高い技術力と豊富な知識を持ち、インターネットなどのコミュニティで技術の啓蒙に尽力している方々をマイクロソフトが表彰するMVPアワード。
日本でのMVPプログラムが本格始動した2003年は、2月のCommunity Leaders Round Tableや 8月のMVP nightといったイベントが行われました。
そして去る11月16日、日米のマイクロソフトスタッフとMVP50名が集結し、ついに日本で初めてのMVP Summitが開催されたのです!
IT全般に精通する技術者であるMVPとマイクロソフトの幹部社員達が一堂に会し、最新技術に関するセッションが行われるというMVP Summitに、Backstage Japanの編集スタッフが潜入!一日だけMVPになったつもりで、セッションに体験参加してきました。果たしてその顛末やいかに?
| 第一幕 : 緊張と興奮が入り混じり…… 6 時間のサミットが始まる | |
| 第二幕 : Longhorn の全容を大公開! | |
| 第三幕 : やっぱり Steve はすごかった! | |
| 編集後記 |
会場となったホテルニューオータニ東京”シリウスの間”には、受付開始の12時30分の前にはすでに多くの人が集まっていました。顔見知りのMVPメンバー達が楽しそうに談笑する一方で、マイクロソフトのスタッフ側はやや緊張気味の様子です。サミットのスタートが目前に迫り、会場の最終確認に空気も張り詰めます。
しかし一番緊張していたのは、多分私たち編集部員です。なぜってセッションのスピーカーリストには、 Michael Rawding、 古川享、そしてあの Steve Ballmer といったビッグネームが並んでいるし、本社から技術者が来てLonghornのプレゼンテーションをするというし、何より6時間という長さ。スピーチやMVPとの質疑応答を正しく理解できるか、ちゃんと取材ができるか、心の中は不安で一杯でした。
そんな時、会場に見慣れたお顔を発見!我らが奥天師匠です。日本初となる今回のMVP Summitでは、実は 奥天師匠 もセキュリティについてのスピーチを行うのです。師匠に挨拶し、川柳の筆の進み具合などを尋ねるうちに、私たちの緊張少しだけ和らぎ、ほっと一息つきました。

13:00 受付を済ませ着席したMVP達がしんと静まり返りました。サミットのスタートです。ウェルカム・スピーチに立ったのはMichael Rawding。おっと、スピーチは英語だ!早速私たちも、各席に配られた同時通訳イヤホンを耳につけました。
「日本で初めてのプレミアイベントであるMVP Summitにご参加くださり、本当にありがとうございます。2002年にたった13名で始まった日本のMVPメンバーも、1年間で77名にまで増えました。皆さんの貴重なフィードバックをもとに、ユーザーとともに製品を作り上げていく『One Microsoft』の精神を育てていきます」
ひな壇には立たずMVP達の間に立って話すMichaelのアットホームな雰囲気に、MVP達やマイクロソフトスタッフの顔にも笑顔が浮かびました。

次に登場したのは、 MVP nightでの見事な大開脚が噂の沼口繁。日本でのMVP専属担当者です。「最近どこに行っても大股開きの話をされて、影響の大きさにびっくりしているのですが」とのコメントから始まり、今回はいたって真面目にMVPプログラムについてのオリエンテーションを行いました。
その合間には、本社のMVPプログラム責任者であるSean O’Driscollによるビデオスピーチも。「Steve Ballmerも本日皆さんに直接会えるのを楽しみにしています。彼は自分が一番のMVPファンだというでしょうが、実は二番目です。 1番は、この私なのですから」といったSeanのコメントに、「MVPの一番のファンはオレだ」と言わんばかりに沼口のスピーチにも力が入ります。

13:40 30分間行われたMVPオリエンテーションの後は、第一幕のトリを務める古川享の登場です。「おなかが邪魔でスタッフベストのファスナーが閉まらない」と軽く笑いを取ったのもつかの間、のっけからトークの熱さに圧倒される編集部員一同!一時間以上におよぶ長いスピーチにもかかわらず、時間内に伝えられる限りのメッセージを詰め込もうと、息をつく間も与えず会場内の全員に畳み掛けてきます。古川自身もあっという間に汗だくになり、スタッフベストもいつの間にか脱ぎ捨てていました。
まさにマイクロソフトの歴史とともに歩んできた古川の、若き技術者時代のエピソードもふんだんに披露されました。MS-DOSを日本語化したくて本社の技術者に直訴しに行った際の思い出話では、「こことここの”7F”を”FF”に書き換えれば、プリンタにカタカナが出るはずなんだと力説して、自信満々でやってみたら、出なかった」なんて話に会場がどっと沸きました(しかし私たち編集部員には何の話だかちんぷんかんぷん。会場で飛び交う技術者ギャグについていけず、手にはじっとりと嫌な汗が・・・・・・)。
「同じ技術者だからこそMVPの気持ちが誰より分かる」と言う古川は、PDC2003でのBill Gatesによるマイクロソフトのこれからの展望についてのコメントをビデオで紹介しながら(Billが痩せた!とショックを受ける一幕も)、「全ての家庭、全ての職場にコンピューターを」という創業当時の理念がやっと実現しつつある現状をまとめました。そしてTRONとの業務提携などを例にあげ、これからのマイクロソフトが向かう方向について語りました。
質疑応答では、女性MVPから寄せられたアクセシビリティ(編集注:高齢者や障害者にも利用しやすいIT環境の概念)に対する厳しい指摘に、マイクロソフトとしての取り組みを詳しく説明し、専門的な議論が飛び交う場面も。ユーザーだからこそ言える意見を直接マイクロソフトの幹部社員にぶつけられるという、サミットの本質を見た気がしました。
15:10 ここで第一幕の2時間10分が終わり、15分のティーブレイクが入りました。緊張が緩んで思わず気が緩む私たち編集部員をよそに、休憩の間も非常に元気なMVPメンバー達。そのパワーにまたもや圧倒されながら、舞台は第二幕のLonghorn公開へと移っていきます

15:25 休憩も入れて心機一転、次のセッションは10月26日にロサンゼルスにて行われたPDC2003(編集注: Professional Developers Conference 2003)のフィードバックです。総勢7名の テクニカルエバンジェリスト軍団 が登場し、PDC2003で初めて公開された次期WindowsであるLonghornや、Yukon、ASP.NET2.0といった次世代製品についてのレポートが発表されました。
ここでは「ユーザーインターフェース(以下UI)の統一など、Windowsやマイクロソフト製品が長く抱えてきた基本的な問題に対して今後どう解決していくのか」といった率直な意見がMVPから出されました。UIに関する問題はまだ決着していないとしながら、「今後のUIがどうあるべきかをMVPの皆さんの間で議論し、マイクロソフトへどんどんフィードバックして突き上げてほしい」との回答がありましたが、古川スピーチ時のアクセシビリティに関する意見など、MVPはユーザビリティ向上に関して鋭い目を持っているようです。これはマイクロソフトの外にいるユーザーだからこそ見える視点なのですね。

16:25 ついにLonghorn登場!ということで、本社の開発担当者であるSterling Reasorが壇上に上がってのセッションが始まりました。
この日本でのMVP Summitで行う30分のスピーチのために、PDC2003で公開されたものよりさらに新しいLonghornをPCにインストールし、はるばるシアトルからハンドキャリーでやってきたSterling。文字通り“最新版”のお目見えに、MVP一同の真剣度がぐっと高まるのを感じました。
次世代OSのLonghornでは、ファイルの内容などが全てデータベース化され、ディスク中のファイル検索が飛躍的に向上します。こういった新OSでの新たな方向性が詳細にデモンストレーションされたのですが、デモの詳細はMVPだけの限定情報ということで、ここでは詳しくお話することができません。ごめんなさい!
16:55 第二幕の1時間も終わり、ここで再び15分のティーブレイクが入りました。これだけ長いイベントなのに、ほとんど予定時間に狂いが生じていないのが不思議です。
開始からすでに4時間が過ぎ、編集部員一同の疲れもピークに達していたのですが、会場はいよいよ目前に迫った「あの人」の気配に高揚しはじめ・・・・・・

17:10 ついに最終ステージが幕を開けたMVP Summit。スピーカーの一番手は、ウィンドウズ開発統括部の金子俊一。セキュリティ向上のための修正プログラム管理に対するソリューションのセッションです。プレゼンタイトルを見ても最初は何のことだか判然としなかった編集部員ですが、これがSUS(Software Update Service)やMBSA(Microsoft Baseline Security Analyzer)、 SMS(System Management Server) の話であることは、もちろんその道のプロ達であるMVPには周知の事実のようです。
このセッションで、開発中のSUS2.0が日本で初公開となりました。「心眼で見れば分かるのですが」と金子がスクリーンを指差すと、うっすらと新UIが見えてきて、会場内には笑いが響きました。非常に打ち解けた雰囲気の金子とMVP達だったのですが、それもそのはず。この新SUSの開発に関しては、事前に選出されたMVPメンバーのブレストが行われており、そこで出た意見をスタッフが本社へ足を運んで伝えてあったからです。MVPのリクエストがどんな風に製品に反映されたか、ひとつひとつ詳しい説明があり、それを元にMVPとの間で活発な質疑応答が繰り返されました。まさにMVPの本領発揮です。
このセッションで、開発中のSUS2.0が日本で初公開となりました。「心眼で見れば分かるのですが」と金子がスクリーンを指差すと、うっすらと新UIが見えてきて、会場内には笑いが響きました。非常に打ち解けた雰囲気の金子とMVP達だったのですが、それもそのはず。この新SUSの開発に関しては、事前に選出されたMVPメンバーのブレストが行われており、そこで出た意見をスタッフが本社へ足を運んで伝えてあったからです。MVPのリクエストがどんな風に製品に反映されたか、ひとつひとつ詳しい説明があり、それを元にMVPとの間で活発な質疑応答が繰り返されました。まさにMVPの本領発揮です。
最後に金子から2004年に公開されるSUS2.0のベータテストに是非参加してほしいというお願いと、マイクロソフトサイトで紹介するSUS導入事例が少ないため、MVPの有志に事例として登場してくださいとのお願いがありました。

18:10 このセッションが終われば、ついにあの人が登場・・・・・・と、本来なら場内は落ち着かない雰囲気になるところ。しかしスピーカーはセキュリティ川柳道場の奥天師匠。すっかり各所で有名となった師匠の登場で、場内の目は釘付けです。さすが、我らが師匠!
「おなかが邪魔で、ベストのファスナーが閉まらない」とどこかで聞いたギャグでMVPをどっと沸かせたところで、あのBlasterに代表される最近のマイクロソフトへの不正攻撃についてと、 今後のセキュリティへの取り組みという非常にシビアなプレゼンが行われました。
ここではMVPから、「パッチ」や「セキュリティ修正プログラム」といった専門用語が一般の理解を妨げているのではないかという指摘や、これからマイクロソフトとして世間のセキュリティリテラシーをどう育てていくのかといった意見が出され、奥天師匠との間でまさに”熱い議論”が飛び交いました。
そんな議論の最中、ふと見ると会場の裾ではマイクロソフトスタッフが落ち着きをなくしています。扉の向こうには、すでにあの人がスタンバイ完了なのか!?

18:30 厳かに開けられた扉の重みとは相反して、成田から駆けつけたとは思えないほどの軽やかな足取りで、赤いセーターを着たSteve Ballmerが登場!会場は歓声と拍手で沸きあがり、興奮が瞬時に極みへ達したかのようです。私たち編集部員も席を立って前方へ駆け寄り、Steveへカメラを向けシャッターを切りまくりましたが、会場の興奮に完全に飲まれてしまい、手が震えてろくな写真が取れません。MVP達もカメラや携帯を高く掲げ、ものすごい量のフラッシュをSteveに浴びせかけています。そんな高揚を喜ぶかのように、Steveは張りのある独特の抑揚で、MVPたちに贈る賛美の言葉を並べます。
そして、冒頭のSean O’Driscollによるビデオコメントを訂正し、「私こそが本当の、MVPのNo.1ファンだ!」と言い切り、日本版にアレンジした決め台詞を「Japanese Developers! Japanese Developers! Japanese Developers!」とキメてくれたのでした!
その後5グループに分かれて、MVPとSteveによる記念撮影が行われました。もちろん、ここぞとばかりに皆が握手やサインを求めに行きます。私たちも思わず仕事を忘れてサインを貰う列に並びそうになりましたが、MVPの中には用意周到に 「一ドル札 (編集部注:「Bill Gatesがやってきた」2ページ目下段参照) 」を差し出す人も。さすが通!
19:10 笑顔で去ったSteveの余韻が冷めやらぬなか、瀬戸口靜美 (編集部注:マイクロソフトグローバルテクニカルサポートセンター センター長) が登場し、サミットを締めくくる挨拶を残しました。「やっとここまでの規模になった。今日のサミットはこれで終わりですが、日本のMVPプログラムはこれが始まりなのです」という言葉は、まさに2003年のMVPプログラムの成長を象徴するようでした。
6時間あまりにおよんだ日本で初めてのMVP Summitは、こうして幕を閉じました。しかし宴はこれだけじゃ終わらない!皆さん疲れた様子も全く見せず、隣に用意されたパーティー会場へ移動し、夜更けまでMVPとスタッフの垣根を越えて歓談し、あるいはサミットの続きとばかりに技術者との議論に興じたのでした。
「Your Potential, Our passion」というキーワードを具現化する、MVPプログラム。日本での本格始動を記念するMVP Summitの熱気が、皆さんにも伝わったでしょうか。MVPプログラム日本リージョン担当である沼口さんは、この次の日にはリーダーズミーティングに出席するためニューヨークへ旅立ちました。明けた2004年4月に控えているGlobal MVP Summitには、過去最大の日本人MVPが参加することでしょう。「日本人MVPが100人揃えば、特別講演を行う」というBill Gatesの約束も、実現する日は遠くないかもしれません。これからのMVPプログラムの動きにも、是非ご注目ください!