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第2回 デジタル時代のデパート術 デパートといえば、私達にとってかつて「宝箱」のような空間だった。 その箱は何階ものフロアーに分かれていて、そのフロアー独特の空気が流れている。そぞろ歩き始めると、目に入る全てが気になり、また手にいれたくなる誘惑に駆られる。 その客達を誘導するのが、巧みなデパートの販売員達の技であろう。豊富な知識と的確な口上で、私達をその気にさせて、レジまで促す。この神業といえるサービスで、高度成長期、バブル全盛期へと、その売り上げは着実に増えていった。しかし、この十年その「宝箱」にも陰りが見えはじめる。長引く不景気、税金の増加、デパートで購入する物は贅沢品となり、あらゆる人が立ち寄る場所ではもはやなくなった。デパートの屋上にあってミニ遊園地も消え、家族で休日デパートに訪れる姿は、過去の風景なのかもしれない。 もちろん、ネットショッピングの登場もデパートには脅威といえるだろう。わざわざ銀座や新宿にいかなくても、客は欲しいものをネットで目にすることができ、ボタン一つで購入することができる。詳しい内容や説明も、検索すれば簡単に閲覧できる。もはや、デパートは必要なくなったのだろうか。 いやいや、「そうはさせまい」とする各社の購買戦略は実に興味深い。美味しく、限定を売りとするデパ地下は主婦や若い女性達の憩いの場になっている。また、コンシェルジュやバトラーなどホテル並のサービスを提供し、高級感で客の心を掴むデパートさえも出てきた。 そこでネットの存在意義はまた別の形ですり替わる。私自身、デパートで何かを購入したい時には、先にネットで下調べをする。その商品がそのデパートの何階にあり、どんな形で見ることができるのか、はたまた、最新のイベント情報を知り、デパートに向かう道しるべを、そこから見出せるのだ。 店舗として存在するデパートと、オンタイムの情報を掲載しているサイト、そのアナログとデジタルのコラボレーションが、客の購買意識をさらに確実なものにする。そんな「shopping」という形をさまざまな切り口で提供する社会で、私を含め、また人は無駄使いをする。人間とは全くいつまでも贅沢な生き物である。
文 : 雨宮 奈々
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