第 2 回マイクロソフト NPO 支援プログラム

シリーズ 2

最終更新日: 2005年5月19日

本シリーズは、特定非営利活動法人日本 NPO センターLeave-ms から転載したものです。

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タイトル

第 2 回マイクロソフト NPO 支援プログラム

不登校児童生徒支援のための野外活動プロジェクト
特定非営利活動法人 寺子屋方丈舎団体概要 Leave-ms

不登校児や高校中退者を対象とした社会参画の支援団体として、寺子屋方丈舎 (以下、方丈舎) は 1999 年に設立された。現在通っている子どもは 23 名。会津若松市に本拠を置き、喜多方市にも拠点を持っている。
会津若松市は東北新幹線郡山駅から、約 1 時間。野口英世を輩出した猪苗代町を通り、会津盆地に入ってしばらくのところだ。江戸時代には会津松平藩の城下町として栄えた歴史ある地方都市である。

地方都市のフリースペースとして

野外活動の様子。通年で米作りに取り組んだ。

不登校児の居場所を提供したり、学習支援などを行うフリースペースの正確な統計はまだないが、全国に数百はあると言われている。しかしその多くは大都市にあり、地方都市ではまだ少ない。また、往々にして一つひとつのフリースペースに集う子どもの数も少なく、資金的な支援も得られにくい。地域によっては「学校」に対する価値観の違いや世間の目などもあり、不登校児が地域社会からのプレッシャーを受けていることもある。しかし、そうした地方にいる子どもたちも、大都市と同じように支援を必要としている。
会津若松市も例外ではなく、方丈舎が市内唯一のフリースペースとして活動をしている。方丈舎では具体的なプログラムは子どもたち自身が発案・企画・実施を行う。こうした経験を通して、自己を表現し、信頼できる仲間とのコミュニケーションをとり、自分自身を肯定し、自信を深めてもらうことを目指している。
この活動をさらに発展させるため、マイクロソフト NPO 支援プログラムには、(1) 子どもたち自身による活動の企画・評価 (2) その活動のビデオアーカイブ化 (3) インターネットによる活動報告の発信と他のフリースペースや在宅不登校児・高校中退者との双方向のコミュニケーションの場作りを、一連の事業として助成申請した。
本拠地が地方都市にあることは、野外活動やキャンプなどの体験活動を多彩にし、活動現場への継続的な関わりを可能にする。2004 年に取り組んだ米作りでは、畦草刈りなど一部の作業を地元の農家にお願いしたが、田植えから稲刈りまでの一連の農作業や採れた米の買い取り、販売までを自分たちで行った。親の中にはできれば学校に行って欲しいと考えている人も多いが、子どもたちが主体的に取り組んでいる姿を見て、学校だけが評価の基準ではないと気づき、新しい可能性を発見することもあるという。また、このような活動を通して、地元の人たちの不登校児に対する理解の向上を促進できる効果もあった。

在宅の子どもに対するアプローチ

インターネットを利用した情報発信や双方向のコミュニケーションの場作りは、フリースペースに集えない子どもへの支援も視野に入れている。
「不登校の内、フリースペースなどの居場所に通える子どもは約1割。多くの子どもたちは在宅です。そうした子どもたちは学校に行けない自分を整理できないなど、表に出られない事情を持っています。」と方丈舎事務局長・常務理事・江川和弥さん。
在宅の子どもへのアプローチは大きな課題だが、インターネット環境があればつながっていくことができる。そうした子どもたちを主な対象に、インターネットで相談を受けたり、話し合ったり、野外活動の企画などへ意見を出したりできるようにする試みだ。
その取り組みは当初、インターネット上の掲示板を用いて実施した。遠くは山口、近くは福島県内や仙台から、また不登校児を持つ親からの投稿があり、不登校新聞に取り上げられるなど注目もされたが、その矢先に学校内で殺傷事件が起こってしまう。事件の背景には、インターネット上の掲示板の影響があったと報道された。掲示板への中傷的な書き込みを管理しきれなくなる危険もあったため、投稿は電子メールで集約し、掲載するかどうかは掲示板管理者が責任をもって判断する形に計画を変更した。
江川さんは語る。「考えさせられました。不特定多数を対象とした媒体であることは、インターネットの課題でもあります。変な書き込みがされることも少なくありません。しかし、掲示板は生の声が集まる場です。方丈舎の関係者だけが書き込んでいるものではないので、大事な場と考えています。」

活動が地域に広がっていく

方丈舎の会津若松の拠点。

こうした社会情勢の影響による計画変更のほかに、子どもたち自身が事業を企画し、実施することを大切にしたこともあって、ウェブサイトへの掲載は当初の計画よりもかなり遅れた。だが、事業の遅れは課題ではあるが、子どもたちの思いを無視してまで、すべてを計画通りに進めようとはしない姿勢も大切にしている。スタッフは、子どもが主体的に設定したゴールに自分たちの力でたどり着くことを意識して支援を行っており、2005 年 3 月には予定していた記事を掲載できる見込みが立ったという。
課題も残ったが、江川さんは当初の狙い以上に、多くの波及効果があったと考えている。まず、地域の人とのつながりが広がったこと。野外活動には地元の農家の方など、多くの協力者がやりがいを持って関わってくれた。大都市の企業が支援していることによって、地元での注目が得られやすかったという効果もあるという。また、インターネットの効果やリスクを実感できたことは、次につながる重要な経験だった。野外活動を映像として残すことができたことも、子どもたちが活動を客観的に振り返り、親もその活動を見ることができるようになり、子どもたちに大きな達成感を生んだ。
設立から 6 年。方丈舎の活動はしっかりと地元に根を下ろしつつある。フリースペースの活動がまだまだ定着していない地域で、着実な活動を通して信頼と理解を得ていく姿、そしてそれを全国に発信していくことで広がる未来の可能性を感じた。
掲載:2005/03/25 文:吉田建治(特定非営利活動法人 日本 NPO センター)

2 回マイクロソフト NPO 支援プログラム 助成案件

世界職人連携 e-marketplace 構築プロジェクト
(特定非営利活動法人 北海道職人義塾大學校)

不登校児童生徒支援のための野外活動プロジェクト
(特定非営利活動法人 寺子屋方丈舎)

IT 技術を活用した、医療者、出産・育児にかかわる女性、出産育児ローカルグループのインタラクティブなネットワーク構築事業
(優しいお産のネットワーク REBORN)

未来世代を巻き込んだ 「集落Web」 と 「身近な自然マップ」 による地域づくりプロジェクト
(特定非営利活動法人 びわこ豊穣の郷)

屋久島発 「ぼく・わたしの‘Myバッグ・Myはし’を使って!」 プロジェクト
(特定非営利活動法人 屋久島エコ・フェスタ)

メディア・カフェ (パブリック・メディアの拠点づくり)
(OurPlanet−TV)

病児デイケアステーション 「フローレンス」 設立プロジェクト
(特定非営利活動法人 フローレンス)

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