ご導入ユーザー: ナルックス株式会社
新事業開発部 ナノオプト課
導入ベンダー: ビジュアルテクノロジー株式会社![]()

(右から、ナルックス株式会社岡田課長、藤村様、岡野研究員)
岡田課長: 弊社はプラスティック レンズの開発・製造を行う光学機器メーカーです。例えば、DVD/CD ドライブに利用されるホログラム (回折格子) 素子やレーザー プリンタのレンズなどを主に手掛けています。また、ハワイ国立天文台“すばる望遠鏡”用レンズのような各種特注品も手掛けております。しかしながら、近年益々加速しつつある多様化する市場動向に対して、より微細で高度な光学レンズを効率よく設計し量産化することの重要性が非常に高まってきております。この潮流に適応すべく、1998 年頃から Fortran ベースの Rigorous Coupled-Wave Analysis (RCWA) 法を用いたシミュレーションに着手いたしました。また、合わせて市販ソフト Grating-solver も併用しつつ解析を行っておりましたが、かなりの計算パワーを必要とし、当時のスパコンでの検討も行いましたが、柔軟且つ迅速な利用というのは何かと困難があり暗中模索の状況が続きました。転機となったのは、2005 年に米国出張の際、ある大学教授から RCWA に GA (遺伝的アルゴリズム) を組み込むことで、これまで総当たり的に解を求めていた手法とは異なり、より優位な解 (最適な形状) に絞り込んでゆくことが可能となること手法があることを知りました。また、同教授より RCWA にはクラスタ マシンが必須と進言されました。その後、日本で最適化アルゴリズムとクラスタの両方を研究されている同志社大学 工学部 三木教授を経済産業省の方からご紹介頂き、2006 年 1 月に三木教授よりクラスタ マシンの概要と具体的な構築に詳しいビジュアルテクノロジー社をご紹介頂きました。ちょうど、同志社大学とマイクロソフト、ビジュアルテクノロジーにて「Windows HPC コンソーシアム
」の設立を行われ、8 月に「Windows Compute Cluster Server 2003」製品発表されたこともあり、同年 11 月に 8 ノード構成のクラスタ マシンを導入いたしました。
藤村様: RCWA による計算の並列化に対応し、稼働させることが出来ました。光学素子 (主に回折格子) における、透過・反射光の強度比を求める計算を行っています。これまでは Windows PC 単体で行っておりましたが、計算に数時間を要していました。今回の 8 ノード クラスタを導入することにより、単体で行っていた計算プログラムを並列化させることにより約 10 分の 1 の計算時間で実行することが可能となりました。
岡田課長: よく朝一番にお客様からの解析依頼が参ります。これまでは、お受けして日中に解析準備を行い夜間に計算実行して、翌日ご回答させて頂いておりました。今回のクラスタによる並列化によって、1 時間以内で同様の解析を行うことが可能であるため、お客様へのご回答を同日の夕方までに出来るようになります。
ビジュアルテクノロジー 寺井氏: 通常、並列計算アプリケーションを開発することには、ハードウェアだけでなく MPI を用いた並列プログラミング技法や OS、ジョブ スケジューラなど様々な要因が関連するため、簡単には性能が向上しないことがままあります。しかしながら、今回の導入後およそ 2 か月程度で 10 分の 1 の計算時間短縮に繋がったことは非常に効果的であったと思います。今回お納めさせて頂いたマシンには 1 ノード当たり 2CPU 搭載しておりますので、MPI 関連の各種チューニングを行えばより並列化効率が向上すると思います。Windows CCS 自体まだ発売されて間もない段階ですが、今後徐々に各種ノウハウが公開されてゆくと考えます。今日現在では、英語版ですが Windows CCS コミュニティサイト (英語) 上には各種情報が掲載されつつありますので、是非日本語版も「Windows HPC コンソーシアム」中心に広く公開されるようになればと考えます。
岡田課長: 並列計算の実現については目途が着きましたので、より高度な計算を行う最適化計算の並列化に着手しております。
岡野研究員: 最適化計算による最大の恩恵は、これまでの試作と実験の限界を超えた設計が可能となることにあります。例えば、従来のレンズの常識としては、シャープな形をしていた方が一見性能が良いように思えますが、最適化計算から導き出される形状としては下記写真のような複雑な形状の方が、性能が数倍も向上することが判明します。
岡田課長: あと Windows ベースのクラスタとして期待している点として、リモート デスクトップを用いた他の設計部門からの利用だけでなく、Excel を用いた計算の高速化にも期待しています。実際、計測データを集計する際に、Excel VBA マクロを用いていますが、処理に数時間を要することもあるため、そういった用途にも同じクラスタを利用できるようになると考えています。

(写真手前: ビジュアルテクノロジー社クラスタマシンと同社取締役執行役員営業本部長寺井氏)