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イノバなCafe訪問|Vol.002 ENZO pasteria
取引を始めて 1年になるクライアントが、自社で新ブランドを立ち上げることになった。そのクライアントは高級カトラリーを扱う商社で、新ブランド立ち上げに向けて大々的なプロモーションを行うという。
広告代理店に勤める僕にとって、今回の仕事は久々の大きなプロジェクトとなる。新ブランドの VI開発とプロモーションの企画が僕に課せられた仕事だ。
このプロジェクトの鍵を握るアートディレクターには、古くから付き合いのある瀬田を選んだ。瀬田とはこれまで数々のプロジェクトを共にしてきて気心も知れているし、何より彼の仕事を信じていた。

西麻布にある瀬田のオフィスを出たのは 16:00を少し回った頃だ。昼過ぎに始めた打ち合わせが思いのほか長引き、僕らは昼食も摂れずにいたのだった。
「腹減りませんか?」
瀬田のその言葉に、僕はようやく自分が空腹であることに気がついた。
「 17:00までランチを出してくれるところがあるんです」
そう言って瀬田が案内してくれた店は、西麻布交差点から程近い ENZOというイタリアンレストランだった。
店内は気取りのない落ち着いた雰囲気で、本場イタリアの トラットリアを思わせた 。ウォールナットのアンティーク調フローリングに、趣味の良いシックな家具がコーディネイトされている。

僕らはテラスに近い壁際の席に腰を下ろし、早速メニューを手にとった。

僕は“フレッシュトマトとモッツアレラチーズのパスタ”、瀬田は“生ハムとルッコラのジェノベーゼ”を注文した。

鞄の中からモバイルパソコンを取り出した。
来週のプレゼンで使用する企画書を、瀬田にも一度見てもらおうと思ったからだ。PowerPointで作った企画書のデータを開いて、パソコンの画面を瀬田の見やすい角度に向けた。本番ではこのパソコンにプロジェクターを繋げ、企画書をスクリーンに映し出してプレゼンする予定だ。画面をスライドショーに切り替えて、1ページずつ瀬田に見てもらう。

そうして最後のページを見終えた瀬田は、大きくうなずいて笑顔を見せた。
「プロジェクトが上手くいったら、この店でお祝いをしましょう」
瀬田はそう言って、奥壁に並んだワインボトルを指さした。
“フレッシュトマトとモッツアレラチーズのパスタ”がテーブルに運ばれてきた。
パスタをフォークに巻いて口に運ぶと、新鮮なバジルの風味が鼻の奥に香った。
新しいことが始まる前は、幾つになっても胸が高鳴る。
「プロジェクトが上手くいったら、この店でお祝いをしましょう」
瀬田の言ったその言葉が、頭の中に響いていた。

文:高杉圭一

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INFORMATION

<ENZO pasteria>

月〜木:11:30〜01:00 (L/O.24:00)
金・土:11:30〜03:00 (L/O.02:00)
日・祝:11:30〜24:00 (L/O.23:00)

※ L/O=ラストオーダー
定休日:無休

TEL: 03-5778-3923
ADDRESS: 〒 106-0031 東京都港区西麻布2-25-12 西麻布エイトビル1F

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