事例紹介 若者 UP プロジェクト 若者の就労支援は 未来への投資

NPO 法人「育て上げ」ネット 理事長

工藤 啓さん

社会に支えられる人々を、社会を支える側に

1 本の電話から動き始めたパートナーシップ

IT 講師養成プログラムを受けたサポステ スタッフは 45 名 (2011 年 5 月時点)。サポステ スタッフが IT 講師となることで、講習の効果が高まります

工藤 啓さんは、新しい風を感じさせる NPO のリーダーである。
「学生時代にヨーロッパへ行き、中高年や若者の就労支援に取り組む人たちに会いました。彼らは、自分たちの仕事は "社会投資" だと言うのです。投資するのは自分たちの人生や技術で、投資のリターンは社会がよくなること。これは面白いと感銘を受けたのがきっかけですね」

そして 2004 年、NPO 法人「育て上げ」ネットを設立。若年者の就労支援や、学齢期の若者への教育支援、子供がニート・ひきこもり状態に陥った保護者の支援などの活動を仲間とともに広げてきた。そんな工藤さんのもとに、日本マイクロソフトの担当者から 1 本の電話があったのは 2009 年夏のこと。
「あまりに突然だったので驚きました。私たちの活動に関心を持っていて、"若者支援に IT を活用して一緒に何かできないだろうか?" という話でした。そこからミーティングが始まり議論を重ねていくうちに、若者の就労支援についてマイクロソフトが我々と同じ問題意識を持っていることを知りました。何より同じチームとして一緒にやっていこうという言葉がとても嬉しかったです」

公的な事業を活用することで無償で支援を提供できるようにすること、最前線で若者と接する NPO スタッフを IT トレーナーとして養成すること。プロジェクトを進めるにあたって、工藤さんは実践的なプランを積極的に提案した。一方、マイクロソフトも、プログラムの内容やプロジェクトの進め方、目標設置の方法など、ともに議論を重ねながらノウハウを共有し、プログラムやテキストの開発に取り組んだ。

こうして 2010 年 1 月に立ち上がったのが「若者 UP プロジェクト」だ。厚生労働省の事業である「地域若者サポート ステーション (サポステ)」を受託する NPO と日本マイクロソフトが連携して実施する若者の就労支援プログラムである。

結果を残すことに意味がある

若者への IT 講習では、 Word®/Excel®/PowerPoint® の他、Access® や HTML/JavaScript など、付加価値の高いスキルも段階的に提供しました

「若者 UP プロジェクト」では、サポステを拠点に IT スキル講習や IT トレーナー養成など若者の就業支援のためのプログラムを実施。現在では、各地の NPO が連携して、工藤さんの「育て上げ」ネットが運営する 4 つを含め全国 24 のサポステで展開し、着実に成果をあげている。
「事前に行った調査では、サポステに来る若者の 2 割がパソコンのスイッチにすら触れたことがなく、5 割が Word や Excel の未経験者でした。こうした若者に、IT に触れる機会を提供することは就労に大きく役立ちます。実際、サポステの目標就労率は 30% ですが、「若者 UP プロジェクト」を実施する拠点では 45.5% とはっきり効果が表れました。マイクロソフトはその重要性を理解しているからこそ、プロジェクトや NPO にもちゃんと結果を求めます。その代わりに協力を惜しまない。彼らからの多くの学びがこの数字につながりました」

培ったノウハウを復興のために

カウンセラーによる個別相談なども提供することで、就労率の向上に加え、就労に移行する期間も 3、4 か月に短縮 (従来の平均は 5、6 か月)

今後の目標としては活動を継続して全国に広めていくことがあげられる。工藤さんが NPO スタッフの IT トレーナー養成にこだわったのも、このような継続的な活動の基盤づくりを考えていたからこそ。
「日本では、若者への就労支援は社会の "経費" と考えられています。しかしそれは間違いで、未来への "投資" です。仕事に就くことよって若い人たちは社会的価値を発揮し、納税者としても社会に貢献できる。それを支援する私たちの仕事はまさに社会投資なのです」

工藤さんは今回のプロジェクトでの経験値を活かし、マイクロソフト以外にも他のさまざまな企業との連携を進めている。また、新たに培ったノウハウをもとに被災地での就労支援「東北 UP」プログラムを立ち上げた。少子高齢化が著しいスピードで進む日本。震災をばねに復興再生を急務とする日本。課題解決に向けて前進するために、NPO の重要性、NPO と企業の協働への期待がますます高まってきている。

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