NEXT プロジェクト

研究部会報告 3

研究部会報告 3

JAET 全国大会で、モデル校における研究成果を発表!

2007 年 11 月 16 〜 17 日、千葉県旭市で「全日本教育工学研究協議会全国大会」が開催されました。この大会において、NEXT プロジェクトのモデル校で研究を進めている2 人の先生による、研究の途中経過とこれまでの成果について発表がありました。

立命館小学校 −− UMPC の活用とその効果

[UMPC 活用の効果を示す研究発表の 1 画面]
UMPC 活用の効果を示す研究発表の 1 画面
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立命館小学校の荒木貴之教頭から、「UMPC を用いたパーソナルなコンピュータ環境の構築と授業実践」と題した、2006 年度の研究についての発表がありました。
立命館小学校は、2006 年4 月に京都市に開校した新設校です。初年度は、第 1 学年から第 3 学年までの児童計 368 名が在籍し、児童用に UMPC 135 台をはじめとするタブレット型コンピュータを計 208 台設置しました。教室には電子情報ボードを設置し、全館に無線 LAN を敷設し、どの教室からもインターネットへ接続できる環境が整っています。
2006 年度は、第 3 学年の児童を対象に、夏季及び冬季休業中、希望する児童に UMPC を貸し出し、児童は家庭から学校のサーバにアクセスして WBL (Web Based Learning) に取り組みました。もちろん通常の授業でも UMPC は活用され、児童は PowerPoint や OneNote を用いて学習のまとめを行いました。こうした UMPC の活用の効果について、今回の発表では、調査データに基づいて次のような点が明らかにされました。
  • 自らのペースで学習を進めることができる WBL によって、児童の学習への態度/意欲は高められた。
  • 学習をまとめるための新たな手段として、UMPC がノートの代用となることを認知している児童がいることがわかった。
  • 授業での UMPC の活用場面が多かった児童の方が、そうでない児童に比べて、さらに UMPC を使った学習に取り組みたいとする学習への意欲/態度が高まり、家庭での UMPC の利用時間も長かった。
立命館小学校では 2007 年度に入ってから、UMPC をメディアセンター (図書室) に常設し、1 年生から 4 年生までの児童が週 1 時間の「読書の時間」ばかりでなく、休み時間や放課後等にも自由に UMPC を使用しています。
荒木教頭は結びとして、「今後の実証研究の方向性としては、UMPC をどの発達段階の、どの学習場面で、どの程度使用することで、どの程度学力形成に影響を及ぼすのか、検証を進めていきたい」と今後の抱負を示しました。
[この発表の共同研究者:中川一史 (メディア教育開発センター)、村井万寿夫 (金沢星稜大学)、滝田裕三 (マイクロソフト)]

海陽学園 −− ICT 活用による校務の効率化についての意識調査

[発表する松居教頭と会場の模様]
発表する松居教頭と会場の模様
海陽学園の松居和子教諭は、「校務の効率化における ICT 活用の有効性と優先事項」と題した発表を行いました。
海陽学園は愛知県蒲郡市に 2006 年 4 月に開校した私立の全寮制男子中高一貫校です。生徒の学習や生活のサポート、教職員の校務効率化を目的として、光ファイバによる有線 LAN (基幹 LAN) と無線 LAN を基盤とする情報インフラが整備されています。その恵まれた環境のもと、生徒と教職員は 1 人 1 台の携帯情報端末とノート PC を持ち、学校内のどこででも無線 LAN で校内ネットワークに接続し、ICT 資源を活用することができます。
学園内では徹底したペーパーレス化が図られ、ポータルサイトを用いた情報共有や事務処理が行われています。学籍管理、時間割確認などの他、食堂における食事の予約なども Web 上から行うようになっています。また、教職員は他の職員とだけでなく、生徒や保護者との連絡にもWeb 掲示板や電子メールを利用しています。
今回、松居和子教諭を中心とする情報関係の教員 3 名と理科部会の教員 4 名は、校務で ICT を活用している用途を抽出し、それに基づいて 2007 年 7 月、14 名の教員を対象にアンケート調査を行い、教職員たちはどのような要素が校務の効率化に役立つと考え、その意義を感じているかを調査しました。
具体的には、以下に示す Q1 から Q11 に対し「校務の負担を減らすこと (効率化) に役立っているか」と「活用する意義を感じるか」という 2 つの観点に対し、「1. 全くそうは思わない」「2. そう思わない」「3. そう思う」「4. とてもそう思う」の 4 件法で回答を得ました。
Q1教職員が 1 人 1 台の PC を持つこと
Q2無線 LAN が校内にはりめぐらされていること
Q3Web 連絡掲示板を使って保護者に連絡ができること
Q4Web 連絡掲示板を使って生徒に連絡ができること
Q5Web 連絡掲示板を使って教職員に連絡ができること
Q6Web で食事予約ができること
Q7Web で保護者が帰省申請ができること
Q8Web で生徒が外出申請ができること
Q9生徒が時間割の確認を PC ですること
Q10携帯情報端末を使って図書システムがつかえること
Q11生徒が 1 人 1 台のノート PC を持つこと
[調査結果]
調査結果
(クリックすると大きい画像を表示されます)
この調査の結果は上の通りですが、より校務の効率化に役立ち、意義を感じられるもの上位 3 項目は、次の通りでした。
  1. Web 掲示板を使って保護者に連絡できること
  2. 携帯情報端末を使って図書システムがつかえること
  3. 無線 LAN が校内にはりめぐらされていること
松居教諭はこの結果について、次のようにまとめています。
「教師、生徒、保護者が ICT を使いこなせる環境においては、コミュニケーションツールとして活用できるシステムの優先順位が高いということがわかりました。これからシステムを整備する際には、校務効率化に有効に活用されるように用途を明確に示すことが重要になってくると思います。私たちの今後の課題ですが、授業での ICT 活用の推進と検証を目的として、9 月中旬にノート型のタブレット PC を 1 クラス分導入しました。それによって教師の利用を推進し、生徒がノート代わりに利用したときの学習効果の検討を行い、各教科でさらに ICT 活用授業の研究と実践をしていきたいと思います」。
[この発表の共同研究者:中川一史 (メディア教育開発センター)、中橋雄 (福山大学)、滝田裕三 (マイクロソフト)]