みずほ情報総研株式会社
エンタープライズ ソリューショングループ
金融ビジネス事業本部 金融ビジネス営業部
藤代 賢一/安達 康/渡邉 康廣
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金融機関を取り巻く経営環境の変化
「個人情報保護法への他行での対応のされかたはどうですか?」 (第一地銀) 、「標準的手法での対応を検討しており、内部格付けまでは・・。」 (第二地銀) という声を、最近、銀行の担当者から聞くことが多くなっている。
05 年以降に実施が予定されるレギュレーション変化・イベントの主な項目だけを列挙しても、固定資産の減損会計適用開始、個人情報保護法施行開始、ペイオフ解禁、新 BIS 基準への準拠、偽造カード犯罪等の金融犯罪防止のための対策の強化・徹底、財務報告に係る内部統制の強化、ガバナンス情報の充実、四半期開示等、どれも経営体力・コストのかかる内容と言える。
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銀行におけるシステム化の現状
近年、地方銀行を中心に経営環境の変化や投資コスト負担増に対応するため、銀行勘定系システムの共同化が進められてきている。システム共同化は銀行にとって全てのシステムを見直す契機にもなっている。
また、05 年以降に実施が予定されるレギュレーション変化・イベントに対応するため、積極的に行内の事務システムの刷新に取り組む銀行が、ここ 1、2 年で急速に増えつつある。
また、多くの銀行では各部署ごとにシステムの検討・導入がなされることが多く、個別最適なシステムが複数導入される結果となっている。
現状では、業務データ・業務ノウハウ自体は部署内にとどまり、他部署からの問い合わせには、その都度、担当者がデータを検索し、データを EXCEL 等で加工、印刷して他部署の担当者へ渡していることも多いのではないだろうか。
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みずほ情報総研のソリューション
みずほ情報総研では、各部署の業務を最適なものにしつつ、さらに行内の業務効率化を発揮するため、SAP 社 R / 3 をベースとした金融業向けの「会計テンプレート」と「人事テンプレート」をご用意し、激しい経営環境変化に適応していく銀行にソリューションを提供し、サポートしている。 このソリューションは、R / 3 の標準機能を有効化した『設定済みのパラメータ』と金融業向けに開発した決算機能や人材管理機能等の『追加機能群』、従来の業務手順を抜本的に見直した『業務フロー』と呼ばれるドキュメントから構成されている。 『業務フロー』とは、主計、管財、人事等の業務ごとに最適化された設計図。テンプレート導入過程では、みずほ情報総研の雛形を使用しながら、業務の効率化を検討していき、稼動時には各銀行の良さが生きた業務設計図が完成している。 『業務フロー』に定義した各手続きの機能は、『設定済みのパラメータ』と『追加機能群』によりあらかじめ動く状態で提供するため、業務担当者は、処理内容を実際に確認しながら構築していくことができる。
また、システムの安定運用・堅牢なデータ管理はもとより、各業務間のデータインターフェースはあらかじめ最適な仕組みがすでに構築され、従来のシステムで発生していた「データインターフェースのスパゲッティー化」は回避できる。
みずほ情報総研のソリューションは、必要な業務から導入すれば、全体最適な業務を構築することができる。
1. | 業務標準化・オープン化 | 2. | 事務リスクの軽減化 | 3. | 業務省力化・効率化 |
1. | 個別業務システム、サーバー機器の集約化 | 2. | データの集中管理・共有化 | 3. | 関連業務の効率化による全体最適な業務構築 |
業務標準化・オープン化を進めていくことにより、たとえば、主計課の担当者のノウハウから銀行全体のノウハウへと共有化でき、事務リスクも軽減化していくことが可能となる。
次に具体的な事例として、経営環境の変化に対して先進的な取り組みをしている阿波銀行様、信用金庫業界で最初に採用した広島信用金庫様を紹介する。
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「堅実経営」を行是に掲げ、地域社会に密着したサービスを展開し続ける阿波銀行では、04 年 1 月にスタートした基幹系業務システムの共同化 (じゅうだん会システム共同化) に合わせ、本部業務の再構築を決断。新プラットフォーム上でシステムを実現することとなった。再構築の対象となったのは、人事、動不動産管理、財務会計の 3 業務。構築のためのシステム基盤としては、SAP 社の R/3 が選択された。この際、金融業務に対応した財務会計システムを迅速かつ確実に構築するために選択されたのは、みずほ情報総研が提供する「金融業向け会計テンプレート for mySAP ERP 」であった。
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属人化した業務運営からの脱却、そして将来を見据えたシステムの選定
「決算業務については、ホスト側で完了する部分だけではなく、多くの部分を手作業に頼っているというのが実態でした。このため、どうしても属人化してしまうという傾向にありました」――今回のシステム導入前の本部業務システムの状況について、阿波銀行共同化推進室室長の前田清毅氏は、こう振り返える。
再構築の対象となった本部業務の他の 2 つの業務についても、同行では少なからず改善の余地を感じていた。動不動産管理は、メインフレーム上のバッチシステムという形で実現されており、運用や使い勝手の面で不満があった。また、人事業務については、充分な作り込みにより使いやすい状況にはあったものの、その後のメンテナンスを考えると、システムを継続使用することにリスクを感じてもいた。
「共同化という流れでは、開発・運用作業をアウトソーシングし、社内の開発部門の数を減らす方向となっていました。このため、共同化でホストシステムが完全に入れ替えとなった後、手作りの人事システムを再度、新システム上に移行し継続使用すると、将来の人事制度変更への対応やメンテナンスができなくなってしまう危険性があると判断しました」 (前田氏) 。
現状の使い勝手だけでなく、将来を見据えたシステム選定が必須であると判断した同行では、再構築するシステムをどのように構築するかについて検討に入った。熟慮の末採用したのは、パッケージ製品を活用したシステムの構築というアイディアだった。さらに、「複数のパッケージベンダーをコントロールする負荷は避けたい」 (前田氏) という意向から、人事、動不動産、財務会計の 3 業務をまとめて実現できる統合パッケージ、そしてベンダーの選定が開始された。
新システム基盤選定のポイント
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R/3 ベースでの金融向け財務会計の実現には「会計テンプレート」が必要不可欠
いくつかのベンダーによる提案について評価を行った同行では、最終的に SAP 社が提供する R/3 の選択を決定。「他の ERP ベンダーの製品と比較し、機能面等での絶対的な優位性があったわけではない」 (前田氏) と判断する中で、最終的に R/3 を選定した理由は、安定的な運用が期待でき、また、将来的にも極力作り込みをしなくて良い点にあった。開発メンバーが減ってしまうことなども考慮した上での判断だった。
しかしながら、課題が全て解決された訳ではなかった。それは R/3 が提供する会計機能に関わるもので、製造業を生い立ちとする R/3 では、提供する会計機能が、金融機関の財務会計に対応しておらず、そのまま適用することが難しい状況だった。
タイトなスケジュールの中、浮上してきたのが、「金融業向け会計テンプレート for mySAP ERP 」。同テンプレートは、R/3 の標準化機能を有効化し、金融業務向けに適用したもので、激しい経営環境変化に臨む銀行にとって非常に有意なものであった。同行では、本テンプレートの採用を決め、同時にみずほ情報総研の提供するアウトソーシングサービスにより、新システムを構築することを決定した。
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減損会計対応、一部制度改正対応も含め新システムで 04 年 3 月期を無事完了
同行では、03 年末から 04 年年始の休業期間を使って、共同版システムへの移行作業を実施。04 年 1 月から新システムの本格稼動を開始した。そして、04 年 3 月期の決算については、旧システム上のデータを使用し、新システムとして決算業務を実施した。
「減損会計対応や、会計の一部制度変更などを含め、新システムによる 3 月期決算を実施し、特に大きな問題もなく完了することができました。また、動不動産管理システムについては 03 年 4 月に既に稼動を開始していたため、新旧のホストインターフェイスへの対応も発生しましたが、みずほ情報総研の対応で上手く乗り切ることができました」――新システムによる最初の決算結果は、前田氏にこう評価する。 新システムでは、マイクロソフト社の Windows Server プラットフォーム上で R/3 を稼動し、「会計テンプレート for mySAP ERP」を適用。DBMS としては SQL Server を使用している。当初、Windows プラットフォームによる業務遂行に懸念を感じていた同行だが、新システムによる決算業務を無事完了することで、その見方も変わったという。
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導入効果:四半期を含む決算の効率化、将来的な変化への柔軟な対応
「会計テンプレート」を適用した新システムの導入効果について前田氏は、「みずほ情報総研のソリューションと出会うのがあと半年遅れたら、新システムによる 04 年 3 月期の決算実現は非常に困難だったと思います」と語り評価した。
共同化という大きな潮流の中、同行では、新システム構築にあたり、戦略的なトレードオフを断行し、パッケージを選択することで、懸案だった属人化した業務運営からの脱却や四半期を含む決算の効率化、そして将来的な変化への対応を実現した。
最後に前田氏は、システム至上主義では解決できない業務改善について、次のように締めくった。
「銀行が抱えている課題は、どこでもそんなに変わらないものだと思います。単なるシステム機能の優位性だけに着目してシステム改変をしようというのは間違いであり、むしろ業務の将来展望から考えるべきだと考えます。見た目や使い勝手にこだわらず、最も重要なもの以外を切り捨てる覚悟がなければ、パッケージを生かすことはできないでしょう」
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行動規範である『ヒューマンで活力ある信用金庫を実現する』にのっとり、地域に欠かせない存在感のある金融機関を目指し躍進する広島信用金庫 (以下、広島信金) 。これまで手作業により決算業務を遂行していた同信金では、煩雑で負荷が高く、担当者個人への依存度が高かった業務遂行のあり方に懸念を覚えていた。将来的な制度改定対応や業務効率改善を念頭に、新システムの構築を決断した同信金が、新会計システムの基盤として選択したのは、マイクロソフト社の WindowsServer プラットフォーム、SAP 社の ERPシステム R/3、そして、みずほ情報総研が提供する「金融業向け会計テンプレート for mySAP ERP 」だった。
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手作業中心による負荷の高い決算業務、そして将来的な四半期対応等への懸念

現行の決算システムが抱える課題について、広島信金常勤理事総合企画部長の味呑 (みのみ) 文雄氏は、「担当者が Excel ベースで作り込んだ決算システムを使用しています。まさに本人が何ヶ月もかけて作り込んだというものです。このため、運用、メンテナンスには非常に大きな負荷がかかっていました」と語る。
決算に用いる各種の元データは、信金セントラルホストと呼ばれる共同のメインフレーム上にあり、決算にあたっては、ここから手作業でデータを抽出、Excel フォームに入力するといった手順が取られている。決算用のドキュメントも複数の Excel シート上に展開され、それぞれが複雑に関連し合っているため、通常の運用だけでなくメンテナンスにあたっても非常に大きな負荷がかかっていた。 職人芸のように担当者個人に依存した現行の運用に対する懸念、たとえば、担当者の人事異動も難しい状況や、将来的な四半期開示などへの対応も考慮し、新システムの構築を決断、その基盤を模索し始めた。
05 年度から開始される減損会計に向け 04 年 7 月に実施された、みずほコーポレート銀行との打ち合わせの席で、「会計テンプレート」の存在を知った同信金では、早速検討に入り、新システム基盤としての R/3 と共に、その採用の決定に至った。
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Windows プラットフォーム採用への懸念は無し
全世界における R / 3 のプラットフォームとして、Windows のシェアが既に 7 割を超えており、さらに、その約 7 割がデータベースには SQL Server を採用しているという事実については認知していなかった味呑氏だが、「 Windows 採用においての懸念はありませんでした」と語る。この背景には、現業務に関わる各担当者が既にその日々の作業で Windows を駆使しており、さらに、今度は営業店で Windows をベースとした業務運営が決定していたことがある。 こうして、04 年の 7 月に実施されたみずほコーポレート銀行との最初の打ち合わせから約 5 ヶ月を経過した 04 年 12 月には、みずほ情報総研からのシステム導入を決定し、設計作業が開始された。
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効率化だけでなく、情報の連携により「数字がつかめる」決算システムを実現

システム化の目的について、総合企画部主計課課長の田坂篤資氏は、「当初は手作業から脱却し業務の効率を上げるといった点に期待しますが、最終的には、主計担当が決算に関わるさまざまな数字を瞬時につかむことができればと考えています」と語る。
前述の通り、現行の決算システムは、各担当者の PC 上に展開されている。そして、これらの情報は連携していない状況にある。今回のシステム化により、これらが連携することで、決算業務の生産性向上を図ることができるだけでなく、主計担当による数値把握がより迅速、かつ正確になることも期待効果のひとつである。
「今後、減損会計となりますと、償却資産があって、店別の収益があって、評価があってという具合にその複雑さが増します。主計担当がこれらを一望できる仕組みが必要不可欠となってきたのです」 (味呑氏) 。
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今年 9 月末に新システムのサービスイン 06 年 3 月期決算で新システムへ一本化
新システムにおけるシステム構成は、R / 3 Enterpriseのプラットフォームとして Windows 2003 Server、さらに DBMS として SQL Server 2003 を採用。製造業などを中心に R/3 導入の多くのケースで豊富な実績のあるマイクロソフト社製品を基盤としたシステム構成となっている。
新システムのサービスイン時期については、今年 9 月末を想定。 9 月末の中間決算について現行の手作業による計算と、新システムによる計算の両方を実施し、これらの結果を突合。実施結果が一致し新システムに問題がないことが確認できれば、06 年の 3 月期の決算から新システムへの一本化が行われる予定となっている。
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今後の展望:今回開発のシステムを核に、新たなソリューションを展開していく
今回の新システムでは、決算業務部分に加え、管理会計業務がシステム化の対象となっている。R/3 の標準機能と会計テンプレートを活用することで、直近の目標である 06 年 3 月期決算の無事完了を目指す。
当面は、現在進行するこのシステム化に注力する同信金だが、一方では、既に将来的な展開をその視野に入れている。内部的な効率化から一歩進めたサービスレ
ベルのさらなる向上を目指し、「今回の会計システムを核として、新たなソリューション・サービス機能を拡張していかなければならないと思っています」と語る味呑氏の発言には、『ヒューマンで活力ある信金を実現する』という同信金の姿勢が如実に表れている。
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2つの導入例をご紹介したが、これ以外にも数多くの
金融機関において、今後の制度改正等に対応するため、
「金融業向け会計・人事テンプレートfor mySAP ERP」
を検討、そして採用が進んでいる。みずほ情報総研では、
本テンプレートの他にも、金融業界向けに幅広いソリュ
ーションをご提案している。
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「2005 夏号」 |
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