Apple's Eye
アップルは2月末から3月頭にかけて、Mac関連の発表を立て続けに行った。
まず、全Macユーザーに関係するのが、Webブラウザ「Safari」の最新版「Safari 4」のパブリックベータ版の公開だ。
開発途上版なのでWebブラウザで日々の重要業務をこなしている人にはお勧めできないが、新しい物好きな人、Safariの行く末に興味がある人は、試して損がないだろう。
こちらのページからダウンロードできる(今のところ英語版のみ)。
新SafariはNitroと呼ばれる新エンジンを搭載し、JavaScriptと呼ばれるWebページ中のプログラムを、従来のSafariに比べて4.2倍速く実行できる。
だが、なんといっても目に留まる特徴は、iTunesから始まりFinderにも広がったカバーフロー表示がついにWebブラウザであるSafariにも採用されたことだ。Safari 4は、もっとも利用するWebページや過去に訪問したWebページの履歴、ブックマークしたWebページなどをカバーフロー形式で表示できるのだ。
もう1つおもしろいのがタブ機能(1つのウィンドウ内で複数のWebページを開く機能)の表示方法。これまではアドレスバーから下方向に伸びていたタブの耳が、Safari 4では、ウィンドウのタイトル表示部分を分割されるような形に変わった。
これは今後、もしかしたらMac OS Xの他の部分にも踏襲されるインターフェースかもしれない。
新Safariには、これ以外にも開いている全ウィンドウをタブ化して1つのウィンドウにまとめる機能や、iPhone/iPod touchのWebブラウザ同様にページの中身の倍率を変えて表示するFull-Page Zoomなど便利な機能がたくさん搭載されている。
ここで、そのすべてを紹介することはできないが、こちらのページにSafariを特徴づける150の機能が紹介されているので、ぜひ確認してみて欲しい。旧Safariから継承されている機能も一緒に紹介されているが、そうした中にも、あなたがこれまで使っていなかった機能、気づいていなかった機能がいっぱいあるはずだ。
Safari 4 BETA:150の機能
アップルは3月に入ると、Mac mini、iMac、Mac ProからなるMacのデスクトップシリーズも一新した。
だが実は大々的には発表していないが、これ以外にもいくつかハードウェア製品に変化を加えている。
例えばMacBook Proシリーズは、2.53GHzのCPUの代わりに2.66GHz、2.8GHzの代わりに2.93GHzのCPUが使われるようになり、MacBook/MacBook ProのApple Store購入時構成オプションとして、256GBのSSDが選べるようになった。
またAir Mac ExtremeとTime Capsuleも新しくなった。これは、実は筆者が今回、もっとも注目している変更なので、最後に紹介する。
また、新しいiMacのお供として、USB接続のコンパクトキーボードが誕生した。従来の薄型キーボードからテンキー(数字キー)部分を取り払ったもので、iMacではこれが標準キーボードとなった。
それでは、ここでMacデスクトップシリーズ2009年モデルの特徴を紹介しよう。
実は今回一番大きな注目を集めているのが、新しいUSBポートを5つ用意したMac miniだ。
Mac miniといえば、2台目以降のパソコンとして買うことが前提の、ディスプレイなし、キーボード/マウスもなしの製品だが、それだけに多くの人が、リビングルームの大型テレビにつないで、iLifeのコンテンツを楽しむのに活用している。
前々回も紹介したように、最新のiLife '09はすごく、iPhotoのスライドショー機能やGarageBandのレッスンといった、見ても楽しめるコンテンツをハイビジョン画質で用意している。
いや、実はそれに加え、第223回でも紹介したようにYouTubeなどの動画サイトがハイビジョン対応になり、急速におもしろいコンテンツが増え始めている。
これらのコンテンツを、リビングのテレビでソファに腰掛けながら自由自在に楽しめるリビング用Macとして、Mac miniが再注目されているのだ。
リビングのテレビにつなぐまでは、これまでのMac miniでもできたが、急速に増えつつあるハイビジョンのコンテンツを楽しんだり、iLife '09でふんだんに使われている高度なアニメーションを快適に楽しむには、グラフィック性能が足りなかった。
新しいMac miniは、最新MacBookと同じNVIDIA GeForce 9400M統合型グラフィックスチップを搭載することでこのグラフィック性能の問題を解決した。また、アイドル時の電力消費が13ワット未満。一般的なデスクトップパソコンの10分の1以下で、世界でもっともエネルギー効率がいいデスクトップパソコンでもあり、このあたりもリビングで家電製品として使ってもらおうという狙いが感じられる。
さて、MacBookやMac miniと同じグラフィックチップは、新しいiMacでも標準になった。
新iMacは、このNVIDIA GeForce 9400M統合型グラフィックスチップ搭載のほか、基本のCPU構成がIntel Core 2 Duo/2.66GHzになり最速モデルは3.06 GHzになった。
メモリ容量も従来の2倍になり、内蔵ハードディスクにはついに1TBの構成も用意された。
それでいてもっとも低価格なモデルは12万8800円、24インチモニタ内蔵最安価格も15万8800円と、それぞれ1万1000円、4万1000円も安くなっている点も見逃せない。
フラッグシップモデルであるMac Proは、インテル社の最新"Nehalem" Xeonプロセッサーを搭載するほか、メモリー、グラフィック、ディスクまわりのスピードも大幅強化した上で、従来の製品よりも7万円近く安く、30万円を切る価格で導入ができるようになった。外観上は内部機構にアクセスしやすい定評のあるデザインそのままだが、内部は新CPUを受け入れるために地味に新しくなっている、こんな目立たないところへの手間のかけようが、製品デザインへのこだわりをかえって強く感じさせる。
今、まだPowerPC搭載のMacを使っている人にとっては、今回のMac新ラインアップは、かなり魅力的な選択肢といえる。
また、すでにインテルMacを持ちiLife '09の魅力を周知している人なら、リビングでMac miniを使えれば、どれだけ楽しくなるか容易に想像がつくだろう。
そういう意味では、Macの現時点でのラインアップは、これまでにないくらい強烈な魅力を放っている。
だが、これら新Macに負けず劣らずMac生活を豊かにしてくれそうなのが新しいTime Capsule(そしてAirMac Extreme)だ。
アップルは密かに、これらIEEE 802.11nドラフト規格対応の無線LANルーター製品2機種をアップグレードし、同時に旧Time Capsule、AirMac Extreme用のファームウェアアップデートもリリースした。
新しいファームウェアでもっとも注目すべきは「どこでもMyMac」対応だ。
新しいAirMacユーティリティーにはMobileMeのアカウント情報を入れる設定があり、これを入れておくと、なんと外出先からでもTime Capsuleの内蔵ハードディスクやAirMac Extremeにつないだ外付けハードディスクにアクセスができるようになる。
最近は、写真にしても動画にしてもデータがどんどん大容量化しており、容量制限が厳しいノート型Macのハードディスクにすべてのデータを入れておくのはなかなか大変だ。そこで500GBまたは1TBのハードディスクを内蔵したTime Capsuleの購入となるわけだ(AirMac Extremeを購入し、外付けハードディスクをつないでもいいが、構成のシンプルさを考えるとやはり絶対的にTime Capsuleがお勧めだ)。
Time Capsuleは、Mac OS X v10.5 "Leopard"のTime Machine機能を使ったデータバックアップのための機器としての利用がもっともポピュラーだが、内蔵するハードディスクには、自動バックアップのデータ以外に、デジタルカメラで撮った写真などの一般のデータをコピーして、外付けハードディスク代わりとして使うことも可能だ。
これまでここに保管したデータは、Time Capsuleの無線LAN環境内にいる間しか利用できなかったが、新機能によって、アップル社の年間9800円の有料サービス、MobileMeのユーザーは、インターネット接続がある場所なら、どこにいても、自宅(あるいはオフィス)のTime Capsule(あるいはAirMac Extremeに外付けしたハードディスク)のデータを取り出すことができる。
これまで外出時に、MacBookシリーズと一緒に外付けハードディスクを一緒に持ち歩いていた人も、これで荷物が1個減らせるかもしれない。
筆者は、この「どこでもMyMac」機能のファンだ。というのも、筆者の愛用するMacは、ハードディスク容量80GBのMacBook Airで、プレゼン資料もデジタルカメラ写真も、しばらくたったらすべて自宅に置きっぱなしのMacBookやTime Capsuleにバックアップしているからだ。
外出先で突然ファイルが必要になった時、簡単に自宅のMacのファイルを取り出したり、場合によっては「画面共有」による遠隔操作で過去のメールをさぐったり、Spotlight検索をしたり、MacBook Airにはインストールしていないアプリケーションを立ち上げて、ちょっとしたデータ加工ができたりする「どこでもMyMac」は、Macの使い方を大きく変えてしまった。
さて、少し脱線したが、「どこでもMyMac」対応は、古いTime CapsuleとIEEE 802.11n対応のAirMac Extremeでもファームウェアアップデートで利用可能になる。
さて、新Time Capsule/AirMac Extremeには、そんな旧Time Capsule/AirMac Extremeユーザーがうらやむ改良点がいくつかある。
まず1つは、ゲスト用の無線LANネットワーク機能だ。自宅の無線LANにパスワード保護をかけずに開放しておくのは見ず知らずの人に悪用されるおそれがあり、あまりお勧めできない。
あなたの家の近隣、あるいは近くを訪問した人が、インターネットを無料乗りで利用することまでは許せても(これを禁じているプロバイダーもあるので注意)、一番怖いのは、そうした人が勝手にあなたのパソコンの共有フォルダにアクセスして、ファイルを勝手に盗んだり、あるいは落としていくことだ。
こうした問題を避けるため、多くの人は、オフィスはもちろん、家庭でも無線LANのアクセスポイントにパスワードの保護をかけている。
しかし、ここで困るのがオフィスや家庭を訪問した客人が無線LANを使いたいと言い出したときだ。打ち合わせをスムーズに進めるため、あるいは友人の「絶対お勧め」の動画をみるために、相手のマシンを無線LANにつなげてあげたいが、何か自分の無線LANのパスワードを安易に人に教えるのも抵抗がある。
こんな時、新Time Capsule/AirMac Extremeでは、「ゲストネットワーク」という機能を使えばゲストの人が自由にインターネット接続でき、それでいて自宅のパソコンには勝手にアクセスできない特殊なゲスト専用ネットワークを用意することができる(ゲストネットワークに対して別のパスワードを設定することも可能)。
これは、一般家庭はもちろんだが、顧客向けに無料の無線LANインターネット接続サービスを提供したいが、パソコンに強いお客がやってきて、お店のデータを勝手に覗かれるのが不安、そんな飲食店経営者にも朗報ではないだろうか。
もし、そんな飲食店経営者の人がいたら、ぜひ、この機能を教えてあげよう。
最後にもう1つ、新しいTime Capsule/AirMac Extremeでもう1つ、お勧めの機能が、デュアルバンド機能だ。
ちょっと難しい機能だが、最近では以前の無線LANが使っていた2.4GHz帯は、電波が混雑している。都会のオフィスエリアだと、MacのAirMacメニューをプルダウンすると、近隣のオフィスの無線LANアクセスポイントが、ズラっとたくさん並ぶ、という人も少なくないだろう(それに加えて2.4GHzの機器は電子レンジとも干渉する)。
そこで最近、注目を集めているのが、より混雑が緩和されている5GHz帯での通信だ。
実はAirMac Extremeも、Time Capsuleも、ここ2年ほどの間に発売されたMacも、すべてこの5GHz帯での通信に対応している。
ただし、家にたくさんパソコンやその他の無線LAN機器(iPod touchやiPhone、Apple TVなど)がある人の場合、5GHz帯接続にするとこうした古い機器がネットワークに接続できないというジレンマを抱えている。
せっかく新しいMacBook Airを持っているのだから、メインマシンのMacBook Airでは、5GHzのIEEE 802.11n接続で最大限のパフォーマンスを発揮しつつ、古いMacやiPhone、iPod touchも、2.4GHzのIEEE 802.11gで接続したい。
筆者はこの問題を解決すべく、5GHz専用で運用しているTime CapsuleのイーサネットポートにAirMac Expressを接続して、そちらで2.4GHz IEEE 802.11gネットワークを作っていた。
しかし新しいTime Capsuleでは、1台の製品で、5GHzのネットワークと2.4GHzのネットワークを同時に用意できてしまうのだ。
1TBのハードディスクを内蔵したiMacも登場した今、Time Capsuleの内蔵ハードディスクには、もう少し大きくなって欲しいという気持ちはあるが、Time Capsuleも、Air Mac Extreme同様、ハードディスクを外付けできるので、たいがいはこれで満足できるはずだ。
いや、満足するどころか、一度ハードディスクのクラッシュでデータをなくした人(そしてTime Capsuleでデータを復元した人)は、もはや、これなしでMacを使うことなんて考えられないはずだ。
パソコンのハードディスクは、いずれ必ずクラッシュする。そのクラッシュの恐怖をなくしてくれたTime Capsuleはもっと話題になっていい製品であり、Mac OS X v10.5 "Leopard"を持っている、Macユーザーの必携アイテムの1つに選んでもいいと思う。
関連リンク
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Apple:Safari 4 BETA:150の機能
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