広島大学 アクセシビリティリーダー サマーキャンプレポート

公開日 : 2006 年 11 月 16 日
マイクロソフトと国立大学法人広島大学 (広島県東広島市 牟田泰三学長) は、次代の情報社会を担う人材を育成することを目的として、2004 年 10 月から協力関係を確立してきました。とくに、障害を持つ方を含めた全ての人々が IT を活用できるようにと、アクセシビリティ分野での活動を強化し、2006 年 4 月から同校は、アクセシビリティリーダー育成カリキュラムを開設しています (講義、実習を含む)。これは、すべての人々が IT により、可能性を広げるためのマイクロソフトの Digital Inclusion の取り組みの 1 つです。
今回、同カリキュラムを修了した 15 名を対象に、2006 年 8 月 31 日から 9 月 2 日までの日程で、「アクセシビリティリーダーサマーキャンプ」を東京で開催しました。なお、サマーキャンプはマイクロソフトと広島大学が協力関係を締結した 2004 年秋から 2 回トライアルで実施して、2006 年の今年から本格実施となります。
[イメージ] 筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 飯塚潤一 教授による講義
サマーキャンプの初日には、弱視者支援に力をいれている株式会社アサクラメガネの「ロービジョンルーム」や、共用品の普及促進を図っている財団法人共用品推進機構、先進の技術を体験するために携帯電話会社などのショールームを見学しました。なお共用品とは、健常者にとっても障害者にとっても利用しやすいように設計された製品やサービスを指しています。
9 月 1 日は東京新宿のマイクロソフト本社にて研修を行いました。最初に、マイクロソフトの業務執行役員、最高技術責任者である田中芳夫から、「マイクロソフトのテクノロジーとアクセシビリティ」と題し、コンピュータ、パソコンの歴史とアクセシビリティに対するマイクロソフトの取り組みについて説明しました。
次に、筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センターの飯塚潤一教授に、「高齢者や障害者にも暮らしやすい情報化社会を目指して」と題した講義をしていただきました。飯塚教授は民間企業で製品のアクセシビリティの研究開発をされていた経験をお持ちで、ユニバーサルデザインの規格を定めた JIS X8341 (8341 =やさしいの語呂合わせ) の背景と概要や、企業にとってのユニバーサルデザインの価値などを分かりやすく説明していただきました。
[イメージ] 座談会と交流会
続いて、アスペルガー症候群と診断された男性と、先天性白内障による強度弱視のある女性にご参加いただき、座談会を開催しました。アスペルガー症候群の男性からは、ご自身の生い立ちと障害があると診断されるまでの経緯、症状の特性、健常者として就労していた頃のさまざまな困難などについて話していただきました。また、弱視の女性からは、視力だけではなく弱視者それぞれで異なる視野や遠近感の問題について説明があったほか、職場のパソコンでフォント設定や画面設定を変更したくても、管理・運用を理由に設定変更を認めてもらえにくい事例などを話していただき、学生は障害者に対する理解を一層深めていました。
お二人から最後に、「障害の内容や程度は一人ひとり異なるので、その人を良く見て、理解・把握して、健常者に比べて遅いこともある行動をゆっくりと待って欲しい」との要望が述べられました。
その後、昼食を交えた交流会が開かれ、座談会出席者に加え、マイクロソフト社員も参加して学生とのコミュニケーションが図られました。
学生からはこの交流会において、「マイクロソフトの様々な部門の方とお話ができてよかった」「体験談を聞くことができ、様々な視点でアクセシビリティを考えることができた」「社員の方と直接お話ししていると活き活きと仕事をしている様子が伝わってきた」などの声が聞かれ、大変充実したものとなりました。
最終日は日本商工会議所が開発中の「視覚障害者向け日商 PC 検定試験」の試行テストをマイクロソフト本社で行いました。モニタディスプレイを後ろ向きにした状態で、読み上げソフトの音声をヘッドホンで聴きながらマウスを使わずにキーボードだけで操作したり、択一式の知識問題に回答したりして、Microsoft Word を使って文書作成を行うという試験です。試験のモニタとなった学生は、慣れない操作に苦労しながらもいくつかの改善点を指摘するなど、主催した日本商工会議所にとっても体験した学生にとっても有益な試行テストとなりました。
[イメージ] 「視覚障害者向け日商 PC 検定試験」の試行テスト
[イメージ] 集合写真
最後に学生一人ひとりから今回の研修について感想と抱負を述べてもらいました。すでに来春の就職が決まっている学生もいて、実社会に出たあともアクセシビリティの知識と経験をなんらかの形で生かしていきたいとの頼もしい声が聞かれました。また、広島大学ボランティア活動室長の佐野眞理子教授から、学生にとって実りの多い研修であったとの所感をいただきました。
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