Home > 人材育成 > 第 4 回 MSR 日本情報学研究賞 受賞者プロファイル

MSR 日本情報学研究賞 日本における情報学分野の学術研究の発展と振興に寄与することを目的とします。

第 4 回受賞者紹介

三谷 純 (みたに じゅん)
筑波大学 大学院システム情報系
コンピュータサイエンス専攻 准教授

三谷 純 (みたに じゅん)2004 年に東京大学にて博士 (工学) の学位を取得。2005 年より筑波大学勤務。2010 年から五十嵐デザインインタフェースプロジェクト (JST) のグループリーダーを務める。

研究の内容

幾何的な制約条件の下での形状モデリングに関する研究を主な対象としている。現在の研究は、身のまわりのものを私たち自身で設計できるようにすることを目指している。また、1 枚の紙を折って作る折り紙の形状設計に関する研究も行っている。

授賞の理由

三谷純氏は、形状モデリングおよびコンピュータグラフィックスの分野において非常に優れた研究を行ってきた。
氏は、コンピュータグラフィックスにおける、形状のモデリングやインターフェースの技術を実際の物体を作ることに適用した。一枚の紙を用いてこれらを実現する手法を開発し、特に 3 次元の空間形状を折り紙で実現する手法は非常にユニークなものである。これらの新しい手法は、コマーシャル製品に実装され、氏が設計した折り紙の形はファッションドレスに実際に用いられている。
また最近のプロジェクトでは、エンドユーザがおもちゃ、家具、楽器等を自身でデザインするというコンセプトのもとに、形状のデザインと物理シミュレーションを統合する CAD システムを開発している。これらの業績はどれも独創的で実用的であり、国際的にも高く評価されているものである。
以上のとおり、三谷氏の業績はコンピュータグラフィックスの分野にのみならず、インタラクティブデザインのためのユーザインターフェースという新しい研究領域の発展を期待させるものであり、その成果は国内・海外の研究者に広く認められているものである。これらの仕事は、MSR 日本情報学研究賞を贈るにふさわしいものである。



鹿島 久嗣 (かしま ひさし)
東京大学
大学院情報理工学系研究科 准教授

鹿島 久嗣 (かしま ひさし)1999 年京都大学大学院工学研究科応用システム修士課程修了
2007 年京都大学大学院情報学研究科知能情報博士課程修了 (博士 (情報学))
1999 年から 2009 年までIBM 東京基礎研究所勤務
2009 年より東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻准教授

研究の内容

機械学習とデータマイニングの新規手法の開発と、これらのバイオ/ケモインフォマティクス、サイバーフィジカルシステム、産業システム、ビジネスインテリジェンス、ソーシャルコンピューティング、クラウドソーシングなど様々な分野への応用に興味をもつ。木やグラフなどの複雑な構造をもったデータに対する予測手法の開発に多くの実績をもつ。

授賞の理由

鹿島久嗣氏は、機械学習、データマイニングの分野において非常に優れた研究を行ってきた。特に、木やグラフなどの複雑な構造をもったデータに対する予測手法の開発に多くの実績があり、この分野に重要な貢献を行った。
DNAやたんぱく質のアミノ酸配列、化学物質の構造や、XML/HTML のドキュメントなど、多くのデータがグラフ構造を内包している。機械学習における既存の多くの手法はベクトル型のデータを仮定したものであり、グラフ構造のデータの分析には本質的な困難さがあった。氏はグラフ構造のデータに対するカーネル手法を提案し、木やグラフに対するカーネル関数を計算するための効率的な多項式時間のアルゴリズムを開発した。これは従来手法に比べ予測精度も十分かつ非常に実装が行いやすいという長所をもっている。氏の先駆的なこのコンセプトは、国際的にも高く評価されている。また氏は若手の機械学習研究者のグループを共同で立ち上げ、日本における機械学習コミュニティの発展および若手の育成に尽力している。
以上のとおり、鹿島氏の業績は、機械学習、データマイニングの研究において、基礎的かつ重要な貢献をしており、その成果は国内・国外の研究者に広く用いられ認められているものである。また氏の研究は近年の大規模データ分析において、バイオインフォマティクスや自然言語処理など上位のアプリケーションに重要な貢献をしている。これらの仕事は、MSR 日本情報学研究賞を贈るにふさわしいものである。