
第 2 回マイクロソフト NPO 支援プログラム未来世代を巻き込んだ 「集落Web」 と 「身近な自然マップ」 による地域づくりプロジェクト 特定非営利活動法人 びわこ豊穣の郷(団体概要 ) 琵琶湖には周囲の山々から 120 の川が流れ込むが、流れ出るのは唯一、瀬田川からのみである。下流に行くに従い宇治川、淀川とその名を変えながら、大阪湾に注ぎ込む。この淀川水系が、京都、大阪の多数の地域に水を供給していることから、琵琶湖は「近畿の水がめ」とも呼ばれている。 しかし 1970 年代に湖畔で開発が進むとともに、水質が悪化。特に南湖の東側に位置する赤野井湾は、水質汚染の象徴的な地域となっていた。その要因として、湖水が滞留しやすい形状であること、多くの川が集中して流入していること、流域の宅地開発の進行によって水田面積の減少したこと、水源の湧き水が途絶えたこと、などが挙げられる。流入水の水質が悪化したことで、当時の赤野井湾では恒常的にアオコが発生していた。 このような中、琵琶湖の各地で水質改善に向けた、市民・行政双方の様々な取り組みが行われた。 地元住民による流域協議会の設立  「びわこ豊穣の郷」の前身である「豊穣の郷赤野井湾流域協議会」は、1996 年に守山市からの働きかけを受けて、地元住民によって設立された。設立当初こそ県や市からの補助金がその財源のほとんどだったが、2001 年に滋賀県の補助金が終了した後は、守山市の補助金と会費を中心に独自財源の確保を進めている。2004 年に NPO 法人化し、現在の名称に変更。赤野井湾の水質改善を目的として、調査機関や他の NPO など多くの団体と連携・協力しながら活動を続け、現在は 3 つの部会と 2 つのプロジェクトを持ち、河川ウォッチングや研修、水生生物調査、環境学習などに取り組んでいる。 びわこ豊穣の郷は自治会との連携が深いのが特徴だ。世界湖沼会議や世界水フォーラムなど、環境に関する国際的な会議の地域会場になったこともあり、守山市には水質改善に関する活動を行う自治会が少なくない。そうした自治会を広く紹介するウェブサイト 「集落Web」 の立ち上げを計画し、マイクロソフト NPO 支援プログラムに応募した。水質改善活動に積極的な自治会の取り組みを伝えることで、他地域の活動を活性化させるととともに、取材を通して自治会間の連携を深めることが狙いだ。 7 自治会の活動を紹介する 守山市にある 70 の自治会のうち「川づくり活動」を行う自治会は 20 あるが、まずはその中で特に積極的に活動している 7 つの自治会を紹介することにした。サイトの名称も 「集落Web」 から 「びわこ川づくりネット」 に変更した。 当初、子どもたちによる自治会への取材や 「ウェブ作成チーム」 の組織化など、子ども主導のプロジェクトをいくつか計画していた。子どもたちを巻き込むことで、IT 教育や体験学習などを実践的に深めてもらうとともに、守山で生まれ育った地元の子どもたちが自分たちの町の川づくり活動への関心を高め、コミュニティ活動に参加する機会とするためだ。しかし地元の中学、高校との連携づくりが順調に進まなかったこともあり、思うようにはいかなかった。 そこで会員を主な対象として 「HP作成講座」 や 「親子HPづくり教室」 に重点を置き、人材育成に務めた。その結果、中学生を含む 12 名がノウハウを身につけ、現在、「ホームページ制作チーム」 としてウェブサイト作成の中心を担っている。 自治会の取材には、活動に興味を持った地元の大学生の協力を得た。川づくり活動だけではなく、その町の地史なども取材した。 「『住んでいたけれど知らなかった』という声が住民からも多く上がりました。地域のよさを改めて感じる機会になったようです」 とはプロジェクトを担当した細田昌彦さんの言葉。新しい視点が入ることで、新しい魅力も発掘されたようだ。 こうして 7 月にまず 3 つの自治会の情報を掲載。年が明けて 2 月に 4 つの自治会の情報も追加掲載した。 ホームページ制作チームの中には情報を掲載した 7 つの自治体の住民もいる。またその後、独自でウェブサイト作成の勉強会を開く自治会もあった。今後はそれぞれが個性を発揮して各々でウェブサイトを更新し情報発信していくことを目指している。 世代、地域を越えた活動へ  川づくりネットの開設に伴う取材や話し合いを繰り返す中で、自治会の役員はもとより、役員以外の住民の参加が促進された。さらに、河川環境の改善は点の活動では効果が上がりにくいが、同じ川を共有する上流の自治会と下流の自治会がいっしょに活動していこう、という線の動きも出てきた。他の自治会への刺激という意味でも、こうした連携への期待は高まる。自治会を横断して情報が流通したことが要因だが、併設した 「川づくりBBS」 や 「今日の出来事」 のコーナーで、さらにその関係が強くなることを目指している。 「地域のよさがわかり、愛着を持っていただけるようなウェブサイトにしていきたい。そのためにも、今回十分でなかった子どもの参加を促進し、子どもの視点による情報も発信していきたい」 と細田さん。また流域、守山市全体の自然マップもつくっていきたいという。 サイトに掲載した自治会の活動は、いずれも先行事例だ。赤野井湾の環境改善には流域全体の取り組みが不可欠で、川づくりネットはそのための第一歩にすぎない。年齢を越えた縦の広がりと、自治会を越えた横の広がりをつくることが次のステップという。自治会連合会などで少しずつ他の自治会にも呼びかけている。 これまでの水質改善の活動は一見地道で成果が見えにくい。しかし赤野井湾の環境が着実に改善していることは、調査結果が示している。NPO が触媒となって住民が縦横に連携しながら、活動は今後も続いていく。 掲載:2005/04/28 文:吉田建治(特定非営利活動法人 日本 NPO センター) 第 2 回マイクロソフト NPO 支援プログラム 助成案件 |
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