MVP インサイダー 2005年9月

谷口 有近 MVP for Windows Server - Infrastructure Architect


谷口有近 — Tokyo, MVP, Windows Server System . Infrastructure Architect オンライン証券会社であるカブドットコム証券株式会社の情報システム統括部 課長代理である谷口有近氏は、Microsoft Windows Server System を使用した日本有数の高負荷で、最先端機能を持つ証券取引システムの構築に携わり、ネットワーク構築からアプリケーションまでの設計・管理・運用を担当しています。さらに谷口氏は、 Windows Server System の効果的な利用法とアウトソーシングのコストマネージメントについて siteROCK (www.siterock.co.jp)主催のセミナーで講演を行うなど、積極的な活動をされています。
MVP Insider ( 英語版 )


あなたにとって MVP とは?

私はこれまで“こだわる事”を大切にしてきたから、MVPを受賞したのだと思います。自分にとって不確かな事は納得するまで調査しますし、問題点は明確化したり、単純化することによって改善することができます。人間のライフサイクルにたとえると、IT は生まれたての赤ちゃんのようなものです。生まれたばかりのITがきちんと成長してゆくには、世話をし、教育することが必要です。私にとってMVPとは、ITを育てるために、これまで個人として追求してきた“こだわり”を、多くの方々と共有する者の称号、と言うことができます。

スティーブ·バルマーにマイクロソフトに関する質問をひとつするとしたら、それは何でしょうか?

スティーブには「Microsoft はいつ Windows をフリーソフトとして提供しますか?」と聞いてみたいと思います。私は Windowsがどのくらいの間Microsoftにとって収入源であり続けるのか、ということは考えなければならない重要な問題だと考えています。今すぐという問題ではないかもしれませんが、Windows が普及するに従い、人々はそれが人類の共有財産だと思い始めるかもしれません。このような課題に対し、Microsoftがどのような戦略を持ち、どのようなビジョンを持っているか、という事に非常に興味があります。

今まで作成されたソフトウェアの中でもっともよいと思うものは?

やはり最高のソフトは Microsoft Excel でしょう。Excel は生産性向上のために最も広く使われているソフトウェアで、しかも価格が手ごろです。特定の業務を対象としたソフトウェアには多くの利点があるかもしれませんが、Excel ほどユーザフレンドリーなソフトウェアは他にありません。Excelの魅力は、表計算だけではありません。ユーザが拡張することで、可能性は無限に広がります。もちろん、65,536列という 制限がありますので完ぺきとは言えませんが。

もしあなたがWindows Server System . Infrastructure Architectの担当マネージャだったら、何を変えますか?

すでに Microsoft Windows ServerTM; 2003 で多くの機能を改善したので、私にとっては難しい質問です。ですが、私ならばエンタープライズ版でサポートする CPU の数を 16 まで増やすことや、イベントログ管理サーバに自動複製機能を埋め込むというような、ニッチな視点からの改善案を提案します。また、Windows Server 2003 は既に SAN ブートをサポートしていますが、次の SAN ブートのシナリオを実現することによって、Windows サーバプラットホーム機能をより強化することができるのではないかと考えています。まず、起動時に名前を入力するとシステムが 自動的に設定情報などのユニークであるべき情報を分析し、単一のOS イメージからそのユーザの正しい環境をロードし、自動的にネットワーク接続を完了できるようにします。そして、ドメインには再起動することなく参加でき、システムが自動的にユーザの所属するアプリケーショングループの最新ポリシーとなるよう、アップグレードするというものです。さらに、サーバと協調しながらのタスクを処理するようにします。

無制限のデータ処理能力を手にしたら、それを使って何をしますか?

脳の神経細胞のシミュレーションを実現する人工知能の研究をします。そして、その研究成果を利用して自分の脳と外部記憶を協調させるシステムを構築し、自分の脳の中で稼動させます。もうひとつのアイデアは、その処理能力をリースする会社を経営することです。膨大な量の計算を必要とするシミュレーションの世界と VFX の世界にはこのような企業が絶対に必要です。

最近読んだ本は?

上前淳一郎の本が好きです。彼の「読むクスリ」は、読むと元気が出る短いエッセイ集です。この本は、時間があまりないときでも読めるので気に入っています。学生時代は、宗教の歴史的な解説や理工学系の専門書を読む事が好きでしたので、時間があれば今でもこのような本を読みたいと思っています。ですが、本当のことを言うと、最近読んだ本は漫画雑誌と自動車雑誌です。疲れた脳にもバカンスは必要です。

お勧めの音楽 CD は?

ロックからクラシック、ラップまで音楽ならなんでも聞きます。初めて買った CD は、ドヴォルザーク作曲、カラヤン指揮の「新世界から」交響曲第 9 番 でした。それ以来第 9 番の CD を幅広く集めていますが、これまでのところ一番気に入っているのはバーンスタイン指揮ニューヨーク交響楽団の New York Philharmonic のCD です。この CD でのバーンスタインの公演は、感情的、叙情的、そして分かりやすさの点において、まさに画に描いたような作品です。

MVP として自慢できる活動は?

私は証券取引をウェブシステムで提供する会社に勤めていますが、日本の現実は、メインフレームに対する根深い信仰のためか、金融システムの基幹系システムに Windows Server System を導入する会社は非常に少数です。ですが、私はシステム構築コスト、そして運用に必要とされるコストを考えると、Windows Server System が圧倒的に有利だと考えています。自分の勤める会社で Windows Server System を導入し、自社のウェブサイト上で事例としてその経験を公開することによって、多くの人たちにその優位性を積極的に伝えたいと思っています。そして、積極的にこのノウハウをコミュニティに公開していくつもりです。

コンピュータのバッグには何が入っていますか?

アカペラグループのベースボーカルパートを担当していますので、楽譜、ピッチパイプ、USB のオーディオインタフェースがコンピュータバッグに入っています。USB のオーディオインタフェースを使用して PC に録音し、客観的に自分の歌を評価しています。

MVP になって、最高の出来事は?

MVP を受賞して両親に喜んでもらえたことでした。最初、MVP受賞と言っても分かってもらえないと思ったので両親には言わなかったのですが、受賞のことを聞くと「よくやった!おめでとう!」と声をかけてくれました。その時に、Microsoft がどれほど広く知られているかという事実を改めて実感しました。バスも通っていないような日本の片田舎に住んでいる私の両親さえ Microsoft のことを知っているのです。両親に、息子のことを誇りに思ってもらえたことが何よりも嬉しかったことです。

あなたのモットーは?

「多様性を維持すること」が非常に重要なことだと考えています。すべてのもの − IT システム、社会生活、大陸の形、地球環境、太陽 − は常に変化しています。むしろ、変化と多様性を受け入れることこそが、生命の本質であり、経済活動の原動力であり、さらに可能性が存在する理由でしょう。私は自分の性格を定義しないことにしています。自分はこの多様性のパズルの中から、ほんの幾つかのピースを集めただけの存在だと思います。もしかしたら、明日には違うピースを選んで違う自分になっているかも知れません。

あなたのヒーローは?

盲目的に誰かを敬愛することはないのですが、ヒーローをひとり選ばなければならないのなら、ドイツの前大統領のリヒャルト・フォン・ワイツゼッカーとします。私は彼のコミュニケーションに対する情熱と態度を尊敬しています。分かりやすい言葉で自分自身の考えを表現し、それを世界の人々に伝えることに成功した数少ないリーダーだと思っています。

あなたにとって成功とは?

後悔なく死ぬことができるならば、人生は成功だと思います。私には、両親に苦労をかけないとか、自分を支えてくれた人たちに報いるというような多くの目標があります。ですが、これからもっと多くの目標を見つけるでしょうから、このような目標を達成することが必ずしも成功とはいえないでしょう。そう考えると、私が最後の瞬間まで目標を追って生きていけたなら、きっと満足するでしょうし、それが私にとっての成功だと思います。


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