジメントに資する分析結果は得られないのではないかという結論に至りました。そして国立大学である本学が取り組む以上は、他の大学から見ても価値ある施策を目指すことが重要だと考えています。」
 |   図 1 総合的学生情報データ分析システムのデータ構成概念図 [拡大する]
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山形大学では、この情報システム実現に向けて仕様策定委員会を設置し、3 か月をかけて要件が 400 項目以上にも及ぶ仕様書を作成。寄せられた各社からの提案に対し、約 2 か月の時間をかけて慎重に検討を重ねました。その結果、選ばれたのが、富士通株式会社 (以下、富士通) が行った提案でした。
それは、散在する学内データを CSV ファイルで収集する富士通の「フラットファイルデータ倉庫
®」(※)ソリューションと Microsoft SQL Server 2008 Enterprise を中核として、学内データの多元的かつ高度な分析ができる大学 IR ソリューションでした。
しかも分析結果からグラフィカルなレポートを作成し、Microsoft SharePoint Server 2010 を活用して構築したポータルサイト上に表示し、学内に共有。さらに、そのデータを Microsoft Excel のファイルとしてダウンロードし、自由に加工できるところまでをシームレスにサポートできることが「非常に良かった。」と、システム全体の設計と導入を担当した山形大学 エンロールメント・マネジメント部 平尾清氏は説明します。
「SQL Server は、単なるデータベースという枠を超えて、非常に手軽に、高度なデータ分析まで行えるツールであると評価しました。それはエンジニアにとって簡単という意味ではなく、私たちが普段使い慣れている Excel と同じような操作感覚で使えてしまう、そんなレベルの手軽さです。
エンドユーザーの立場から簡単だと言える唯一の製品だと思います。さらに SharePoint Server を使って、分析結果のレポートを、詳細な権限設定を行った上で大勢の人とスムーズに共有できます。この組み合わせの妙が、最大の評価ポイントでした。」
(※「フラットファイルデータ倉庫
®」は、富士通の Interstage Information Integrator とInterstage Information Storage の両製品で構成される情報統合のコンセプトです)
<導入の経緯とシステム概要>
「自由度の高さと、セキュリティの両立」を評価し、システム基盤をマイクロソフト製品に統一  |   富士通株式会社 マーケティング本部 ソリューション推進統括部 経営ソリューション推進部 マネージャー 利光 哲哉 氏
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 |   富士通株式会社 東日本営業本部 東北支社 山形支店 太田 文明 氏
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こうして山形大学では、BI (Business Intelligence)/BA (Business Analytics) を行うための基盤として SQL Server 2008 を採用。Excel をフロントツールとして、さまざまな分析・加工が行える環境を整えています。そして、これらの分析結果などの情報を共有するための情報基盤として SharePoint Server を採用。エンロールメント・マネジメント部を皮切りとして、順次活用を拡大していく予定です。
さらに将来的には、学生データの管理に Microsoft Dynamics CRM を、そして学生たちに生涯活用してもらうためのメール アカウント提供のために、Microsoft Live@edu の活用も考えられます。平尾氏は、新しい情報基盤をマイクロソフトの製品/サービスに統一した理由として、要望に対する自由度の高さと、確かなセキュリティの両立を挙げています。
「今回のシステム構築は、私たちにとっても非常にチャレンジングなものでした。そこで 400 以上にわたる評価項目を準備し、各社の提案を吟味したのですが『要求した仕様への対応力』、『将来的な拡張性』、そして『セキュリティ』という観点から評価してマイクロソフトの製品/サービスを組み合わせて採用することを選択しました。
マイクロソフト製品のラインアップは非常に幅広く、しかも組み合わせて使用すればするほど、自由度とセキュリティ レベルの双方が同時に高まります。複数のベンダーが提供する製品/サービスを組み合わせてシステムを構成することも可能ですが、その場合、自由度を上げるとセキュリティ レベルが低下し、セキュリティ レベルを上げると自由度が失われるというトレード オフの関係となり、両立が困難と判断しました。」
さらに、学内に分散しているデータを集約し、"学生を知り抜く" ために縦横に分析を行うに際し、データ収集時に暗号化を行い、個人情報が特定できないようにしています。
集められたデータから SQL Server 2008 Analysis Services の OLAP 機能 (オンライン分析処理 : On-Line Analytical Processing) によってデータキューブを作成。学生各人のデータをさまざまな角度から多元的に分析できるようにしています。さらに個人情報保護のための仕掛けとして、たとえば「検索結果が 10 人以下になるデータの表示を禁止」など、策定したセキュリティ ポリシーに即して、表示の可否を設定できるようにしています。加えて「誰が」、「どのように」データ検索を行ったのか、すべて詳細なログを残す機能も実装しています。
こうして得られた分析結果は、SharePoint Server 上に構築したダッシュボードで閲覧できます (図 2 参照)。
さらに、SharePoint Server のパーソナライゼーション機能を活用して、学部、学科、教員、職員、エンロールメント・マネジメント部など、それぞれの立場に対応したビューで情報を参照、分析し、レポートを作成することができるようになっています。
今回のシステム提案を行った、富士通 マーケティング本部 ソリューション推進統括部 経営ソリューション推進部 マネージャー 利光哲哉氏は次のように説明します。
「大学の中にはさまざまな情報がデータベースや Excel などで存在しており、フォーマットもバラバラです。かつ、システム改修も発生するため、情報を 1 つのデータベースに収集・管理することは難しく、運用コストも高くなります。
今回のシステムでは富士通の特許技術が活かされている『フラットファイルデータ倉庫
®』ソリューションを活用して収集した CSV 形式のフラットなファイルを、あるがままの状態で蓄積し、検索・抽出・編集・加工できる仕組みを用意しました。
この仕組みと高度なデータベース機能、多彩な分析・レポート機能を持つSQL Server 2008 を活用して、多元的に分析できる柔軟性の高いシステムが構築できたことがポイントです。『フラットファイルデータ倉庫
®』が "情報統合" を、SQL Server 2008 が "情報活用" の役割を果たすことで、今後の大学の環境変化に強い仕組みができあがっています。」
また、利光氏はマイクロソフト製品の特長について、次のように述べます。
「SQL Server が単なるデータベースではなく、高度な BI 機能を包含しているツールでもあるがゆえに成立しているソリューションだと言えるでしょう。
今回利用している Enterprise エディションではデータ圧縮機能や暗号化機能を標準で備えていますので、ストレージにかけるコストも抑え、安全性も高められます。
また、SharePoint Server と組み合わせることで、ポータル画面の作成や Excel を利用した固有な分析を Web で共有できる仕組みも提供しています。全学で共有する分析から各事務業務や学部で行う個別分析業務まで対応できるため、将来的な拡張性の高いシステムになっています。」
富士通 東日本営業本部 東北支社 山形支店 太田文明氏は言います。
「SQL Server 2008 を使うことで、専用の BI ツールを導入する必要がなく、非常に低コストで、情報の効果的な活用が行える仕組みを構築することができます。
これに富士通の技術を合わせることで、非常に柔軟性の高いシステムを実現できました。」
<導入効果と、今後の展望>
継続的なデータの収集・分析によって "課題の見える化" と解決のサイクル確立へ山形大学の新情報システムがサービス インしたのが、2011 年 4 月のこと。まだ活用を開始してから日が浅いこともあり、エンロールメント・マネジメントに関する成果が現れるのは先のことになりますが、今後の展開を含めて、システムの「使いやすさ」と「開発生産性の高さ」を評価していると平尾氏は話します。
「SharePoint Server を使って学内の情報共有に向けたポータルを立ち上げましたが、同製品の基本的な機能を使って、学部単位での情報共有サイトを容易かつ迅速に構築することができました。さらに、学部ごと、学科ごと、教員ごと、職員ごとなど、ユーザーが所属するグループごとに異なるビューで情報を参照できる仕組みも、パーソナライズ機能で簡単に構築することができました。」
そして、福島氏はこのシステムの理想形を「誰もが簡単に利用できるものにしていきたい。」と続けます。
「エンロールメント・マネジメントのスタンダード確立に向けた取り組みは、まだ始まったばかりですが、拡張可能なデータ活用の基盤ができあがってホッとしています。データ収集に関するルールなどを今年 1 年かけて整備していきますが、使い慣れた Excel などを利用しているため、学内全体に対象を広げても、それほど戸惑うことなく活用できるだろうと期待しています。基礎的なデータ分析については、クリック、プルダウンで必要な項目を選択できるようにし、誰もが操作可能なものにしたいと思っています。そしてダッシュボードに表示されたグラフを、ワンクリックでプリントアウトして会議に持参する、という利用イメージも持っています。」
今回構築された情報システムの活用が進み、学内に存在するさまざまなデータが読み解かれ、"学生を知り抜く" ことができたとき、学内に眠る課題の見える化と、課題解決に向けた PDCA サイクルが、しっかり回っていくことにつながると、福島氏は締めくくります。
「たとえば、ある授業で学生が好成績をとることと、その学生が授業の内容に満足しているかどうかは、まったく別の話です。理想の高い学生にしてみれば『好成績をとっても、満足はしていない』となるでしょうし、学生の持っている目標と、授業の内容に乖離があれば、それも不満につながります。また、その学生の出席状況も確認できれば、より立体的な分析につながります。こうしたさまざまな事柄も、データがなければ、おのおので想像するほかありません。これまでは偏りなく問題を顕在化し、解決へと導くための分析手段がなかったわけです。
しかしこれからは、今回構築したシステムを活用し、データを分析・活用することで学生を深く理解し、大学教育を改善し続けていくための手掛かりが生まれます。そこに各教員がこれまで積み重ねてきた経験に基づくノウハウを重ねることで、血の通った PDCA サイクルが実現されると思います。いずれにしても今回、学内のデータをセキュアに統合し、柔軟に分析・活用することのできる基盤ができあがったことは、私たちにとって大きな一歩であると思います。」
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