
前回の調査概要のご紹介に続いて、今回は全国から回収した 1,034 件の分析結果を解説します。
この調査は「ワークスタイル=人とチームの働き方」を「情報の流れと活用」の視点で明らかにするものです。問い掛けるのはあくまでも「情報の流れと活用」の状態でありシステムの有無ではありません。
調査内容は大きく 4 つに分けられますが、中心となるのは業務の実行状態を情報活用の視点で問う設問群です。
(例 : あなたに委ねられている権限を越えた意思決定が必要となった時、その判断に必要な業務ルール等をすぐに探し出せるか?)
これら業務の実行状態の傾向を回答者の属性で見てみましょう。
まず業種別で一番高得点だったのは製造業です。
一番低い業種とは 12 ポイント以上の差が開いています。職種別では情報システム部門と最下位部門の間で 14 ポイントを越える差が出ました。
業種と職種の属性はクロスすることでより詳細な回答者群を特定することも可能です。また「すぐれた組織」や「すぐれた個人」がどの様な業務の実行状態を示すか分析したところ
興味深い結果が出てきました。「業績が上昇傾向にある組織」と「業務に対する意識と行動のレベルが高い個人」はそうでない組織や個人と比較し明確に業務の実行状態が高く (約 20 ポイント)、
且つそうでない組織と個人は現状に対する改善要求レベルが高い (約 10 ポイント) のです。 (図 1 参照 :「業績による組織のダイヤモンドチャート比較」)
ここで得られた傾向は全国の回収データと新たな分析対象群との間でベンチマークをする際、とても有効な視点を与えてくれます。
全国データより右上に描かれるダイヤモンドチャートを「模範型」、左下に現れるものを「要改善型」として分類し、分析対象群で行われている情報活用の妥当性を評価するモノサシとして表現できるからです。
次に、「システムに起因する業務の阻害要因」の結果をご紹介します。全部で 10 種類ある回答中次の 4 項目で不満が満足を上回っています (1. 情報を探す時間、 2. データの再入力、 3. 検索ツールが機能してない、 4. 連絡相手の所在が不明)。
データの再入力を除くと検索系の不都合が上位に集中しています。これら検索系の項目は、前述した業務の実行状態を示す各設問と相関関係が強いので (この 4 項目が不満だと業務の実行状態がより悪い)、個々の状況についてより詳細に確認する必要があると言えそうです。
一方、約半数の回答者が阻害要因として挙げている「メールが多すぎる」という項目は、実際の業務の実行状態とは何の関係も見られませんでした。
これはあくまでも相関係数の評価上の話ですが、現場からの不満の声をただちに改善対象に挙げてしまうこと (または改善後の効果を期待してしまうこと) の危険性を示しているとも解釈できるでしょう。
次回はこの調査の結果を基に改善活動を始めている首都圏の大手製造業のケースを取り上げ改善プロジェクトの背景と経過をご紹介します。
マイクロソフト株式会社
ビジネスプロダクティビティソリューション本部
本部長 小柳津 篤

ビジネスプロダクティビティ
ソリューション本部
本部長 小柳津篤
1995 年マイクロソフト入社。営業 / マーケティング部門を経て 2002 年より BPA (ビジネス プロダクティビティ アドバイザー) チームをリード。ワーク スタイルの改善に関する 80 社超のユーザ プロジェクトにアドバイザーとして参加。
著書 :「個人と組織のナレッジイノベーション」