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第 4 回 東京へ行く日 東京から海の近くの街に引っ越し、東京は “住む” 場所ではなく “行く” 場所になった。フリーランスで仕事をしているので、毎日東京へ通勤する必要はない。ただ仕事相手のほとんどは、東京の会社やそこに勤める人たちだ。メールで済むことも多いとはいえ、やはり顔をつきあわせて打ち合わせをしなければならない時もある。 先方がこちらまで来てくれたら、海が見える眺めのよいカフェなどで優雅に打ち合わせできるのだが、やはり皆さん忙しいらしくそうそうそう足を運んではいただけない。必然的に、こちらが “東京へ行く” ことになる。そう、今ではごく自然に「東京へ行く」という言葉が口からでるようになった。 ただこの言葉、うかつに使うとあらぬ誤解を受けることもある。電話で打ち合わせの日程を調整している時に、「ちょうどその日は東京へ行くので」などとつい言ってしまうと、「え? 今、どこかに出張中なんですか?」と質問されることもある。そう、東京で仕事している人は、「東京へ行く」とは普通言わないのだ。 パソコンに向って文章を書くのが仕事なので、毎日のように東京へ行っていると、集中して仕事することができなくなる。できれば週に一度くらい “東京へ行く” のが理想的だ。だからできるだけ、打ち合わせを同じ日に集めてもらうように調整する。(もちろん相手の都合もあることなので、そうそううまくいかない事も多いが) そうなると、“東京へ行く日” は、打ち合わせをハシゴすることになり、終日出てしまうことも多い。 一日中家をあけることとなると、他の仕事で来ているメールなどの対応がどうしても遅れてしまう。携帯電話に転送しても添付文章が読めなくては使えない。かといってノート PC を持ち歩くのは重い。引っ越した当初はそれが気にかかってストレスを感じることもあった。でも今はそんな心配はまるでない。パソコン機能を搭載した携帯電話を入手したからだ。これがあれば、東京にいても安心。メディア プレイヤーとして使えるのもうれしい。 そうしてまた “東京へ行く日” がやってくる。出発する前にはパソコンで電車の路線と時間を調べシミュレーションしてから家を出る。行く場所によってルートが何通りもあり、一本電車を逃すと到着する時間が大幅に変わってくるからだ。 東京に住んでいる時はもちろんそんなことしなかった。電車は数分でやってくるものだし、タクシーを使うという選択もある。調べるのは面倒といえば少し面倒だけど、ゲーム感覚でどのルートから行こうかと考えるのも悪くない。そして忘れないように、パソコン機能付きの携帯電話を鞄に入れて …。 こんな風に準備しても、電車が事故で遅れてスケジュールが狂ってしまうこともある。こればかりはどうにもできない。世の中、そうそう思い通りに運んではくれないものだ。だからこそおもしろい、とも言えるんだけど。
文:川上 徹也
iNNO. by Microsoft 編集部より:
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