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少し遅いランチタイム、骨董通りのオフィスを抜け出して原宿に向かった。 昼食はオフィスの近くで簡単に済ませるのが常となっているが、今日は少し歩きたい気分だった。 ここのところ仕事につまずいているせいか、気分転換がしたかった。
会社のPCでLive Search検索したところ、原宿に気持ちのよさそうなオーガニック カフェを見つけた。
特に自然食を意識しているわけではなかったが、妻が最近よく口にする“オーガニック”というキーワードを加え、“原宿 カフェ オーガニック”と入力して検索したのだった。

初秋の表参道は、相変わらずの雑踏で賑わっていた。 ファッションに敏感なこの辺りの人々の服装は、もうすでに秋物に変わっている。 いつまでも半袖シャツを着ている自分が場違いに思えた。
表参道の喧騒を抜けて、キャット ストリートに入った。
そのまま少し行くと、目当ての【YAFFA ORGANIC CAFE】の看板を見つけることが出来た。 看板の矢印に従って細い階段を上ると、そこには思いもよらぬ開放感のあるテラスが広がっていた。
青く高い空の下に、細く心地のいい風が吹いている。 「原宿にもこんな場所があったんだ……」思わずそう呟いた。 テラス席についてメニューを広げる。 “オーガニック” “有機野菜” “自家製”などの文字が目についた。 私はその中から、玄米プレートランチと有機ソイミルクを注文した。 目の前に広がる澄んだ空。 こんな風にして空を見るのは、なんだか久しぶりのような気がした。

クライアントからのメールを確認するため、カバンの中からノートPCを取り出した。
ランチ タイムだというのに仕事を切り離せないでいる自分にあきれながらも、開放感のある目の前の光景に気分を明るくしていた。
早速 Outlook を立ち上げてメールを受信すると、仕事関連のメールに混じって、学生時代の友人からのものがあった。

久しぶり。 相変わらず忙しくしていることでしょう。 突然だけど、子供が産まれたので報告します。 オレによく似た男の子。これでもう、お互い父親だな。 もしよかったら、今週どこかで会えないか? 旨い酒でも飲みながら、懐かしい昔話でもしよう。
メールに添付されていた写真を見ると、子供を抱いた友人が、実にいい顔をして微笑んでいる。 私は柔らかな午後の日差しの中で、まだ大人とは呼べない学生時代の自分たちの姿を思い出した。 テーブルに運ばれてきたソイミルクを口にすると、それはどこか懐かしい、優しい味がした。
文:高杉圭一

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