NEXT プロジェクト

公開授業報告 2 - タブレット PC を活用した基礎学カ向上に関する共同研究「W プロジェクト」がスタート!

小学校 52 校に計 1,300 台のタブレット PC を導入

和歌山市とマイクロソフトは、和歌山市における教育の情報化を推進するため、2007 年 10 月より以下に掲げる 2 つの連携事業を実施することになりました。
(1) タブレット PC を活用した児童の基礎学カ向上に関する共同研究 −− W プロジェクト
(W プロジェクトの「W」は、和歌山の頭文字)
和歌山市は NEXT プロジェクトに賛同し、その一環としてマイクロソフトとの共同研究「W プロジェクト」を開始します。 マイクロソフトは NEXT プロジェクトの一環として、教員が授業や校務で活用できるようなテンプレートを提供するほか、技術支援や研究アドバイザーの派遣等の支援を行います。
[タブレット PC を活用した授業の様子 1]
(2) 教員研修による ICT (情報コミュニケーション技術) 活用指導力向上への取り組み
和歌山市は、小/中/高等学校の教員を対象に、マイクロソフトと ICT 教育推進プログラム協議会が共同開発した e-Learning 型の研修カリキュラム「ICT スキルアップオンライン」を導入し、マイクロソフトの協力のもと 1 年間で延べ 700 名に、実践的なオンライン研修を実施していきます。
今回の連携事業により教員の ICT 活用指導力を向上させることで、和歌山市の児童・生徒の情報活用能力の育成を図るとともに、和歌山市が掲げる「ICT を活用した児童の基礎学力の向上」という目標の実現を目指します。
[タブレット PC を活用した授業の様子 2]

10 月5 日、調印と記者会見

10 月 5 日 (2007 年)、和歌山市役所において、大橋建一和歌山市長とマイクロソフトの大井川和彦常務が合意文書に調印し、共同記者会見が行われました。会場には新聞社やテレビ局など多数のメディアが取材に訪れ、テレビニュースや新聞紙上で、W プロジェクトの実施とその内容が報道されました。
[調印と記者会見][調印した文書を掲げる大橋建一市長 (左) とマイクロソフトの大井川和彦常務 (右)]
調印した文書を掲げる大橋建一市長 (左) とマイクロソフトの大井川和彦常務 (右)

和歌山市立有功東小学校で授業公開

記者会見の後、和歌山市立有功東 (いさおひがし) 小学校 5 年光組の授業が公開されました。子どもたちは担任の成瀬雅海教諭の指導のもと、タブレット PC と漢字練習ソフトを使って、漢字の学習に取り組んでいました。どの子も楽しそうにタブレット PC に漢字を書きこんでいる姿が印象的でした。
[タブレット PC を使って、漢字の正しい形や筆順を学ぶ子どもたち]
[和歌山市立有功東小学校]
和歌山市立有功東小学校
[タブレット PC を使って、漢字の正しい形や筆順を学ぶ子どもたち]
タブレット PC を使って、漢字の正しい形や筆順を学ぶ子どもたち

子どもたちの声

「1 週間に 3 回ぐらい授業でタブレット PC を使っています。インターネットで調べるときはマウスを使うけれど、漢字の練習や算数の計算をやるときは、ペンとタブレットを使います。」
「普通のパソコンより、タブレット PC のほうが好きです。キーボードで文字を打つより、ペンで書く (入力する) 方がいいです。」
「漢字の練習は、紙に書くよりパソコンのほうがやりやすいです。」
「漢字以外には、図工の時間などで絵を描いたりするときにペンを使います。算数では、百ます計算などに使います。」

市内の小学校 52 校に 1,300 台のタブレット PC と Microsoft Office OneNote 2007 を配備

和歌山市は 2007 年 9 月に市内 52 のすべての市立小学校に計 1300 台のタブレットPC および Microsoft Office OneNote 2007 を配備しました。タブレット PC については、3 校の研究協力校に各 35 台 (1 人 1 台)、他の 49 校には 20 台ずつを配備。研究協力校にはウルトラモバイル PC や PDA も必要に応じて提供していく予定です。
タブレット PC を活用した学習は 9 月から始まっており、すでに専用学習ソフトによる漢字や計算練習が行われています。また、手書き文字をとりこめる Microsoft Office OneNote 2007 を使った、算数や社会などの考えを深める学習にもタブレット PC が使われ始めています。
今後は、すべての教科に ICT を活用し、基礎学力の向上を達成するための実証研究を進めていく予定です。
[左から、タブレット PC、ウルトラモバイル PC、PDA]
左から、タブレット PC、ウルトラモバイル PC、PDA
[注] ウルトラモバイル PC (UMPC)
UMPC は、軽量で携帯性に優れ、簡単にネットワークに接続ができる。Windows OS の機能を全て使うことができ、キーボード以外にも、タッチ操作をしたり、画面に手書き文字や絵を書き込んだりできる。詳細はマイクロソフト Web サイト参照。 http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/umpc/about.mspx

W プロジェクトの開始にあたって −− 関係者からのメッセージ

ICT 活用により子どもたちの学習の意欲を高め、創造性を育む
和歌山市市長 大橋建一
和歌山市市長 大橋建一
和歌山市は、リース期間終了に伴い、平成 19 年度小学校教育用コンピュータシステムの更新を機に、子どもたちの基礎学力向上に向けて学習に役立つものを導入しようと考え、今回のシステムの導入を行いました。 マイクロソフト株式会社および独立行政法人メディア教育開発センターと共に、共同研究を実施することとなりました。 教育活動において ICT を効果的に活用できるようにするため「W プロジェクト」を実施し、子どもたちの学習の意欲を高め、創造性を育むため、より質の高い教育の創造に向けた取り組みを行っていきたいと考えております。
学習の効果を高めるために ICT の活用法として、タブレット PC が非常に効果があると言われています。 ペンを使ってタブレット PC 上に書いたり消したりできるということが、基礎学力、例えば漢字や計算の練習などに効果があるようです。 もちろんパソコンだけで学力が向上するとは考えていません、これまで和歌山市の先生方が培ってこられた指導力と ICT が融合して、より質の高い教育を創造していくことが可能になるだろうと考えています。 今回のプロジェクトが成功して、先進的な事例が和歌山から全国に拡がっていくことができればと期待しています。
世界的にも例がない大規模な実証的研究
マイクロソフト株式会社 執行役常務 大井川和彦
マイクロソフト株式会社 執行役常務 大井川和彦
マイクロソフトは、和歌山市の「W プロジェクト」に、タブレット PC を使った先進的な学習の支援をするということで参加させていただくことになりました。 同時に、「ICT スキルアップオンライン」というトレーニングプログラムを、和歌山市の先生方に提供させていただきます。いずれも私どもの戦略的なプログラムです。 前者の「W プロジェクト」は、私どもの NEXT プロジェクトと連携しますが、これは日本初のタブレット PC を使った大規模なプロジェクトです。 タブレット PC をこれだけの数 (1,300 台) 導入して実証的に研究するという事例は、世界的にもほとんど例がありません。 したがって私ども社内でも、今回の取り組みを先進的な事例として世界中に紹介していきたいと思います。 これをきっかけに和歌山市が教育先進市として世界にその名が行き渡るよう、先生方と協力しながらこのプロジェクトを進めさせていただきたいと思います。
先生と子どもがより豊かなコミュニケーションを図るために、タブレット PC を導入した
和歌山市教育委員会 和歌山市立教育研究所所長 庄田光伸
和歌山市教育委員会 和歌山市立教育研究所所長 庄田光伸
近年、社会の情報化が急速に進展し、携帯電話やインターネット等の普及によってICT が子どもたちの生活に身近なものとなっています。教育のおいても学校教育の情報化が求められています。
そこで、和歌山市においても子どもたちへの情報教育 (情報活用能力の育成)、教育活動において ICT の効果的な活用を図る教育の情報化の一環として、「ICT を活用した学力向上のための研究プロジェクト」を実施し、ICT 活用による子どもたちの学習への意欲を高め、創造性を育むための教育活動の創造に向けた取り組みを行っていきたいと考えています。
今回実施する W プロジェクトは、和歌山市の教育の情報化の一環として実施するもので、単に基礎学力の向上をめざすだけでなく、各教科等での活用/探求学習における ICT の活用やその効果についても視野にいれた研究をすすめていきます。
初年度の W プロジェクトの研究テーマは、「ICT 活用による基礎学力の向上とその効果の実証研究」とし、ICT の活用による漢字学習等の効果について、研究協力実践校を中心に市内 52 校において具体的な実証研究をすすめていきます。
ICT を積極的に活用することで、子どもたちの学力向上と校務の効率化等の効果が期待されています。W プロジェクトでは、和歌山市における ICT の活用を推進し、子どもたちの学力向上だけでなく校務の効率化の研究にもつなげていきたいと考えています。
私たちは、パソコンの教育での使用について「手書き」入力の重要性は、10 年以上前から認識しておりました。やはり、キーボードからの入力やマウスでのお絵かきなどは、子どもたちにとっては、操作に違和感があると考えます。
幼児期のおもちゃで、ボードに絵や文字をかいて、バシャっとレバーを引いて消すことのできるものがあると思います。何度も消したり書いたりしながら楽しんで遊んでいたものです。手で書くということが、自然で、子どもたちにとってすんなりと受け入れることのできるものだと思います。
なぜ、タブレット PC なのか? 当然、ノートに書くことは、漢字学習などでも重要なことです。今回導入したものの一つである漢字の練習システムでは、"筆順" や "形"、"はね" などをチェックしてくれる機能を備えています。子どもたちは、この機能を利用して自らのペースで学習することができます。先生は、一人ひとりを机間指導しながら、直接指導の必要な子どもにより多く関わることができます。このことは、パソコンを入れることによる効率化というより、先生と子どもたちとの関わりを深めることで、全体の基礎学力の向上を図るのです。
また、他の子がしっかり学習できているか、机間指導だけでなく、学習履歴を見ることができるので、その子どもに合ったプリント教材なども作成し提供でき、一人ひとりの学習状況に合わせたよりきめ細かな指導が可能です。私たちは、タブレット PC だけで学習することは考えておりません。従来のノート学習をうまく組み合わせることでより効果が上がると考えております。
"清書するノート" づくりから "考えるためのノート" へ
OneNote2007 の導入により、社会や理科、算数などの教科での発展的な学習などでの活用を考えております。 OneNote2007 の機能を使うことで、"清書するノート" づくりから "考えるためのノート" づくりが可能となります。 私たちは、これらのシステムを今まで培ってきた教育方法に取り入れていくことで、機械任せではなく、先生と子どもとのつながりを深め、より豊かなコミュニケーションを実現するためにタブレット PC と教育システムを活用していきたいと考えております。
それらの取り組みをすることによって、基礎学力の向上につながり、発展的な学習を広げることになると私たちは考えています。

W プロジェクトを支える Microsoft Office Groove 2007

メンバーが多数参加し、情報共有や資料/成果物の共同作成が求められるプロジェクトでは、メンバー間の意見交流を快適にスムーズに、高いセキュリティのもとで保証してくれるグループウエアが必要です。そこで、和歌山市立教育研究所がでは、Microsoft Office Groove 2007 を使用しています。その用途と使用感について、専門教育監補の角田佳隆氏にお聞きしました。
「現在、W プロジェクトの先生方と研究所員が 1 つのワークグループに入って、その情報交換に活用しています。Groove 2007 は、メンバーがパソコンを起動しているときなら、メッセージを送れば即座にメッセージが伝わり、即座に返事をもらうことが可能で、一方、自分や相手がオフラインであっても編集W プロジェクトを支える Microsoft Office Groove 2007 や、ファイルの追加など可能で常にオンラインである必要がないので手軽に使用することができます。今では、それぞれが、各自の資料を編集したり、互いのスケジュール調整を行ったりとオン/オフラインに限らず共同作業に Groove 2007 が役立っています。特に、成果物を共有しお互いに改編、編集できるので、重宝しております。また、職場に限らず、どこにいてもネットワークと通じて同じワークグループの仕事ができることも魅力です。
[W プロジェクトで使用されている Microsoft Office Groove 2007 の画面より]
W プロジェクトで使用されている Microsoft Office Groove 2007 の画面より