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第一回 美味い酒はここにある 欲しいものは欲しいと思った瞬間に、ネットで調べることが出来、そして購入することができる。随分、便利な時代になったものだな、としみじみ考える。 例えば最近、吉祥寺にある大人だけが集うような洒落た居酒屋で、大学時代の旧友との交流会が行われた。そこで美味い日本酒に偶然に出会えた。秋の味覚である、松茸と鱧の吸い物や店自慢のにがり豆腐と非常に相性がよく、飲み口としては後味がさらりとして、旨みが口の中にじんわりと残る。熊本生まれの酒好きの私を「むむむ」とうならせるものがあった。 早速、家に帰ったあとにその日本酒をネットで検索することにした。結果、すぐにその銘柄は見つかり、酒は新潟の純米のもので、生産方法なども調べることができた。このまま購入して、家でじっくり飲もうかと一瞬思案したが、その値段をみて閉口してしまった。いや、なかなかよい値段なのである。私は静かに苦笑して、そのサイトを閉じることにした。 「知りたい」と強い好奇心を持つのが、人の性であり、その好奇心をすぐに満足させてくれる力が、ネットにはある。それは現在人が手に入れることができた、一つの新しい楽しみといっても過言ではないだろう。 しかしながら、アナログな方法で情報を手にいれる、ということも決して無駄ではない。自分の足で歩きまわり、自分の目で直接みて、味わい、手に入れる、という行為も五感を持った人であるならば大事なことであろう。一番よい形としては、アナログ的趣向で味わい、デジタル的趣向でさらに探求する、というのが一番の現代人の贅沢ではないか、と思うところだ。 いまやネット上で購入できないものがないという程、ショッピングサイトは充実している。日本中、いや世界中の商品を検索して、机上でそれを購入できる、昔では夢のようなことが通常の風景として存在する。まるで、旅行先で「土産」選びに勤しんでいる、そんな華やいだ気持ちまで生まれてくる。 そんな秋の夜長はまだまだ続く。「欲しいもの」を求め、ついついネットという世界に旅にでる、というのも、なかなか乙な大人の愉しみ、ではなかろうか。
文:雨宮 奈々
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