NEXT プロジェクト

公開授業報告 3 - 海陽学園 英語、化学の授業でタブレット PC を効果的に活用

NEXT プロジェクトのスタートから 1 年余が経過し、モデル校での研究も加速度的な進展を見せています。 モデル校のひとつ愛知県蒲郡市の海陽学園でも、生徒用に導入したタブレット PC が授業で積極的に活用されています。 2007 年10 月11 日、英語と化学の授業を参観しました。その模様をレポートしましょう。 [海陽学園]
海陽学園

1、2 年生 英語の授業

書画カメラを用いてテスト添削

2 時限目、加納啓次教諭による中学 2 年生の英語の授業は、復習の小テストから始まりました。 17 名と少人数の生徒は、配布されたテスト用紙に 5 分間で解答を書き込み、加納教諭は回収した小テストを書画カメラの下に置きました。 その画像はスクリーンに大きく映し出されています。 加納教諭は、何人かの生徒の小テストを添削、解説しながら点数をつけていきました。 これによりクラスの全員が、同じ情報を共有しながら学習内容の重要点を確認することができました。
[書画カメラの下で生徒の小テストを添削する加納教諭]
書画カメラの下で生徒の小テストを添削する加納教諭

タブレット PC で手書き文字の解説をスクリーンに提示

続いて、教科書のテキストをリスニングした後、内容の解説に入りました。加納教諭は、教卓にタブレット PC を置き、生徒の理解を確かめる質問をしながら、英語で内容の解説をしていきます。このとき、加納教諭がタブレット上にマーキングしたり、書き込んだりした質問の答えや例文がリアルタイムにスクリーンに表示されました。
新出単語の確認や英文和訳では、生徒に質問して答えさせ、日本語を正確に整えながらタブレット PC 上に手書きしていきました。もちろんそれもスクリーンに表示されます。
そのスピードと緊張感は生徒の集中力を途切れさせません。タブレット PC の特徴を見事に活かした授業展開でした。この授業では、インターネットも巧みに活用されていました。テキストの内容に、中国の京劇が採り上げられていましたが、加納教諭はその解説に動画投稿サイトの動画をスクリーン上で再生しました。また、演目の西遊記の解説には、日本語の Web サイトを利用していました。
[スクリーンに提示されたタブレット PC の画面を指して解説する加納教諭]
スクリーンに提示されたタブレット PC の画面を指して解説する加納教諭
[タブレット PC を用いて授業を進める加納教諭]
タブレット PC を用いて授業を進める加納教諭

生徒の学習をタブレット PC 上でチェック、その場で添削も

5 時限目には、加納教諭による中学 1 年生の英語の授業を参観しました。この授業では、ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターのことを語るテキストが教材でした。
加納教諭は、内容の解説をタブレット PC 上に記述し、スクリーンに投影していました。生徒もタブレット PC を使い、予め配付されていた同じノートファイル上に、ノートをとっていました。授業後は、ハウス (寮) に帰って自分の PC から授業中にとったノートファイルを確認することができるので、復習に役立ちます。
[5 時限目の授業では、生徒も全員がタブレット PC を用いて学習]
5 時限目の授業では、生徒も全員がタブレット PC を用いて学習
この授業でも授業開始直後に小テストが実施されていましたが、サーバー上の共通フォルダにテストが配付されると、生徒がそれぞれ名前をつけて保存し、テストを開始し、終了後はファイルを上書き保存して閉じます。その後、先生により共通フォルダから先生のローカルフォルダに移されるので加筆、修正はできません。採点後は、メール添付で本人に (ハウスマスターには CC で) 返却されます。
加納教諭は、2 時限目と同様、希望する数人の生徒の答案を採点し解説していました。
[生徒のタブレット PC 画面を見て指導する加納教諭]
生徒のタブレット PC 画面を見て指導する加納教諭

2 年生 化学の授業

タブレット PC 上で手書き解答する小テスト

3 時限目には松居和子教諭による「酸/アルカリ/中和」の授業を参観しました。現行の学習指導要領では中学校で「イオン」を扱いませんが、海陽学園では早いうちからより正確な理解を身につけさせようと「イオン」の概念を教えています。
授業の最初は、復習の小テストでした。生徒は、サーバ上の「スタディ」フォルダから「小テスト」のフォルダを、自分のマイドキュメントにコピー。そこからこの日の小テストのファイルを選択して、ファイル名に自分の名前を書き加えました −−「小テスト第 6 回 2132 福田康夫」のように。−− そして、ペン入力で解答して保存し、サーバ上の指定されたフォルダに提出しました。
さりげない利用ですが、タブレット PC による手書き入力で、ペーパーレスと時間の有効活用を実現しています。
[小テストに手書きの文字で解答する]
小テストに手書きの文字で解答する
[松居教諭の説明を聞きながらタブレット PC に書き込む生徒]
松居教諭の説明を聞きながらタブレット PC に書き込む生徒

PowerPoint のワークシートと OneNote を使い分ける
化学反応式は手書きが便利

授業の主要部分では、松居教諭は PowerPoint で作成した教材を用いました。スクリーンにその教材を提示し、口頭で解説しながら授業を進めます。PowerPoint の教材はワークシートになっていて、生徒はタブレットPC 上に開いた教材に、学んだことをペンで加筆していきました。生徒たちは日頃からパソコンを使い慣れているのか、言われなくても文字を色分けするなど工夫していました。ときどき必要に応じて OneNote も開き、そこにも自分のノートをとっていました。
生徒の学習の様子を見ていて、「化学」にはタブレット PC が威力を発揮することを痛感しました。大/小、上付き/下付き文字の入り交じる化学反応式や数式は、キーボード入力していたら時間がどれだけかかるかわかりません。手書き文字を PC 上に書くのが圧倒的に速くて効率的です。
[教材に手書き文字を記入しながら考えを進める生徒の画面]
教材に手書き文字を記入しながら考えを進める生徒の画面
[化学の授業の様子]

大事なところは、生徒にきちんと手書きさせたい

授業の後、松居教諭にタブレットPC の活用についてお話をうかがいました。
「本校では、プロジェクタ等の機器が各教室に完備されているので、黒板やホワイトボードを使って提示していたものは、すべて PowerPoint に移行して授業をしています。PowerPoint で教材を作ると、簡単に加工/改良して次の年にも使えるので、紙のノートよりもぐんと効率がよく、時間や手間が省けます。私自身は昨年の秋から、生徒は今年の秋から授業でタブレット PC を使い始めました。大事なところは、生徒にきちんと手書きさせたいと考えています。そこで私も、重要なところはタブレット上に手書きし、スクリーン上にはっきりと表示しています。PowerPoint のスライドを見せるときには、生徒の反応を見て、その場でスライドに文字を書き加えることもあります。タブレット PC は、臨機応変にそういうことができるので、授業には強力なツールです。生徒もペンタブレットを使えるようになり、図が描き込めることを喜んでいます」。
[生徒の学習を個別に指導する松居教諭]
生徒の学習を個別に指導する松居教諭