Microsoft At Home マガジン > 伝説のプレゼンターを目指せ! 2 > 第 6 回 クロージング

「最後に、まとめ、なんてしてあげない」
数年前、村上龍さんの講演をたまたま聞いていた。次の演者として準備をしていたので、後半以降 30 分ほどを舞台の袖で。
お話はなかなかに面白く、さまざまな話題を、印象深く語っていた。
講演の終了予定時間も迫り、最後、一息ついた後、彼は締め括りにこう言った。
「まとめ、なんて言わないですからね」
「言ったら皆さん、それしか覚えないから」
「ひとりひとり、ためになったことなんて違うはずでしょ。なのにヒトって、最後のまとめ一枚分しか覚えない」
「だから、まとめなんて、してあげません。自分で考えて下さい」
もう少しひねると、こんなクロージングもある。
プロジェクターで最後に映すのは、その日の発表の「目次」そのもの。つまり、メッセージ (伝えたいコト) ではなく、項目 (何について語ったか) を示す。
そして投げ掛ける。
「今日お話ししたこと、もう一回、思い出して下さい」
「その手助けに、目次だけお見せしましょう」
「そして、その思い浮かぶ内容の中で、何が自分にとって本当に意味がありましたか?」
「これから 1 分間差し上げます。1 分間だけ、考えてみて下さい」
(1 分間の沈黙 ・・・)
「そうです、それが今日の答えです」「忘れないで下さいね」
クロージング、って何?
クロージングとはその名の通り、終わらせること。クロージング・リマークと言えば、閉会の辞、だし、ただクロージングといえば営業活動の最後、契約に持ち込むテクニックのことだったりする。
契約締結テクニックは、さまざまに研究がされている。
・Foot in the door (まず小さな合意を得て後で大きく取る) や Low ball (まず小さく出て後でオプションで儲ける)
・Door in the face (大きく出てから譲歩する)
・Hard to get (今だけ・あなただけで口説く)
他にも Band wagon effect (周りが賛成するとその気になる) やら、Halo (後光) effect (権威者の言うことに弱い) やら。
クロージングは営業の最後・最大の難関。苦手に思う人は多く、それだけをテーマにしたセミナーや研修が一杯ある。そこでは、こういった「理論的」クロージング テクニックの分類とともに、ロールプレーイングなどでの練習が繰り返される。
ただ、本当に優秀な (長期に好成績を挙げ続ける) 営業担当者は、必ずしもクロージングに頼らない。確かに「弱い」営業担当者は、クロージングに問題がある。押しが弱かったり詰めが甘かったりで、顧客の最終意思決定が貰えず、その間に、予算がなくなったり他社にとられてしまったり。
クロージングに長けた「強い」営業担当者は、上記のようなテクニックを駆使して、確実にその辺りを刈り取ってくる。相手の特性 (自分で決めたい人か、決めて貰いたい人か、等) をつかみ、それに合わせたクロージングを展開して、最後の壁を乗り越える。
でも、本来は違う。そんな壁を作らないプレゼンテーションがまずは大事。クロージング テクニックなどに頼らない、内容ある提案こそが大事だ。それによってこそ、押しつけではない、継続的な関係が育まれる。
では、クロージングの本当の役割・意味とはなんだろうか。
次ページでは、いよいよ知りたかった「三谷流クロージング」が明らかに