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IT企業の片隅から…。

連載 第1回 あの人の趣味は今?

最近は、ボールが入ったマウスをめっきり見なくなった。現在主流の光学式マウス(あの裏返しにすると光が出ているタイプです)ではなく、以前は、ボール式マウスが主流であったことを、もう忘れた人も多いかもしれない。

このボール型マウスの難点は、どうしても埃を巻き込む為、定期的にメンテナンスする必要があった。メンテナンスといっても、中に入っているローラーにこびりついた埃を剝すだけのものであるが、実にメンドクサイ。逆説的にいえば、光学式マウスが普及した理由が分かるという訳だ。

もう、7、8年前のことだと思う。職場の挨拶で、趣味&特技は「マウスの掃除」と自己紹介した人がいた。この方を仮に加藤さんとする。この加藤さん、当初はウケ狙いの自己紹介と思われていが、本当に「マウスの掃除」をしてくれる素晴らしい方であったのである。

昼間、お弁当を食べた後、マウスを掃除する加藤さん。残業しながらマウスを掃除する加藤さん。加藤さんといえば、マウスというほど、急速に職場での存在感を増していった。

残念ながら、加藤さんに「なぜマウスの掃除が趣味か?」は聞き忘れたが、いま思うと、マウスの掃除というのは、達成感がある仕事なのかもしれない。どんどんときれいになっていくマウス内部のローラー。成果の見えにくい仕事をしている人には、ある種の安心感を与えてくれるといっても過言ではないだろう。

私はそれから転職を繰り返し、いまは、加藤さんの行方はしらない。さらに、ここ何年も光学式マウスをつかい、掃除していない事実を考えると、加藤さんに大変不義理なことも事実だ。しかし、便利さには勝てない。

加藤さん、本当に申し訳ない。今は、「光学式マウスの時代」なのである。

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