Apple's Eye
みなさんはもう「iLife '09」は手に入れただろうか。これは、インテルCPU搭載のMacを持っている人なら迷わず、すぐに買うべきソフトだ(PowerPC搭載MacではGarageBandの音楽レッスンなど一部の機能が使えないが、それでもやはり買う価値はあるだろう)。
「iLife '09」を手に入れることは、Macに新しい機能、新しい使い道を加えることだと考えている人もいるかもしれないが、そんなどころではない。前回も「人生を豊かにするソフト」と紹介したが、「iLife '09」を買うことは、もしかしたら、あなた自身の日常を一変させてしまうかもしれない──そんなソフトだ。前回の記事の執筆はiLife '09の発売直前だった。すでにWebには多くのレポートがあがっているが、今回と次回は、このiLife '09をじっくり触った後でのレポートや、使い方のtipsを筆者の体験をベースに書かせてもらう。
前編の今回はiLife '09の最大の目玉アプリケーションとも言えるiPhoto '09に焦点を当てよう。
iPhoto '09でも最大の目玉となっているのが「人々」機能だ。これはiPhotoに登録されている写真の中から人の顔を見つけ出してくれる「顔認識」(真っ暗な写真からでもしっかりと顔を見つけ出してくれる)に加え、この顔は誰それと指定するとその人の顔を覚えて、同じ人が写っている他の写真を見つけ出してきてくれる「顔識別」の2つのがある。しかもこの「顔識別」機能は、教えれば教えるほどどんどん賢くなっていくというスグレモノなのだ。
つまり、例えば奥さんに証明写真が必要だと言われたら、さっとiPhotoで検索して数百枚の写真からベストショットを探し出すといったことも簡単にできる。
あるいはスマートアルバムで「名前が」に続き、父、母、子の名前を打ち込んで、家族が全員一緒に写っている写真だけのスマートアルバムを作成したりといったことも可能になる。
これまでのiPhotoにもキーワード登録機能などがあったので、どの写真に誰が写っているかといった情報を書き込むことはできたが、すべて手動であまり現実的でなかった。
これがiPhoto '09では、「顔認識」と「顔識別」機能のおかげで、ついつい名前を登録するのが楽しくなってしまう。
古くからMacを使っている人なら、7年前の2001年、iTunesが出てきたときの楽しさを思い出すかもしれない。iTunesはCDDBというCD認識技術を取り入れていたため、音楽CDを挿入すると自動的にアルバム名や曲名を認識してくれた。
iTunes登場以前にも、ジュークボックスソフトはあったが、いずれも曲名は手打ちが当たり前で、音楽CDを取り込む、ジャケットを見ながら、1曲1曲曲名を打ち込むという作業が面倒なこともあり、よっぽど気に入った曲しか取り込まなかった。
それがiTunesは、入れるCD入れるCDを、片っ端から認識してくれるものだから、「さすがにこのマイナーなアルバムは認識しないだろう」とMacにチャレンジするように次から次へとCDを挿入してしまう。
ここでアルバム名が表示されないと「そら、見ろ。さすがにこれは認識しなかった」と、勝ち誇った気になり、喜んでアルバム名と曲名を入力する気になる。入力した情報は、CDDBに登録され、次に同じマイナーアルバムを入れた人は、そのアルバムが認識されてビックリ驚くことになる。
あれと同じで、あまりにもiPhotoが次から次へと顔を認識してくれて楽しいものだから、ついつい、人の名前を入れたくなってしまい、これまで他のソフトで取り込んでいた写真までiPhotoに取り込み直したくなってしまう。
さて、次にこの登録の手順を、もう少し細かく見てみよう。
「人々」機能を使って、iPhotoが認識してくれた友達や家族の顔に、これは自分、これは友人の○○さんといった具合に名前をつける。その後、iPhotoのソース欄にある「人々」を見てみると、「○○さん」という項目が現れ、その下におそらく同一人物と思われる人の顔の一覧が表示される。
画面左下にあるアイコンで、表示のしかたを写真の全景にするか、顔の部分だけアップにするかが選べるが、この顔だけアップ表示がまた便利な機能なのだ。どんなに豆粒のように小さく写った写真でも、一度、「顔」として認識されれば、顔のサイズを目一杯まで引き延ばしてくれる。
例えば人に顔写真を送りたいときなど、これでお気に入りの写り具合、お気に入りの表情を素早く選ぶことができる。
さて、顔識別の機能だが、最初はやや遠慮がちに少なめに表示される。ここで「名前を確定」ボタンを押して、この顔とこの顔とこの顔は正解、といった具合に、正しい顔をチェックして「完了」ボタンを押すと、その人の顔を学習して、さらに多くの候補を表示してくれる。
たくさん写真がある場合、2度目以降、数回のiPhotoは大胆でかなり多めに候補を表示し始める(少なくとも筆者の場合はそういうことが多かった)。間違っている写真もたくさん表示される。
ただiPhotoは自信のある写真から順番に表示してくれるので、たいていは上の方に正しい写真が、下の方に間違っている写真が集まっている状態になる。
写真はFinderで複数のアイコンを選択するのと同じ要領で(ドラッグ操作で)一括選択可能で、選択すると同時に緑のハイライトに変えることができる。この緑のハイライトは写真が正しい、ということを示すマークだ。
一方、間違っている写真を一括選択したい場合は、optionキーを押しながらドラッグをすればいい。
たまに正しい写真に間違っている写真が混じっていたり、間違っている写真に正しい写真がまぎれていたりすることもあり、ていねいに選択していくと、それなりに疲れてしまう。
ただiPhotoは、写真の正誤を教えれば教えるほどその人の顔を学習してくれるので、表示された写真すべてに正誤の判定をつけるのではなく、とりあえず気が向いた写真、簡単に判別がつく写真だけ判定して確定するといい。
「完了」ボタンを押すと、「人々」のアイコンの横で矢印がくるくると回り始め、しばらくすると新しい情報に基づいて新たに判定した候補顔の一覧が表示される。
根を詰めてやると、疲れる作業だが、友達やら家族やらと一緒に作業すると、これが楽しい時間に変わる。
顔識別機能は、おそろしいほど正確なときもあれば、おそろしく的外れなこともある(たいがいの場合正確だ)。
「こんな暗い写真でよく顔がわかったな」、「こんな表情でよくわかるな」と感心し、すっかりiPhoto顔識別能力のスゴさに感服していると、しばらくして、その人の家族の顔が間違って表示され「そうか、なるほど、やはり親子だから似ているんだ」などとさらに感心させられる。
しかし、その直後には、「およそ似ても似つかない」人の顔が並んでいたり、場合によっては「そもそも人間でもない」ものまで陳列されることもある。
そんな不正確な一面も持つiPhotoでありながらも、人間はどうやら候補欄に「家族」の写真が表示されるとうれしいようで「さすが兄弟、似ていないようで、実はどこか似ているのかもね」とか「へー、やっぱり結婚も3年目になると夫婦でも顔が似てくるのかもね」などと、ついつい勝手な理屈を繰り出してしまうが、これまたこれでおもしろい。
iPhotoの顔認識機能は、友達との会話、家族との会話の潤滑油にもなる。
すでにiLife '09を使っている人の多くが、筆者と同じこのような体験をしているのではないだろうか。
ちなみに登録した人数が増えてくると気になるのが、この人、間違って表示されているけれど、本当は××さんなので、できればすぐに××さんとして認識させたい、というシチュエーション。
こんな場合は、とりあえず正誤の判定をしないでおいて「名前の確定」操作を「完了」させた後、素早くその写真をダブルクリックする。すると写真の全景が表示されるので、ここで「名前を指定」のボタンを押して、名前を入力すればいい。
さて、そんなこんなでiPhotoを使って、とりあえず家族や仲良しグループの顔を一通り認識させたら、「人々」アイコンをもう1度クリックして、家族や仲間の顔を一括選択してみよう(コマンドキーを押しながら選択)。この状態で、一括選択した人々をiPhotoの左側にある「アルバム」の欄にドラッグすると、なんと家族や仲間の写真をまとめたアルバムが自動生成される。
これ、実はなかなか便利な機能なのだ。
なぜなら、このアルバムをワンクリックの操作でブックやカレンダー、カードに仕上げることもできれば、MobileMeのパスワード付きWebアルバムにすることも、Flickerへのアップロードをすることも、もしソーシャルネットワークサービスのfacebookに入っていればfacebookにアップロードすることもできる。
これらの手段を使って、離れている友達や親戚、家族とも写真の共有を楽しむことができる。
よくパーティーなどへ行く人は、パーティー系の写真だけでも、facebookにアップロードすることをお勧めする。
昨年、日本語にも対応した世界第2位の会員数を持つSNSのfacebookでは、掲載した写真に名前タグを付ける機能を標準で備えているのだ。
例えばあなたのiPhotoで、友達の~~さんの写真がいっぱいあったとしよう。それらの写真をfacebookに登録し(友達しか見られないように設定できる)、facebookの上で、もう1度、その人の顔の上に~~さんというタグを加えると、自動的にfacebookの~~さん宛に「あなたの写真が掲載されました」という通知が届く。
ここで写真の中に、誰かあなたが知らない人(まだタグを付けていない人が写っていたとしよう)、あなたの友達の誰かが、その人にタグを付けて名前を書き込んでくれれば、その人の名前がわかり、もしfacebookを使っていれば、そのままワンクリックで友達登録も可能になる。
パーティーで大勢の人に会うことが多い人には、まさにうってつけなのだ。
一方で、いま家族や友達が一緒になら、ぜひ、押して欲しいのが「スライドショー」のボタンだ。
実はこの「スライドショー」機能も、忘れられがちながらiPhoto '09の目玉機能の1つといえる。
スライドショーの効果は全部で6種類あるが、特にお勧めなのは「破片」と「スライドパネル」だ。BGMの選曲も可能だが、とりあえずは付属の曲がなかなかいいので、効果だけ選んで実行してみよう。
「破片」は、写真に使われている色で背景と被写体を区別した上で、背景から被写体だけが飛び出てくるようなダイナミックな動きで、写真と写真を切り替え表示してくれる。
一方、「スライドパネル」は、1画面に2~3個の写真のコラージュを表示してくれるスライドショーで、拡大/縮小された写真を登録された順番に軽快なテンポで、表示してくれる。
映画のエンディングのような「スクラップブック」や「スナップショット」もいい雰囲気で、米ピクサー社の映画「トイ・ストーリー」で使われたランディ・ニューマンが歌う曲「You Got a friend in me」がついている、というおまけ付きだ(他にマイルス・デイビスやクリス・ジョスらの曲もあまり気づかれないオマケとしてついている)。
いずれの効果も、写真全体を見せるのではなく、一部をズームアップするなどアニメーションさせることで、静止画にドラマチックさを加えているのだが、実はここでもしっかりと顔認識の技術が使われており、顔が画面の外にはみ出ないように調整している。
スペックシートにこそ記してないが、こんななんのことはないような部分にまで、しっかりと最新の技術を生かしているのがアップル流の神髄なのだ。
さて、これだけでも十分、iPhotoのすごさは伝わったと思う。しかし、これでも新iPhotoの魅力の触りでしかない。実はiPhotoには、これに加えて「撮影地」という機能がついている。写真を撮影された場所別に、並べる機能だ。
iPhoneやその他の携帯電話で撮った写真でGPS情報を埋め込んであれば、自動的にそれが認識される。最近、少しずつ増えてきているGPS内蔵デジタルカメラでも同様だ。
しかし、万が一、GPSを搭載していない普通のデジタルカメラで撮っていた場合でも、簡単に場所の登録ができる。
というのも、iPhotoの前バージョンからイベントという機能がついたのを覚えているだろうか。iPhotoでは、撮影時間の間隔などから推察して、自動的に「これらの写真は同じ時、同じ場所で撮ったものだろう」という写真を一束のイベントに束ねてくれる機能がある。
ほとんどのイベントは、1カ所で動くことなく行われているものなので、例えば東京都渋谷区代々木で撮影された写真のイベントなら、イベント中の写真を一括選択して「代々木」で指定してしまえばいい。
さらに細かい場所がわかるようであれば、iPhoto画面上に表示されるGoogleマップを可能な限り拡大して、細かな位置指定をしてもいい。
撮影地の情報をたくさん登録したら、今度は撮影地別にスマートアルバムを作ったり、カードやブック、Webアルバムを作ったり、スライドショーをしたりして楽しめるわけだ。
iPhotoに用意された、これらの新機能によって、友達と一緒に過ごす時間の楽しみ方にも大きな変化が現れるし、そもそも写真の撮り方にも変化がでてきそうだ。これからはできれば撮影時にGPS情報を入れておきたいし、そのためにもiPhoneやGPS機能内蔵デジタルカメラを買いたくなってしまう。
筆者は、iPhoto '09で搭載された機能は、アップルが提案する写真の楽しみ方のまだほんの序章にすぎないような気がしている。ここから先、まだどんな楽しみ方があるのか、と聞かれると答えられないが、このiPhoto '09で、大勢の人が写真に「人々」や「撮影地」の情報を登録するようになることで、また第2、第3の新しい展開が見えてくるんではないかと想像を膨らませると楽しみでならない。
しかし、その一方で、今回ここまでで紹介したのはiPhoto '09の紹介であって、これはiLife '09に含まれている4本のアプリケーションの中のたった1つに過ぎない、ということだ。
筆者は、このiPhoto '09だけでも、十分、iLife '09を買う価値があると思うのだが、いかがだろう?
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